『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
――昔話をしてあげます。本当に突拍子も無い、貴女のお父さんと再会した時の話をね
――ノア?!
――かまってくれない
「おはようございます、ますたー」
誰かに揺り動かされ、目を開ける。
幼いアロナが覗き込んでいる。
「アロナ?・・・・・此処は?」
――俺は・・・・・『消えた』筈だ
すると、目の前の幼いアロナは言う。
「ここは、『
違和感。
――彼女はアロナじゃない
俺は幼いアロナの姿をした彼女に確認する。
「・・・・・君はアロナじゃないな?」
「はい。わたしは、『
確かに、彼女を感じる。
――神秘が薄れた、か
「ああ、よろしく、プラナ。それで、状況を聞いても良いか?」
「めいれいりょうかい。ただいま、ますたーはがけっぷちです。ぜったいぜつめいなじょうきょうです。この
「・・・・・俺は今、生きているのか?」
「こうてい。ますたーは、『
「『奇跡』、か」
俺は上下も定かでないこの虚数空間を見渡す。
――
身体は思う様に動く。
「プラナ、此処から出る方法を教えてくれ」
「りょうかい。ますたー、てを」
プラナが手を伸ばし、俺はその小さな手を握る。
「こうか?」
「はい。いまから、ますたーとわたしで、きせきをおこします――『私は、私の身勝手で酷使してしまった先生への最後の贈り物ですから』」
「?!」
「こーど:るーあはかどしゅ、きどう。えねるぎーをくうかんざひょうこていにしよう。いちばんちかいせかいへつなぎます。しょうげきにそなえてください、ますたー」
そうして、俺は・・・・・。
◇◇◇◇◇
身体を揺り動かされる。
「おーい、こんな所で寝てたら風邪引いちゃうよ〜?あ、起きないんだったらイタズラしちゃおっかな?」
俺は目を開けて、大人びだ彼女の名前を呼んだ。
「・・・・・ユメ」
「ふふ。久し振りだね、アトラくん。二年振りくらいかな?」
どうやらあれから二年程の時間が空いてしまったらしい。
まぁ・・・・・二年で済む旅では無かったが。
――それもこれもプラナのお陰か
すると、もぞもぞとフードからプラナが顔を出して言った。
「ぼそん・じゃんぷ、せいこうです」
「おやおや〜?アトラくんったらまた女の子を引っ掛けて来ちゃったの?・・・・・あれ?アロナちゃんに似てる。まさかっ?!」
「?」
「アトラくん、ヤッちゃったの?!」
「冤罪だ」
「ふーん・・・・・本当みたいだね?で、どうして失踪した筈のアトラくんはアビドス砂漠に寝てたの?」
「・・・・・話すと長いが」
「大丈夫だよ。今日は仕事も休みだから」
そうして俺は旅の内容を省いて大体の事情をユメに説明した。
「なるほどね〜・・・・・じゃあ、急ぐんでしょ?」
「勿論」
「でも・・・・・ノアちゃんの居る所、わかる?」
「・・・・・」
「ふふふっ。アトラくんったらしょうが無いな〜。レイナちゃん、呼んであげるよ」
「助かる」
◆◆◆◆◆
マスター・・・・・アトラ君が居なくなってから、二年が経ちました。
――貴方が居なくなってから、64904400秒も経ってしまいましたよ?
私は、ミレニアムの教師になり、教壇に立っています。
寂しさを紛らわすため・・・・・でも、あるのでしょうね。
ミレニアムでは、貴方が居たときの様に活気があり、退屈はしません。
――貴方の居ない世界は、灰色です
ユウカちゃんはシャーレに就職して、キヴォトス中を飛び回って居るのですが、偶に遊びに来てくれます。
どうやら結婚生活は順調な様です。
「ノア先生ー!!」
「あら、シイナさん。授業の質問でしょうか??」
「いいえ。応接室にお客様が来てるんです」
「誰でしょうか?」
「えーっと、『俺だと言えばわかる』って・・・・・え、ノア先生?!」
私は、駆け出していました。
――本当に?
――今になって??
――いや、『方舟』である事を辞め、待つと決めたのは私だ
――落ち着け、生塩ノア
応接室の前に着き、息を整える。
戸を開けた。
「失礼しま――・・・・・」
其処には、ヘイローを浮かべた一人の男性が居た。
――大人びているのに、若い
その
黒いスーツと佇まいに、靭やかで強く、研ぎ澄まされた様な印象を抱く。
そして、彼は私を見て、顔を綻ばせた。
「久し振りだな、ノア」
私は、涙を堪えて言う。
「ええ・・・・・遅いですよ、
貴方は、此れぐらいの意地悪なら、許してくれるだろうから。
◇◇◇◇◇
「ああ、そう言えばそんな事もありましたね・・・・・今でも
「ノアは今でも充分若々しいさ」
「そうですか?お世辞では無く?・・・・・ごめんなさい。少し面倒くさい女になってしまいました」
「うん?俺がノアの事を面倒くさい何て思うわけ無いだろう?」
「・・・・・そういう所ですよ、アトラ君。罰として、ぎゅっと抱き締めて下さいね」
「ああ・・・・・懐かしいな、あの時はノアに『愛してる』と言うのに時間が必要だった」
「ふふっ・・・・・あの時のあなたは初心で可愛らしかったですね♪」
「・・・・・可愛らしいと言われるのは複雑な気分だな」
「そういう所も可愛いですよ?」
「――――ちゃんと『愛してる』と言えると言うのは幸せな事だと気付いたんだ。だから、毎日ちゃんと伝えるよ」
「ノア、愛してる」
「はい、私も愛してますよ、アトラ君」
――ノア
現ミレニアムサイエンススクールの教師。セミナーの顧問でもある。二年を経て、美しい女性に成長した。ユウカとは週に一回程の頻度で遊びに行っているらしい。彼女は『方舟』である事を辞め、彼と歩む事に決めた。本船はアトラと共に封印し、キーはアロナが厳重に保管している。以後、彼女が彼の事を『マスター』と呼んだことは・・・・・あまり無い。
備考:この後レイナと正妻戦争が待っている。結果は・・・・・。
――アトラ
何か色々(省略)あって戻って来た。背が伸び、がっしりとした体付きに成長している。尚、行く先々でトラブルに巻き込まれて居た模様。戻って来れたのは、何処かのお人好しな超越者が『旅符:辿り着くべき希望の旅』というオーパーツを彼に譲ったから。ノア曰く、妬ましくなりそうなレベルの若々しさとのこと。
備考:寿命とか諸々の問題はアロナやプラナがなんとかしてくれる。さあ、勝手に幸せになれバカヤロー!!
――プラナ
本来のアトラの『神秘』とアロナのバックアップ、レイナとは違う連邦生徒会長の贈り物が複雑怪奇に絡み合って生まれた。アトラの本来の『神秘』は「意志」であり「生きる」事。それは、『■■』だろうと、何だろうと、精一杯生き抜こうとした彼の存在証明だ。
備考:彼女は『■■が切り捨てた幼さ』であるために、幼い