鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
炭治郎はリィンとの修行の最終日に教わった二つの奥義の一つである『蒼炎の太刀』の構えを取った。
「…行きます!蒼炎よ我が刃に集え!」炭治郎は刀を構えると的に向けて振るい、そのまま振り下ろした。
「…見事だな炭治郎」リィンは炭治郎が振るった刃に微かなものではあったが確かに蒼い炎を幻視した。
「出…出来たんですか?」炭治郎は唖然としながら自身が持つ刀を見つめるとそう呟いた。
リィンは笑みを浮かべると、「今の感覚を忘れないうちに繰り返して練習するんだ。」と炭治郎に声をかけ、炭治郎も頷くと再び繰り返し、『蒼炎の太刀』を完成させるまで続けた。
―三時間後―
リィンは炭治郎が『蒼炎の太刀』を完成させたのを確認するなり荷物をまとめていた。
「…もう行くのか?」そう声をかけた鱗滝に対してリィンは頷いた。「ええ、かなり無理を言って長期の休暇を貰ったので…すぐにでも戻らないと…あ、それと…」そう言いながらリィンは少し大きめの箱を取り出すと鱗滝に手渡した。
「…この箱は?」そう聞いた鱗滝に対しリィンは慎重に答えた。
「その箱に入っている物はおれから炭治郎に対するプレゼント…贈り物で最終選別の日に炭治郎に渡してください、お館様に話して最終選別の際に日輪刀以外の道具の持ち込みも許可されるようになりましたから」
それを聞いた鱗滝は以前鎹鴉が試験の際に水筒に痛み止め、傷薬等も含め余りにも人道に反した物で無ければ刀以外の道具の持込が可能となった知らせが来た事を思い出した。
「…そうかお前の提案だったか…」内心鱗滝はリィンに感心していた、確かに生きるための手段は多い方が良いだろうし鬼と戦う際に様々な準備をする隊士も存在する事を考えるとリィンの考えは正しいだろう、すると彼が柱としての仕事に戻る事を知った炭治郎が奥から出て来て頭を下げながら「リィン教官、今日までのご指導ありがとうございました。」と言い、炭治郎の言葉を聞いたリィンは笑うと「どういたしまして」と言い炭治郎の目を見て続けた。
「次に会うのは最終選別の後だ、その時の炭治郎におれから渡す物がある…けど今はまだ渡す事はできない、最後の課題は鱗滝さんから出されるはずだ…炭治郎…おれは君を信じる…絶対に負けるな、何よりも自分自身に。」
リィンの言葉を聞いた炭治郎は「はい」と頷き、去って行くその姿が見えなくなるまで見送った。
―リィンの指導が終わってから二ヶ月と十日後―
「もう教える事はない」「…えっ」
鱗滝は炭治郎に対し唐突に告げ、炭次郎は動揺を隠せなかった、鱗滝は動揺する炭治郎を見ながらも告げた。
「後はお前がわしとリィン殿の教えた事を昇華できるかどうかだ、つまり…リィン殿から頼まれた最後の課題を伝えよう」
鱗滝の言葉に炭治郎はついにこの時が来たと感じ後に続いた、だがその課題は予想外の物だった。
「この岩を斬る事ができたら最終選別に行く事を許可する。」
炭治郎の目の前には自分自身よりも巨大なしめ縄がぐるりと巻かれた岩が存在していた、それもそんな物を斬れと言われた事に困惑していた、だが鱗滝は困惑する炭治郎に構わず去って行ってしまいそれ以来炭治郎に何かを教える事は無くなり、また半年がたった。
「…どうすればいいんだ…どうすればこの岩を斬れる…頑張れおれ!!頑張れ!!うわーー!」
炭治郎は半ば自棄気味になり、叫びながら、岩に全力の頭突きをした、そのときだった。
「騒ぐな!」と言う声が上の方向から聞こえ、炭治郎はほとんど反射的に岩の上を見た。
そこにいたのは狐の面をかぶって顔を隠し、木刀を持った少年がおり、顔を隠しているにも関わらず炭治郎には彼が自身を鋭い目付きで睨んでいる様に感じられた、だがそれよりも「!?(い…いつの間に!いやそれよりも全く匂いがしなかった)」と言った事実に炭治郎は困惑したが、彼はそれでも激しい口調で続けた。
「お前が男なら苦しくても耐えろ、男に生まれたのなら」
そう言うと彼が岩の上から飛び降りたのを見るなり炭治郎は反射的に彼が振り下ろした木刀を避けた。
「!…成る程…な!」彼は一瞬だけ驚いたような様子を見せたがすぐに流れるような動きで炭治郎が持つ刀の持ち手を狙ったそれを炭治郎は『残月』の技術を応用しどうにか避けたがとっさの事で体制を崩してしまい、その隙を突かれ蹴り飛ばされてしまい頭から地面に落ち、呻いた。
「…おれの攻撃に二度も対応出来た事には正直驚いたが…おまえはまだ弱く、未熟だ」
炭治郎は呻きながらも立ち上がり少年を見据えた、それを見た少年は考え込むと続けた。
「…回避もだが根性もなかなかの物だな…少しだけ訂正しよう…お前は確かに未熟だが決して弱くは無いようだな…」
「いきなり出てきて急に襲い掛かってきてどういうつもりだ!」
炭治郎の言葉を聞いた彼はどうという事も無い様に「どういうつもりかだと?」と言うと彼は木刀の先を向けた。
「そんな事決まっている…さあ、どこからでもいい、かかってこい」
それを聞いた炭治郎は困惑した。
「で…でも木刀と真剣じゃ…」すぐに勝負がつく、炭治郎はそう続けようとしたがすぐにその言葉を飲み込んだ。彼は今の自分より強い、先ほど自分の刀の持ち手を狙った攻撃をかわす事こそできたがもしも避けれなかったら間違いなく攻撃を受けていたと言う事実に気付いたからだ。
「…わかった」とだけ炭治郎は答えると刀を構えそれを見た少年はすぐさま飛び掛り炭治郎と剣戟をぶつけ合いながら口を開いた。
「思ったよりはやる!だがまだまだだ!『八葉一刀流』と言ったな!それについては中々のものだ、褒めてやる!だが水の呼吸と全集中の呼吸については別だ!おまえが身に着けたのは知識と形のみ!ただ技を使える事と技を使いこなす事は全く違う!」
「―っ!」そんな事解ってる!炭治郎はそう叫びたくなったがその余裕は無かった、それだけ彼の剣戟は木刀とは思えないほどに鋭かった。
「どうだ?少し動揺しただけでお前は先の回避技を使えなくなった、さらに言えばその流派を含めたとしても技術ではおれの方が上だ!なにしろおれは岩を斬ってるからな!」
「!(岩を斬っただって!?)」どうにか剣戟に対応しつつも炭治郎は顔を歪めたが、彼は構わず続けた。
「全力を見せろ!意地でも前に進め!」「!おれだってあの人達の期待に応えたいんだよ!」
炭治郎はそう叫びながら彼に向かったが、集中力を欠いたそれは届かずに一瞬の隙をついた彼によって気絶させられた、すると別の足音が聞こえ彼はそちらを見た。
「…どうだった?」少女は彼にそう問いかけ彼は考えこむと答えた。
「…そうだな技術が伴っていないが、けして弱くは無い…後は任せる」と言った彼に対し、少女は「うん」と頷いて答えた。
「おー…派手にやったな…まあ炭治郎に危害を加える気は無さそうだし、命の心配については気にする事はないかもな…何より…八葉一刀流は鬼殺隊の呼吸の技とは違うからだろうけど全集中の呼吸はリィンには教える事ができねーから今回はあの子達を頼りにさせてもらうとするかねぇ…」と言う風に遠くからその様子を見つめるバンダナを巻いた青年の姿には誰も気がつかなかった。
最後に出てきたのはダレダロウナー(すっとぼけ)
明日から連休なのでその間に一話か二話投稿できたらなと思います。