鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~   作:来斗

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連休中の投稿一本目です、少なくとも後一本は投稿できるように頑張ります。


二人の師とそれぞれの想い

 

―リィンの休暇が終わる二日前の夜―

 

「どうしたのだ、何故このような時間にわしを呼び出した?」

 

 鱗滝は炭治郎が寝静まった後に自身を呼び出したリィンにそう問いかけ、リィンは普段炭治郎と修行に使っている場所で立ち止まり、鱗滝に向き直ると問いかけた。

 

「…鱗滝さん、一つ確認させて欲しい事があります。」「っ…」その質問に鱗滝は思わずたじろいた、リィンの目はそれほどまでに彼を強く見ていた。

 

「何を聞きたい?」それでも彼はリィンにそう聞き返し、リィンはすぐに問いかけた。

 

「貴方は炭治郎を最終選別に行かせる気は無い、違いますか?」

 

「……」その質問に鱗滝は答えることが出来なかった、だがその沈黙は最早肯定したも同然だった。

 

「…理由を聞かせてもらえますね?」「…わかった…全て話そう…」

 

 リィンの言葉に隠す事は不可能だと悟った鱗滝はかつて自身の弟子達に起こったことを全て話した、かつて自身が教えた子ども達が義勇を除き誰一人として帰ってこなかった事も…

 

「…そうだったんですね…申し訳ありません…あなたの傷をえぐるつもりは無かったのですが…」リィンはそう言い頭を下げようとしたが鱗滝はすぐに止めた。

 

「いや…気にするな…わしが貴殿と同じ立場にいたなら同じ事を聞いただろう、だが貴殿は怒ってはいないようだな…」

 

 リィンは鱗滝の言葉にどう答えるべきか迷ったが頷くと答えた。

 

「…ええ…それにいくつか気になる事が…(鱗滝さんの修行のレベルはけして低くない…義勇の腕を見るとむしろ高い筈だ、なのにここまで死亡率が高いのは…)とにかく炭治郎ならどんなに挫けそうになっても…どんな困難でも乗り越えられる…おれはそう信じています…」

 

 リィンの言葉に鱗滝は「そうか…」と言い何かを考え始め、リィンも「とは言え夜も遅いですし休みましょう…答えてくださりありがとうございました…」そう言いリィンは家に戻っていき、鱗滝もしばらく待ってから後に続いた。

 

「…どんな困難でも…か…」

 

 二人がいなくなったそこを狐の面を付けた少年がどこか物憂げに見つめていた。

 

―時は戻り…―

 

「…うう…」炭治郎はうめき声を上げながらも目を覚ました。

 

「あ…大丈夫?」と同時に炭治郎が目を覚ましたのに気付いた少女が声をかけ、炭治郎は勢い任せに飛び起きると「今の見た?さっきの本当にすごかった!」と言った風に間を空けずに話しかけ、彼女はきょとんとした表情になったがそれに気付いた炭治郎は「あ…ごめん…つい」と謝ると彼女は笑みを浮かべ「いいよ、気にしてないから」と返すとそれを見た炭治郎は「おれもできるかな…あんなふうに…」と俯きながら呟き彼女は「大丈夫、きっとできるよ、わたしが見てあげるもの」そう答え、それを聞いた炭治郎は彼女に目を向けた。

 

「ありがとう…えっと」と言った炭治郎に彼女は「わたしの名前は真菰。よろしく炭治郎」と返した。

 

 それから真菰は炭治郎にほとんど付きっきりで全集中の呼吸の指導をはじめ―その時に彼の名前が錆兎だと教えた―また彼女が炭治郎の悪い所を指摘する等の指導が続いたある日、ふと気になったように言った。

 

「あ…そうだ…炭治郎って水の呼吸以外に八葉一刀流って言う技もリィンさんって言う人から習ったんだよね?よかったら見せて欲しいな…」

 

 真菰の言葉に炭治郎は「うん…良いけど…」と答え、炭治郎は岩から少しだけ離れた場所で回避技である五の型と刀を使わない技である八の型を除いた基本の型と教わった二つの奥義で唯一実戦で使える技である『蒼炎の太刀』を実演した。

 

「…えっと…どうだった?」と言った炭治郎の言葉に真菰は少し考えこむとリィンが何故八葉だけで無く水の呼吸も覚えてもらう事にしたのか彼女なりに分析した理由を話し始めた。

 

「…そうだね、わたしはリィンさんに会った事が無いから断言できないけど…八葉一刀流って全集中の呼吸を使わない代わりに型に囚われない応用が利くって言ってたんだよね?リィンさんから教わった奥義ってもう一つ有るみたいだけど…リィンさんが炭治郎に一番教えたかった技は多分その技で、八葉だけを教えなかったのは水の呼吸と組み合わせた応用を編み出して欲しかったからじゃないかな?」

 

 真菰の言葉を聞いた炭治郎は「…なるほど」と答えつつもその応用を使えるようになるにはまず全集中の呼吸を完全に物にする必要が有るとして思考の隅に追いやると再び修行に戻った。

 

 それから炭治郎は毎日のように修行をし、錆兎と腕試しをすると言う日々が続き、二人と出会ってからまた半年がたった日は今までのそれとはどこか違っていた、その日の錆兎は木刀ではなく真剣を持って炭治郎を待っていた。

 

「半年でやっと男の顔になった…いや違うな…男の顔かどうかはともかく、おれと戦った時点でおまえは既に強かったな…ただそれが身についていなかっただけで…」

 

 錆兎は鞘から刀を抜きながら炭治郎を見据え、炭治郎も抜刀すると錆兎を見据え、「今日こそ勝たせてもらう」と強い口調で告げ、刃を向けた、一瞬が永遠に感じられた、それを破ったのはやはり二人同時だった、だが早かったのは炭治郎の方でこの時初めて炭治郎の刃が錆兎に届き、錆兎の面が斬られた。

 

「…(あの日…リィンって人が言ってた通りだな…)おめでとう…炭治郎…」

 

 この時、炭治郎は初めて錆兎の素顔を目にした、彼が始めて目にした錆兎の顔は穏やかで優しくも寂しそうで、それでも安心したような表情だった、そして今まで後ろで見守っていた真菰も錆兎の隣に立つと同じように安心した表情だった。

 

「…わたしからもおめでとう…これからも挫けそうになるかもしれないけど頑張って…負けないでね炭治郎…アイツにも…」

 

 この言葉と共に霧が立ちこめ二人の姿が見えなくなり、そして錆兎の面を斬ったと思われた彼の刀はこれまで斬れなかった筈の岩を斬っていた。

 




読んでいただきありがとうございます、次回は原作よりも早いタイミングで彼と炭治郎が知り合う事になります。
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