鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
それはそれとして今回は二話同時に投稿です。
炭治郎と善逸は藤襲山の山道を登りながら耳をすませた、すると善逸が炭治郎の袖を引いた。
「?善逸?」
突然善逸が自分の袖を引っ張った事に驚いた炭治郎は声をかけると善逸は震えながら口を開いた。
「た…炭治郎…ここから少し上った辺りに鬼が二人いる…」
それを聞いた炭治郎は驚いた表情になった、今は風上になっている事もあり匂いを感じなかったが善逸が嘘を言っていない事も分かった事から炭治郎は頷くと「…わかった、おれが先行するから善逸は周囲の警戒を頼む…」善逸にそう伝え、善逸も頷き炭治郎が数歩進み出た所で二人の鬼が炭治郎に気付き言い争いを始めたのを見て炭治郎は思考を巡らせた。
「(善逸が言った通り二人!…おれにやれるか?)」
そう考えたところで痺れを切らした鬼が同時に向かって来た所で炭次郎は抜刀の構えに入った。
「(やれるかじゃない、やるんだ!)八葉一刀流二の型―」炭治郎は素早く駆け抜け「―疾風!」鬼二人の腕を切り落とした。「!すごい、鬼の腕を正確に!」善逸が驚いていたが炭治郎は逆に焦っており、それは善逸も感じ取っていた。「!(頸を斬れなかった!やっぱりリィン教官みたいにはいかないか!)」炭治郎は居合い自体は習得できていたものの高速で動く必要がある疾風ではやはり精度が落ちていた、「水の呼吸四の型―」それに気付いた炭治郎は即座に水の呼吸に切り替えた。「―打ち潮!」今度は外さなかった、炭治郎の刃は確かに鬼の頸を捉えていた。それを確認した炭治郎は鬼の体が崩れたのを確認すると刀を納め手を合わせた。
「(…成仏してください)」炭治郎はそう心の中で呟き、それを見た善逸は炭治郎に歩み寄った。「凄いよ炭治郎鬼を二人同時に相手して倒すなんて…居合いも凄かったし…」善逸は本心からそう思ったが炭治郎は首を横に振った。
「…いや…おれもまだまだだよ…最初は疾風で終わらせるつもりだったけど頸を斬れなかったから…やっぱりリィン教官みたいにはできないな…」
炭治郎の言葉を聞いた善逸は納得すると「あっ…炭治郎がさっき少し焦ってたのってそう言う事だったんだ…」と呟いた善逸の言葉に炭治郎は頷きつつ「リィン教官が言ってた事だけど疾風で大事なのは速さだって言ってたから…おれの場合は止めを刺すよりも牽制とか目的のほうが良いと思うって教わったからやっぱりそうするべきなのかも…リィン教官は経験有るのみって言ってたけどな…」「…居合いか…」善逸は炭治郎の言葉に何か考え始めた。
それからも二人は共に行動し時折鬼が姿を見せたが早めに備える事ができたためうまく対応し、善逸も炭治郎の言葉に思う所があったのか、悲鳴を上げてこそいたが戦闘に加わっており、善逸本人は気付いていないようだが、居合いの速さは凄まじい物であり、炭治朗は速さならリィンを超えている事に気づいていた…のだが…「あーーーーーーーーーー!!!(汚い高音)鬼どんだけいるんだよ!いやそういう場所だからいないならいないで困るのはわかるけども!!!」と言った具合に叫んでおり「(善逸…やっぱり凄い…自分では気付いてないみたいだけど…ただ…ちょっとまずいかも…)」炭治朗は善逸の居合いの腕に関心していたが、善逸の叫び声で鬼が寄って来ているのは事実の為、流石に善逸のこの様子はまずいと感じ、近くに開けた場所を見つけると善逸をそれと無く誘導し近くまで来たのを確認すると立ち止まった。
「うん、ここがいいかな…善逸!ここで少し休憩にしよう!」
いままでの様子から善逸を休ませたほうが良いと判断した炭治朗はそう言ったが善逸は「えっ!?ここで!?大丈夫なの!?鬼来ないの!?」と叫び、炭治朗は苦笑いしつつも「とりあえず、まずは落ち着いて…ここは開けているし、鬼が来たとしてもおれは鼻が効くからすぐに気付けるから大丈夫だよ」と言いそれを聞いた善逸は深呼吸すると少しは落ち着いたのか「わ…わかったよ…けどいつ鬼が来てもいい様に戦えるようにはしておくよ…」と言い真ん中辺りの木にもたれかかり、炭治郎もおなじようにした。
二人は互いに持って来ていた水を飲みながら辺りを警戒していたが暫くして善逸がゆっくりと口を開いた。
「…ねえ炭治郎…聞いてもいいかな?」
善逸は炭治郎が何かを抱えている事に気付いており、少しでも力になろうとそう問いかけ、炭治郎もそれに答えた。
「…いいけど…どうしたんだ?」と言う風に聞き返した炭治郎に対し、善逸は確かな覚悟を持って言葉を続けた。
「…炭治朗はどうして鬼殺隊に入ろうって思ったの?」
善逸は炭治郎が鬼に対しても優しさを持っているという事実に気付いており、そんな彼がどうして鬼殺隊に入ろうと決めたのか善逸にはどうしても解らずそう聞かずにはいられなかった、炭治郎は暫く考えたが、善逸は信頼できる、そう信じてゆっくりと話し始めた。
「…おれの家族は妹以外皆鬼に殺されたんだ…」
「!」
淡々と語った炭治郎の言葉に善逸は衝撃を受け、言葉が出なかった、それから炭治郎は静かに続けた。
「…妹…禰豆子は生きていたけど、もしも鬼殺隊の人達が来てくれなかったら危なかったと思う…」
炭治郎が嘘を言っていない事は善逸もよく分かった事も有り、彼は搾り出すように口を開いた。
「じゃ…じゃあ妹さんは…鬼殺隊の人に…?」
そう言った善逸の表情は青ざめた表情だったが、炭治郎は首を横に振った。
「いや、禰豆子は一度も人を食べてはいない、おれの事も分かっているし、人を襲う事も無い…何よりおれがさせない…」
炭治郎の言葉が嘘ではないと分かった善逸は確認する為に問いかけた。
「じゃあ炭治郎は妹さんを人に戻すために鬼殺隊に…?」
炭治郎はその言葉を聞き善逸に見える様に頷いた。それを見た善逸は真剣な表情になると口を開いた。
「…なら…おれにも手伝わせてくれないかな?」
「え?」
そう言った善逸に炭治郎は困惑したが善逸は構わず続けた。
「その子を人に戻すなら…ちょっとでも…その…情報がいると思うし…何より…炭治郎はこんなおれのことも見捨てたりしてないから…力になりたいんだ」
善逸の言葉を聞いた炭治郎は善逸なら信頼できるそう思い、善逸に対し、「ありがとう…それと少しだけ待って…」と言いながらすぐに、ある物を懐から取り出すと善逸に渡した。
「これを善逸に」
「え?あ…ありがとう…」
躊躇い無く差し出した炭治郎に善逸は戸惑ったがそれ―アークスを受け取った。
「これってなんなの?」
善逸は渡されたものをじっくり観察しながら炭治郎にそう聞き、炭治郎も考えこみながら答えた。
「いやそれが…おれにもよく分からないんだよ…ただリィン教官は一番大事な機能は問題ないから持ってるだけでいいらしいけど…とりあえず経験したほうが分かりやすいみたい…名前はアークスって言うらしいけど…信頼できるって思った人に渡すようにって言ってたから…」
炭治郎の言葉に本当に分からないと察した善逸はアークスを懐にしまいつつ「ありがとう…じゃあそろそろ―」移動しよう、彼はそう言おうとしたが続けられなかった。これまでに感じたことの無い気配から炭治郎は鼻を、善逸は耳を塞いだ。
「!な!なんだこの匂いは…!」
「い…今までで…一番やな感じの…音だ…!た…炭治郎…あ…あれ…!」
善逸の引きつった顔を見た炭治郎も善逸の視線が向いているほうを見た、そして善逸と同じ衝撃を受けた。
「!な…なんだ『あれ』は…?」
二人が目にしたのは巨体に無数の腕が巻きついた異形の鬼だった。
次回は善逸も加えた手鬼戦、最後には解説コーナーもあります。