鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
次回は原作と違う所があるキャラクターの紹介をしようと思います。
―狭霧山付近―
炭治郎は狭霧山を目指して歩いていたが、頭の中では様々な思考が巡っていた。
「(…甘く見ていたな…あの山の鬼はまともな会話にならなかった…いや、あの腕がたくさんあった鬼はある程度の会話はできたけど正直それどころじゃなかったし、そもそもそうしようとしたところで襲われたかもしれないしなあ…)」
炭治郎は自分の考えの甘さを痛感しており、それこそもっと強力な鬼でなければまともな会話にもならない事を悟っていた。やがて日が暮れ始めたところで炭治郎は鱗滝の家に着いた時だった―ドカッ!―と言う音と共に入り口の引き戸が吹き飛び、炭治郎は困惑したがそこから出て来たのは眠っていた筈の禰豆子だった。
「あっ…ね…禰豆子…お前っ起きたのか!!」
炭治郎の声に気付いた禰豆子はすぐに炭治郎の元へと駆け寄り互いに抱きしめた、当然、禰豆子は何も話さなかったが、炭治郎は確かに彼女が生きている事を実感し、途端に泣きながら思っていた事を話し始めた。
「お前急に寝て目を覚まさなかったから…心配したじゃないか…(はは…リィン教官の言うとおりに信じてて良かったけど…それでも心配だったな…)」
すると誰かが何か大きな物を落とす音がし、それから程なくして二人をその誰か―鱗滝が抱きしめ、天狗の面から涙が溢れるほどに泣きながら「よく生きて戻った!!!」と言い三人は暫くの間その場から動かなかった。
「…そうか…わしが捉えた鬼がそのような事になっていたのか…」
翌日になり鱗滝は炭治郎から最終選別の場で手鬼に出くわしその鬼が何をしていたのかを聞かされ、それを聞いた彼はどこかつらそうな面持ちで口を開いた。
「あの子達はわしを恨んでいるだろうな…あの面…厄除の面が目印になってしまっていたのだから…ある意味ではわしが殺してしまったも同然だろうな…」
鱗滝の表情こそ見えないが間違いなくつらい表情になっていると気付いた炭治郎は思う所を伝えるために口を開いた。
「…それは違います…錆兎と真菰はこう言っていました…子供たちは他にもいる…皆鱗滝さんが大好きなんだって…皆…帰ってきたんです…魂だけになっても大好きな鱗滝さんがいるこの狭霧山に…」
炭治郎の言葉を聞いた鱗滝は驚き彼の表情を見て確かに真実を話しているのだと改めて突きつけられた、炭治郎はさらに続けた。
「…もしも…死んでいたら…きっとおれも帰っていました…禰豆子と鱗滝さんがいるこの狭霧山に…約束を守って…」
「そうか…」
鱗滝は無言で立ち上がり炭治郎も彼について行き、炭治郎が斬った岩の前に立つと静かに口を開いた。
「…気付いてやれなくてすまなかった…」
鱗滝はそう言い、炭治郎は錆兎と真菰が鱗滝に笑いかけ姿を消すのを確かに目にし、炭治郎は「…ありがとう」と声をかけ、それから二人は家へと戻って行った。
―最終選別から三日後―
最終選別から三日たった日の正午手前、誰かが戸を叩く音がし、「どうぞ」と鱗滝が声をかけるとすぐに入り口の引き戸が開かれ、入ってきたのはリィンだった。
「お久しぶりです鱗滝さん、炭治郎も元気だったか?」
あれから一年がたっていた事もあり、久しぶりに会うリィンに炭治郎は笑顔で声をかけた。
「お久しぶりですリィン教官、それとアークスの事、ありがとうございました。」
リィンは炭治郎が持っているアークスが一つだけになっているのに気付くと、「信頼できる人が見つかったみたいで良かった」と声をかけ、炭治郎も「はい…よかったです」と答えた。
それから三人はリィンが手土産として買ってきたカステラと紅茶に舌鼓を打ちつつ、今後の話をしていた。
「とりあえず…炭治郎の目的を考えると刀が届くまでは座学として十二鬼月に対する対策を話すことにする、十二鬼月に共通する特徴とか彼らと戦うときにあり得る事態について話そうと思うけどどうかな?」
リィンの言葉に炭治郎は頷くと「よろしくお願いします」と頭を下げ、リィンは鬼殺隊の報告書にあった過去討伐された十二鬼月の事を話し、戦う際に起こりうるイレギュラーについても話し始めた、ちなみに鱗滝はというと…
「興味深いな…しかし異国の茶と菓子も中々悪くない物だな…」とリィンの講義を聴きながらカステラと紅茶を味わっていた。
―最終選別から十五日後―
リィンの講義が終わり―今回はまだ滞在している―炭治郎は外でずっと自身の刀が届くのを待っていたが一人の傘を被った人物―おそらく男性―が姿を見せ、炭治郎の傍で立ち止まると口を開いた。
「俺の名は鋼塚と言う、竈門炭治郎の刀を打った者だ」と言う風に名乗った彼に対し炭治郎は「竈門炭治郎はおれです、中へどうぞ」と告げたが彼は話も聞かずにずっと日輪刀の材料や由来を話していた、鱗滝は呆れたように「相変わらず人の話を聞かぬ奴だな…」と呟き、それを聞いたリィンは「あの人の事をご存知なのですか?」と聞き、鱗滝は頷くと「まあ少しはな…腕は良いのだが少々気難しい奴でな…」と言った所でようやく二人が上がり、鋼塚がリィンを見、リィンは「はじめまして、炭治郎の教官のリィンです」と挨拶し「おれは鋼塚だ」と互いに自己紹介し、鋼塚は炭治郎に刀を渡すと手をうねうね動かしながら「さぁ刀を抜いてみなぁ」と言い、炭治郎は若干引きながらも「はい」と答え刀を抜き、それを見た鋼塚は日輪刀について捕捉した。
「知ってるかもしれないが日輪刀は色変わりの刀とも言ってな、最初に刀を抜いた持ち主によって色が変わるようになってるのさぁ」
途端に炭治郎の刀の色が変わっていきその刀は漆黒に変化したが鱗滝と鋼塚は「黒いな…」「黒っ!」とそれぞれ反応し、リィンは「成る程…日の光を溜め込むと言う意味では悪くないな」と口にし、炭治郎に襲い掛かりそうになっていた鋼塚は予想外の言葉に逆に冷静になり、鱗滝も「どう言う事だ?」と問いかけ、リィンが説明を始めた。
「黒い色って言うのは日の光を溜めやすい色なんです、つまり炭治郎の刀が黒いと言う事はより日の光を集めやすいと言う事になります。おそらくですが黒い刀の隊士が出世する事が少ないのは無惨の命令を受けた鬼に新人のうちから狙われるからすぐに亡くなってしまうと言う事情があるのではないかと思うのですがどうでしょうか?」
その言葉を聞いた鋼塚は落ち着きを取り戻し、「まあそれならいいか…」と呟き、鱗滝は「成る程…それが真実ならば納得がいくな…」と答え、リィンはあるものを幾つか取り出した。
「さてと…炭治郎に贈り物があるって言ってたけど、まずはこれを禰豆子に渡してくれるか?」
そう言いリィンが炭治郎に渡したのはアークスだった。
「!アークス…良いんですか?」
炭治郎の言葉にリィンは頷き、それを見た炭治郎は布団にもぐったままの禰豆子にアークスを持たせた。「絶対なくさないようにするんだぞ…」そう言った炭治郎の言葉に禰豆子は小さく頷いた。
リィンは続いて懐から一通の封筒を取り出した、それには紹介状と書かれていた。
「これはなんですか?」
そう聞いた炭治郎にリィンはすぐに答えた。
「詳しくは言えないけど珠世と言う人に会ったらこの紹介状を渡すと良い、リィン・シュバルツァーからと言えば会ってくれるはずだ…ああただ、愈史郎と言う男に対しては絶対に渡さないように、ついでにアイツは間違いなく禰豆子をバカにするだろうから容赦なくボコボコにすることを勧める」
「いやどうしたんですかリィン教官!?」
最初はまともな説明だったが愈史郎と言う男はボコボコにしろと言ったリィンからさわやかな笑顔に反して凄まじい怒りのこもった匂いを感じたため、その愈史郎と言う人は何をしたんだと炭治郎は困惑していたが最後の贈り物が渡された。ソレは刀で炭治郎は慎重に抜いた。
「この刀…(日輪刀じゃない…けどこの刀も…)」鬼を斬れる、炭治郎はそう確信し、リィンを見た。
「その刀は昔おれが使っていた物で銘は『利剣「緋皇」』と言う、ただしその刀は強力すぎるから本当に使わないとまずい時以外は絶対に使わないようにするんだ…良いな?」
鋼塚はその刀をぬっと覗き込み炭治郎は困惑したが重々しく頷きながら「…確かに良い刀だな…使い方には気をつけろよ」と言い炭治郎は「は…はい」と答えた時だった。
「カァァ!竈門炭治郎ォ!北西ノ町ヘ向カエェ!鬼狩リトシテノ最初ノ仕事デアル!」
炭治郎の鎹鴉―本人?曰く天王寺松衛門と言う名前らしい―が現れ、それを聞いた炭治郎は「鎹鴉って喋れるんだ…」となんとも言えない表情で呟いたが彼が仕事と言っていたのに気付くとすぐに真剣な表情になり耳を傾けた。
「心シテカカレ!北西ノ町デワァ!少女ガ消エテイル!毎晩少女ガ消エテイル!」
それを聞いた炭治郎はすぐに準備を始め隊服を纏うと事前に用意してあった禰豆子を入れて背負うための箱そして自身の腰に日輪刀とリィンから渡された刀の二本をさしアークスをベルトの傍に付けられた現代で言うところのポーチのような入れ物に入れると立ち上がった。
「炭治郎、教官として一つ言わせて貰う、絶対に死ぬな」
リィンの言葉を聞いた炭治郎は「はい!」と答えると北西の町へと向けて駆け出していった。
「…(ここからが本当の勝負だ…)がんばれよ炭治郎…」
リィンはその姿が見えなくなるまで見送っていた。
今話で第一章は終了で次話からキャラクター解説をはさみ第二章となります、まだまだ未熟ですが応援よろしくお願いします。
愈史郎が何をやらかしたのかは本人が登場するまで楽しみにしていてください。