鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
二人は森の中にひっそりと建つ屋敷を前にしており、炭治郎は周囲を見渡した。
「(…木が生い茂っていて判りにくいけど凄く大きいな…これだけ広いなら何がいてもおかしくない…それに外でこれだけ木が生い茂っているって事は屋敷の中は昼間でも薄暗い筈…それに鬼は群れる事は無いけど見えてる分だけでもこれだけ広い上にこの匂いだ…複数の鬼がいるのは間違いない…)善逸、この屋敷の事どう思う?…善逸?」
炭治郎は善逸にも意見を聞こうとしたが彼の耳は鬼とはまた違う音を捉えており、炭治郎に伝えた。
「ねえ炭治郎…近くに誰かいるみたいだけど…」
それを聞いた炭治郎は辺りを見回すと程なくしてすぐそばの茂みに兄妹と思われる子供を見つけ、それを見た善逸は「子供だ…あれ?でもどうしてこんな所に…」そう疑問を口にし炭治郎も気になったのか二人に歩み寄ると「こんな所でどうしたんだ?」と聞いたが二人は完全に怯えており炭治郎は考えこむと、ある事を思いつき二人に目線を合わせると懐に手をいれると「良く見てて…」と言いすぐに懐からチュン太郎を乗せた手を見せ「じゃーん!世にも珍しい手乗り雀だ!!」と言いチュン太郎も二人を和ませる為に簡単な芸を見せ、それを見た二人は緊張が解けたのかその場にへたり込み炭治郎はすぐに問いかけた。
「二人ともどうしてここに?ここは二人の家かい?」そう聞いた炭治郎に対して兄のほうが怯えながら「ちがう…ちがう…化物の家だ…」と答え、それを聞いた炭治郎は真剣な表情を強め、「何があったんだ?」と聞き少年はゆっくりと口を開いた。
「昨日…夜道を歩いていたら突然化物が出てきて兄ちゃんが連れて行かれたんだ…おれ達のほうは目もくれないで…」
それを聞いた炭治郎は「あの家の中にいるんだな?」と聞き二人は頷き、それを聞いた炭治郎は微笑むと「そうか…二人だけでよく頑張ったな後はおれ達に任せてくれ、必ず二人の兄ちゃんを助けるから」と声をかけたがそれを聞いた少年は泣きながら続けた。
「兄ちゃん…怪我してて…だから血の痕を辿って来たから追えた…」
「!(血の痕…怪我の大きさにもよるけど急がないとまずいな…)わかった、二人はここで待っててくれここはおれ達が―」「炭治郎…一つ良い?」「―どうしたんだ善逸?」
炭治郎は善逸の言葉を聞き、すぐに聞き返した。
「ああうん…さっきから何か妙な音がして…多分だけど太鼓…いや鼓だと思うんだけど…」
「鼓だって?」炭治郎がそう口にした直後―ポン!―と言う鼓の音が続けて三回鳴り響き屋敷で唯一開いていた二階の引き戸から一人の男が放り出され、それを見た炭治郎はすぐに駆け出すとその人物を受け止め、炭治郎はすぐにその人物の傷を確かめた「大丈夫ですか!?(この傷深いな…なんとか地面に落ちる前に受け止められたけど助かるかどうか…!待てよ確かこの辺りに…)」炭治郎はその人物を地面に下ろすとすぐに荷物を探り、木箱を取り出すとそれを開けその中に入った中から一つの小瓶を取り出した、それに入っていたのは薬で炭治郎はその薬を渡された時の事を思い出していた。
―炭治郎と禰豆子が出発する前の珠世の診療所―
炭治郎は荷物を纏める中、珠世が「少しよろしいでしょうか?」と声をかけ、炭治郎は荷物から顔を上げ「はい、どうしたんですか?」と答え、珠世は少し大きめの木箱を取り出すとその中に入っている薬を見せた。
「この薬はリィンさんがいた国の薬を再現した物です、貴方にお譲りします、どのような薬なのかはこの説明書に書いてありますので目を通してください。」
それを聞いた炭治郎は「わかりました、ありがとうございます」と言い受け取り、それを見た珠世は「それと注意点ですが…その薬はまだ試作の段階ですので本当に使わないと危ないとき以外は使わないようにしてください、本当なら資料用の薬を渡したかったのですが…毬の攻撃で壊れてしまいましたので…」そう言いながら珠世は壊れてしまった棚と、その中の割れてしまった入れ物をなんとも言えない表情で見ていた…なお後日彼女の所にこの話を炭治郎から聞いたリィンから薬が送られてきたのはまた別の話である。
―そして現在―
炭治郎はすぐに手に取ったそれ、『ティア』と書かれた紙が貼られた薬の蓋を開けるとすぐに彼に飲ませ「大丈夫です…きっと助かりますから…善逸!包帯を取ってくれ!」すぐに善逸に指示を出しそれを聞いた善逸は「ほ…包帯!わかったから待ってて!」と叫ぶと包帯を取り出しすぐに炭治郎に渡し、炭治郎は受け取りながら「ありがとう、それからそこの箱から『キュリア』って書かれた薬を一つ取って渡してくれ!」と善逸に告げ、善逸は再び頷くとすぐにそれを見つけると炭治郎に手渡した、炭治郎は「ありがとう」と言うとすぐに蓋を開けるとそれも飲ませた、すると彼の出血が治まりそれを見た炭治郎は包帯を巻くと彼を屋敷から少し離れた場所に寝かせた。
「…あとはこの人の生きたいって言う意志に賭けるしかないな…」
炭治郎の言葉を聞いた善逸は「うん…そうだね…」と同意したがすぐに突っ込みに回った。
「いや、ちょっと待って!?状況が状況だったから何も言わなかったけどなんなの今の薬!?強力すぎない!?」
それを聞いた炭治郎は考えこむと「まあおれもそう思うけど…とりあえずこの薬で人一人助かるんだから良かったと思うべきだよ、善逸も一つ取ってくれ」と答え、炭治郎は善逸にいくつか薬を手渡し、善逸も「あ…ありがとう」と言いながら受け取りなんともいえない表情で「これもしかしてだけど…またリィン教官がらみ?」と問いかけ炭治郎は「まあそうだけど…」と答え善逸は「前も思ったけど本当に何者なんだよ…」と呟いたが、いつか本人に聞いたほうが早いと言う考えに至ったため何も聞かずに屋敷の入り口に向かったが炭治郎は二人の兄妹の下に戻ると禰豆子が入った箱を置いた。
「ここなら大丈夫だと思うけど、もしも鬼が出てきた時の為にこの箱を置いていく、きっと二人を守ってくれるから」
それを聞いた二人は頷くと兄の方が「う…うん…それと兄ちゃんだけど…兄ちゃんは柿色の着物を着てるから…」と伝えそれを聞いた炭治郎は「…わかった…兄ちゃんはおれ達が必ず助けるから」そう言うと炭治郎は立ち上がり、善逸と二人で屋敷へと足を踏み入れた。
おまけ
キメツ学園でのキャラクター設定その一
リィン・シュバルツァー
最近学園にやって来た謎の外国人教師、人柄もよく様々な生徒からも慕われているが教師と言うのは表の顔、正体は自身の出身国から逃亡した犯罪組織の首領『黒のアルベリヒ』を追ってきたエージェントで鬼舞辻議員の背後についたアルベリヒに対抗する為に産屋敷理事長と校長の両名に接触、互いを協力者として自身はキメツ学園の教師となった、なお教員免許は本物。
故郷に恋人がいるため告白されても断っているが彼の恋人の顔を知っているのは教師の中で最も仲が良い冨岡先生とこちらの世界でも恋人と妹をバカにしてぶちのめされた愈史郎とその現場に居合わせた珠世のみであるため一種の都市伝説のようになっている。
彼が教師となった時期と同じくして学園に謎の地下施設が作られ、一部では彼が持ち込んだ人型機動兵器が存在するという噂がまことしやかに囁かれているが真相を知るのは彼自身と理事長と校長の三名を除けば工事に関わった者のみである。