鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
忘れてたのではなく、善逸が早い段階で炭治郎と一緒に行動したりした結果成り行きで見せる場面が無くなってしまっただけなので…
炭治郎が響凱を倒したのと同時刻、善逸は屋敷の外で横たわり、どこか夢心地に屋敷から聞こえてくる音に耳を傾けていた。
「(俺…昔から耳が良かったけど…正直な話…最近まではこんな才能要らないって思ってたな…寝てる間に人が話してたことを知ってた時が何度かあって気味悪がられたっけ…まあ鬼殺隊に入ってからはこのおかげで事前に鬼の居場所がわかって何度も命拾いしたから助かってるけど…そういえば鬼の音がしなくなった…炭治郎…鬼を倒したんだな…今聞こえるのは炭治郎たちと…あと何か良くわからない変な足音がするな…)」
そんな善逸に正一はずっと「善逸さん!起きてください!」と呼びかけており、善逸が目を覚ましたのを見るなり「大丈夫ですか?」と問いかけ、それを聞いた善逸は「ああ…正一くん…何があっておれ達外にいるんだっけ?」と質問し、正一は泣きながら「少し前に部屋が変わった時の勢いで部屋から投げ出されたんです…それで二階の窓から落ちました…」と答え、それを聞いた善逸はのほほんとした様子で「そう言えばそうだったっけ?」と笑いながら後頭部を擦り、それを見た正一は「善逸さんがかばってくれましたので俺はかすり傷だけで大丈夫だったんですけど…」と伝え、善逸は和やかに「そっか君が大丈夫そうで良かったよ、けどなんでそんなに泣いてんの?」と言いながら後頭部に回していた左手の平に付いていた血を見て一瞬無表情になり、全てを察した善逸は「そういう事ね!?俺が頭から落ちて怪我してたって訳ね!?」と叫び、正一も泣きながら「はい…」と答え、善逸は「ティアの薬どこだっけ!?」と叫びながら懐に手を入れたそのときだった。
「猪突猛進!猪突猛進!!」そう叫ぶ声が聞こえ、『バキャッ!』と言う凄まじい音と共に玄関の戸が吹き飛び、例の男が姿を見せ、「アハハハハハ!!わかるぜ!鬼の気配がな!!」と叫び、冷静になっていた善逸はその声を聞きはっとした表情になった。
「!あいつ…あの声!直接姿を見るのは今日が初めてだったけど今思い出した!五人目の合格者…最終選別の時、他の誰よりも早く入山して誰よりも早く下山した奴だ!せっかち野郎!!」
男は善逸の言葉に耳もくれず、禰豆子が入った箱に目を向けると「そこにいたかァ!」と叫び、突撃しようとしたが、「そうはさせるか!」と善逸は叫びながら立ち塞がった。
「この箱の中にいる子に手出しはさせない!炭治郎が何よりも大切にしているものだ!」
それを見た彼は「オイオイオイ、お前何言ってるんだ?その中には鬼がいるってわからねぇのか?」と聞いたが善逸は躊躇わずに「そんなこと最初から知ってる!最終選別の時に聞いた…家族が妹と自分以外殺されて…その妹も鬼にされたって…だけど!!」そう言い放ち、善逸は普段の臆病な姿からは想像もできないほどの鋭い目で彼を見据えると「鬼にされているとしてもこの子は炭治郎に残された最後の家族なんだ…だから引っ込んでろ!!それでもこの子を殺すって言うなら炭治郎が戻るまでの間、俺がこの子を守る、絶対に殺させはしない!!」と断固とした表情で言い放った。
そして炭治郎が戻った時、彼はただ一方的に善逸を箱から引き剥がそうと罵倒しながら蹴り続けており、傷だらけになりながらも禰豆子を守る善逸の姿を見た炭治郎は一瞬あの日の光景がフラッシュバックした直後に痺れを切らした男は「離れる気がねえか…ならお前ごと箱を串刺しにしてやる!!」その叫びを聞いた炭治郎は折れかけた足に負担が掛かるのも構わずに「やめろ!!」と叫び、走りながらぐっと掌底を構えた。
「八葉一刀流・無手の型・破甲拳!!」
炭治郎は躊躇い無くその男の肋骨がある場所に善逸にした物とは違う、全力の破甲拳を叩き込み、炭治郎が破甲拳を叩き込んだ場所からは『バキッ!』と明らかに骨が折れる音が響き、そのまま吹き飛んだが、炭治郎はそれに構わず「お前は鬼殺隊じゃないのか!!」と叫び、それを見た善逸は「(また骨折ったよこの人!!てかそれ以前にその破甲拳おれの時と違って本気だよね!?襲われてたおれが言うのも変な話だけどそいつ大丈夫なの!?)」と心の中で叫んだ。
炭治郎は息を切らしながらも口を開いた。
「なぜ善逸が刀を抜かなかったのかわからないのか?一部の例外を除いて隊員同士で刀を抜くのは御法度だからだ…それをお前は無抵抗の相手を散々傷つけて楽しいのか?卑劣としか言いようが無い!!」
それを聞いた男は咳き込みながらも立ち上がると炭治郎を見据え、笑いながら口を開いた。
「アハハハッ成る程な、そういうことかい、悪かったな…いいぜ…なら素手でやり合おうじゃねえか…!!」
そう言うと彼は刀を二本共地面に刺すと体制を低くし、それを見た炭治郎は困惑し、「いや全くわかってない感じがする!互いに素手だから良いとか言う話しじゃなくてそもそも―」と説明しようとしたが、男はまるで本物の獣のように体制を低くして突撃し、炭治郎はやむを得ず『残月』を使う際の思考に切り替えながら「―隊員同士でやり合うのがダメだって言ってるんだ!!」そう叫び、自身の首元を狙った蹴りをかわしながら攻撃に入ったが体制が低い相手と言う事もあり、上手く攻撃を当てられず、結果的に一進一退の攻防となり、それを見た善逸は男に蹴られた際に割れてしまった薬の中で奇跡的に無事だったティアの薬を飲み、正一の手当てを受けながら震えていた。
「(うわぁぁ…アイツ凄い動き…炭治郎の回避能力が高いって事考えると付いてける時点で相当だぞ…肋折られたのに…と言うか今の話だと…炭治郎も御法度に触れるんじゃないか?骨折ってるし…いやでもおれを助ける為の行動だったから良いのか?)」
善逸がそう考えているのを余所に炭治郎は男の低い体制から繰り出される攻撃に対応する為に足技を主軸で戦っていたが、ぶつけた所が痛んでいた事に加えて疲れもあり精度が落ちていた。
「(っ!やっぱり痛む…外に出る前にティアの薬を飲みはしたけどやっぱり完全に痛みを抑えるのは難しいか…それにこの男の動きは人間じゃなくて四本足の獣に似てる!)」
炭治郎は低く狙おうとしたがやはり難しくその一瞬の隙を突いた男がその身体の柔軟性を生かした蹴りを炭治郎に直撃させ、炭治郎は蹴られた所を抑え、それを見た男は高笑いを上げた。
「ハハハハハ!!凄いだろう俺は!!凄いだろう俺は!!」
「(いや確かに炭治郎に攻撃当てたのは凄いけど…本調子じゃない炭治郎だし…後なんで二度も言ったの?て言うか今の感じ炭治郎の折れかけた骨…完全に折れてない?)」
善逸の心の中の突っ込みを余所に彼は得意げに「こんなこともできるぜ!!」と叫ぶと現代で言う所のブリッジのような体制からさらに自分の足の間から頭を通し、それを見た炭治郎はすぐに「何を考えてるんだ!骨を折った俺が言うのもどうかと思うけど悪化するから止めておけ!!」と注意したが彼は意に関した様子も無く「知った事か!!今この時の愉悦に勝る物など無い!!」と叫びながら突進し、炭治郎はすぐに思考を巡らせ、この男を止めるにはこれしか無いと判断し男をギリギリまで引き付けると「いい加減に!大人しくしろ!!」と叫びながら渾身の頭突きを喰らわせ、『ゴシャ』と言う明らかに人から聞こえてはいけない音が響き、善逸は顔を青ざめさせると「ちょっ!今の音明らかにやばい音だったけど!!頭骨割れてないよね!?」と叫んだ。
流石の彼も炭治郎の頭突きは堪えたのか、ふらつくとその拍子に被っていた猪の毛皮が落ち、顕わになった彼の顔を見た善逸は驚きの余り「え!?何その顔!?女じゃないよね!?え!?」と困惑し、それを聞いた彼は善逸に目を向けると「何だよ、おまえ…俺の顔に文句でもあんのか!?」と善逸を睨みながら言い放った。
今まで炭治郎の頭が物理的にも硬いって事を描写できてなかったのである意味ではようやくかとも感じています、後一話か二話で那田蜘蛛山編に入れると思いますので楽しみにしていてください。