鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
「(気持ち悪い奴だな…ムキムキの身体に女の子みたいな顔が乗ってる…いや多分母親に似たんだろうけど…)」
善逸が何気に失礼な事を考えていたがそれを余所に炭治郎と男は言い争い(?)を始めた。
「別に君の顔に文句は無い!こぢんまりして色白だし、顔つきも整っていていいと思う!!」と言う風に炭治郎は彼を怒鳴りながら褒めたが、彼は女顔をコンプレックスと感じているのか「ふざけんな!!殺すぞテメエ!!かかって来い!!」と怒鳴り返したが炭治郎はすぐに「これ以上はダメだ!もうかかって行かない!!」と返し、彼も負けじと「ふざけんな!もう一度あの頭突きをしてみろ!次はしくじらねえぞ!」と言い返したが炭治郎は「もう一度言う!これ以上はダメだ!!君はまず座れ!!怪我させたのはおれだけど、疲労と痛みがあるだろ!!」と言い返したが、炭治郎の気遣いに反して彼は舐められていると感じたのか明らかに苛立っていた。
「ふざけた事ぬかしやがって…おい、でこっぱち!おれの名を教えてやる!嘴平伊之助だ、覚えておけ!!」
彼―伊之助の名前を聞いた炭治郎は「わかった!伊之助!どういう字を書くんだ?」と聞き、それを聞いた伊之助は明らかに戸惑ったような反応を見せた。
「字!?じ…おれは読み書きができねぇんだよ…名前はふんどしに書いてあるけどな…」
そう言った直後、伊之助はピタリと固まり、「あれ?止まった?」と誰かが口にした直後、伊之助は白目をむくとそのまま意識を失い、仰向けに倒れ、それを見た善逸は慌てて「うわっ急に倒れた!?えっ!?し…死んでないよね!?」と言い炭治郎はバツの悪そうな表情になると「いや…死んではいないよ…多分脳震盪だ…できればやりたくは無かったけど、おれが全力で頭突きをしたから…」と答えたがそれを聞いた善逸は唖然とした。
「(えっ?怖っ…そう言えばあんな凄い音がしたのに炭治郎の額からは全く血が出てないし…どんだけ頭硬いんだよ…あの伊之助って奴は気絶してるのに…)」
―数時間後…―
炭治郎達は屋敷で殺された人達の埋葬を行っていたがそんな中、気を失っていた伊之助が飛び起き、それを見た善逸は「うわっ!起きたァ!!」と叫び、伊之助は一番近くにいた善逸に「勝負しろ!勝負ゥ!!」と言いながら凄まじい表情と速度で追いかけ始め、善逸は逃げながら「寝起きでどんだけ元気なんだよ!少なくとも炭治郎に肋折られてんだから少しは大人しくしろよ!マジで!!」と突っ込みをいれたが伊之助は炭治郎たちが殺された人達の埋葬と、目を覚ましたものの、いまだに傷の影響で動くのが難しい、最初に投げ出された彼の介抱を行っているのを目にし―善逸は何故かその中では一番幼い、てる子を盾にしていたが―「何してんだ!お前ら!」と叫び、炭治郎が「埋葬と手当てだよ」と答えると炭治郎は屋敷の方を指差しながら「調度良かった、伊之助も手伝ってくれないか?まだ屋敷の中に殺された人がいるんだ」と頼んだが伊之助は明らかに苛立った表情で口を開いた。
「生き物の死骸なんか埋めたってなんの意味もねえだろ!おれはやらねえし手伝いもしねえ!!そんなことより今はおれと戦え!!」
伊之助の言葉を聞いた善逸は相変わらずてる子を盾にしたままで「(うわ…ホントに何も知らないんだコイツ…『何の意味もねえだろ!』だなんて…)」と考えていたが炭治郎は「そうか…怪我がまだ痛むからできないんだな?」と一切の悪意無く言い放ち、それを聞いた善逸は「(えっ?何言ってんのこの人?)」と困惑し、伊之助も「……は?」と同じく困惑し、それに構わず炭治郎は「いや気にしなくていい、痛みを我慢できる度合いは人それぞれだし…亡くなった人を運び出した上で土を掘って埋葬するのは本当に大変だし…善逸とこの子達で頑張るから大丈夫だよ、それに伊之助を怪我させたのはおれだから責任を取って伊之助の分もおれがやるよ、伊之助はゆっくり休んでいるといい」となんの裏表も無い優しい笑顔で言ったが本人と伊之助以外は全員「(ずれてる……)」と心の中で呟き、炭治郎自身にそんなつもりは無いにも関わらず煽られていると感じた伊之助は「はあーーーーーん!?舐めるんじゃねえぞ!百人でも二百人でも埋めてやるよ!それにてめえに付けられた傷なんかもう痛くも痒くもねえ!!待ってろ!屋敷でくたばってる奴全員運び出して来てやる!おれが誰よりも埋めてやるわ!!」と叫ぶと「うおおおおおーーー!!」と雄たけびを上げながら屋敷の中へと駆け込み、それを見た善逸はなんともいえない表情で炭治郎を見ると「炭治郎…お前やっぱすげえよ…(いろんな意味で…)」と呟き、炭治郎は「そうか?ありがとう善逸」と返し、善逸は呆れたように「いや褒めてないから」と返した、すると「あのー…こんな状況でなんですが…おれはどうすればいいのでしょうか?」と最初に落ちてきた彼がぼやき、炭治郎と善逸も「「あっ…どうしよう…」」とぼやいた、すると「カァーーー!」と炭治郎の鎹鴉とは別の鎹鴉の鳴き声が聞こえ、その方向を見ると姿が見えなくなっていた天王寺も含めた二羽の鴉が黒子のような服を着た三人の人物―鬼殺隊の隠密部隊である隠―を誘導している姿が目に入り、その三人は炭治郎と善逸の前に立つとリーダー格の男性が口を開いた。
「はじめまして…竈門炭治郎様と我妻善逸様ですね?」と言い、それを聞いた二人は「「はい、そうです」」と答え、彼は残る二人に「その方を病院に搬送を」と素早く指示を出すと二人は生存者を担架に乗せると病院へと運んで行き、彼はそれを見届けると口を開いた。
「私は鬼殺隊の隠密部隊、隠に所属する
九重と名乗った隠はそう丁寧に告げ、炭治郎と善逸はすぐに「「ありがとうございます」」と答え、彼は禰豆子が入った箱を見てすぐに炭治郎に目を向けなおすと「それともう一つ…禰豆子さんの事でお話したいことがあります」と真剣な口調で話し、それを聞いた二人は顔を見合わせると身構えたが、彼は「ご安心してください、私とあの二人は禰豆子さんを殺そうとは思っていません…私達は以前灰柱様…リィン様に助けられた身ですので、あの方の考えに賛同しています…あの方がなんの理由も無く鬼を連れた隊士を黙認する事はないと存じておりますので」それを聞いた炭治郎と善逸は再び顔を見合わせると互いに彼が嘘を言ってない事を感じ取った為、二人は九重の話に耳を傾け、彼は頷くと、本題に入った。
「では本題に入りましょう、禰豆子さんのことです、彼女の事はこれまでどうにか我々が噂の上書きと言う形で隠しておりましたのでどうにか知られずに済んでおりました、このことはお館様の支持でもあり、準備ができるまで禰豆子さんの存在を我々、灰屋敷に常駐する隠とリィン様に水柱様、そして炭治郎様が信頼し、貴方自ら彼女の事を明かした方以外に知られないようにする為です」
それを聞いた炭治郎は最初の任務で助けた彼に禰豆子の事を口止めしていなかった事を思い出し、続いて浅草で人目の多い所からすぐに離れたとは言え、禰豆子に違和感を持った誰かがいて、鬼と気付かれた可能性があるということに思い至っていた、だが炭治郎はすぐに準備と言う言葉に気付き「九重さん、その…準備と言うのはいったい…」と問いかけ、それを聞いた九重はすぐに口を開いた。
「…近々柱合会議と言う柱とお館様が定期的に行う会議が開かれる予定です。おそらくですがお館様はそこで禰豆子さんの安全性を証明するつもりなのでしょう。ですがご注意を、柱の中で貴方に味方をしてくださるのはリィン様と水柱様を除けば現時点では恋柱様のみと見て間違い有りません…ほとんどの柱は貴方の主張も一切聞かずに貴方と禰豆子さんを殺そうとするでしょう…ですのでお館様は既にご存知である事をリィン様が話す前に伝えるようにして下さい。そしてその後にリィン様が同意なさる事で他の柱の方にもお館様が既にご存知と言う主張に現実味が出ますゆえ少なくとも本当に禰豆子さんが人を襲わないと言うことを証明する為に必要な時以外で禰豆子さんが傷つけられる確率は下がりますので忘れないようにしてもらえますね?」
九重の言葉に炭治郎は「わかりました…肝に銘じておきます…」と答え、それを見た九重は「では伝えました…それでは本来の仕事に戻りましょう…いつまでこんな悲劇が続くのか…慣れたくない物だな…」と言いながら埋葬の手伝いに回ろうとしたところで、何人かの犠牲者を抱えた伊之助が戻りそのままその場にいる全員で作業に入った…だが「(…禰豆子…絶対に死なせたりしないから…)」炭治郎はいつの日か来る柱合会議への不安もはっきりと覚える事となっており、禰豆子を守ると言う決意を新たにしていた。
今回も読んでいただきありがとうございます、灰屋敷に常駐している隠が居る理由は後の説明回でしっかりと描く予定です。