鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
炭治郎と伊之助の二人は糸の中心を目指して駆け抜けており、伊之助は「もう少しだ!近づいてきたぜ!!」と告げ、《C》も『ああ…間違いなく近づいてるぜ…』と言ったがやはり以前とは違いまじめな様子だった事もあり炭治郎は「(何か気になることでもあるのか?…もしかしてさっきの…)」と聞いたが《C》は『いや…そいつも気にしちゃいるがそうじゃねえ…それにあれはお前のせいじゃねえよ、悪いのは殺した鬼のほうだし…あの状況で一人助けられたのはせめてもの救いって奴だな…』と深刻な様子で告げ、炭治郎は《C》が彼なりに自分を気遣ってくれていることを悟るとあえて先ほどの件に触れずに「(じゃあ《C》が気にしてることって…)」と聞こうとしたが「!(風向きが変わった!)伊之助!近くに鬼が二人いる!操り糸の奴ともう一人だ!」鬼の匂いに気づき、すぐに質問を中断し、伊之助に警告したが伊之助は「ああ!おれの方が先に気付いてたぜ!!」と言い、それを聞いた《C》は『続きは後だ、おれは少し情報を整理したい…鬼殺隊の仕事を直接手伝えない分、これぐらいはさせてくれないか?』と言い、炭治郎は頷きながら「(わかった、こっちは任せてくれ!)」と返すと《C》は『じゃあ頼んだぜ…後でな』と言いながら意識の奥に潜ったのを炭治郎は感じたが問題はそのすぐ後に表れた鬼だった。
「なっ!これは!!」その鬼はこれまで操られた隊士と同じく糸に繋がれていたがそれ以上に頸が無いと言う異様な姿で、炭治郎は困惑し、伊之助は「く…頸が無ぇぇぇ!!」と絶叫し、普段何があろうと迷わずに突撃する伊之助としては珍しく困惑し、パニック状態となっていた。
「おおおおおおい!どうすんだ!?あいつ頸が!急所が無ェぞ!?どっ…どうすんだ!?おい!」
伊之助は鬼のほうを指差しながら炭治郎と鬼を交互に見て慌てていたが炭治郎は慌てる伊之助を見て逆に冷静になり、結果としてすぐに攻略法に気付いた炭治郎は叫んだ。
「落ち着くんだ伊之助!袈裟斬りにするんだ!」
炭治郎の言葉を聞いた伊之助は炭治郎の言葉を聞くために一旦止まり、炭治郎はすぐに続けた。
「上手くいくかどうかは賭けだけど、右の頸の付け根から左脇の下まで切ってみよう!上手くいくかはわからないし範囲が広いけど鬼である以上…」
効くはずと続けようとしたが伊之助は炭治郎の言葉の続きを聞かずに「よォし!!やってやらァ!!」と叫ぶと駆け出し、それを見た炭治郎は「待ってくれ!どんな事をして来るかわからないんだから一緒に!」と叫んだが伊之助は当然聞かずに頸無しの鬼に挑んだがその鬼は目にも留まらない速さで両手の鎌のように変異した腕で伊之助を攻撃し、あまりの速さに伊之助は驚いたがどうにか大半の攻撃を防いだため、戦闘そのものは問題ないようすだった。
「!(思ったよりも速い!!けど避けれないほどじゃ―)」
伊之助がそのまま頸を切ろうと腕を振り上げた直後、伊之助の腕に操り糸の蜘蛛がが現れそれを見た伊之助は「(!まずい!蜘蛛か!!)」と動揺し、すぐに蜘蛛を振り払おうとしたが一歩遅く、糸で動きを止められそのまま頸無しの鬼が伊之助に腕を振り下ろそうとしたが、追いついた炭治郎が腕を止めると返す刀で頸無しの鬼を退かせ、すぐに伊之助に繋がっていた糸を切り落とすと「伊之助!今は一緒に戦おう!この鬼を倒す為に力を合わせるんだ!頼む!」と叫び、伊之助はそれに対して「てめェェェ!おれをこれ以上ホワホワさせるんじゃねぇぇぇ!!邪魔だそこ!」と言い、炭治郎は背後に迫った頸無しの鬼を見ると伊之助に「おれを踏み台にして跳べ!!」と指示を出し伊之助が跳んだところで逆立ちに近い体制になるとすぐに居合いに近い構えを取った。
「(あの時、水流飛沫・乱と緋空斬を組み合わせた時に不安定な体制からの居合いのコツもわかった!いけるはずだ!)八葉一刀流・肆の型・紅葉斬り!!」
炭治郎はそのまま不安定な体制から紅葉斬りを放ち、頸無し鬼の両腕と片足を切り落とすと伊之助に「伊之助!今だ!!」と叫び伊之助は炭治郎の行動の意味を悟っていた。
「(畜生…腹が立つ…全部思い通りってことか?まるで風に煽られて落ちた木の葉が川に落ちてもそれでも水が流れていくことが変わらない程に…コイツは自分一人じゃなくおれ達全員が勝つために戦い全体を見てるってことかよ…気に食わねぇし癪に障る…だが…お前がそうするってんならおれも乗ってやろうじゃねぇか!)」
伊之助は頸無し鬼の頸の付け根から脇に掛けて袈裟斬りにすると鬼の身体が崩れ始めたのを見てすぐに炭治郎に向けて駆け出すと「天治郎!糸を出してた奴の所まで飛ばしてやっから、そこで大人しくしてろ!!」そう叫ぶと炭治郎の答えも聞かずに両腕で身体を掴むと「ドゥオリャァァァァ!!」と叫びながら全力で母鬼に向けて投げ飛ばした。
一方虎の子の頸無し鬼を倒された母鬼は焦っていた。
「(嘘でしょ…やられたって言うの?あの人形が一番速くて強かったのに…!)」
母鬼は恐怖の余り焦りを隠せず、まるで
「(そもそも戦う前に累が脅しに来たから…それで焦って失敗した…そうよ!累が悪いのよ!累が…)」
母鬼は気配を感じ上を見るとそこには炭治郎の姿があり、母鬼は恐怖を見せた。
「(あっ…殺される…頸を斬られる!…でも…もう疲れた…死ねばもう怖い思いをしなくて済むなら…もうそれで良いよね…)」
母鬼は炭治郎の刃を防ぐ為の構えを解くとすぐに彼の一太刀を受け入れようとする動きを見せ、炭治郎は彼女に最早戦う気は無い事…そして死に救いを見出すほどに追い詰められていると言う事実に気付くと構えを変えた。
「!(それほどまでに…だったら…)水の呼吸・伍の型・干天の慈雨…」
母鬼は確かに頸を斬られた事に気付いたが同時に驚いていた、斬られたにも拘らず痛みは一切無く、そして暖かく優しかった。
「(…この山に…累の所に来たときはただ生きたかったから…力の弱いわたしが生きるにはそうするしかなかった…でも…累の所に来てからただ怖くて…殴られて…本当にいつも怖かった…死にたいって何度も思ったけど…こんなに穏やかな死が来るなんて思わなかった…)」
炭治郎は死に逝く母鬼を見つめ、その表情を見た彼女はかつて人間だった頃のことを僅かながら思い出し「(あの目…昔誰かに向けてもらった目にそっくり…もう誰なのかは思い出せないけど…本当に優しい…これだけは伝えないと…)」そう心の中で呟くと、消える直前にすぐに伝えた。
「…十二鬼月がいるわ!気をつけて!!」
それを聞いた炭治郎は目を見開き困惑した。
「(この山に十二鬼月がいる!?嘘を言ってる匂いは無かった…それにこの山に鬼が群れているのは珠世さんが言ってた例外…つまり十二鬼月がいると考えれば説明がつく!十二鬼月の血はかなり無惨に近いはず…それなら禰豆子を人間に戻せる薬の完成に近づくはず!)」
炭治郎はそこまで考えながら伊之助の元に戻ると伊之助は「遅かったな!倒したかよ!!」と言い炭治郎は頷くと「ああ…倒したよ…伊之助その怪我は…」と聞いたが伊之助は「そんな細かな気遣いいらねぇんだよ!いいか乱次郎!お前にできることはおれにだってできるんだからな!今はちがうがもう少ししたらおれの頭もお前の頭より硬くなるぜ!それからな―」と続け、炭治郎はそれを聞き流しながら跳ね除けようとする伊之助の手当てをしていた時だった。
『よお、考えがまとまったぜ、手は止めなくて良いから聞いてくれ…』と《C》から声がかかり炭治郎はコクと頷き《C》は自分の考えを話し始めた。
『と言ってもさっきの鬼の言葉はおれも聞かせてもらったからな…結論から言うとこの山に十二鬼月がいるってのはおれの予想通りだからそこは良いんだ…問題はこの山の十二鬼月がどんな奴かだ…これはあくまでおれの予想だが多分この山の十二鬼月は思ったよりも単純な奴かも知れねぇな…』
《C》の予想を聞いた炭治郎は「(単純な奴ってどういう事?)」と聞き、それを聞いた《C》は少し考えこむと答えた。
『単純って言っても弱いって訳じゃねぇよ、単純ってのは要するに感情的になりやすいって意味だ…あの鬼の恐怖ははっきり言って異常だ…おそらく失敗する度に何度も痛めつけられたんだろうよ…まあその辺に付け入る隙があるだろうな…』
今度は《C》の言葉を聞いた炭治郎が考えこんだ。
「(あの鬼が怯えていたのは父親の立場の鬼か?ならそいつが十二鬼月か?…でもそれにしては短絡的過ぎる…それはつまり―『ああそれともう一つ伝えとくぜ』―?もう一つってなんですか?)」
炭治郎が考えている途中で《C》が割り込み、すぐに真剣な様子で答えた。
『…今回の相手は十二鬼月だ…正直付け入る隙はあってもリィンからのアドバイス…つまりは助言だけど…そいつがあってももう一つ決定打がいる…十二鬼月と戦う時はいつでも言え…おれの力を使わせてやるよ…』
《C》の言葉を聞いた炭治郎は「(本当に!?)」と聞き《C》は頷くと理由を話し始めた。
『ああ…さっきも言ったように相手は十二鬼月だ…おれもお前の精神に間借りしてる以上何もしねぇわけにはいかねぇからな…いつ使うかは任せるけどお前の負担的に使えるのは一度が限界だ…だからここぞと言う時だけ使うんだ…忘れんなよ…』
それを聞いた炭治郎は頷き、森に目を向けると「(リィン教官…貴方の期待に答えて見せます…そして十二鬼月の血を手に入れて見せます)」と決意を漲らせていた。
―一方その頃…―
那田蜘蛛山へ向け三人の人影が走り、そのうちの一人、胡蝶しのぶが先頭を走るリィンを見て口を開いた。
「冨岡さん…先ほど那田蜘蛛山へ向かった隊士の名簿を見てからリィンさんの様子がおかしいのですが何かあったんですか?」と聞き、それを聞いた義勇はすぐに口を開いた。
「…慌てもする…あそこにはリィンの継子がいることがわかったからな」と告げるとそれを聞いたしのぶは真剣な表情になり、「なるほど…それなら慌てるのも納得ですね」と答え、リィンは那田蜘蛛山の方向を見据え「(無茶はするなよ…炭治郎…)」と自身の教え子の身を案じていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます、今作における《C》の役割はジャンプ作品で時折見かける主人公の精神に宿っている相棒のような役割となっています、なお以前、鼓屋敷の時に出てこなかったのは炭治郎の成長を促す為にあえて出てこなかったのですが、今回は十二鬼月が相手の為、自分自身は勿論リィンの為にも炭治郎を死なせるつもりは無いと言う理由があります。