鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
善逸が人を蜘蛛に変えていた鬼を倒したのと同時刻、微かに雷鳴のような音を聞いた炭治郎は後方を見ながら考え込んだ。
「(今の音は…多分だけど善逸だよな…何かあったみたいだけど…大丈夫かな…)」
炭治郎は善逸が鬼と戦っていた事を悟ったが同時に心配していた、そんな炭治郎を見かねた《C》は『…大丈夫だと思うぜ、あいつ普段は気が弱い割りにやる時はやるからなそれに…(いや…これはまだ言うべきじゃねぇな…)あいつはお前が信頼した奴だ、その気になれば鬼の一匹や二匹余裕だろ…信じてやれって』と彼なりに炭治郎を慰めつつ善逸を信じるように促し、それを聞いた炭治郎は「(…うんそうだよな…善逸なら大丈夫だよな…ありがとう《C》…)」と返し、《C》も『良いって事よ、お前さんが不安に思う気持ちも普段のあいつを見てりゃ解らなくもねーしな…それよりも今心配するべきなのはあの突撃バカの方だろ…』と答えながら突撃バカこと伊之助を気にした方が良いとなんともいえない口調で促し、それを聞いた炭治郎は「(…そうですよね…)」と同じくなんともいえない表情で先ほど巻いた包帯を躊躇い無く捨てた伊之助に目を向けると「…なあ伊之助…」と声をかけたが伊之助は明らかに苛立った様子で「なんだよ!?」と返し予想通りの答えに炭治郎は「(やっぱり…)」と思いつつもめげずに「おれはもう少し向こう側を確かめに行きたいと思うんだけど…」と伝え、それを聞いた伊之助は「そうかよ!!かってにしたらいいんじゃねぇのォオオオオ!!」と苛立ちを隠そうともせずに言い放ったが炭治郎はすぐに「伊之助は怪我が酷いから直ぐに下山するんだ」と告げたが伊之助は一瞬だけ沈黙したがすぐに「何でだよ!!殺すぞ!!」と言い放ち、炭治郎はすぐに「いや、さっきも言ったけど怪我が酷いからだよ」と半ば呆れた声色で答えたが伊之助は「ふざけんな!!おれは怪我なんてしてねぇ!!」と言い返し、炭治郎は「(えぇぇ…)」と困惑したのに対して《C》は『まあ…こうなるよなぁ…はぁ…』と呆れた様子を隠すのも疲れたと感じているのが解るレベルで溜息をついていた。
その時川の向こう側から『バシャッ』という水音が響き、直後、二人がそちらに目を向けると少女の姿をした鬼の姿があり、それを目にした伊之助は「見つけたぞォ!!ぶった斬ってやるぜ!!」と叫ぶと鬼に向かって襲い掛かろうとし、炭治郎もすぐに行動しようとしたが何かに気付いた《C》がはっとして『!何か来るぞ!』と叫び、それを聞いて上からの気配に気付いた炭治郎も「伊之助!上だ!!」と叫び、それを聞いた伊之助はほとんど反射的に止まり「うるせーっつてんだろ!!」と言い返した直後、上から顔が蜘蛛その物で筋骨隆々の男の鬼―おそらく父親と思われる鬼が姿を見せ、先程の少女の姿の鬼は「後はお願い…お父さん…」と告げると森の奥に姿を消し、彼女にお父さんと呼ばれた鬼―仮に父鬼とでも呼ぶべきソレは「オレの…家族に…!近づくな!!」と叫ぶと凄まじい力で二人がいる場所に拳を振り下ろし、二人はすぐに飛びのいてかわした。
「!(凄い力だ!十二鬼月はコイツなのか?顔が蜘蛛だから目に数字があるかどうか解らない!けどお父さんって呼ばれてたってことは十二鬼月の可能性がある!)」
炭治郎は以前母鬼と戦った時にしていた予想を思い出し、相手が十二鬼月であることを想定しつつ日輪刀を抜いた。
「(まずはコイツの腕を奪う!)水の呼吸・弐の型・水車!」
炭治郎は空中だった事もあり、水の呼吸の技である水車で腕を落とそうとしたが父鬼は腕を盾に炭治郎の技を防ぎ、炭治郎の刃は父鬼の腕の中心一歩手前で止まり、それを見た炭治郎は焦りの表情を浮かべた。
「!(思ったより硬い!多分頸も同じだ!今のおれがコイツの頸を斬るなら水の呼吸の拾の型か八葉じゃないと…いやそれでも難しい!)」
炭治郎がそう考察した直後、父鬼は攻撃されなかった方の腕で炭治郎に殴りかかろうとしたが、すぐに伊之助が刀を二本とも腕に振り下ろしたが腕を止めることには成功したものの炭治郎と同じように切り落とす事はできず「クソッ!なんて硬さだよ!」と叫び、父鬼が腕を振り上げようとしたのに気付くと二人は同時に飛びのいてかわし、炭治郎はすぐに思考を巡らせた。
「(力が強い割りに動きも速い!落ち着けおれ!まずはどうにかして動きを止めることを優先しないと…何か使えそうな物は…)」
炭治郎は父鬼の攻撃をかわしながら辺りを見渡し、川岸近くの木の中で一番太く高い木に目を付けた。
「!(あの木だ!あの木の下敷きにできれば動きを止められる!!)」
炭治郎がそう考えた直後、偶然にも伊之助が斬りかかった事で父鬼の気が炭治郎から伊之助に向けられ、炭治郎に向けられた攻撃の標的を伊之助に変えたことから威力も落ちていたためすぐに起き上がっていた。
「(いってぇなぁ!クソ!力が乗り切ってねぇってのにこの威力かよ!)」
伊之助は心の中で悪態をついていたが炭治郎の姿が見えないことに気付き「!?(アイツ何処に行きやがった?)」と困惑したがその答えはすぐに出た。
「(ありがとう伊之助!)八葉一刀流・四の型・紅葉斬り!!」
炭治郎は心の中で伊之助に礼を告げると父鬼が下敷きになるように位置を計算して木に紅葉斬りを放って木を切り倒しその計算通りに父鬼が下敷きになったのを確認するとすぐに頸を斬る為に戻った。それを見た伊之助は「(アイツが木を斬って鬼の動きを止めたって言うのか!?クソーッやるじゃねぇかよ!)」と彼としては珍しく炭治郎の機転の良さを素直に賞賛し、炭治郎が鬼の頸を斬ろうとするのを見たが同時に鬼が木を持ち上げようとしているのに気づき「!おい!危な―」と危険を促そうとしたが出血の影響でふらつき、鬼は木を持ち上げると炭治郎に向けて振り回し、それを見た炭治郎は咄嗟に後方に飛びのきながら刀を振り下ろし、威力は和らげる事ができたものの勢いは和らげる事ができず、後方に飛びのいて宙に浮いていた事から踏みとどまる事まではできず、そのまま遠くに飛ばされ、それを見た伊之助は「健太郎ーーーっ!!」と言い間違い込みで炭治郎に呼びかけ、炭治郎は飛ばされながらも伊之助に向けて叫んだ。
「伊之助気をつけろ!そいつは十二鬼月かもしれない!!おれが戻るまで絶対に死ぬな!!」
炭治郎は凄まじい速さで飛ばされ―偶然にもそれは少女の鬼が去って行った方向と同じだった―落下し始めた所で以前矢琶羽と戦った時と同じように技を構えた。
「水の呼吸・弐の型!水車!!」
炭治郎は落下する直前に技を放ち、衝撃を和らげ、起き上がった。
「(ふう…何とか着地できたけどかなり飛ばされたな…急がないと…!)」
炭治郎はすぐに伊之助の所に戻ろうとしたが目の前の光景―最初に姿を見せた子供の様な姿をした鬼―累が先程の少女の鬼を糸で痛めつけていると言う光景で、炭治郎の姿に気付いた累は「…何見てるの?これ見せ物じゃないんだけど…」と冷ややかに言い、累に痛めつけられていた少女の鬼は泣いており、それに気付いた炭治郎は怒りを感じたが、同時に妙な違和感を感じ、戸惑っていた、それは《C》も同様で『(なんだ?この違和感は…なんとも妙な感じが…)』と累から感じた違和感に彼としては珍しく戸惑っていたが、炭治郎はそれでも言わないと気がすまなかったことも事もあり躊躇い無く言い放った。
「どうして…どうしてそんな事をするんだ!!お前達は仲間じゃないのか!!」
炭治郎の言葉に累は手を止め、炭治郎に目を向けると不機嫌な様子で続けた。
「…仲間だって?…そんな薄っぺらな関係とぼくたち家族の関係を一緒にするな。ぼくたち家族は仲間なんかよりもずっと強く固い絆で結ばれているんだ…」
累はそう続けた後すぐに少女の鬼に目を向けると相変らず淡々と続けた。
「それにこれはぼくと姉さんの問題だから偶然落ちてきただけの君には関係ない。余計な口出しするなら刻むから…」
炭治郎は累の言葉に反し、姉さんと呼ばれた鬼から恐怖の感情を感じ、同時に母鬼が感じていた恐怖の感情も思い出すとすぐさま累に向けて突きつけるように言い放った。
「…仲間が薄っぺらだって?それは違う…家族も仲間も強い絆さえあれば同じように尊い物だ、血の繋がりが無ければ薄っぺらだなんてそんな事は無い…それに強い絆で結ばれている者は信頼の匂いがするけどお前達にはそれが無い!仮に血の繋がりがあったとしても無自覚に他の家族を傷つけて、泣かせて、追い詰めてしまえばそこから生まれるのは恐怖と憎悪と嫌悪だけでお前達から感じるのはそれだけだ…こんな歪な物は絆なんかじゃない!これこそお前が言う薄っぺらな関係だ!!」
炭治郎の言葉を聞いた累は僅かに表情を変化させ《C》は言葉にこそ出さなかったものの『(…リィンが聞いたら喜ぶな…)』と笑みを浮かべた時だった。突然累の背後の茂みから『ガサッ』と音が聞こえ「おっ!調度いいくらいの鬼がいるじゃないか」そう言いながら一人の男性の隊士がやたらと自信に満ちた表情でニヤつきながら「こんなガキの鬼ならおれでも殺れるぜ」と続け、それを聞いた炭治郎は「誰だ!?」と驚き、《C》は『アイツバカか!?見た目で鬼の強さを判断すんじゃねぇよ!?』と困惑気味に叫び、彼は炭治郎と累の二人を舐めている事がはっきりとわかる表情と口調で「お前は足手まといにしかならないから引っ込んでろ、おれは安全に出世したいんでな、出世すりゃあ上から支給される金も多くなるんでな…隊は殆ど全滅だがとりあえずおれはそこそこの鬼一匹倒して下山させてもらうとするぜ」と誰も聞いてもいないのに妙に具体的な説明をするとあからさま過ぎるほどに悪役じみた二ヤついた笑みで累に斬りかかろうとし、それを見た炭治郎は「だめだ!貴方では勝てな―」と叫んだ時、累は後ろを振り向くことは勿論、一言も喋ることなく手を軽く動かした直後、その隊士は一瞬にしてバラバラに切り刻まれて絶命し、炭治郎は「(い…一瞬でバラバラに…!)」と愕然とし、《C》は『マジかよ…あの感じ『告死戦域』の…シャロンの姉さんと同じタイプかよ…』と累の武器が鋼糸と言う鋼のように硬い糸のような物を使った戦い方だと気付き顔をしかめた。
「…なんて言ったの?」「えっ!?」
累の唐突な今までのそれとは比べ物にならないほどの冷たい声に炭治郎は困惑し、それを見た累は怒りでかつて無いほどに顔を歪ませながら「聞こえなかった?お前…今なんて言ったの?」と凄まじいプレッシャーを放ち、その場にいる全員が動揺し、《C》は炭治郎に伝える為に静かに口を開いた。
『(このプレッシャーは!)炭治郎…今わかったぜ…コイツだ…数字は髪に隠れて見えねぇけど間違いねぇ…この子供の鬼がこの山にいる十二鬼月だ!!』
その言葉を聞いた炭治郎も頷きながら「(…ええ、あの時は離れていたから解らなかったけど今ならわかります…)」と答え、刀を強く握り締めながら「(…伊之助ごめん…十二鬼月が相手である以上多分…いや、間違いなく戻れない…おれが何とかコイツを倒して見せるから伊之助も頑張ってくれ!)」と祈るように心の中で言うと累を見据えはっきりと言い放った。
「何度だって言ってやる!お前の絆は偽物だ!!」
今回炭治郎の視点でしたが次回は伊之助視点となります。
他に展開が思いつかなかったというのもありますが、サイコロステーキ先輩には原作通りサイコロステーキとなってもらいました。
《C》のシャロンの呼び方ですが作者の想像なので、もしもどこかで呼んでいるところがあったら教えてもらえると嬉しいです。