鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
リィンと蜜璃の2人は何日か歩き、隠と呼ばれる隠密部隊の人達と合流し、そのうちの一人がリィンに歩み寄ると口を開いた。
「はじめまして、私は鬼殺隊において隠とよばれる隠密部隊に所属する斉藤と言う者です、リィン様でよろしいですか?」
「はい、リィン・シュバルツァーは私です。」
そう答えたリィンに対し斉藤と名乗った隠は目隠しを取り出すと説明した。
「こちらからお呼びした上でこうするのは心苦しいのですが…我らの当主の屋敷は秘匿されておりますので目隠しをさせていただきますがよろしいですか?」
彼の説明にリィンは頷いた。
「構いません、何かやむをえない事情があるようですし…」
それを聞いた斉藤は「では失礼いたします」と言いリィンに目隠しをし、運ばれていき暫くたった後「到着いたしました」の言葉の直後に目隠しが取られた。
そこは藤の花がたくさん咲き誇っており、少し離れた場所に門が見えていた、隣にいた蜜璃について家の門の前につくと蜜璃はリィンの方に振り返り、口を開いた。
「ここがお館様が住んでいらっしゃる場所だけど、たぶん他の柱の人達も来ていると思うの、ただ…いろんな性格の人がいて…根は悪い人達じゃないけどリィンさんに危害を加えそうな人もいるから気をつけてね…」
蜜璃は隙間から庭を除くと自身を除く7人の柱に加え現鬼殺隊当主である産屋敷耀哉の姿を確認し、ほっと一息ついた、彼がいる以上件の人物もいきなりリィンに対して斬りかかる様な事はしないだろう、そう思った蜜璃は先に入った。
「失礼いたします!お館様!客人を連れてまいりました!」
彼はそれを聞いて蜜璃の方を見ると「お客様を私の前まで案内してもらえるかい?」と穏やかな声で言い、それを聞いた彼女はリィンを彼の前に案内するとリィンの隣に跪き、他の柱も倣い、それを見たリィンも同じようにしようとしたが、彼はすぐに制止した。
「あなたは楽にして構いまわないよ、あなたはわたし達にとって大切なお客様だからそのように気を使ってもらう訳にはいかないからね。」
それを聞いたリィンは驚きつつ、彼の言葉の結果を分析した。
「(彼の言葉はなかなかだ、傍目には得体の知れない人物である俺を柱達の前で客人と断言する事で俺に危害を加えられないようにしたのか…)」
事実リィンは柱のメンバーが油断無くこちらを観察しているのに気づいていた、特にそのうちの傷が多い男と蛇を連れた男は殺気すら放っているし、もう1人の額当てに左目の周りに目立つメイクを施した男も殺気とまではいかなくとも特に注意深く見ているのがわかった、最もそれはリィンも同じだとこの場にいる全員が気づいていた、それを互いに確認する中、蜜璃が口を開いた。
「お館様、客人の案内、遅れてしまい申し訳ありません、道中緊急事態がありましたので…」
彼女が言う緊急事態というのは道中鬼に襲われた商人がいて救出したためだ、ちなみにその鬼はリィンが瞬く間に倒したため事なきを得ていた。
「構わないよ、鎹烏から既に話は聞いているからね、さて…改めて蜜璃から聞いているかもしれないが私は鬼殺隊の現当主、産屋敷耀哉という、あなたにこうして会えたことを嬉しく思うよ。」
リィンは息を整えると慎重に応えた。
「いえ、こちらこそお会いできて光栄です、私はリィン・シュバルツァーと申します、私の家名はこの国の方々にとって馴染みは無く、発音も難しい物と存じておりますのでリィンと呼んでいただいて構いません。」
それを聞いた耀哉も頷くと、「では私のことも耀哉と呼んでもらって構わないよ、こちらも遠慮なくりぃんさんと…ああ、発音の訛りについては許してほしい、貴方の流暢な日本語とは違って異国の名には馴染みが無くてね、申し訳ない。」そう言いリィンを見据えた耀哉に対してリィンもすぐに応えた。
「ありがとうございます、輝哉さん…いくつか聞かせていただきたいことが有るのですがよろしいでしょうか?」
リィンの言葉に耀哉も頷くと応えた。
「もちろん構わないよ、私達もりぃんさんに聞きたいことが有るから情報交換ということでどうかな?」
リィンもそれに頷くと応えた。
「わかりました、ではまずは私から聞かせていただきます、鬼殺隊が鬼を斬る際に使う刀ですが、あれは普通の刀では無いと見受けました、あの刀はいったいどういった物なのでしょうか?」
リィンの言葉に耀哉は一瞬驚いたが、同時に関心した。
「…さすがと言ったほうがいいかな?その通りだよ、貴方も知っての通りあれは日輪刀と言ってね鬼の数少ない弱点の一つである日光を蓄えた特殊な鉱石を使って作られた刀だよ、でも…りぃんさんの刀も何故か通用するみたいだけどね…ではこちらからも一つ、りぃんさんは何故この国に来たのか教えてもらえるかな?ただの観光客にしては―蜜璃の話を聞いた所によると腕が立つようだし何より日輪刀とは違うようだけど鬼を斬ることができる刀を持っている、この国を攻めるための間者という可能性もあるけど、それにしてはこの国の事を逆に知らなすぎるからね、教えてもらえるかな?」
リィンはこの質問を覚悟していた事もあり、同様したもののすぐに落ち着いていた。
「…わかりました、私がこの国にきたのはほとんど偶然です、私は現在ある存在を追っています。その存在は私達の国において八百年もの間悪意のみを持って動いていました、いくつもの悲劇が起こり、後一歩で倒せる所まで追い詰めましたが、私の体にとりつき、乗っ取ろうとしてきました…そして最後の手段として私もろとも滅ぼそうとしましたが、気がついたらこの国で奴も私の体から離れたのか何も感じられませんでしたので再び奴を追うために奴の気配をわずかながら感じたこともありこの国をめぐることにしたのです。」
リィンの語る言葉はとても重く地獄を視た者特有のそれがあった事もあり一部を除いた柱もそれを感じ取っていた、やがて耀哉が言葉を紡いだ。
「…なるほど…気の遠くなる話だけどりぃんさんの眼は嘘を言っていないね…それに貴方が言う敵もどこか鬼舞辻無惨と似ているように感じるね…」
鬼舞辻無惨、その名前はリィンも道すがら蜜璃から聞いていたこともあり無惨とイシュメルガがどこか似ているという耀哉の言葉に同意だった、やがて耀哉は口を開いた。
「りぃんさんさえ良ければだけどその存在の名前をきかせてもらえるかい?」
耀哉の言葉にリィンは頷くと、口を開いた。
「ええ、もちろん構いません、私達はその存在を『黒のイシュメルガ』と呼んでいます。」
リィンの言葉を聴いた耀哉は考え込んだが口を開いた。
「…いしゅめるが…あえて『黒』と呼ぶけどはじめて聞くはずなのにどこかゾッとするね…」
他の柱も同じだったのか全員得体の知れない何かを感じたのを隠すことができなかった、しかしそんな中1人の男が口を開いた。
「お館様、ひとつよろしいでしょうか?」
そう言ったのは傷だらけの男で思った以上にしっかりした口調だった事に―殺気を向けられていたと言う事情もあるが―リィンは本気で驚いていた。
「なんだい?実弥?」
彼は慎重に言葉を選びながら―少なくともリィンはそう感じた―口を開いた。
「そちらのりぃんと名乗った男の言葉、荒唐無稽な話しではありますが、おそらく真実だろうと思います、ですが同時に大きな疑問があります、黒のと言っていた以上、黒以外も存在するのではと感じるのです。」
それを聞いた柱も気付いたのか、とたんにざわつくものの、耀哉が「静かに」と合図するまでそれが続いた。
「確かに実弥の言う通りその事は私も気になっているけどね、りぃんさん、黒以外も存在しているのならそれはどういった存在なのかな?」
今度はリィンが考え込み、ゆっくりと口を開いた。
「わかりました、今からお話しすることはとても信じられない事かもしれませんが…全てお話します。」
「…聞かせてくれるね?」
リィンの決心を感じた耀哉も真剣な様子で待った。
「イシュメルガは七の騎神と呼ばれる存在の一つにしてそれが悪意に染まった存在です。」
そしてリィンは続けて語った、他の騎神と戦ったこと、試練のこと、黒を除いた六体の騎神のうちの一体、灰の騎神は自身と供にある事、帝国の呪いとそれによる鬼の力のこと、そして自身が異世界から来た事をアークスを見せつつ話し、無惨とイシュメルガが組んでいる可能性も含めて話した。
「なるほどね…確かにその機械は今の時代の技術ではとても作れないね…それからもう一つ、りぃんさんさえ良ければだけど、灰の騎神に会わせてもらえないかな?」
それを聞いたリィンは頷くと、柱の面々にできるかぎり広くスペースを作ってほしいと頼むとヴァリマールに呼びかけた。
「たのむ、顔見せもかねて来てくれるか?ヴァリマール。」
リィンがそう言った直後、広く開いた庭に光が現れ、その場にいた1人とリィンを除いた全員が思わず眼を覆いしばらくして感じた気配に眼を開けた全員はそこにいたそれ、ヴァリマールを眼にし全員が衝撃を隠せなかった。
親方様のどこかそこしれない雰囲気が出せたらなあと思います…柱合会議の親方様への最初の挨拶って早い者勝ちって書いてあるのを何処かで見ましたけど、不死川さんが敬語でしたし甘露寺さんの場合も多分敬語なのかな?と思いましたが…彼女も含めた不死川さん以外の他の柱はどんな口調になるのか少し気になりました。
誤字報告ありがとうございます、以後気をつけます。