鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~   作:来斗

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五月初投稿です…スマホだとやっぱり大変ですね…



偽りと真実

 

 伊之助が冨岡義勇と遭遇していた頃、炭治郎は累と対峙し、先ほどの言葉を聞いた累は感情を感じさせない様子を崩さずに口を開いた。

 

「…お前は楽には死なせない…ギリギリで死なない様に念入りに刻んだ後で殺してやる…まあでもさっきの言葉を取り消せば楽に死なせてあげるけどどうする?」

 

 累の実質一択とも言える問いに《C》は『なあ相棒…あんな事言ってるけどどうするよ?』と炭治郎に問いかけたが《C》は炭治郎の答えを確信しており、炭治郎はすぐに答えた。

 

「(もちろん、決まっています!)取り消すことなんかしないしするつもりもない!おれは何も間違ったことは言ってない!!お前が言う絆は偽物だ!!あんなに恐怖と痛みしか無い物は絆なんかじゃない!!」

 

 炭治郎の言葉を聞いた累は「そう…なら死んでよ」と冷たく告げると糸を操って攻撃を仕掛け、炭治郎は咄嗟に体勢を低くしてかわすと思考を巡らせた。

 

「(速いけど避けれないほどじゃない!刺激臭も薄くなってきたし糸の匂いもわかるようになってきた!!)」

 

 炭治郎は糸をかわしながら累に迫り、それを見た累は考え込んだ。

 

「(成程ね…思ったより頭も回る…まるで一人の体に二人いる様な妙な感じもするけど何より恐怖にも怯んでいない…まぁそんなことはどうでもいいけどね…)」

 

 累は炭治郎の目の前に糸を飛ばし、それを見た炭治郎は糸を切る為に構えた。

 

「水の呼吸・壱の型!水面斬り!」

 

 炭治郎は早く細い糸に対応する為水の呼吸の技で迎え撃ったが直後『パキン』と言う音が響き、糸は切れず、僅かな刃を残して刀が折れ、炭治郎は咄嗟に糸をかわしたが、倒れ込む形となり、《C》も呆気なく折れた刀を見て『嘘だろおい…』と戦慄し、炭治郎は更に迫り来る糸をどうにかかわしながら思考を巡らせた。

 

「(刀がこんなに簡単に!信じられない…十二鬼月である以上一筋縄では行かないと思ってはいたけどこの子の操る糸はさっきの鬼よりもずっと硬いって言うのか!?鱗滝さん…鋼塚さんも申し訳ありません…!おれが未熟なせいで刀が折れて…いや今はそれどころじゃない!今が使う時だ!『利剣・緋王』を…!)」

 

 炭治郎は遂にリィンから託された『利剣・緋王』を使う時だと決心し、それを抜こうとしたが、余りにも糸の密度が凄まじく、避けるのに精一杯だった。

 

「(!…ダメだ!糸の動きが速すぎて刀を抜く暇が無い!そもそも今の糸の動きですら殺さないように手加減されているのにこれだけ追い詰められているのに隙が見つからない!!)」

 

 累の操る糸に炭治郎は勿論、《C》も焦りを見せていた。

 

『クソッ!単純な奴かもしれないって予想は当たっちゃいたが手加減されてこれかよ!(今使うか?ダメだ!今使えば糸自体はどうにか突破できたとしてもすぐに制限時間で炭治郎は動けなくなっちまう!それまでにこいつを斬れるかって言われるとできない可能性の方が圧倒的に上じゃねぇか!)』

 

 二人が焦った通り、累が操る糸は縦横無尽に張り巡らされており、二人共に避けきれないと感じた直後、累の目にあるモノが目に入った結果糸が緩み、累の目に入ったあるモノー禰豆子が炭治郎を庇って斬り刻まれてしまい、それを見た炭治郎は顔を青ざめさせ、「禰豆子!!」と呼びかけるとすぐに傷ついた彼女を抱えて累から距離を取ると必死に呼びかけた。

 

「禰豆子…ごめんな…兄ちゃんを庇ってくれたんだよな…」

 

 そんな二人の様子に累は攻撃を止め震えながら「そ…その鬼は…おまえの…妹か?」と問いかけ炭治郎は「君には関係ないだろ!!」と叫ぶと禰豆子に声をかけ続け、累は先ほどの言葉から二人が兄妹だと確信すると何処か上の空と言った様子で考えだした。

 

「…妹は鬼になっているのに兄を襲おうとしていない…それどころか身を挺して守ろうとした…兄も鬼になった妹と一緒にいて守ろうとしている…」

 

 累はそこまで考えた所で炭治郎の先程の言葉をー「おまえの絆は偽物だ!!」と言う言葉を思い出し「(認めるしかない…ぼく達の絆は確かに偽物だった…けどあれは…!)あれだ…あれが本物の絆だ!!あれが欲しい…!あれが手に入るなら…もう何も要らない!!」そう口にした累の目には最早二人以外何も入っておらず、彼に傷つけられていた姉鬼は顔を青ざめさせると「ちょっちょっと待って!!お願い待ってよ!わたしが…わたしが姉さんでしょ!?姉さんを捨てないで!!」と縋るように言ったが、累は「うるさい!!黙ってろ!!」と叫ぶと先程の隊士と同じように姉鬼の頸を背後の木もろとも切断し「お前たちは何時もこうだった…誰一人として与えられた役目を果たす事はできなかった…こうなるんだったら初めからこうすれば良かったよ…」と冷たい表情で言い放つと彼女は泣きながら口を開いた。

 

「…ま…待って…わたしは他の皆と違って姉さんができていたでしょ?お願い…挽回させて…」

 

 彼女の言葉を聞いた累は軽蔑した様な目だったが「…だったら今すぐ山の中をウロチョロ走り回っている目障りなやつらを殺してこい…そうしたら許してやる…」そう言うと彼女は「…わ…わかったわ…」と言うと自身の頸を拾うとすぐにでもここから離れたいとでも言いたい様子でかけて行きそれを見送った累は炭治郎の方を向くと口を開いた。

 

「さて…邪魔者はいなくなったし…ねぇ、坊や…提案があるんだけどどうかな?」

 

 累の言葉を聞いた炭治郎は「(提案だって?)」と困惑したが、累は答えも聞かずに、何処か優しく、しかし冷たい口調で続けた。

 

「さっき…君はこう言ったよね?お前たちの絆は偽物だって…悔しいけど認める…感動したよ、君たちの絆を見て体が震えた…言葉に表したいけどどうしてもこの感動は言葉に表すことなんてできない…そう思った…」

 

 炭治郎は困惑した、冷たい口調であるにも関わらず、累の言葉は本心からの言葉だと感じられたからだ、だが何より炭治郎は「(冷たい口調なのに…どうしてこの子の声を聞くと不思議と安心するんだ?)」累の声を聞き何故か安心感を覚えている自分自身に対して困惑しており、《C》もそれは同様で『クソッ!薄っぺらな言葉なのに何で聞こうって思うんだよ…調子が狂うな…』と呟いていた、累はそれでも続けた。

 

「けどこのままだと君たちはただぼくに殺されるだけだよね…けど今からぼくの提案を聞いてくれたら二人とも殺しはしないであげる」

 

 炭治郎は勿論《C》も累の提案が碌な物ではないと悟っており、どんな物であれ提案に乗るつもりは無かった。だが累の提案は到底理解できる物ではなかった。

 

「君の妹をぼくに頂戴…そうしたら命だけは助けてあげるよ…」

 

『…何言ってるんだよコイツは…』

 

 最初にそう言ったのは《C》でそれを聞いた炭治郎は静かに口を開き《C》の言葉を代弁した。

 

「…君は…一体何を言っているんだ?」

 

 炭治郎の言葉を聞いた累は少し考え込むと再び口を開いた。

 

「…あぁ…少しわかりにくかったね…つまり…君の妹には今日からぼくの妹になってもらうってことだよ…」

 

 それを聞いた炭治郎は禰豆子を更に強く抱きしめると怒りの余り声を震わせながら続けた。

 

「そんなふざけた提案に乗るわけないだろ…それに禰豆子は物じゃない!!自分の思いも意思だってあるんだお前の妹になんてなる筈無いだろう!!」

 

 炭治郎の言葉を聞いた累はどうと言う事も無いと言う様に答えた。

 

「それなら問題無いよ、絆を繋ぐから…ぼくの方がずっと強い恐怖の絆をね…逆らうとどうなるかちゃんと教えるし何より…君の妹は鬼だけど君は人間だから鬼狩りである以上遅かれ早かれ必ず君は死ぬ…妹は生き残ってもすぐに他の鬼狩りに殺される…そうなるくらいなら君の側なんかよりぼくの側にいた方がずっと幸せだと思わないかい?」

 

「!(コイツ!!)」

 

 炭治郎は累の言葉を聞き、かつてない程の怒りが湧き上がるのを感じ、同時に自分が何故累の声に安心していたのかを心の底から理解してしまい同時にそれを感じていた自分自身にも怒りを覚え、感情がメチャクチャになっていた、しかしそれでもはっきりと言い放った。

 

「そんな提案に乗るわけないだろう!!…何より!あの人と同じ声でふざけた事を言うな!!」

 

 炭治郎の言葉を聞いた《C》も顔を歪ませ、口を開いた。

 

『…そう言うことか…コイツの声…リィンに似すぎてんじゃねぇかよ…けど確かにアイツはこんなふざけた事は言わねぇよな!』

 

 二人が累に感じていた違和感の正体、それは偶然にも累とリィンの声が一卵性の双子並にそっくりだったと言う事だった、だからこそ炭治郎は安心感を覚えてしまい、《C》は何処か調子が狂っていた。だが二人が知るリィンはこんな事は決して言わないし何より炭治郎と禰豆子の絆を信じて送り出した彼は絶対に二人を引き離さない。二人はそれを理解していたからこそ最早累の声に惑わされる事は無くなっていた。

 

「?…君が何を言っているのか良くわからないけど…どう言うつもりだい?」

 

 累は炭治郎にそう問いかけ炭治郎ははっきりと告げた。

 

「恐怖で縛りつけることを絆なんて言わない!その間違いを正さない限りお前が言う本物の絆は永遠に手に入らないぞ!!」

 

 炭治郎の言葉と意思を感じた《C》は静かに口を開いた。

 

『良く言ったぜ炭治郎…提案だ、その折れた日輪刀…そいつの顔面に投げつけて隙をつくりな…後は解るよな?』

 

 彼の言葉を聞いた炭治郎は一瞬困惑したがすぐに狙いを察すると何も言わずに累の顔面めがけて渾身の力で日輪刀を投げつけ、それを見た累は反射的にかわし、当たりこそしなかったものの十分な隙ができ、躊躇い無く炭治郎はもう一振りの刀―『利剣・緋王』を抜いた。

 

「!?(なんだ?あの刀は…日輪刀じゃない…けどあれで頸を斬られたら間違い無く死ぬ…まぁ当たらなければどうって事ないけど)…それが君の答えなんだね?君とは何処までも合わないみたいだ…」

 

 累は炭治郎が抜いた刀に妙な違和感を覚えていたがすぐにそう答え、炭治郎はただ「何度も言った筈だ…禰豆子は絶対に渡さない…何があっても絶対に!」そう告げ、それを聞いた累は「ならそれでも良いよ…君を殺せば良いだけの話しだからね」と言い、炭治郎も負けじと「ならおれが先にお前の頸を斬る」と告げると累はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ふふふ…君…威勢だけは良いね…良いよできるならやってごらんよ…」

 

 そう言いながら累は髪に隠れていた自身の左目を見せつけながら邪悪な笑みを浮かべながら炭治郎が何に立ち向かおうとしているのか突きつける為に告げた。

 

「十二鬼月であるぼくに勝てるならね…」

 

 累が見せつけたその目には下弦の伍の証である『下伍』の印があった。

 




遂にここまで来れましたどうなるか楽しみにしていてください。
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