鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
今回は久しぶりのリィン視点の話となります。
今回は色々と事情があり短めです。
リィンは気を失った炭治郎を楽な体制にして寝かせると心配そうに炭治郎を見つめていた禰豆子に対して「お兄ちゃんは大丈夫だよ、疲れが出て気を失っただけだから少なくとも死んだりすることは無いよ。」と声をかけ、それを聞いた禰豆子は「んーー」と唸りながら頷きリィンの隣に座ると炭治郎をジッと見つめ、リィンは笑みを浮かべると誰かが駆けてくる音に気づいて身構えたが相手の正体に気づくとすぐに構えを解き、駆け寄ってきた彼―義勇を迎えた。
「…リィン、お前が十二鬼月を倒したのか?」
義勇はリィンに歩み寄るなりそう問いかけ、リィンは首を振ると「いや…おれがついた時にはもう決着がつく直前だった…十二鬼月を倒したのは炭治郎だよ…」と答え、それを聞いた義勇は目を見開いた。
「!そうか…まさかこれほどの速さで十二鬼月を倒すとはな…そう言えばお前イノシシの頭を被った隊士に心当たりは無いか?」
「え?いや…無いけど急にどうしたんだ?」
唐突な義勇の問いにリィンは困惑しながらそう答えつつ聞き返すと義勇は「いや…イノシシの頭を被ったやつがお前の名前をルインとかケインとか間違った挙句おれにも勝てないのにお前に勝つ!と戯けたことを言っていたから知り合いだと思ったんだが…」と答え、リィンは考え込むと炭治郎から何日か前に送られてきた手紙に嘴平伊之助という名前があったことを思い出し―善逸の名前は最終選別の後に聞いていた―口を開いた。
「…そう言えばこの前炭治郎から送られてきた手紙に嘴平伊之助って名前があったけど…多分伊之助って隊士のことだろうな…(それにしても…義勇は相変わらずの自己評価の低さだな…口数は増えたけど…あれ?)そう言えば義勇…その隊士はどうしたんだ?」
リィンは周りに他の隊士の姿が無いことに気づくとそう問いかけ、義勇はそれを聞いて思い出したように答えた。
「ああ…そいつならあの怪我で付いてこようとしてな…間違いなく付いて来られても足手まといにしかならないからロープで縛って木に吊るしてきたぞ」
何でもない風にそう答えた義勇の言葉にリィンはイノシシの頭を被った人間がミノムシ状態で木に吊るされている姿を想像し「(なんというか…シュールな光景だな…)」と何とも言えない気分で心の中で呟いた、なお実際に伊之助を見つけた医療班所属の隠達も同じ気持ちだったらしい。
そんな話をしつつリィンは炭治郎の応急処置を終わらせ、禰豆子に箱に入るように促そうとした―その時だった。
「!リィン!気をつけろ!!」
義勇が注意を促した直後、リィンはすさまじい速さでこちらに向かって駆けて来る女性―胡蝶しのぶに気づくと「禰豆子!おれの後ろに!」と叫びながら禰豆子を自身の背後に下がらせると彼女を狙っていたしのぶの攻撃を弾き飛ばして防ぎ、義勇も禰豆子を守るためにリィンの隣に立ち、それを見たしのぶは静かに口を開いた。
「…お二人とも何故じゃまをするのですか?…(天然ドジっ子の冨岡さんはともかくリィンさんまでそうする理由がわかりませんね…)ここに来るまでに鬼を一人殺して来ましたが何故お二人がその子を庇うのかわかりません…理由を教えてもらってもよろしいですか?」
しのぶはリィンに攻撃を阻止されたことに困惑し、普段の穏やかな言動が崩れているのにも構わず二人にそう問いかけ、それを聞いた義勇は「…話すべきか?リィン」と問いかけ、それを聞いたリィンは頷くと「…禰豆子を見られてしまった以上話すべきだ…それにある意味では彼女に見つかったのは幸運かもしれない…(彼女は鬼に対する怒りは凄まじいものだけど実弥に小芭内と比べればまだ話は通じる…それにお館様はこの状況を予期していた可能性が高い…どうにか彼女と交渉して味方に付けるべきだな…)」しのぶに見つかったのはある意味では幸運だったことを喜びつつそう心の中で呟き、もしも手の付けようが無いほどに鬼に対する嫌悪と殺意を持った二人のどちらかが同行者だった場合こうは行かなかったと内心冷や汗をかいていた。ここに来たのが二人のどちらかあるいは両方だった場合それこそ禰豆子どころか炭治郎まで殺されているであろうことは想像に難くなかった。
「わかった、すべて話そう…あれは確か二年前…」
義勇は炭治郎と禰豆子に会った日のことを話そうとしたがその前置きに対してしのぶはやや苛立った表情で「待ってください、もっと最近の話から手短にしてください、そんなんだから皆に嫌われるんですよ。」と容赦なく言い放ち、それを聞いたリィンは「…そんなことを言われてもおれ達が二人に最初に会ったのは二年前だからまずはそこから話さないとダメなんだ…そもそもおれはともかく義勇はそれ以来二人に会ってないから会うのは今日で本当に久しぶりなんだよ…」と困ったような表情で告げ、それを聞いたしのぶは何とも言えない表情になると義勇に対し「まあ、そうだったんですね…ごめんなさい冨岡さん、話の腰を折ってしまって…冨岡さん?」と謝罪したが義勇は何故か黙り込んでおり、リィンも「…義勇?」と呼びかけたが義勇は表情を変えずにただ一言「おれは嫌われていない」と言い放ち、それを聞いたリィンは「(それ今言うことか!?)」と困惑し、しのぶは「あぁ…ごめんなさい、嫌われているっていう自覚が無かったんですね…話を遮ってしまったことに加えて余計なことを言ってしまったみたいで申し訳ないです…リィンさん…貴方から聞かせてもらえますか?もう話を遮ったりはしませんので…」と明らかにむっとした表情の義勇からリィンに目を移しながらそう言い、リィンは何とも言えない表情で「わかった…それじゃあ二年前のことからだな…」と前置きしてしのぶに全ての事情を語り、しのぶはそれを聞くと刀を収めつつ口を開いた。
「…事情はわかりました、わたしも協力しますね…ですが今のわたしは柱としての特権はそのままですが厳密には柱ではありませんので意見するのは難しいですよ?」
しのぶは炭治郎達に味方すると決めたもののどこか難しい表情でそう告げたがリィンはすぐに「そんなことは無いと思う、しのぶさんは柱合会議への参加も許されているしそれに今のあなたの事情のことを考えると発言力は間違いなく高いはず…頼りにさせてください…」と告げ義勇も「そうだな…胡蝶が味方になってくれるのなら心強い。」と躊躇いなく答えた直後だった。
「カァァ!伝令!!伝令!!伝令アリ!!」という声と共に一羽の鎹鴉が降り立ち三人に対して「炭治郎ト禰豆子!両名ヲ本部ニ連レ帰ルベシ!!本部ニテ緊急ノ柱合会議ヲ行ウ!リィン・シュバルツァー!胡蝶しのぶ!冨岡義勇!以下三名ハ炭治郎ト禰豆子ヲ連レ本部ヘ連レ帰ルベシ!!カァァ!!」と告げ、三人はそれを聞いて頷くと義勇は禰豆子を箱に入れ、しのぶは『利剣・緋王』を、そしてリィンは気絶した炭治郎を背負うとすぐに駆けだした。
原作と違い義勇だけでなくリィンもいた影響もありしのぶさんも最初に事情を聞くことを優先したためこうなりました…因みに姉鬼は原作と特に変化はありませんでしたので割愛させてもらいました、次回から第四章―明かされる真実―へと入ります。