鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~   作:来斗

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 少し遅くなりました、今回から蝶屋敷編となります!


蝶屋敷にて

 

 炭治郎と箱に入った禰豆子は隠に運ばれながら蝶屋敷へと向かっていた。

 

「…にしても灰柱様普段は優しいからあの怒りっぷりにはマジでびびったぞ…まだ足の震えが止まらねぇ…」

 

 炭治郎を背負った男性の隠は涙目でそう呟き、禰豆子を運ぶ女性の隠も「そうですね…普段穏やかな人ほど怒ると怖いとは聞きますがリィン様も正にそう言う方でしたね…」とぼやいており、すぐに男性の隠が「なぁ…灰柱様を怒らせた奴は何を言ったんだよ?妹さんと恋人のことでやらかしたってのは解ったけど…」と炭治郎に問いかけ、炭治郎は何とも言えない表情で「…妹さんと恋人を醜女呼ばわりして怒らせたそうです…」と答え、それを聞いた男性の隠は「…そりゃあ…怒るよな…」とぼやき、女性の隠も「大切な人をバカにされたら当然の反応ね…」と呟き、その後三人は何とも言えない気持ちのまま蝶屋敷へと向かって行った。

 

―蝶屋敷―

 

 炭治郎達は蝶屋敷に辿り着き、玄関に入ると隠は「ごめんくださいませー」と呼びかけたが誰も現れず、彼らは庭の方に向かいその途中男性の隠が炭治郎に「そう言えばお前、適合者の力を使ったって言うけどどんな感じなんだ?誰なのかは知らないけど前に見つかった適合者が初めて力を使った時は動けなくなったって聞いたぜ?多分身体が力に慣れてないからだろうけど…」と問いかけ、それを聞いた炭治郎は「はい…実は今どうしても力が入らなくて…歩くのは勿論ですけど、全集中の呼吸を使うのもつらいんです…」と珍しく弱気な調子で答え、隠は「まぁ取り合えず無理はすんなよ?今のお前はある意味で柱と同じくらい鬼殺隊にとって重要な存在なんだからな?」と言い、それを聞いた炭治郎が「はい…肝に銘じておきます…」とぼやいたすぐ後だった。

 

「あ!誰かいましたよ!」

 

 女性の隠の言葉を聞いた炭治郎はすぐにそちらに目を向けた、そこには一人の少女の姿が有り、その周りにはたくさんの蝶が舞っており、炭治郎は「(確か…最終選別の時の…まるでおとぎ話の中からそのまま出てきたような…不思議な光景だ…)」漠然とした感想だったがはっきりとそう感じた炭治郎は彼女から目が離せず、隠が「確か継子の方だな…名前は栗花落カナヲ様だ」と彼女の立場と名前を告げたのを聞いた炭治郎は「(栗花落…カナヲ…そう言えば…)あの…継子って何ですか?」と問いかけ、それを聞いた隠は呆れたように口を開いた。

 

「いや知らないのかよ…と言うかここでの治療が終わったらお前は灰屋敷に行くんだし、そうでなくても短い間とは言え灰柱様に技を習ったお前も一応は継子に当たるんだよ…退院したら正式にそうなるけどな…継子ってのは柱が直接育てる隊士のことだ。胡蝶様は今は柱を退かれていらっしゃるが何らかの形で柱に欠員が出てしまった時は復帰なされる…その条件で退かれたからこそ本来は柱の特権である継子を育てることができるんだそうだ…話が少しずれたな。とにかく継子ってのは本当に優秀じゃないと選ばれないんだよ。まぁ十二鬼月を倒したお前は十二分に優秀だよ、それだけは変えられない事実だからな」

 

 男性の隠が炭治郎をフォローする中、女性の隠はカナヲに「胡蝶様の申しつけにより怪我人をお連れしたのですが…」と声をかけたが、カナヲはただ無言でニコニコ笑うだけで一言も喋らず、三人共途方に暮れそうになった直後「どなたですか!!」と言う怒鳴り声と言ってもいいレベルの声が聞こえ飛び上がりそうになりつつ振り向いた、そこには鬼殺隊の隊服の上に上着を着た如何にも真面目な雰囲気を纏った少女の姿が有り、彼女は背負われた炭治郎に気づくと「隠の方でしたか、怪我人ですね、でしたらこちらへどうぞ」と立て続けに言うとすぐに屋敷の中へと先導し、隠は彼女を慌てて追いかけ、そんな三人の背をカナヲはずっと見守っていた。

 

―病室―

 

「…炭治郎大丈夫かな…」

 

 入院してから善逸はずっとそう思っていた、と言うのも善逸自身も毒を喰らいはしたがすぐにキュリアの薬(試作品)を飲んだ事もあり他の蜘蛛となってしまった隊士と違い体の痺れと異常な疲労と脱力感以外にこれと言った異常はなかったことから比較的他人を心配する余裕はあった、とは言え毒を喰らってしまったのは事実の為大事をとって暫くは検査入院と言うことになっていた。

 

「…多分裁判にかけられてるんだろうな…そうでなかったらとっくにこの部屋に来てるだろうし…あの時の…九重って名前の隠の人も言ってたけど炭治郎ってすごい難しい立場だし…っておれ炭治郎の心配ばかりしてるな…」

 

 善逸自身比較的余裕がある為か自分よりも炭治郎の心配が勝ってしまっていた、そんな中だった。

 

「新しい患者です!」

 

 そう言いながら医療班の事実上のナンバーツーとも言える人物である神崎アオイが二人の隠とその片割れに背負われた炭治郎と箱に入った禰豆子を連れて現れ、それを見た善逸は「炭治郎!?大丈夫だったの!?禰豆子ちゃんも無事だよね!?」と叫びながら炭治郎に歩み寄り、それを聞いた炭治郎はどうにか笑いかけた。

 

「善逸も…大丈夫そうでよかったよ…それと…禰豆子も無事だよ。おれ達二人ともボロボロだけど…」

 

 炭治郎の言葉を聞いた善逸は苦笑いすると「炭治郎よりはましだよ…毒は喰らったけど渡してもらった薬のおかげで毒の影響は少なかったし…聞いたよ…十二鬼月を相手にしたって…」と答え、その話を聞きながら炭治郎はベッドに寝かされながら隠に「ありがとうございます」と礼を言うとすぐに「そう言えば、村田さんと伊之助は?リィン教官の話で伊之助は無事だって知ってるけど…」と聞くと善逸はすぐに「その村田って人のことは知らないけど伊之助だったら最初からそこにいるけど…」と言いながら炭治郎の隣を見やり、炭治郎も善逸に倣ってそちらに目を向けるとベッドの上で物凄く大人しい伊之助の姿が有り「うわ!本当にいた!なんかあまりにも静かだったし気づかなかった!!」驚いた炭治郎はそう叫びすぐに謝罪の言葉に移った。

 

「伊之助!本当にごめん!あいつと一人で戦わせちゃって大変だっただろうに…駆けつけられなくて本当にごめん!!」

 

 炭治郎は何度も謝り、やがて伊之助は静かに口を開いた。

 

「…イイヨ…オレナンカヨリ炭治郎ノホウガ大変ダッタンダカラ…気ニシナイデ…」

 

 伊之助の声はやたらかすれており、いつもの強気な様子が一切感じられずそれどころかいつもだったら間違われる炭治郎の名前も正しくなっており炭治郎は困惑した。

 

「(えっ?伊之助…何があったんだ?)」

 

 炭治郎の困惑に気づいた善逸は「なんか知らないけどのどやっちゃったみたいでさ…」と答え、人伝に聞いた伊之助発見時の様子を話し始めた。

 

「なんでかわかんないけどロープでぐるぐる巻きにされた挙句木に吊るされてたんだって…それで喉痛めたところに大声出してそれがとどめになったみたい…後なんでか知らないけど今のおれじゃどうやってもリィンってやつに勝てない…とかおれは弱い…ってうわ言みたいにずっとぼやいてるんだよね…なんか凄く落ち込んでるからだろうけど妙に大人しいし…」

 

それを聞いた炭治郎は少し考えこむと「よし!決めた!善逸!退院するまでの間おれ達二人が全力で伊之助を慰めよう!!」と言い放ち、善逸は困惑し「え?今から?」と困惑する事になり、そのまま改めて入院生活が始まることとなった。

 

―その日の夜…―

 

「ヒノカミ神楽…ヒノカミ神楽…ダメだ…どの資料にも載ってないな…」

 

 リィンは炭治郎の鎹鴉から聞かされた情報を基に耀哉から許可を得て持ち出した鬼殺隊の歴史の資料を―特に戦国時代を中心に調べていた。

 

「(炭治郎がヒノカミ神楽の呼吸で技を出せたということはヒノカミ神楽の呼吸は全集中の呼吸に限りなく近い…或いはそのものということになる…何らかの理由で失われた技が神楽として伝わっていた?…ありえない話じゃない、おれたちの世界の東方に見られる剣舞なども元をたどれば失伝した技が基になっているということも珍しいけどそう言った例があったしあり得ないことではないはず)…うん?この人物は…」

 

 リィンはヒノカミ神楽について調べるうちにある人物の名を見て思わず手を止めた…その人物に関する資料はまるで消されたかのように少なく資料の隅にひっそりと注意しなければまず気づけない物だったがそれでもリィンはその人物の名から目を離すことができず、リィンは彼の名を心に刻みつけるかのように読み上げた。

 

「継国…縁壱…」

 

 何の根拠もない物だったがリィンにはこの人物こそが全ての鍵を握っていると、そう思わずにはいられなかった。

 





 読んでいただきありがとうございます、蝶屋敷編は原作との差が大きくなる話の一つとなっていますので楽しみにしていてください。
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