鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
しばらくは日常回と修行回です自分が割と突っ込み体質だからかまともな突っ込みを入れてる時の善逸は書きやすかったりします。
蝶屋敷での入院生活はある意味で鬼殺隊に入ってから一番穏やかな日々ではないか、身もふたもない言い方かもしれないが少なくとも炭治郎と彼の内にいる《C》はそう思っていた。
『なんて言えばいいかわかんねーけどこれを期にゆっくり疲れを取ろうぜ』
《C》は彼なりの気遣いでそう言っており、炭治郎は「(それには同感ですけど…どうして会議の時は出てこなかったんですか?)」と問いかけると《C》はバツの悪そうに答えた。
『あー…悪かった…あの山ではずっと話してたし、何なら力も加減無しで使っちまっただろ?あれのせいで暫く出れなくなっちまったんだよ…とは言え今回の件でお前の身体も力に慣れただろうし今後はいつ使っても構わねーよ…まぁ体力的にヤバそうなときは例外だけどな』
それを聞いた炭治郎は「(ありがとうございます)」と答え、それからは比較的穏やかだったが任務とはまた別の辛さがあった。まず、炭治郎は普段は暇を潰せるようにと支給された小説―元々はリィンの物を翻訳した物らしい―を読んでいたが、三人の中では一番重傷だったことから時折来る痛みに苦しみ…善逸は一番軽傷だったものの万が一を考え一日二回解毒剤(恐ろしい程不味い)を飲むことになったためそのあまりの不味さに「この薬を一日二回飲まないとダメなの!?と言うか一回目飲んだっけ!?誰か教えてくれよぉぉぉ!!」と騒ぎまくり…伊之助は「ゴメンネ…ヨワクッテ…」と落ち込みまくり、それを見た炭治郎と善逸は「伊之助は十分強いだろ!我流で二刀流なんて本当にすごいってわからないのか!?」「ほんとそうだよ!お前は頑張ってる上に天才なんだからこれからも頑張ればいいんだって!!」と二人で両側から全力で励ましていた。そんな日々が続く中、ある人物がお見舞いに訪れていた。
「あっ!村田さん!」
炭治郎は彼の姿を見て笑顔で呼びかけ、それを見た村田は「よっ…無事とは言えないけど…五体満足でよかったよ」と言い、それを聞いた炭治郎も「いえ、元気そうで良かったです…調子はどうですか?」と聞いたが村田は一瞬にして死んだ魚の目になると「…あの後那田蜘蛛山の事で柱合会議に呼ばれたんだけど地獄だった…灰柱様と恋柱様は優しかったけど他の柱は怖すぎだよ…最近の隊士は質が落ちてるとか那田蜘蛛山の任務の時も命令に従わないで独断専行する奴もいたし育手が誰かとか言われてさ…マジできつかったよ…ってそうじゃなくて…これその灰柱様からお見舞い、皆で食べるようにって…自分で来たかったけど忙しくて来れないみたいでさ…」と一通り愚痴を言った後にリィンから渡されたバームクーヘンが入った袋を炭治郎に渡し、炭治郎は「ありがとうございます」と答え、村田は「それから…お前が助けた隊士…尾崎から伝言、助けてくれてありがとう…それからしばらくは休んで考えたいって…鬼殺隊を辞めるか続けるか…とにかく暫くしたらまた改めてお礼をしたいってさ…」それを聞いた炭治郎が「そうですか…でも助かってよかったです」と少しだけ沈んだ表情で言い、それを聞いた村田も「そうだな…」と言った直後満面の笑みを浮かべたしのぶが「こんにちは」と入ってきた直後村田は「あっ!失礼しました!さよなら!!」と叫ぶとそそくさと逃げるように帰っていき、しのぶはすぐに「身体の具合は大丈夫ですか?」と問いかけ、炭治郎は「はい、痛みももう引いたので普通に歩くだけなら大丈夫です」と答えるとそれと同時にしのぶはトボトボとどこかへ向かう伊之助を見ると「善逸くんは後三日だけ様子を見た方がよさそうですが炭治郎くんと伊之助くんは大丈夫そうなのですぐにでも機能回復訓練に移りましょうか」それを聞いた炭治郎は「…きのうかいふくくんれん?」としのぶの言葉をオウム返しにした。
―二日後の夕方―
善逸は一人恐怖に震えていた。と言うのもここの所機能回復訓練なる物に取り組んでいる炭治郎と伊之助が今にも死にそうな様子で病室に戻るなり何も言わずにベッドに潜り込むというそんな日々が続いていたため善逸は現実逃避気味に炭治郎に支給された小説を炭治郎に借りて良いか確認したうえで読んでいたが殆ど内容が入ってこなかった。
「あんな美味しいお菓子食べた後訓練に行って戻ってきた二人が倒れるって本当に何があったんだよ…」
善逸は今日も倒れるようにベッドに入った二人の様子を見て放心気味に「さようなら現世…こんにちはあの世…」と傍から聞いていれば訳のわからない言葉を呟き、次の日の朝、善逸が参加する日になっても震えたままだった彼は炭治郎の服の裾を掴みながら付いて行きアオイから訓練の内容を聞くことになった。
「善逸さんは今日から訓練参加となりますので改めてご説明させていただきますね」
そう言うとアオイはまず、なほちゃん、きよちゃん、すみちゃんの通称蝶屋敷三人娘がいる場所を示した。
「まずは入院生活で固くなった身体をあの子たちが全力でほぐします、痛みはあるでしょうけど必要なことですので我慢してください」
アオイは続けて幾つかの湯飲みが置かれたテーブルとそこに座るカナヲを示した。
「その次は反射訓練です、湯飲みの中には薬湯が入っています。その薬湯をかけ合うのですが…湯飲みを持ち上げる前に抑えられた場合は動かすことはできないという事をしっかりと覚えておいてください」
そしてアオイは最後に自分を示しながら続けた。
「最後は全身訓練です、わかりやすく言えば鬼ごっこですね、私アオイとあちらのカナヲがお相手します」
それを聞いた炭治郎と伊之助は相変わらず憂鬱な表情だったが善逸はどこか冷たい声で「すみません、ちょっと時間もらっても良いですか?すぐ戻りますので」と言いアオイは「すぐに戻るのでしたら構いませんが…」と言い、それを聞いた善逸は「ありがとうございます…来い、二人とも…」と告げ炭治郎は「?」と疑問符を浮かべ、伊之助は「行かねーよ…」と答えたが善逸は「いいから来いっつてんだろうがァァァ!!」と凄まじい表情で叫ぶと驚いて固まった炭治郎と伊之助を訓練場の裏まで引きずって行った。
「お前らァ!言いたいことは色々あるけどまずは正座しろ!!このバカども!!」
怒れる善逸をこれ以上刺激するのはまずいと感じた炭治郎は言われた通りに正座したがバカと言われた伊之助は「誰がバカだ!この―」と言い返そうとしたが善逸は渾身の右ストレートを伊之助の顔面に叩き込み、それを見た炭治郎は殴り返そうとする伊之助を抑えながら「何やってるんだよ善逸!伊之助に謝れ!!」と叫んだが善逸は遂に怒り狂った。
「謝れ!?それはこっちのセリフだよ!!女の子と毎日キャッキャウフフって感じで天国みたいな環境にいたのに何地獄にいたような表情になってんだよ!!土下座して謝れよ!でなきゃ切腹しろ!!」
あまりの物言いに炭治郎はすぐに「なんてこと言うんだ!!おれ達がどれだけきつかったと思ってるんだ!!」言い返したが善逸は目が飛び出さんばかりの形相で叫んだ。
「黙れ!この怪物デコ真面目が!!まず一つ言わせろ!!お前十二鬼月と戦ったつってたけどその時の方が普通に地獄だろ!!痛みがやばくても合法的に女の子に触れるのはどう考えても天国だろ!!それにお前はこの前リィン教官の期待に応えたいとか言ってたろ!?十二鬼月に勝ったってのにこんなとこで躓いてる時点で応えられると思うか?それに女の子の身体一人につきおっぱいもお尻も太ももも二つずつ付いてんだよ!すれ違えばいい匂いだし見てるだけでも楽しいだろうがぁぁ!!」
善逸の言葉はまともな言葉とアレなセリフが混ざっていたがまともなセリフを聞いた炭治郎はハッとした表情になった。
「!(そ…そうだ!他のセリフは兎も角、確かに善逸の言うようにこんなところで躓いていたらダメだ!おれは長男だ!!この程度の痛み耐えられないとダメじゃないか!!リィン教官!鱗滝さん!!おれ頑張って見せます!!)」
邪な言葉が殆どだったが数少ないまともな言葉をきっかけに炭治郎の心に火が着き、善逸とは違う一切の下心無しに頑張ると決めたのと同時に一連のやり取りを見た《C》は『やる気出してくれたようで何より…(まぁ心情としては善逸の言うこともわかるけどな)』と言う風にある意味邪なことを考えていたもののやる気を出した炭治郎を見てうんうんと頷いていたが伊之助は善逸に対して「わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ!!自分より体小さいやつに負けるとか心折れるんだよ!!」と叫び返し、善逸は「やだ可哀想!!そう言えば伊之助って山育ちだから女の子と仲良くしたことないんだったね!あー可哀想!!」完全に煽るような口調で言い返し、伊之助も遂にキレた。
「ハア!あるわ!!おれなんか子供の雌踏んだ事あるわ!!」
伊之助は何時かの鼓屋敷でのことを引き合いに言い返したが善逸は「それは最低だよ!人として終わってるわ!!」とリィンとのことを除けば唯一正しいことを言い放ち、それを余所に炭治郎は先に訓練所に戻り、二人はそれに気づかずに言い争いを続けていた。