鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~   作:来斗

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 前回の予告通り炭治郎視点に戻ります、スイッチ版『黎の軌跡Ⅱ』発売まで二週間なので楽しみにしています。


心に秘められた闇

 

―一週間後―

 

 

 全集中・常中の修行を始めて一週間がたった夜、炭治郎は蝶屋敷の屋根の上で瞑想を行っていた。

 

『今日も頑張ってるな…進んで手伝ってるおれが言うのもなんだけど、偶には休んでもいいんじゃね?』

 

 ここ最近修行を休まずに行う炭治郎に対して《C》は彼なりの気遣いでそう問いかけた、因みに《C》の手伝いと言うのは走り込みの際に不定期に自身の力を流し込むことで炭治郎が力に慣れる手伝いをするという物だった。事実として昨日の訓練では三分間力を持続させられるようになっており、同時に炭治郎の素の身体能力も上昇していた。

 

「(ありがとうございます…でもおれがまず最初に全集中・常中を覚えて二人に教えたいんです…適合者の力と違ってこの力なら二人でも使えますから…それにおれは《C》にも感謝してるんです)」

 

 炭治郎の言葉を聞いた《C》は『感謝してるって…リィンの方が力になれてるだろ?それにおれは…お前に対して胸張って向き合えるような生き方をしてたわけじゃねぇんだよ…』何処か影を感じさせるような様子でそう呟き、炭治郎はそれを聞いてある事に気づいて考え込んだ。

 

「(…そう言えばおれってリィン教官の事だけじゃなくて《C》の事もよく知らないんだよな…《C》はリィン教官の事を昔から知ってるような感じだけどあまりその事は話してくれたことは無いし…)」

 

 炭治郎の思考に対し《C》はすぐに考え込むと『あー…そうだよな…リィンの奴がああ言ってんのにおれが何も明かさないってのは不公平だよな…炭治郎…この前リィンがお前に全部教えるって約束してただろ?もののついでってやつだ、おれもその時が来たら教えてやる…だから今は修行に専念しな…まあ最近の出来事を振り返りながらでもバチは当たらないだろ…それにそうすることで意外な課題が見えたりするしな』と言い炭治郎は「(わかりました)」と言うと《C》の言うようにここ最近の出来事を思い出しながら瞑想に入った。

 

「(最近の出来事かぁ…そう言えば折角十二鬼月に勝てたのに血を採れなかったのは本当に申し訳なかったな…この前珠代さんの猫がおれを責めるように見てたし…)」

 

『…師弟揃って猫に責められるってのは最早運命なのかもな…』

 

 炭治郎の心の声を聴いた《C》はリィンと関りがある猫―もといセリーヌの事を思い出しながら黄昏た表情になりつつそんなことを呟いた、因みに彼女がこのやり取り聞いていたら「あたしは猫じゃないわよ!!」と即座に否定の言葉が飛んで来るであろうことは想像に難くなかった。

 

「(それに十二鬼月に勝てたとは言っても殆ど満身創痍だったからもしも《C》がいなかったら多分…いや、間違いなくおれは死んでた…頸を斬り落としてない事を見抜けたのもリィン教官の助言が有ったから気づけただけでおれの力で勝てたわけじゃないんだ…だからもっと先を目指さないとダメなんだ…刀だって折ってしまったし鱗滝さんはもちろんだけど鋼塚さんにも申し訳な…)」

 

 そこまで考えた所で炭治郎の脳裏に鱗滝だけでなく鋼塚の姿が現れ、彼は包丁をギラつかせながら「よくもおれが打った刀を折りやがったな…」と凄み、それを幻視した炭治郎は冷や汗を掻きながら「(鋼塚さんホントにごめんなさい)」と謝罪し、《C》も『…リィンのフォローで止まったとは言えあのままだったら絶対に怪我人が出てたよな…』と何とも言えない表情で呟いた。そんな中炭治郎の背後から「もしもし」と言う声が聞こえ、炭治郎は「ハイッ!?」と驚きながら振り向くとそこにはこの屋敷の主である胡蝶しのぶの姿が有り、しのぶは炭治郎に近づくと「こんばんわ、今日も頑張っていますね。お友達二人は遊びに行ってしまったのに…一人で寂しくは…と思いましたが、わたしには聞こえないだけでもう一人いるんですよね」と言いながら炭治郎の隣に座り、「アオイは怒ってますけどわたしは時々なら息抜きも悪くないと思っていますので偶には休んでも良いと思いますよ?」と何処か冗談めかした様子で炭治郎に話しかけたが炭治郎は「いえ、休むのは常中を習得して二人に教えてからにしようと思っていますので!」と迷いなく答えるとしのぶは「…君は心が綺麗ですね…」と穏やかながら何処か炭治郎に別の誰かを重ねているかのような表情で呟き、《C》もそれを聞いて『ホント…おれなんかが相棒でいいのかって思うくらいにはな…』とかつて自分がしてきたことを思い出しながら自嘲気味に呟き炭治郎はその言葉の意味が気になったが話すと約束していたことからすぐに頭の隅に追いやるとしのぶに意識を向けると気になっていたことを問いかけた。

 

「…どうしてあの時…おれ達の弁護を引き受けてくれたんですか?」

 

 炭治郎は柱合裁判においてしのぶが全面的に自分の味方になってくれた理由が気になっていたこともあってそう問いかけ、しのぶは考え込むと静かに答えた。

 

「…そうですね…リィンさんに頼まれたからと言うのもありますが…一番の理由は君があの人に…亡くなったわたしの姉に少し似ていたからです…」

 

「しのぶさんの…お姉さん…ですか?」

 

 炭治郎の問いにしのぶは頷くとゆっくりと話し始めた。

 

「…わたしの姉も君と同じでとても優しい人で鬼殺隊でありながら鬼に同情していました…自分が死ぬその間際ですら…」

 

 しのぶは一瞬黙り込んだがすぐに続けた。

 

「リィンさんから君は人の感情がわかるほどに嗅覚が鋭いということは聞いています…だから君はわたしが抱える怒りにも気づいているでしょう…鬼に姉を殺されたあの日からわたしと同じように鬼に大切な人を奪われた人々の悲しむ姿を見たり絶望の叫び声を聞くたびにわたしの中の怒りは抑えようがない程に燃え上がり蓄積されるのが嫌と言うほどわかるのです…大半の柱もそれは同じ…先ほどわたしは姉が鬼に対してどう思っていたのかを話しましたが…わたしはどうしても姉のような考えは持てなかった…人を殺した挙句、喰らいつくしておいて可哀想?…わたしには本当にバカな話にしか聞こえなかった…」

 

 しのぶは炭治郎に対して自身が抱えることを躊躇わずに話し続け、炭治郎は何も言葉が出なかった。

 

「…でもわたしは姉の思いを継がないといけない…鬼を斬らなくて済むならその方法を考えなくては…でも…少し疲れてしまったんです…炭治郎君…君はどうか禰豆子さんを守ってあげてね…君が頑張ってくれているというだけでわたしも少しだけ気持ちが楽になるから…」

 

 しのぶは立ち上がるとふと思い出したように口を開いた。

 

「それと炭治郎君、これはリィンさんから聞いた話ですが…適合者の力そのものを使えるのは適合者の方だけですが適合者の方が心の底から仲間と認めた方々もある程度は恩恵を受けられるそうですよ」

 

 そう言うとしのぶは屋根から飛び降り、炭治郎は修行を続けるために一層気合を入れることとなった。

 

「よし!頑張ろう…?《C》?どうしたんですか?」

 

 しかしいつもだったらなんだかんだ言いながらも同意してくれる《C》は何も答えず、炭治郎はそう問いかけると《C》は慌てたように『あ!ああ…悪い…ちょっと考え事をしててな…すぐにでも続けようぜ…』と答え、炭治郎は困惑したがすぐに「ええ…」と答えると瞑想の続きに入ったが《C》はしのぶから感じた違和感について考え込んだ。

 

『(…あのしのぶって姉さん…こう言ってたよな…『わたしには聞こえないだけでもう一人いるんですよね』…他の適合者は知らねぇけどおれの推測が正しけりゃおれの声が聞こえるのは炭治郎を除けばアークスで炭治郎とリンクした奴に他のライザー…つまり普通は『もう一人いるんでしたよね?』と言った感じで質問するような言い方になるはずだ…おれの存在を知るにはリィンから聞くしかねぇしほとんどの柱は信じねぇし信じたとしても疑問は残るはずだ…けどまるで最初からおれがいるって確信持ったような口調だった…リィンと適合者の言葉以外におれの存在を証明する方法は無い…つまりは…)そういう事かよ…抜け目が無ぇな聖女様(・・・)は…』

 

 《C》はある人物の存在に気づくとしのぶが去って行った方向を見ながらそう呟いた。

 

 

―蝶屋敷・裏庭―

 

 

 炭治郎の下から離れたしのぶは裏庭で訓練用の案山子相手に西洋で言う所のエストックのような形状の刀を構えると目にも止まらぬ速さで連続突きを放つと深呼吸し、案山子に空いた九つの穴を見た。

 

「…ふう…わたしもまだまだ未熟ですね…もっと速く鋭くしないと…」

 

 しのぶは俯きながらそう呟き、再び日輪刀を構えた時だった。

 

『そうでしょうか?わたしは中々の腕だと思いますよ?これだけの速さの剣士はわたし達がいた世界にもそういませんでしたから』

 

 しのぶの隣に長い金髪で中世ヨーロッパの物とよく似た鎧を身に着けた女性が姿を見せ、彼女はしのぶの速さに称賛の言葉を贈ったがしのぶは俯きながら彼女の―リアンヌ・サンドロッドの言葉に答えた。

 

「…ありがとう、リアンヌ…ですがまだまだです…わたしはもともと柱でしたがただ一人鬼の頸を斬る事が出来ない…だからこそあの鬼を…姉さんの仇を討つためにもわたしはまだ止まれないんです…」

 

 しのぶが柱から退いた理由…それは銀の騎神・アルグレオンの仮初のライザーに選ばれた事ともう一つはそれ故に元々実行しようとしていた手段では姉の仇を討てなくなった為だった、だからこそしのぶは一人ではなくカナヲと二人で姉の仇を討つために自身が操る毒に加え、アルグレオンの本来のライザーであるリアンヌの技を少しでも自身の物にする為にこうして死に物狂いとも言える修行を時間の許す限り続けていたのだった。彼女の様子を見たリアンヌは『そうでしたね…』と悲し気に呟くと炭治郎達がいる屋根の上に目を向けると『(炭治郎…あの子の弟子である貴方がせめてしのぶの心の支えとなってくれるであろう事を祈らせて下さい…)』と物憂げに見つめていた。

 

 

 





 気がついたらしのぶさんが原作以上に鬼気迫る感じに…元々銀はしのぶさんと決めていましたが強化されると同時に原作以上に影が強くなったような感じですね…次回は炭治郎の修行の成果とリィンの視点の話を少しだけ出そうと思います。
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