鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
しのぶと話をした次の日、炭治郎は蝶屋敷三人娘に布団叩きを持って協力を頼んでいた。
「三人に頼みたいんだけどおれが寝てる間も全集中の呼吸を続けるけど、もしも途切れたらおれの事を全力で叩いて起こしてほしいんだけど頼めるかい?」
炭治郎の言葉を聞いた三人は異口同音に「「「はい!任せてください!!」」」と元気一杯と言う様子で答えた。その後炭治郎は布団に潜り、最初の頃こそ全集中の呼吸が出来ていたものの程なくして普通の呼吸に戻り、そうなったらすぐに三人娘が一斉に炭治郎を叩き、叩かれた炭治郎が起き上がり、再び修行に戻る、そんな日々が続いて数日経ったある日、炭治郎は例の瓢箪に挑戦することになった。
「では…行きます!!」
炭治郎は意を決すると躊躇いなく瓢箪に息を吹き込み、その様子を三人娘も《C》も固唾をのんで見守り、三人娘は「「「頑張れ!!」」」と口を揃え、《C》も『お前ならできるぞ!あと一息だ!』と彼にしては珍しく力強く言い放った。そしてその時が遂に訪れた。瓢箪から軋むような音がし直後に『バンッ』と大きな音を立てて瓢箪が破裂し、それを見た炭治郎は一瞬惚けた表情になったが直後「わ…」「「「「割れた―――!!」」」」と三人娘と炭治郎は飛び上がりながら喜び、《C》も『よぉし!やったじゃねぇか!炭治郎!!』と満面の笑顔で叫び、五人はやんややんやの大騒ぎだったがそんな様子を物陰から見ていた善逸と伊之助は「「気まずい…」」と顔を青ざめさせながらボヤキ、《C》が『うん?おい、あれ善逸と伊之助じゃないか?』と炭治郎に言い、炭治郎も二人に気づくと「オーイ!善逸!伊之助も一緒に特訓しないか?」と手を振りながら言ったが善逸は伊之助に対し「…なあ…あんなこと言ってるけど…どうする?」と聞いたが伊之助も「悪い…あの中に入って行けそうにねぇ…」とぼやき、善逸も「だよな…」とだけ言うと二人は気まずそうな様子で姿を消してしまった…最もこのすぐ後にしっかりと訓練するべきだったと二人は余計に後悔することとなった…
―数時間後…―
炭治郎はすぐにカナヲとの訓練に移った。鬼ごっこでは終始カナヲと互角でその上で炭治郎には冷静に思考する余裕すらあった。
「(相変わらず速い!けど追いつけない程じゃない!全集中の呼吸も丸一日ずっとはまだできないけどできる時間はかなり伸びたしそれに《C》の裏ワザのおかげで全集中の呼吸無しでも基本的な身体能力も向上しているから行けるはずだ!)」
炭治郎はカナヲが一瞬だが隙を見せたのに気づくとその隙を逃さずにカナヲの腕を捉え、それを見たカナヲは明らかな動揺を見せた。暫く沈黙が流れたがやがてわっと三人娘の歓声が沸き、カナヲの表情はこれまで目に見える変化が無かったのが嘘のように何処か戸惑った表情になっていた。更に続く反射訓練でもそれは同じで炭治郎の速さは完全にカナヲと互角だった。
「(まだだ!もっとだ!もっと速くするんだ!!)」
炭治郎は自身にそう言い聞かせながら一進一退の攻防を繰り広げ以前と違いカナヲに対しても一歩も引かず、ついにその瞬間が訪れた。炭治郎の手がカナヲよりも速く湯飲みを掴みカナヲの手が止めるよりも速く炭治郎の手が湯飲みを持ち上げた。
「(よし!抜いた!!後はこのまま―)」
そのまま炭治郎はカナヲに薬湯をかけようとした時だった。
「この薬湯凄く臭いから…かけたら可哀想だよ」
突如炭治郎の中の理性がそう囁き、炭治郎は咄嗟にブレーキを掛けるとカナヲの頭にそっと湯飲みを置き、カナヲはきょとんとした表情になった反面、三人娘はわっと沸いた。
「やったー!勝ったー!!」
「かけたんじゃなくて置いたんだけど良いのかな?」
「かけるのも置くのも一緒だよ!それに普通にかけるよりも難しい気がするし」
三人娘がそう言うように、《C》も『ははははは!!堅物かと思ってたけどお前も中々隅に置けねぇじゃねぇか!相棒!!それはそれとしてやったな!!』とからかい六割、祝福四割で炭治郎を称賛し相変わらずきょとんとしたカナヲを除いた面々で半ばお祭り騒ぎだったがそれを見ていた二人―善逸と伊之助は先ほどとは比べ物にならない程の冷や汗を掻きながら「「ヤバイ…」」とサボって遊びに行ったことを心の底から後悔していた。
―暫くして…―
自分達がサボって遊びに行っていた事を本気で後悔した善逸と伊之助は炭治郎に全集中・常中のコツを教わっていたが炭治郎に置いて行かれた焦りと罪悪感から全く身に付く気配が無く、善逸は勿論伊之助ですら今回ばかりは完全に自分達が悪いと泣きながら後悔していた。最もこれについては炭治郎自身、人にものを教えるのが恐ろしい程下手だという事情もあり落ち込む二人を見た《C》が『…炭治郎にも問題はあるんだけどな…』と何とも言えない表情で呟く中、思いもよらない助っ人が現れた。
「炭治郎君が説明したと思いますがこの技術は全集中・常中と言う技です。寝てる間も含めて全集中の呼吸を四六時中行うことにより基本的な体力が飛躍的に上がります。炭治郎君は適合者なので一般的な隊士よりも速く習得できましたが出来て当然の技ではありますが相当な努力が必要ですよね!」
そう言いながら炭治郎の背後に姿を見せたのはしのぶで、彼女は笑顔で伊之助に近づくと「まあ
「ハア!?ざっけんじゃねぇぞ!!当然できてやるっつーの!それ以上舐めた言い方すると乳もぎ取るぞゴラァ!!」
それを見たしのぶは今度は善逸に歩み寄り、彼の手を両手で握ると「頑張ってください善逸君!
『…やっぱしのぶさんっていい性格してるよな…』
「…そうですね…」
これまでの遅れを取り戻すかのようにやる気を出した二人を見た《C》と炭治郎はしのぶの口のうまさにそうぼやいていた。
『(正直わたしもそう思っています…)』
そうぼやく二人に対してリアンヌも密かに同意していた。
―一方その頃…―
しのぶの口車に乗せられた二人がかつてない程のやる気を出している頃、リィンと玄弥は悲鳴嶼が見守る中基本的な修行の集大成とも言える模擬戦を行っていた。玄弥の動きは相変わらず剣術の才能は全く感じられなかったがそれ以外は格段に良くなっており、リィン自身は三割程の実力に抑えてはいるものの善戦できるほどの技術は身についていた。
「(思った通り…玄弥は剣士よりも猟兵向きと言う予想は当たっていたみたいだ)」
リィンは炭治郎とはまた違うタイプではあるものの確かな成長を見せる玄弥に感心しつつ木刀を振るい、玄弥もそれを受け止めつつ自分の確かな上達を確信していた。
「(最初に戦った時よりも間違いなく上手く戦えてる!リィンさんの本気はこんな物じゃないことは痛いほどわかるけどそれでも間違いない!)」
玄弥はこれまでリィンに教わった猟兵向きの戦い方に悲鳴嶼から習った技術である反復動作を組み合わせることでリィンの動きに食らいつきつつ戦闘していた。
「(前に戦った時の玄弥は守り一辺倒だったことを考えると十分に強くなっている…後はおれが見よう見真似で教えた
リィンと玄弥は鍔迫り合いの末に隙をついた玄弥は如何にか飛びのくとリィンの攻撃をかわし、それを見たリィンは笑みを浮かべると「全力でくるんだ」とだけ告げ、玄弥はその意味を理解すると「はいっ!」と力強く答え全身に力を込めた。
「(全身に力を込めろ…)ハァァァァァ…!」
玄弥はリィンに言われたことを思い出しながら全身に力を込めつつ次の段階に進めた。
「(そしてそのまま限界まで込めて…一気に爆発させる!!)ハァーーーー!!」
玄弥は溜めた力を一気に解放すると先ほどとは比べ物にならない程の速さでリィンに迫り、続けざまに銃を抜くと立て続けに射撃しリィンは躱したがすぐ傍まで玄弥は迫っておりリィンは自身の木刀で咄嗟に玄弥の木刀を防いだが不安定な体制もあり防ぎきれずに弾き飛ばされたそれは離れた場所に落下した。
「…よく頑張ったな…玄弥…」
リィンは玄弥にそう言い、玄弥は一瞬惚けたがすぐに結果を悟ると「か…勝った…?」と困惑したが直後にふらつき、リィンがすぐに受け止めた。
「大丈夫か?」
そう問いかけたリィンの問いに玄弥は「はい…なんとか…」と答えると立ち上がり、リィンは玄弥がふらついた原因を踏まえたアドバイスを始めた。
「玄弥が習得した技術は『ウォークライ』と言う技術だ…この技はとある猟兵団…わかりやすく言えば雇われ兵士とかそういう人たちが使う技だ。人によってどう言う結果が出るかは少し違うけど…玄弥の場合は身体能力の向上と言う結果だな…けどこの技は身体への負担が大きいから実戦では仲間が近くにいる時かここぞと言う時にだけ使うように…それから武器は刀よりも西洋の剣の方が玄弥には合っていると思うから強制はしないけど考慮してみると良い…」
リィンの言葉を聞いた玄弥は「ありがとうございました!またよろしくお願いします」と告げると少し離れたところで休憩に入り、それを見た悲鳴嶼はリィンに歩み寄ると「玄弥に稽古を付けてくれたこと…感謝する…何か礼をさせては貰えないだろうか?」と問いかけるとリィンは少し考えこむと口を開いた。
「でしたら…ヒノカミ神楽という物に聞き覚えはありませんか?」
リィンの問いに悲鳴嶼は考え込むと「否…聞いたことも無いが…そのヒノカミ神楽がどうしたのだ?」と問いかけ、リィンは「実は…」と炭治郎がヒノカミ神楽の呼吸で技を使えた事を明かすと悲鳴嶼は考え込んだ。
「…成程…そのようなことが…生憎と私には心当たりは無いが…炎柱…煉獄杏寿郎ならば何かわかるかもしれない…」
「…杏寿郎がですか?」
リィンの返答に悲鳴嶼は頷くとその理由を語りだした。
「君も知っての通り…煉獄家は代々炎柱を輩出してきた家系であり…歴代の炎柱が代々伝えてきた記録もあるそうだ…故に何かわかるかもしれない…」
それを聞いたリィンは「ありがとうございます、時間に余裕が出来た時に杏寿郎に尋ねてみようと思います…それではおれはこれで失礼いたします…玄弥にもいつでも来て構わないと伝えてください」と伝えると山を下りて行き、炭治郎達にどういった修行を付けるかを考え始めた。