鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
今回は修行回兼日常回という事で少しネタに走りました。
炭治郎達が灰屋敷に住み込むことになって二度目の朝、早くも一騒動起こっていた。
「イィィィヤァァァーーー!!炭治郎の隣に誰かいるんだけど!?しかもなんか浮いてるし!?幽霊?幽霊なの!?何処かのお寺でも神社でも良いからお祓い行こう!?ねぇ誰か良い霊媒師知ら―」「うるせぇ!!」「―ぎゃふん!」
炭治郎の隣に今日からは精神体として姿を見せておくことにした(前日は水を差さないように姿を見せなかった)クロウは朝から姿を見せていたもののリンクシステムで炭治郎と繋がった事がありその結果クロウの姿を見る事ができてしまった善逸は朝から大騒ぎしだし、そして彼とは逆に現時点ではクロウの声も姿も認識できない事から善逸が騒いでいた原因が分からず余りの騒がしさに完全にキレた伊之助の手により、綺麗なアッパーカットを喰らわされてしまった。 その結果として善逸は気を失ってしまい、一連の流れを目の前で見せられた炭治郎はクロウに対し「…そう言えばクロウって実際今はどう言う状態なんですか?」と何とも言えない表情で問いかけ、クロウも首を傾げつつ『あー…一応事実を言うとおれが実体化できないのは多分だけどアークスのリンクシステム以外が使えねぇのと同じで…おれ達の世界と比べてこの世界の七属性が少ないからだと思うぜ?だから代わりにおれは結果的にお前の精神に間借りしてるってわけ…因みに善逸におれが認識できたのは一回お前とリンクしたからだろうな多分…それとおれがどんな状態かは正直おれにも断言できねぇけど…少なくとも幽霊とは…いや…そういやおれって今は不死者だしそう言う意味では幽霊みたいなもんなのか?』と答えたが本人も結局良く解っておらずに首を傾げることとなった、因みに禰豆子にもクロウの姿はしっかりと見えている。
それから朝食を終えた三人はそれぞれ先日の修行の結果から考えられた個別の修行に入った。まず伊之助は連携の為の訓練で、灰屋敷の隠協力の下で即席の修行場が作られ、伊之助はそこで修行することになった。これは炭治郎は勿論、善逸との連携を想定した訓練であり、本人は「おれ様に連携なんか必要ねぇ!」と叫んだがリィンは「いやむしろ上に立つ者こそ連携を学ぶべきだよ。上に立つ人は―伊之助流に言えば親分の事だけど…親分は子分にしっかりと気を配るべきだ。もしもそれが出来なければそれこそ子分に裏切られるか死なせてしまう…そんなことは伊之助も嫌なんじゃないか?」と言うリィンの言葉を聞いた伊之助は「む…解ったぜ…やってやるぜ!連携の為の訓練って奴をな!腹がなるぜ!!」とやる気を出したが善逸は「前も言ったけど腕がなるだろ…」と以前何処かでしたようなツッコミを入れ、炭治郎とクロウ(善逸はクロウを守護霊的な物だと思うことにした)と共に伊之助の訓練の一部を見た、伊之助の訓練は鬼役の隠を隊士役の隠と協力して出し抜くと言う物で一つ課題を終わらせるごとにまた新しい課題が提示されると言う物だった。一つ例を挙げるならば怪我人を安全な場所まで運ぶ訓練では鬼役の隠一人に、怪我人役の隠一人、そして怪我人を助けるための隙を作る奇襲する隊士役の隠と別れているがこの場合は隠れている隠が奇襲し、その隙に伊之助が怪我人を助けると言う流れを推定していたが伊之助はやはりと言うべきか考え無しに突っ込み、そうなった時の為に用意されていた罠にあっさりと引っかかってしまい、結果一部の隠による悪ノリで名づけられた説教部屋こと『九重道場』に攫われていった。なお説教の担当は当然九重である。
「…ああなったら長くかかるし次は善逸の修行の説明に移ろうか…」
こうなる事はなんとなく予想していたとはいえ、いざその場面を目にすると四人とも何とも言えない気分と共に妙な沈黙が広がる事となったがリィンがそれを破りすぐに善逸のために用意された修行場へと向かった。
「えっと…これは一体何をすればいいんでしょうか?」
善逸は自分の為に用意された修行場を見てそう呟いた。そこは灰屋敷の庭の池に様々な足場が用意されているがその全てが不安定でそう簡単には渡れそうに無く(現代で言う所の高難易度の水上アスレチックの様な物)、それを見たクロウは『なるほどな…こいつは多分だけど善逸の弱点の一つを改善するための物みたいだぜ』と合点が言ったように答え、それを聞いた善逸は「おれの弱点の一つって…」と考え込んだがリィンは傍の木刀を善逸に投げてよこすと「先ずはおれに霹靂一閃を一度だけ仕掛けるといい、炭治郎も離れたところで見ていてくれ」と告げ、それを聞いた炭治郎は「わかりました!」と二人の動きが十分に見える位置に移動すると善逸は深呼吸すると霹靂一閃の構えに入った直後、すぐにリィンは懐から訓練用に刃を潰した暗器を取り出すと善逸に向けて投げつけ、それを見た善逸は直ぐに構えを解きつつ回避し、再び霹靂一閃の構えに入ったが直後にハッとした表情になった。
「!おれの弱点ってもしかして…」
善逸はそう呟くと構えを解き、リィンは頷くと直ぐ善逸に歩み寄ると炭治郎に顔を向けて問いかけた。
「さて…炭治郎。今回の修行で改善を試みる予定の善逸の弱点は何か答えてくれるか?」
リィンの質問に炭治郎は「はい!」と返事をすると続けて「霹靂一閃を使う前の溜めの動作を何らかの形で妨害されると最初から溜める必要がある…という事ですよね?八葉も居合から放つ技が多いので間違い無いと思いますが…」と答え、それを聞いたリィンは満足気に頷くと「ああ、その通りだ」と答えると改めて善逸の修行の内容を説明した。
「善逸の修行の内容は不安定な足場をバランス…つまりは身体の重心を崩さず、池に落ちないように渡って最後は一番奥の不安定な足場の上で的を斬る事を目標にするんだ…足場から落ちたら最初からやり直しという事を忘れないようにする事と少しずつ渡るのも速くできると直良しだな。最終的には回避する時に溜めの動作を解く頻度を下げる事を目標にしてほしい。応援しているからな」
リィンの激励の言葉を聞いた善逸は頷くと直ぐに開始地点に立つと慎重に足場を渡り始め、二人はそれを見て傍の監督役の隠に後を任せると直ぐに最後の修行場へと向かった。
最後の修行場は先日リィンが修行していた場所でそこでリィンは炭治郎と向き合った。
「さて…炭治郎の修行の内容は八葉の技の一つ上の段階になる技をいくつか習得してもらう事だ。それと那田蜘蛛山で暁を使ったそうだけど…今はできそうか?」
リィンのその問に炭治郎は少し考えこんだが、確かに今すぐに暁を使えるかと言われると自信を持つことが出来ず、炭治郎は「…いえ…あの時とは違って使える気がしません…あの時はなんでかわかりませんけどできると思ったんです…」と素直に答え、リィンは「なるほど…」と考え込むと「クロウはどう思うか答えてくれるか?」と炭治郎の傍らにいるクロウを見ながら問いかけ、炭治郎は驚いたがクロウはと言うと『ったく…こっちの世界で最初の会話がこれかよ?まあ、ある意味ではらしいけど…』と何でもない風に答えるとリィンは「おれ達にはそれくらいがちょうど良いだろ。それとも炭治郎にお前の黒歴史でも暴露するか?」とからかっているかの様に遠慮なく言い放ち、それを聞いたクロウは『頼むからやめてくれ…他に思いつかなかったから仕方なく名乗っちゃいたけど今にして思うと元の世界で《C》やってた時の格好と言動は普通に恥ずいし、かと言って蒼のジークフリードって名乗んのもなんか違うって思ったんだよ!悪いか!?』と半ばヤケクソ気味に言い返し、それを聞いた炭治郎は「(なんだかいい意味で遠慮が無いっていうか…自然な感じのやり取りって感じがする…本題からずれてるけど…)」と以前天然でずれたことを言っていた自分を差し置いてそんなことを思っていたがクロウはそれに気づくと直ぐに『おれの黒歴史は兎も角…』と無理矢理軌道修正すると那田蜘蛛山で暁を使えた理由を彼なりに考えて答えた。
『暁を使えた理由は一つ目は蒼の力で身体能力にブーストがかかってたって事と…もう一つは所謂火事場のバカ力って奴だろうな多分…それから炭治郎、あの時どう思ってたか覚えてるか?』
唐突なクロウの質問に炭治郎は驚いたが考え込むと答えた。
「…えっと…確かにあの時は凄く必死だったことは確かです…今ここでこいつを倒さないとダメだって…必死だったことは覚えてます…それに漠然とですが今なら使えるという確信があったことも覚えています」
炭治郎の答えを聞いたリィンは頷くと「クロウの予想はあながち間違ってなさそうだな」と呟くと炭治郎に向き合いリィンは「火事場の馬鹿力とは言っても一度暁を使えたんだし多分だけど身体が使い方を覚えていると思う」と伝えると木刀を手に取り炭治郎に差し出すと「そこで炭治郎には八葉の二段階目の技を習得してもらう、例えば疾風の場合は裏・疾風の様に一段階上の技を覚えてもらう、そして暁を身体強化無しで使えるようになることを最終目標とさせてもらう、それが達成されたら次は七ノ太刀を教える…やれるな?炭治郎?」と問いかけ、炭治郎は決意を決めた表情になると「はい!やって見せます!」と言いながら木刀を受け取るとリィンの指導による修行が始まる事となった。
―そしてその日の夜…―
そしてその日の修行が終わり三人―もといリィンとクロウを含めた五人は灰屋敷の食堂で最も料理が得意な隠の手により再現された異世界の料理を味わっていた(クロウは食べれないが)。ちなみにレシピの出どころはリィンの料理手帳で絶品料理から珍妙料理まで網羅されている。
「この料理辛いけど美味しいよな、前に食べたフィッシュバーガーも美味しかったけど」
そう言いながら炭治郎が食べているのはカレーライスで善逸と伊之助も同じ様に思っていたが善逸は「料理には文句ないけど今日の修行大変だったよ…最初の足場渡りの修行ではまたずぶ濡れだったし、午後の実戦形式の修行ではもうめちゃくちゃだったし…」と今日一日の事を思い出して遠い目になっていた。と言うのも何度か修行を繰り返す中で決められた二度目の休憩の後にリィンは三人を集めてリィン自身を鬼に見立てた実戦を想定した訓練も行い、意外なことに伊之助が炭治郎に連携を持ち掛けて出くわしたリィンに隙を作りそこを善逸が奇襲すると言う作戦であり作戦自体は良かったし現在の三人の実力に合わせて手加減したリィンとの戦いも善戦していたのだが問題はその時に起こったある事が原因だったと言うのもこの際炭治郎と伊之助は意思を合わせることに成功し、アークスのリンクシステムが作動したのだがその際伊之助は初めてクロウの姿を目にし、伊之助は驚きの余り「誰だお前!?」と盛大に叫び、クロウは内心ヤバイと思いつつも『お!初めましてだな伊之助、おれはクロウだ!よろしくな!』と半ばごまかすように自己紹介したが伊之助には通じることは無く「そうかクラウド!お前みたいなよく解んねぇ奴はぶっ飛ばしてやる!」と叫び、それを聞いたクロウは『誰だよ!?つうかその名前はおれよりもあのコミュ障水柱の方が合ってるんじゃねえのか!?』と少ししか目にしなかったとは言え一目で義勇の気質を見抜いていたクロウは盛大なツッコミを入れたが伊之助は案の定と言うべきか「うるせぇ!!」と聞く耳を持たず、そこからは完全にグダグダであり暴走する伊之助を炭治郎、善逸、リィンの三人で抑え込むことになり、クロウは後に『すまん…伊之助がアークス持たされてたの忘れてた…』と修行の邪魔をしてしまった事を割と本気ですまなく思い、リィンに本気の謝罪をし、そんなクロウにリィンは「とりあえず五十ミラの利子に迷惑料も追加だな」と冗談めかして応えていた。最も今回の修行の目的の一つに伊之助のリンクシステムの起動が有ったため目的の一つは達成していたがささやかな仕返しとしてリィンはその事を話さなかった。
「…まあ確かにいろいろと酷かったよな…」
『いや…ホント悪かったって…』
善逸の愚痴を聞かされた炭治郎だがグダグダになったのは事実の為今回ばかりは同意していたし、それを見たクロウも再び謝罪していた。因みにリィンはと言うと「そうそう、スプーンはそう使うんだ。覚えておいて損は無いぞ」そう言いながら食器の扱いに慣れていない伊之助に辛抱強くスプーンの使い方を教えており、自分より強いと認めている相手の指導だったこともあり伊之助も珍しく素直にいう事を聞いており、多少の愚痴は有ったがその日の食事は割と穏やかだった。
そしてそんな日々が続いたある日、炭治郎達四人の下に指示書が届き、その指示書には、意訳すると『竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助、灰柱、リィン・シュバルツァー、四名は無限列車にて炎柱、煉獄杏寿郎と合流、以後共同任務に就くように』と書かれており、その指示書に同封されていた切符を目にした四人はすぐに駅へと向かって行った。
次回番外編と現時点でのキャラクター紹介その二を挟んで原作における無限列車編である『追憶と望郷』編となります。気長にお待ちください。