鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~ 作:来斗
ゼノブレイドクロスDEを買ったのですが、惑星ミラを冒険するのが楽しく思えるのと同じくらいやる事が多いので大変です。
出来る限り更新速度を落とさないように頑張ろうと思います。
現れた上弦の参は立ち上がると目にも留まらぬ速さで跳躍すると一切の躊躇い無く炭治郎にその拳を振り下ろし、それを見た二人は即座に対応した。
「炎の呼吸・弐ノ型・昇り炎天!」
杏寿郎は炭治郎に向けて振るわれた腕を縦に両断し、それに続きリィンも日輪刀ではなく彼が持つもう一つの刀―『神刀・炎群』を構えた。
「八葉一刀流・一の型・螺旋撃!」
リィンが続けて放った一撃は杏寿郎が縦に両断した腕を細切れにし、二人からの攻撃を受けた上弦の参はアクロバットの様な動きで後退すると興味深げに自身の腕を見つめていたがそれも数秒で終わり、喜びの表情を浮かべつつ一瞬で腕を再生させると自身の腕に残った血を舐めとりながら「成程…二人とも素晴らしい腕だ。刀も悪くない」とリィンと杏寿郎の二人を見つめながら告げ、それを見た二人は油断なく睨みつけた。
「(再生が速すぎる…それにこの気迫…同じ十二鬼月の魘夢とも比べ物にならない圧倒的な力を感じる…厄介な相手だな…)」
「(リィンがここまで警戒するという事はこの凄まじい鬼気はやはり本物か…これまで戦って来た鬼とは違いすぎる…これが上弦の鬼か…)」
リィンと杏寿郎は警戒していたが先に口を開いたのは杏寿郎だった。
「…何故手負いの者を先に狙った?その行動の真意を理解できない」
杏寿郎の言葉を聞いたリィンも上弦の参に鋭い視線を向けると「…おれも同感だ。炭治郎はまだ動けないのに何故狙った?」と同様の疑問をぶつけ、それを聞いた上弦の参は笑みを浮かべると口を開いた。
「他意は無い。話の邪魔になる者を排除しようと思っただけだ。おれとお前たちの」
上弦の参は今は攻撃するつもりが無いことを示すように両手を広げつつ穏やかな口調で語り掛け、それを聞いたリィンは顔をしかめると「…話だけなら聞いても良いがおれ達がお前の提案を受け入れる事はまず無い…今すぐこの場から去る代わりに手を出すなと言うなら話は別だけどな…」と内心そんな提案がされることは無いと思いつつそう返し、杏寿郎も「彼の言う通りだ。君とおれ達が何の話をする?初対面だがおれは既に君の事が嫌いだ」と告げると上弦の参は何処か愉快そうに笑みを浮かべると「そうか…おれも弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫唾が走る」と告げるとそれを聞いたリィンは怒りの表情と共に告げた。
「…炭治郎は弱くない、彼をバカにするな。仮に今は弱かったとしても人間は日々成長する生き物だ。それが判らないのか?」
リィンの言葉を聞いた杏寿郎も頷くと「全くの同意見だ。どうやら君とおれ達とでは物事の…特に強さに関する価値基準が違うようだ」と告げると彼は笑みを崩さず「そうか。ではお前たち二人に素晴らしい提案をしよう」と告げ、僅かに間を開けるとその提案を告げた。
「お前たちも鬼にならないか?」
それを聞いた二人は偶然にも異口同音に「「ならない」」と告げそれを聞いた上弦の参は二人をじっと見つめると「そうか…しかし見ればわかる。お前たちの強さ…柱だな?その闘気…とても強く練り上げられている。至高の領域に近い…これまで何人もの柱を見てきたがお前達ほどの闘気を持つ者はいなかった」と喜びを隠さずに告げた。
「…おれは灰柱、リィン・シュバルツァー…流派は八葉一刀流だ」
「おれは炎柱、煉獄杏寿郎だ」
二人は上弦の参に対して自身の名を告げると彼も思いだしたかのように「そう言えば自己紹介がまだだったな…おれの名は
「リィン、杏寿郎。なぜお前達が至高の領域に踏み入れないのか教えてやろう」
猗窩座と名乗った彼はそう告げるとある種の嫌悪感を持っている事を示すかのように「お前達が人間だからだ。老いるからだ。死ぬからだ」と立て続けに告げ「リィン、杏寿郎。二人とも鬼になろう。そうすれば百年だろうと二百年だろうと鍛錬し続けられる。強くなれる」と猗窩座は何処までも穏やかに告げ、そんな様子を見た炭治郎は「(これが上弦の鬼…見ただけでもわかる…これまで会ってきた鬼とは桁が違いすぎる。おれも加勢を…いや…今のおれ一人が加勢したところで足手まといにしかならない…もっと強くなれていたらこんなことには…)」当初は自分も二人に加勢しようと考えていたが今の自分では足手まといでしかないことを悟りつつ自分の弱さに情けなさを感じていたその時だった。
「老いることも死ぬことも人間と言う儚い生き物の美しさだ」
杏寿郎はこれまでとは明らかに違う様子でそう告げ、それを聞いた炭治郎は思わず動きを止め、ただ静かに耳を傾けた。
「だからこそ人間は今日と言う一秒一瞬を精一杯生きる。その姿が堪らなく愛おしく尊いのだ」
杏寿郎の言葉を聞いたリィンも一歩進み出ると口を開いた。
「杏寿郎の言う通りだ。人の一生は限られているからこそ人は努力し強くなろうと願う。そのきっかけは人それぞれだ。大切な物を奪われた怒りかもしれない…或いは誰かから何かを奪おうとする欲望から来るものかもしれない…大切な人を守りたいと言うただ純粋な思いかもしれない…けどどんなものであれ強くなろうと言う意思の根本には同じものが関わっていてそれが強くなる最初の一歩であり肉体の次に…いや…それ以上に強さを語る上で必要な物でもあるんだ」
リィンのその言葉はそれを聞いた者たち全員に感じ入る物があった―それは敵である猗窩座も例外ではなく彼は胸の奥の何かがざわつくような―そんな感覚を覚えていた。
「!?(…なんだ?この感覚は…?おれは今何を感じたんだ?)」
猗窩座は表情にこそ出さなかったものの僅かながら動揺したがすぐに落ち着きを取り戻すと口を開いた。
「…なら聞かせて貰おう…お前たちが言う強さを語る上で必要な物とは何だ?」
それを聞いて口を開いたのはリィンではなく杏寿郎だった。だがその答えはリィンのそれと同じであり猗窩座もそれをすぐに悟る事となった。
「まだわからないのか?強さを語る上で最も大切な物…それは心だ」
杏寿郎は自身の胸―心臓がある辺りに手を当てながら答えつつ猗窩座を見据え、リィンも続けた。
「確かにおれ達のような柱やお前達上弦と比べれば炭治郎は弱いかもしれない…だけどそれは炭治郎を剣士としての技のみを見た場合だ…心の強さ…意志の強さと言っても良い…その点で見れば炭治郎の強さはおれ達にも負けていない」
リィンの言葉を聞いた炭治郎は思わず涙が流れそうになるのを堪えた。今の自分が最も尊敬する人物が迷いなく自分の強さを認める発言をしたことをうれしく感じ、リィンの言葉を聞いた杏寿郎も静かに、しかしよく通る声で続けた。
「リィンの言う通りだ。この少年は弱くない侮辱するな。何度でも言おう。君とおれ達とでは価値基準が違う」
杏寿郎がそう告げる中リィンも隣に立ち、そして二人は同時に告げた。
「「おれ達はどんな理由があっても鬼にはならない」」
二人の言葉を聞いた猗窩座は「そうか…残念だ…」と本当に惜しむような表情で呟くと武術のような構えをとった。
「術式展開、破壊殺・羅針」
途端に猗窩座を中心として雪の結晶のような模様が出現しそれを見たリィンは静かにしかしはっきりと告げた。
「炭治郎、教官として師として命令だ。この戦いには決して手を出すな。おれ達三人の戦いを見て自分が踏み込む領域がどのような物かその目に焼き付けるんだ」
いつになく強い口調のリィンに炭治郎は思わずたじろいたがそれでも気を取り直すと「わ…わかりました…」と告げそれを見たリィンは杏寿郎に目を向けると「やれるな?杏寿郎」と問いかけ、それを聞いた杏寿郎も「ああ、いつでも行ける」とだけ告げるとそれぞれにアークスを取り出し、それを見た炭治郎は驚き「!(アークス!煉獄さんも持っていたのか!)」と驚いたがそうしてる間にリンクシステムが発動し猗窩座はそれを見ると「良いだろう…二人纏めてかかってくると良い…鬼にならないなら殺す。それだけだ」先ほどとは違い強者と戦えることに対する歓喜の表情を浮かべていた。そして三人はほとんど同時に動き―ドオン―と言う凄まじい音が響き死闘の幕が開いた事がはっきりと示されることとなった。