鬼滅の刃~世界を渡った剣聖・閃とヒノカミの鬼殺譚~   作:来斗

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懸念と目覚めた力

 

 

―数ヶ月前―

 

 

 時は数ヶ月前。リィンが悲鳴嶼の下へ玄弥に修行を付けに訪れていた頃まで遡る。玄弥はリィンの指示で走り込みを行っており、二人はその様子を見守りつつ修行の途中経過についてのやり取りをしていた。

 

「…玄弥は貴殿から見てどうだろうか?」

 

 悲鳴嶼はリィンに対してそう問いかけ、リィンはそれに対して考え込むと答えた。

 

「そうですね…前にも言いましたけど玄弥には剣士としての才能は有りませんが戦う者の…戦士の才能は間違いなくあります。そしてこれはあくまで俺の推測ですが…ある騎神に選ばれる可能性が一番高いと考えています」

 

 リィンが口にした言葉を聞いた悲鳴嶼は彼にしては珍しく驚愕の表情を浮かべた。

 

「!玄弥が?…だが玄弥は…」

 

 彼が続けようとした言葉を察したリィンは頷きながら答えた。

 

「…ええ解っています。玄弥には確かに剣士の才能は有りません…ですが紫の騎神ならあり得るかもしれないんです」

 

「…どういう事だろうか?」

 

 悲鳴嶼はまだ疑問を持ったままだがそれでも玄弥の可能性について確信を持った様子のリィンに嘘を言っている様子を感じなかったことからそう問いかけ、リィンは静かに続けた。

 

「紫の騎神の本来のライザーをこの目で…そして最初のライザーに関する記録を見たからこそできる推測ですが…紫の騎神は正統派の騎士や剣士よりも猟兵と言う雇われ戦士を選ぶ傾向が強いんです。玄弥の戦い方の発想や戦う際の足運びは猟兵のそれと似ているように思うんです」

 

 リィンの言葉を聞いた悲鳴嶼はしばらく無言で考え込んでいたがやがて頷いた。

 

「…確かに玄弥は貴殿の指導を受ける前は戦い方を自ら編み出した…私が教えたのはあくまでも身体能力をある程度上げる技術と基礎的な体術のみ…他は玄弥自身が編み出した物だが…確かにそれならば可能性があると言う貴殿の言葉も頷ける…しかし…何故貴殿は玄弥にそれを伝えないのだ?」

 

 悲鳴嶼は何故玄弥が持つ可能性を彼に教えないのかを疑問に思ってそう問いかけたがリィンはすぐに口を開いた。

 

「では一つ聞かせてください…もしも自分の才能の無さに悩んでいる者がある日突然強大な力を手に入れてその力を得てすぐの戦いで勝利を収める…そんなことが起こったら力を手に入れた者はどうなると思いますか?」

 

 リィンの問いの意味を瞬時に悟った悲鳴嶼は静かに答えた。

 

「…自らの力に酔いしれ無謀な事をしてしまい命を落としてしまう可能性がある…か…無論全ての者がそうと言う訳では無いだろうが…」

 

 悲鳴嶼の言葉を聞いたリィンは「…その通りです」と肯定しつつ補足の為に先を続けた。

 

「それに悲鳴嶼さんの話を聞いたところ玄弥は力に執着している節がありますから自分に力があるとわかった途端に無謀なことをしてしまう可能性があると思います…だから仮に玄弥が紫の騎神に選ばれていたとしても今回の修行の期間で騎神の力を目覚めさせるつもりはありません…悲鳴嶼さんと玄弥には申し訳ありませんが…」

 

 リィンの謝罪を聞いた悲鳴嶼は「いや…構わない」と告げると穏やかな口調で自身の思う所と疑問を告げた。

 

「貴殿が玄弥を案じてくれているのは私も理解している…不甲斐ないことだが騎神については我らではどうにもできない…ならば少しでも騎神について詳しい者…つまりは貴殿に任せるのは当然の事だろう…しかしイシュメルガを倒すうえで騎神の力が必要である以上玄弥の力は何としても目覚めさせねばなるまい…ならば玄弥の力は何時いかなる時にそしてどのように目覚めさせるべきであるか…聞かせて貰えないだろうか?」

 

 その問いにリィンはすぐに答えた。

 

「方法は既に考えています。先ずは騎神の力を目覚めさせたうえである程度長く力を使っている者と玄弥に摸擬戦をしてもらいます…そしてその上で…玄弥には負けて貰います」

 

 負けて貰う―この言葉を聞いた悲鳴嶼は驚いたが程なくして理由に気づくと答えた。

 

「!…つまり…自分の力を過信しすぎないようにするという事を教えるためだろうか?」

 

 その言葉を聞いたリィンは迷いなくうなずくと「ええ…そうです」と答えたがすぐに「…ですが」と前置きしたうえで続けた。

 

「いくつかの条件を見た上での考えですが…玄弥の相手に相応しいライザーの条件はまず玄弥自身よりも強いのは勿論ですが強すぎても駄目です。つまり最初の条件を抜きにしてもこの時点で俺は候補から外れます」

 

 リィンの説明を聞いた悲鳴嶼は頷きつつ「確かに玄弥は貴殿を慕っている…つまり玄弥が最初から自分よりも上だと強く認識している以上君が相手をする訳にはいかないという事か…」と返しリィンも「そうです」と答えつつさらに続けた。

 

「他のライザーですがしのぶさんも相手には相応しくないでしょう。今は修行に専念するために離れているとは言え彼女は元々柱ですし玄弥とも接点がありますから今回の条件には相応しくありません」

 

 それを聞いた悲鳴嶼は考え込むと「…確かに一理ある…となれば残る候補とは…」と呟きながらある少年の姿を思い浮かべ、リィンも「ええ」と答えつつ相応しい人物の名を告げた。

 

「玄弥の相手は炭治郎にして貰おうと考えています」

 

 リィンの提案を聞いた彼は考え込むとやがて頷いた。

 

「…私も同意見だ…あの少年には思う所が有るが貴殿が言う条件に最も適した人物だと断言して良いだろう…」

 

 悲鳴嶼の言葉を聞いたリィンは「ありがとうございます」と謝意を示したが彼は静かに答えた。

 

「問題ない…ライザーの件は君に一任されている以上断る理由はない…だが一つ懸念があるとすれば…不死川が何と言うかわからないという事だな…」

 

 そう言った悲鳴嶼とそれを聞いたリィン、二人の脳裏には玄弥の兄である実弥が凄まじい殺気を放ちつつ、これまた凄まじい表情で玄弥に詰め寄る姿が思い起こされリィンは苦笑いしながら「…えっと悲鳴嶼さん…その時は俺達二人で玄弥を守りましょうか…」と呟き、悲鳴嶼も口元に笑みの様な物を浮かべると「…そうだな…私達二人で玄弥の命を守るとしよう…」と彼にしては珍しく冗談なのか本気なのかわかりづらい答えを返すこととなった。

 

 

―現在―

 

 

 そして時は戻り現在、リィンの予想通り紫の騎神に選ばれ、今回の炭治郎との戦いの中でそれを目覚めさせるに至った玄弥は先ほどまでとは打って変わり炭治郎の動きに対応できており、予想外の苦戦に炭治郎は戸惑いながらもクロウと共に玄弥の今の状態を分析していた。

 

「(ある程度戦ってわかった。この力は間違いなく騎神の力!玄弥の様子から見て多分今まさに使えるようになったんだ!そうで無かったらリィン教官からも何か伝えられていたはずだ!)」

 

『お前の予想は正しいぜ。因みにこいつを選んだ騎神はオーラ…纏った光の色からして多分紫だ。リィンのヴァリマールと無惨の所にいるイシュメルガを除けば残るは二体…何処のどいつを選んだかは分からないけどその話は後だ。今は!』

 

 クロウがそう言った直後、玄弥が持つ木剣が凄まじい速さで振るわれ、炭治郎は斬月の動きで回避しすぐに反撃しようとしたがそれを読んでいた玄弥は左手に持った銃から発砲し、それに気づいた炭治郎はすぐに水の呼吸に切り替えるとねじれ渦の動きで回転しながら正に紙一重で回避しながら同時に頬を銃弾がかすったのを感じ、冷や汗を掻いた。

 

「!(危なかった!もしほんの少しでも動くのが遅れていたら直撃してた!練習用の弾だから当たっても死にはしないけど、もしもこれが実戦だったらと考えると本当に恐ろしい!)」

 

 炭治郎はねじれ渦の動きを終えると即座に技に移った。

 

「水の呼吸・拾の型!生生流転!!」

 

 炭治郎はすぐに生生流転の動きに移ったが焦りもあってか本来の速度が出ておらず、玄弥はギリギリの動きで回避しながら炭治郎の背後に回り込むと木剣を振り下ろそうとしたが炭治郎は如何にか振り向くと木刀で受け止めることに成功し叫ぶように問いかけた。

 

「その力…一体いつ使えるようになったんだ!?」

 

 どうしてこう問いかけたのかは炭治郎自身にもわからなかったがその問いは僅かに玄弥の気を逸らすこととなったのかすぐに答えが返って来た。

 

「知るかよ…いつの間にか使えたってだけだ…けど気分はわるくねぇ…今は無理でもこの力があればいつかは本気の柱にだって届く!」

 

 そのまま玄弥は炭治郎に銃を突きつけ炭治郎はしまったと思った―しかし運は炭治郎に味方することとなった。

 

―カチッ―

 

 玄弥の銃からは弾が出ることは無く、音が空しく響くだけ響くだけだった。

 

「!(まずい!弾切れか!)」

 

 それに玄弥は動揺を見せ、それに気づいたクロウが叫んだ。

 

『炭治郎!俺と戦った時の事を思いだせ!』

 

「(クロウと戦った時の…!そうか!)」

 

 炭治郎は玄弥がリロードしようと距離を取った際に出来た隙を逃さずに木刀を構えた。

 

「(今この距離だと刀をしまう余裕はない、だからこの技を使う!)水の呼吸・漆ノ型!雫波紋突き!!」

 

 炭治郎が放った突きは玄弥の胴を寸分違わずに捉え、クロウとの戦いのときのように玄弥の体制が崩れた隙をつくことで銃をかすめ取る事に成功した。

 

「!(こいつ!銃を奪いやがった!)」

 

 玄弥の更なる動揺を余所に炭治郎は水の呼吸から八葉に切り替えるとすぐにそれを放った。

 

「八葉一刀流・七の型!無想覇斬!!」

 

 炭治郎は躊躇い無く攻撃を仕掛けたが勢いが付く前の寸での段階で玄弥は木剣で防ぎ、続けて無想覇斬の威力を力ずくで抑えると炭治郎の腹に勢いよく拳を叩き込み、続けて首めがけて木剣を振り下ろしたが炭治郎は身体を捻ると木刀でそれを受け流しつつ玄弥から距離を取ると木刀を構えなおし玄弥を見据えた。

 

「(勝てない相手じゃないけど思ったよりも強い…いや違う…玄弥はこの戦いの中で騎神の力を使えるようになって強くなったんだ…だけど今の玄弥には負けられない…負けてはいけない。今の玄弥は力を手に入れたことである種の万能感に支配されている…つまり俺の役目はただ一つ…玄弥に勝ってその万能感を破る事だ!)」

 

 炭治郎はリィンがこの戦いにおいて自分に何を期待していたのかを悟り、クロウも頷きながら口を開いた。

 

『ああ、正解だろうな…と言ってもリィンの事だしこの戦いで玄弥が力を使えるようになるかは半々だったろうな…まあそれは後だな…今はあいつの伸びきった鼻っ柱を全力で叩き折ってやろうじゃねぇか』

 

 クロウは悪役の様な笑みを浮かべながら炭治郎に目配せし、炭治郎も頷きながら「(はい!いつでも行ける!)」そう答えると次で決めるべくあの技を構えた。

 

「!(あの構えは!来るか!)」

 

 玄弥は炭治郎が今使おうとする技が何なのか悟ると躱すのは無理だと防御態勢に入り、それを見た炭治郎は静かに口を開いた。

 

「リィン教官直伝…八葉一刀流・奥義!」

 

 炭治郎が選んだ技はリィンから教えられた奥義であり玄弥も使う事こそできない物の技自体は見たことがある物だった。それでも炭治郎がこの技を選んだのは長さこそ違うとはいえ共に同じ人物の指導を受けた経験があると言う共通点があるからこそこの技で決めるべきだと無意識に感じたからだった。炭治郎は素早い動きで玄弥に向けて駆けると木刀で二撃食らわせた。

 

「(先ずは二撃!クロウとの特訓では成功したけどあれは夢…現実で使うのはこれが二度目だけど最初の時は必死だったから習得には至っていない!この技を完全にものにできるかは今回にかかってる!集中しろ!炭治郎!!)」

 

 炭治郎は心の中で自身を奮い立たせつつ玄弥に連撃を食らわせ、玄弥は如何にかその攻撃を防いでいたがやがて限界が訪れ木剣を落とし、直後に体制を崩してしまった。

 

「!(まずい!)」

 

 そして炭治郎は玄弥が地面に倒れたのを確認すると自身が持つ木刀を首に当たる直前で寸止めにした。

 

「…終ノ太刀・暁」

 

 そして炭治郎がそう口にした直後、クロウと玄弥の精神に宿った彼が同時に『『勝負ありだな』』と言い、玄弥も負けを悟ったのか「…参りました…」と負けを認めると同時に彼が纏っていた紫色の光が消えて行き、炭治郎も騎神の力を解き、それを見たリィンは頷くと「勝負あり!勝者、竈門炭治郎!」と炭治郎の勝ちを宣言し、それを聞いた善逸と伊之助は駆け寄った。

 

「凄かったよ炭治郎!」

 

「よくやったな!褒めてやる!」

 

 二人はそれぞれの言葉で炭治郎に賞賛の言葉をかけており、それを聞いた炭治郎は笑みを浮かべると「二人ともありがとう…でも」と返しながら玄弥に目を向けた。

 

「玄弥も本当に凄かった。あの力を使うのは初めてだって言うのにあんなに長く使えるなんて思わなかった…俺なんて最初の頃は長くても一分くらいしか持たなかったからさ…」

 

 それを聞いた玄弥は「そうか…」と言いながら立ち上がろうとしたがリィンと炭治郎が予想した通り力が入らず、再び倒れこみそうになりすぐに炭治郎が支えた。

 

「!まだ動いちゃだめだ!力が入らないんだよな?わかるよ…最初は俺の時もそうだったから…」

 

 炭治郎に支えられた玄弥は何処かバツの悪そうな表情だったが「…そうか…まあ…ありがとな…」とどこかぎこちなくも感謝の言葉を告げ、それを見たリィンは彼らに歩み寄ると二人に対して語り掛けた。

 

「炭治郎も玄弥も二人ともいい勝負だった。玄弥は今回の摸擬戦で負けてしまったわけだけど…今回の結果からどう思ったか教えてほしい」

 

 リィンの問いを聞いた玄弥は暫く考え込んでいたがやがて口を開いた。

 

「あの力を使っても勝てないのかって悔しく思いました…でも同時に今の俺ではあの力を十分に引き出せていないしできたとしてもそれだけでは柱には追いつけないという事が良くわかりました…力は所詮力…活かすも持て余すも俺次第…現に俺は力を得たことで舞い上がってしまいました…そうやって力に身を任せるだけじゃ倒せる敵も倒せない…何より力を得ただけでは本当の意味で強くなれたわけじゃないって今ならよくわかります…」

 

 リィンは玄弥の答えを聞き口元に笑みを浮かべると「そのとおりだよ。大きな前進だな」と告げると続けて炭治郎に目を向けた。

 

「炭治郎も腕を上げたみたいで何よりだ。終ノ太刀も会得できたようだし教官として誇らしいよ。それと…すまなかった」

 

 リィンは炭治郎が終ノ太刀を習得したことを喜んでいたがそれに続いて謝罪の言葉を口にし、それを聞いた炭治郎は驚きの表情を浮かべると「どうしてリィン教官が頭を下げるんですか!?」と返したがクロウは直ぐにニヤリと笑うと『簡単なことだな…お前…玄弥が力に溺れる事が無いようにするために炭治郎を利用した…そうだろ?』と告げ、リィンは目を逸らしながら「まあ…否定はできないかな…利用してすまなかった」と炭治郎に謝罪し、唐突な謝罪を聞いた炭治郎は慌てながら「いえ!大丈夫です!どんな理由であれリィン教官が俺を頼って下さったのは嬉しかったのでお気になさらず!!」と返答しそれを聞いたリィンは安心した表情を見せると笑みを浮かべた。

 

「ありがとう炭治郎。それと…」

 

 リィンは炭治郎に感謝の言葉を告げつつ玄弥に目を向けると頭を下げた。

 

「玄弥もすまなかった。元々この試合で玄弥には負けてもらうつもりだったんだ…さっき玄弥自身が気付いたこと…力は所詮力だという事を教えるには同じ力を持つ誰かに一度負ける必要があると思ったんだ…申し訳ない」

 

 リィンの謝罪を聞いた玄弥は呆気に取られていたがやがて慌てたようにに口を開いた。

 

「い…いえ気にしないでください!鬼殺隊に入る前の俺だったら確かに反発したかもしれませんがリィンさんが俺の事を気にかけてくれていたのはわかりますので」

 

 リィンはそれを聞いて「そうか…」と告げるとさらに続けて「玄弥も暫くは調子が出せないだろうから二三日は泊って行くと良い…けどその後は…善逸と伊之助も含めた皆についてきて欲しい場所がある」と真剣な表情で告げ善逸は「炭治郎と玄弥は兎も角…俺達もですか?」と問いかけ、伊之助も「なるほど!つまり特別な修行をすると言うわけだな!!」と勇んだがリィンは苦笑いしつつも「違うよ…まあ伊之助もライザーと一緒に戦う以上何れ特別な修行を受けてもらうから間違って無いけど…今回二人には玄弥の覚醒に立ち会った証人になってもらう。マリィ!」二人の役割を説明しつつ自身の鎹鴉であるマリィを呼び出すとすぐさま屋根の上から一羽の鴉がリィンの右肩へと降り立った。

 

「何カ用カシラ?」

 

 マリィはリィンに形式上ではあるがそう問いかけ、彼はすぐに彼女に任せる役割を告げた。

 

「見ての通り俺を除いて三人目のライザーが見つかった。この事をお館様の下へ伝えてほしい。その後は悲鳴嶼さんの所に行って玄弥は暫く俺の屋敷に泊まる事を伝えてくれるか?」

 

 リィンの言葉を聞いたマリィは「人使イ、モトイ鴉使イガ荒イワネ…ナンテ冗談ヨ。スグニ伝エテ来ルワ。多分三日後ニハ招集サレルデショウカラ心ノ準備ヲシテオキナサイ…特ニ玄弥ッテ名乗ッタアンタハネ」と告げると羽を広げて何処かへと飛び去って行きその様子を見た玄弥はリィンに目を向けると「その…覚悟ってどういうことですか?」と戸惑いながら問いかけ、リィンは二人に目を向けるとはっきりと告げた。

 

「…そうだな皆には話しておこう。実は俺は通常の柱の任務とは別にもう一つの任務を授かっている。炭治郎はもう察しているだろうけど…仮初のライザーの捜索がそれだ」

 

 リィンの言葉を聞いたクロウは『やっぱりな…まあ探せる奴はこの世界だとお前ぐらいだろ』とクックックと悪役の様な声を上げながら告げ、リィンは「やっぱりクロウはわかるか…」と苦笑いしながら答えたがすぐに咳ばらいをすると先を続けた。

 

「ともかくだ…四人には鬼殺隊の本部に来てもらう」

 

 それを聞いた伊之助以外の三人はぎょっとした表情になり善逸が代表して「き…鬼殺隊の本部ですか!?いったいどうして…」と戸惑ったように答えたがリィンは一瞬目を閉じたが同時にすぐに口を開いた。

 

「元々お館様に頼まれていたんだ。仮初のライザーが三人揃ったら一度全ての柱と現在鬼殺隊が把握している残る一人のライザーと顔合わせをしてもらうとな(最も面倒ごとになる可能性も高いけどな…)」

 

 リィンは彼らの驚いた表情を見ながらそう告げたが一番の懸念は玄弥の兄である実弥がどう動くかが気がかりであった。そんなリィンの心配を余所に玄弥は「(まさかここであの人に会う事になるなんて…兄ちゃん…)」ただ一人残された家族である兄の事を思っていた。

 

 

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