低カロリーなタフチーンの作り方を教えてください 作:猫好きの餅
この小説のニィロウは完凸アタッカービルドです(対幼馴染特化)
ちなみにですが、
♢♢♢♢♢→ニィロウ視点
□□□□□→クーファ視点
でお送りしております。
□□□□□
「………これは、夢か?夢なのか?」
時刻は朝6時。早朝と言っても差し支え無い時間帯の人気が全くないグランドバザールの中で俺は突っ立っていた。今日は手伝いも休みなので市場に食材を買いだめようとしたのだが、昨日天使の神託を受けてここに立っている。
こ、これってもしかして、……デー……。
そう考えた思考を振り払うように頭を振る。そんな訳ねぇだろのぼせてんじゃねぇぞ!いつものニィロウの言動から生じる現象だ目を覚ませ!
マジで普段のニィロウの振る舞いを説明すると、ガチ天然小悪魔。人がなにかをしているといつも「なにしてるの?」「おしえておしえてっ」とトコトコやってくるのだ。しかも自分が行っている仕事や趣味に興味を持ってくれる。そしてそのことに着いて説明をすると純粋無垢なキラキラの目で「すごーいっ!詳しいんだねっ」とトドメににぱっと笑顔ときた、こんなん誰でも勘違いするわ。
だから今日のコレもいつものそれに違いない。そういやこの前市場の魚が安いとか話した気がするし、きっとそうだ。勘違いして爆散すんな俺、しっかりしろ。
俺がそんなことを考えながら沸き立つ気持ちを押さえ込んでいると。
「あっ!ク〜ファ〜!!」
元気な美声が人のいないグランドバザールに響き渡る。俺が声がした方を見ると天使が笑顔を振りまきながらこっちに走ってきた。かわいいかよ。
今日のニィロウはいつもの踊り子の衣装と違い、水色を基調としたワンピースみたいなものを着ていた。女の子の服はてんで詳しくないからよく分からないけどベルトできゅっと締められた腰周りが彼女のスタイルの良さを醸し出し、肩の部分だけが覗くデザインのワンピースはとても好みです。
というが可愛すぎて言葉が出てこない。いつも被ってるヴェールもしてないから印象も違って、ちょっと昔のニィロウを思い出した。
「おはよっ!ごめんね、待たせちゃった?」
「おはよ。いや、俺が早く来すぎただけだから」
「へぇ〜…そんなに楽しみだったの?」
「5分前行動」
そんなことを言ってはいるけど実際のところ楽しみすぎてあんまり眠れなかったし、ここに来たのも集合時間の30分前なんて口が裂けても言えない俺は、目を逸らして答える。
ニィロウはそっぽを向く俺が気に入らなかったのかぐるりと回り込んで視界に入ろうとするが、あまりのかわいさに目がやられそうな俺はその場でくるりと回ってまた視界から外す。そんな俺に頬をふくらませたニィロウはまたぐるぐる。俺もくるくる。2人でぐるんぐるん。
「「…ぷっ」」
そんな謎な状況になんだかおかしくなってきて、2人して吹き出した。くすくす笑いながら若干回る目に踊らされながら段差に座る。ニィロウは普段から踊りで回っているからか全然へっちゃらそうだった。
「あはははっ……もー、何してるんだろ私たち」
「時間が朝で人が居なくてよかったよ。昼間のグランドバザールだったら2人して変な人だな」
「私は大丈夫だと思うよ?普段から回ってるし。だから変な人なのはクーファだけだね」
「理不尽」
俺の隣に肩が触れそうな位の距離感で座ってくるニィロウを意識しないようにしながら話しているとつんつんっとほっぺを突っつかれた。致命傷です。
「ねね、この服この前買ったんだけど……どう?」
「に、似合うと思ったからかったんじゃねぇの?」
「………クーファはどうおもう?」
ほんとに距離感どうなってんだこの幼馴染。観念してニィロウの方を向くと身長差の関係で上目遣いになったニィロウと目が会い、少し赤くなった彼女は髪をくるくる弄りながら目を逸らした。
「…くっそかわいい」
「え?」
「いや!?なんでもないぞ!そ、その、似合ってる……と思う」
「…………」
「ニィロウ?」
ままよとこっちも目を逸らして感想を言うと、ニィロウの反応がなかったのでミスったかと冷や汗を流しながら隣を見ようとしたら、いきなり彼女が立ち上がった。こっちに背中を向けてるから表情はわからない。
「…ありがとっ!…じゃあ、行こっか!確か市場に行くんだよね」
「お、おう…。ちょっと待てって!」
俺は何故か早足でズンズン進んでいく幼馴染を慌てて追いかけた。そっち市場と逆方向だぞ!?
突然だけど、俺とニィロウは幼馴染だ。でも、ずっと一緒に過ごしたわけじゃない。実の所、ほんの数ヶ月前まではなんなら疎遠って言ってもいいくらいには絡みがなかったんだ。いや、絡みを俺から無くしたって言った方がいいか。
なんで疎遠になったかって言うと、所謂「思春期のアレ」だ。なんか15か16歳くらいの時のある日、ニィロウとどう話していいか分からなくなった時があった。そのままなんか話し掛けるのが恥ずかしくなり、1度そういう態度を取ってしまってから次話しかけるのもやりにくくて、その繰り返し。
それはニィロウも同じだったみたいで、最初は何度か話しかけてくれていたんだけど、次第にそういうことも無くなって、出くわしても目をちょっとだけ合わせるくらいで挨拶もしない日々を送っていた。その頃丁度ニィロウの踊りの方も花神の舞を習得する猛練習をしていてそもそも関わりがなかったのも大きかった。
ただ、俺のニィロウに対する想いだけは消えることはなかった。いま思い返すとキモイとは思うけど、こそこそ彼女の友人のお嬢様や踊りの先生に聞いて回って好きな食べ物を調査したり、練習がキツそうだったら塗り薬とか食べ物を名前を隠して差し入れしたり。いざと言う時に彼女を守れるように冒険者を目指して体を鍛えようと傭兵の姐さんに師事させて欲しいと頭を下げたり。……いやきめぇな俺。そんなことしてる暇あんならニィロウに話しかけろや。
んで、そんなことをしながら日々を送っていた訳だけど、つい2ヶ月前にいくつかの転機が訪れた。いや、さすがに逆上せ上がりすぎだろと思われるかもれないけど、花神誕祭の夜に夢にニィロウが出てきた。そのニィロウはその日に教令院に止められた花神の舞を踊っていた。それがあまりにも綺麗で、そんな彼女を見ていたらただ話しかけるだけでうじうじしてる俺がすごくちっぽけに感じてきた。そこで勇気を貰ったのが1つ。
2つ目が教令院に公演が禁止されそうになった時だ。なんとニィロウが教令院の学者と討論をすることになったそうだ。ただ、口論とかそういう争いごとを嫌い、避けて過ごしてきたニィロウには結構な重荷だった。そして討論が翌日に迫った夜。旅人やシアターのみんなから応援を受けてながら家に帰るニィロウの肩が、足が微かに震えているのが見えて、俺は突き動かされるようにニィロウの家に足を運んでいた。
緊張で震える手でノックをして、扉を開けたニィロウの目が赤くなっていた。お互いぎこちない挨拶から始まって話を聞くと討論が明日に迫ったけど緊張で眠れない、自分の手にシアターの存続がかかっているけど上手くできるかわからないと鼻をすすりながら彼女は話した。泣いている顔を見られたくないとの事で部屋との扉越しで背中合わせになりながら、俺はニィロウを夜どうし励まし続けた。一年以上も疎遠のやつが何言ってんだと思ったけど、彼女のためになるならといろいろ柄にもないことを言った覚えがある。
そしてそのまま討論当日。ニィロウは見事に教令院の学者を言い負かした。討論が終わりシアターの人達にもみくちゃにされているニィロウは昨日とは違い屈託のない笑みを浮かべていて、俺は安堵した。
ニィロウが俺に積極的に絡むようになったのはその日からだ。そして俺は彼女が日々食べているケーキが実はタフチーンという肉と米の塊と知り、カロリーを計算して絶望し、今に至る。だから、こういう2人で出かけるってこともかなり久しぶりだ。
「クーファ?どうしたの?なにか考え事?」
「へ?…あ、ああ。そういやこうやって出かけるのは久しぶりだなって」
「うん!に……3年振り位じゃない?前に市場に行った時、クーファが迷子になって大変だったんだから」
「迷子になったのはニィロウの方だろ。『あっ、買ったものをお店に忘れちゃった!』とか言って走ってって、俺がその店に歩いてって待ってもお前全然来なかったろ。そんで俺が血相変えて探し回ってたらなんか道行く人にナツメヤシキャンディーご馳走になってたし」
「そ、そのことは忘れてっ!」
少し昔のことを思い出していたらニィロウが得意げにからかってきたので言い返すと今度は途端にあわあわし出す。このコロコロと感情に合わせて変わる表情がニィロウの魅力の一つだ。
今、ニィロウは俺の数歩前を手を後ろで組みながら歩いている。公演がある日は基本的に踊り子の装束姿なので彼女の私服は結構レア。実際周りの視線を結構集めている。
それもそのはず、もともと美少女なお顔が今は眩しい笑顔を咲かせていて
すれ違った男が軒並み振り返っている。まったく、ニィロウのその笑顔で一体何人の男が虜になり、バッサリ斬られて来たのか。俺も迂闊に告ろうものなら一刀両断されかねない。その時はもれなく泣きながら璃月かフォンテーヌコースだ。そのまま本当の疎遠になって結婚報告でも聞いたら、「おめでとう」の「お」口の形のまま怨嗟の号哭が口から出ることだろう。何せ、そのくらいには好きなのだから。
そんな周りの視線には気にもとめず、くるりと振り返って殺人級の笑顔を俺にも照射してくる。
「それでっ、何を買いに行くの?」
「とりあえず鶏肉と米とヨーグルトだな。それに試作用で魚もいくつか。あと鍋も一回り小さいのが欲しい」
「またタフチーン作るの?好きだね」
お前のためなんだけどね。
「ニィロウは?なにか買うのか?」
「ん?考えてなかったよ」
「え?だから今日着いて来たんじゃないの?」
「……あっ!そ、そう!そういえばお野菜が切れてたんだった!」
わ、忘れてたぁ〜!と謎に騒ぐニィロウ。買い物に来て買うもん忘れるとか、相変わらずぼんやりしてるところがあんな。踊ってる時のカリスマ性はすごいのに。ま、そういうところがかわいいんだけど(洗脳済み)。
「了解、じゃあ野菜を最初に買いに行くか」
「うんっ!ほらいこっ」
だぁから腕を引っ張るなって!
♢♢♢♢♢
えへへへへへっ♪クーファとデート……すっごい楽しいよ!
久しぶりに2人きりで出かけるから、今日の格好は気合い入れて来ちゃった。ダメ元で感想を彼に聞いたんだけど、目を逸らされて呟いた「そ、その、似合ってる…と思う」クーファを見て顔がすっごく熱くなっちゃった!
急いで立ち上がったけど、顔見られなかったよね……?
そこからはなんだかクーファの顔が見れなくて、彼の少し前を歩いた。
うう、やっぱりこの服ちょっと目立つのかな?周りの人からすごく見られてる……。で、でもクーファが似合うって言ってくれたし!クーファさえ良いって言ってくれればそれでいいもんね!
彼に買いたい品物を聞くと、またタフチーンの材料を買うみたい。毎日色々作ってくれるし、クーファもタフチーン好きなのかな?私としては毎日彼に会える口実ができるから大大歓迎なんだけどね。っていうかもう公演が終わったあとの楽しみになってる。だけど、シアターのみんながクーファが来るとニヤニヤしながら肘で突っついて送り出してくるのはなんか恥ずかしいからやめてよねっ!
その後の買い物は順調に進んで行った。私がただ彼とお出かけしたくて誘ったから、何を買うのかと彼に聞かれて慌てて答えた野菜(もう家にある)を泣く泣く買ったり、真剣にタフチーンの改良をブツブツ言ってるクーファを眺めながら時間を過ごした。
「よーし、買った買った。結構買っちゃったな」
「うん。お値段も安かったから、行って良かったかも」
「だろ?あそこは月一で安くなる日があるんだよ。……って、この後はどうする?」
「そ、そうだね」
時間はちょうどお昼くらい。そして自分たちの手には新鮮な食材。私が上目遣いで彼の方を見ると目がバッチリ合った。
ゆ、勇気を出す時だよ!私っ!
「ね、ねぇ。クーファ…」
「な、なんだ?」
「……く、クーファのおうち……行ってもいい?」
ここから二回戦目突入だよっ!
はよ付き合えよこいつら。
ニィロウは持ってますか?
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未所持
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無凸
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1凸
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2凸
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3凸
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4凸
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5凸
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完凸
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どうでもいいけどニィロウのおへそが見たい