低カロリーなタフチーンの作り方を教えてください   作:猫好きの餅

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おまちどうさんです。こちら、ご注文の糖分です。ドサッ!!





幼なじみの性格が、何故かコロコロ変わる夕方

 

 

♢♢♢♢♢

 

 

「お疲れニィロウ。今日も持ってきたぞ?」

「ぁ、……うん。ありがと……」

「おう。……今日は持ち帰るのか?」

「ぇっ、あっ、うん」

「そっか。んじゃまた明日な」

「ぅ…ま、またね……」

 

私は熱くなったせいで回らなくなった口を必死に動かしてクーファからタフチーンを受け取ると、小走りで自分の部屋に戻る。部屋に入るなり私はそのままベッドにダイブした。

 

「うぅ……クーファのかお…ぜんぜん見れないよぉ…」

 

クーファとのデートから数日。私はあれから彼とまともに会話が出来ないでいた。まぁ、あの時口走って「だいすきっ!」なんて言っちゃった私の自業自得なんだけどね。ううう、なんで言っちゃったの私のばかぁっ!その後の誤魔化しも下手っぴだったし……!

 

そんなわけで、あれからもタフチーンを作ってくれるクーファと顔を合わせる度にそれまでに色々考えてたセリフとかが真っ白になっちゃって結局何も言えずに部屋に引き上げる日々を送っているのでした。

 

どうしよう……このままじゃまたクーファと疎遠になっちゃう。そんなのは嫌っ!でも、彼の顔を見る度にこの前言ってくれた事を思い出しちゃって、喋れなくなっちゃう。

 

「わ、私っ……ど、どうしたらいいの……!

 

 

 

 

 

 

 

……お願いたすけてっ!ドニアザードっ」

「お、落ち着いてニィロウ?」

 

ということで友人のドニアザードのところに乗り込んでみました。

 

ずっと自身を蝕んでいた魔鱗病が完治して自由に外を歩き回れるようになり元気そうなドニアザード。そんな彼女は、会うなり顔の前で手を合わせてお願いする私に目をぱちくりさせる。

 

「え、えっと、クーファくんのことだよね?…まだくっついてなかったんだ…

「ん?なにか言った?」

「ううん、なんでもないよ。えーとっ…恥ずかしくて顔を合わせられない人と喋る方法?」

「うんっ。ドニアザードなら明るくて話すの上手だから何かアドバイス貰えるかなって思って」

 

ドニアザードは少し考えてると、首を傾げて言ってきた。

 

「…いつも通りでいいんじゃない?」

「えー?いつも通りぃ?」

「だって、クーファくんの方は別にいつもと変わらないんでしょ?それならニィロウがまごまごすることもないじゃない。いつも通りのクーファくんといつも通りに話すニィロウ。もうこれでいいと思うけど…」

「うう、そうだけどぉ」

 

それを言われるとそうなんだけど、クーファって結構内心で考えるタイプだし、裏でなに思われてるか分からないんだもん!

 

そうドニアザードにいうと「確かに…」と呟く。2人でうーんとうなっていると、突然手を叩いたドニアザードが棚からいくつかの本を取り出した。

 

「ニィロウっ!これをいろいろ試してみない?」

「その本がどうかしたの?」

「私が外を出歩けなかった頃に、クーファくんに買ってきて貰った本なんだけどね」

 

そう言って「八重堂」と書かれた本をいくつか捲る。中は小説になっててこういうのを読んだことない私は目が回りそう。

 

「この本達は娯楽小説って言うんだけど、このシリーズはね恋愛モノなの」

「恋愛モノ?」

「そうっ!この作品には色々な女の子が出てくるから、この子たちの性格を真似してクーファくんと喋ってみたら?キャラクターの皮を被った状態なら、いまのニィロウでも話せるんじゃない?」

 

ドニアザードに教えて貰いながら小説を読んでみると、案外読みやすい。内容は1人の男の子とその子を好きな7人の女の子との恋愛模様を描いた作品みたいで、色々な性格や見た目の女の子がいっぱい出てくる。

 

その中にこの前私とクーファがしたみたいな買い物デートもあって、顔から火が出そうだった。あ、改めてこうして文で読むと……お家に上がるのって結構大胆だったかな!?……でもクーファは楽しいって言ってくれたし…えへへ。

 

そうして読むことしばし。

 

よぉし……!この中からクーファが好きそうな女の子のタイプを何個かリストアップした私に、ニヤニヤして見ていたドニアザードが聞いてくる。

 

「どう、ニィロウ?これだったらイケるんじゃない?チャレンジしてみたら?」

「う、うんっ、とりあえずやってみるよ!」

 

明日から、早速試してみるよっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□

 

 

…最近、ニィロウがよそよそしい件について。

 

今日も持っていったタフチーンを受け取って控えめなやり取りをして帰宅して行った幼なじみを呆然と眺め、俺もとぼとぼと家に帰った。

 

部屋に入るなり頭を抱える俺。

 

「ああああああああ!一体どういうことなんだァ!?」

 

前回の買い物からのお家訪問で俺、何かやらかしたか!?いや散らかった部屋で結構マイナスかっ!ニィロウはマジで良い奴だから、口ではそう言っただけで本当は汚いとか思ってたのか!?………でも普通汚いって思う部屋の服とか率先して拾わないよな…。一刻も早く散らかった部屋を綺麗にしたかったのかな…?

 

でも毎日ちゃんとタフチーンは貰ってくれるし、次の日に感想も言ってくれる。明日はニィロウが休みの日だから作ってかなくても大丈夫だけど……なんかまた期間空いたら接し方が変わってそうで怖い。唯一心当たりがあるのは別れ際の発言だけど、ニィロウは普段から結構無自覚でああいうこと言うから、あれも揶揄われたってことだと思うし……。

 

「……はぁ、わっけわかんねぇ」

 

こちとらタフチーンを渡すって用事がないと干渉しに行けない立場上、ストレートに聞くのも憚れる。それで残るのはよそよそしくなったことで、俺の何かに幻滅されたかという不安のみ。でもタフチーンは受け取ってくれる分期待も混ざってて尚更タチが悪い。

 

俺はズルズルと扉を背に座り込んだ。最近、ニィロウの踊りはますます有名になってきて、他国から見に来る人も増えた。その中には俺じゃ足元にも及ばないイケメンや金持ちがわんさかいて、今日もニィロウの公演に歓声を上げていた。

 

いつ、そいつらにニィロウの意識が持っていかれるかわからない。俺が勝負できるのは「優しさ」とか「気遣い」とか、そんなん人として当たり前だろってことのみ。もし俺より顔が良くて強くて金もあるような奴がそんな当たり前の事をしてきたら。もう俺に対抗する手だてが無いのだ。

 

「…こんなんになるなら、もっと早く接しとくべきだったかな」

 

その呟きに答える声は、どこからも聞こえてこなかった。

 

 

 

 

 

翌々日の夕方。俺がいつものようにタフチーンを持ってスバイルシアターに向かうと、ニィロウは最後の公演の真っ最中だった。

 

今日はなんかいつもより人が多いな。特に男の。

 

どうしたのかと疑問に思ってシアターの前に歩いて行きニィロウの姿がしっかり見えて来ると、俺はタフチーンを落としそうになった。

 

「……かっわ」

 

くるくると舞い踊るニィロウ。そこは変わらないが、髪型がいつもと違った。赤茶色の綺麗な髪の縛る位置が首元から耳の上になっていて、彼女が回る動きにつられて2つに結った髪も同じく回る。

 

いわゆるツインテールとなった天使が、ステージの上で天使の舞を踊っていたのだ。

 

いやツインテール似合いすぎだろ。振られる髪から何かのオーラが放たれてるみたいでステージを見上げてる男共の首が上向きで固定されている。ありゃ終わったあと首痛めてそうだな。

 

「………!」

 

えっ、今気のせいか!?ニィロウがこっち見て笑顔を浮かべたような気がした。なんなら目もあった様な気もする。

 

びっくりする俺の周りで例の外国の男共が「い、今俺の方みてニコッてしたぞ!」「いや今のは俺にニコってしたんだよ!」「はぁ?お前らみたいなのにニィロウちゃんが笑顔見せるわけないだろ?どうせ顔を見て吹き出しそうになっただけだろ?」と喧嘩を始めるくらいには衝撃的だったようで、俺も心臓を撃ち抜かれた様にたたらを踏んだ。

 

 

その後無事に公演が終わり、ツインテニィロウがこっちに走ってきた。あまりに可愛すぎて直視が出来ない。俺はどぎまぎしながら労いの言葉をかけようとして。

 

「に、ニィロウお疲れ」

「ふ、ふんっ!今日も持ってきてくれたのねっ!ありがとっ」

「はい?」

 

俺は目が点になった。なにせ、いつもならとてとて走ってくるニィロウが、途中で止まって腕を組んだかと思ったらそっぽを向いてそんな事を言ってきたからだ。ふくらませた頬と、張った胸。肩幅にでんと開いた脚が余計に違和感を覚える。

 

……えっと?どなたですか?

 

「…ニィロウ?」

「な、何よ。私をそんなに見て?」

「いや、どうしたんだよそれ」

「……髪?ただの気分よ。偶にはいいでしょ?」

「いやそれじゃなくて」

「……は?じゃあ何よ?今の私が変だって言うの?」

 

変なところしかありませんが!?

 

ニィロウの「は?」につい反応してしまった俺を殴りたい。つか不機嫌顔で腕組んで見上げてくるツインテニィロウが可愛すぎて、状況も相まって頭が回らない。

 

と、とりあえず話し方とか見た目の話はよそう。俺はああそうだと公演中の事を話し出した。

 

「そ、そういえば踊ってるときに俺の方見なかったか?目が合った気がしたんだけど」

「は、はぁ!?勘違いしないでくれるっ?別にあんたの方を見たわけじゃないんだからねっ!」

 

などと顔を赤くして怒り出すツンデレニィロウ。彼女は一気に捲し立てるとふんっ!と再びそっぽを向いてしまった。

 

お、おおぅ……。

 

なんか、もう、可愛いからなんでもいいや(可愛さに動揺が負けた音)。

 

なんでこんなことしてるのかはわからないけど、俺の方も乗ってみるか。

 

「いや、明らかにこっちを見てニコってしただろ。俺の周りに観客が色めき立ってたぞ?俺じゃないなら他のやつのこと見てたのか?」

「そっ、それは違うよっ!」

「ん?」

「あっ、……違うわよっ。他の観客のことなんて興味無いわ。たまたま笑った時に見たのがそこだっただけ」

 

今一瞬戻ったぞ?

 

「因みに、なんで笑ったんだよ?」

「そっ、それは……えっと………」

 

あまりにも苦しい言い訳だったので、興味本意に詰めて見ると、ニィロウはツインテをいじいじしながらそっぽを向いて言い放った。

 

「あ、あんたの顔が面白くてっ!」

「コヒュッ」

 

はいすみません。調子こいてたらカウンターパンチ貰いました。好きな子からの「顔がおもしろくて笑っちゃった」発言に俺はダメージをもらう側だったみたいだ。ココ最近のよそよそしいニィロウのダメージを加わって割といいのが入った。ちょっと視界が重くなる。

 

俺は傷ついたのを悟られぬようにいつもの顔を作ると「それじゃぁな」と踵を返した。

 

「ぁ、……クーファっ!」

 

不意に呼ばれて振り返ると、両手を体の前でもにょもにょさせたニィロウが赤い顔のまま口を開いた。

 

「……その、一昨日のタフチーン……おいしかった」

 

「……そっか、ありがとな」

 

俺は何とかそれだけ返すと早足で自分の家に帰る。閉めた扉に体を預けると一昨日と同じようにズルズルとしゃがみ込んだ。

 

やばい。

 

ニィロウの一言で沈んだ気持ちが一気に回復した。

 

なんだこれ。

 

いやほんとなんだこれ。

 

1度元に戻った辺り、完全に性格が変わったわけじゃ無さそうだけど……。

 

一体、ニィロウに何があったんだ!?

 

 

 

 

翌日。

 

……今日はロングヘアだ。かわよ。

 

昨日と同じ時間。タフチーンをもってシアターに行くと髪を下ろしたニィロウがステージの上で舞い踊っていた。

 

ロングヘアのニィロウもこれまた新鮮で、観客の男共の視線を一身に集めている。ほげーっと見ていたその時、またニィロウと目が合った。

 

「……!」

 

そして昨日と同じく俺を見てぱぁぁと笑顔を浮かべる。それに色めき立つ周りの男共と俺。

 

程なくして公演を終えると、ニィロウはこちらにゆっくり歩いてきた。彼女は俺に話しける前に「んっんっ」ってなんか頑張って咳払いをして………なんか無表情になった。スンってなった顔でそのままこっちを見上げてくる。

 

「………」

「………」

「「………」」

 

何か言うのかなと俺も黙って見ていたら静寂の空間が生み出される。なんなんだこの空気。昨日といいニィロウのいつものクリっとした可愛い目が切れ長になっていてちょっとイイ(末期)。

 

「……ねぇ」

「はいっ」

 

唐突に呼ばれて思わず背筋を伸ばす俺。つか声低っく!

 

「…今日も持ってきたのでしょう?受け取るわ」

「お、おう」

 

昨日とまた口調も違う。「確かに受け取ったわ」とタフチーンを抱えたクールニィロウは肩にかかる髪をふぁさっとやる(語彙力)と、そのまま踵を返した。それを瞬きしながら見ている俺にくるりと振り返ると、顔を赤くして踊り子の装束に握りしめ俯きがちに口を動かす。

 

「その、昨日も……おいしかった」

 

そう言ったニィロウは俺が何かを言う前にそのまま走っていった。

 

 

 

 

 

……クーデレニィロウもいいな。

 

 

 

 

 

 

 

更にまた翌日。

 

 

「お疲れ様。ほら、いつもの」

「はいよー、ありがとね〜」

 

今日はサバサバ系か。かわいいな。

 

俺は最早、この七変化ニィロウが今日はどれを見せてくれるのか楽しみになっていた。

 

本日のニィロウは髪をポニーテールにしてフレンドリーな感じを出しながらタフチーンを受け取った。今回は話しやすそうで助かる。

 

「で、今日はどうするんだ?そのまま持ち帰るか?」

「ぇぅ、んーと…ここで食べようかな?……こっちっ」

「ん?お、おいっ」

 

ここ数日はいつも持ち帰ってたから一応聞いてみると、突然俺の手を引いて歩き始めた。ちょっと周りからめちゃくちゃ見られてるって!

 

「ニィロウ?」

「あ、あっちでたべよっ」

 

そう言って歩く彼女の耳は真っ赤で、俺は言われるがままに着いていく。

 

俺たちはそのままスメールシティの外れのベンチに並んで腰掛けた。

 

「……食べないのか?」

「えっ、あ、うん、頂くね?」

 

いただきます、とタフチーンに口をつけたニィロウの顔がほにゃりと解けた。今日のも口に合ってくれたみたいでよかった。

 

「……よくそればっかで飽きないよな」

「だってクーファ、飽きないようにいつも具材を変えてくれてるでしょ?飽きるわけないよ」

「お、いつものニィロウに戻った」

「…あっ!」

 

しまった!といった顔になる彼女を見てなんだか安心した。キャラが変わったニィロウもいいんだけれど、なんか俺の知ってるニィロウがどこかに行っちゃったような感じがしたから、内心結構心配だったんだ。

 

「……それで、あれはどういう目論見だったんだ?」

「……うぅ、実はね?ドニアザードに相談を受けてもらって……えっと、その……お、踊りの演技力をあげるためにね!ドニアザードが読んでる本に出てくるキャラクター達を演じてみてたのっ!」

「……あ、あぁ〜、そういうことか」

 

それで合点がいった。ちょっと前にドニアザードに頼まれて出張八重堂で買ってきたあの小説か。確かにニィロウが演じたキャラも小説に登場したタイプと大体一致する。

 

「だから、髪型とか喋り方を変えてみたりしてたのか。………ってなんでだ?」

「なっ、なにが?」

「いやさ、だったらなんでステージ降りてもそのキャラ続けてたんだろって。演技力の向上なら踊りの時だけでいいんじゃ……」

「そ!そそそれは慣れないキャラクターをやろうと思ったら、普段からやってないとダメみたいで!」

 

一瞬俺に見せるためかな?と思ったけど秒でぶっ潰されて崩れ落ちそうになる俺。そ、そうだよな。あっぶねえ勘違いするとこだった。

 

「な、なるほど流石ニィロウだな。そういうストイックな所、凄いって思うよ」

「……ぁぅ、ありがと。………えと、…クーファはどうだった?」

 

俺が素直に褒めると顔を真っ赤にしながら見上げて来るニィロウ。そういや今ポニテだったわ。上目遣いと髪型と、チラ見えする耳と表情の合算ダメージで凄い火力になってるの気づかないんスかねこの子は。

 

「ん、どう……って?」

「その、私…この数日位性格を変えてみたんだけど……どれが良かったかなって……」

 

そう聞かれて最近のニィロウを思い返してみる。

 

まず最初のツインテールニィロウだよな。性格もなんかツンツンしてて新鮮だった。少なくとも演技してます感は無かったし、あれはあれで可愛い。

 

次にロングヘアの……クール系かな。

あれもまた新鮮。クール系を演じる前のチューニングみたいな咳払いと頬のマッサージ込みで好きだ。冷たいのかと思いきや、帰りがけの感謝の一言は忘れない。うん可愛い。

 

んで今日はなんというか、いつもに少しだけ近い感じだ。なんかお姉さんぶってる雰囲気とか、ポニテが似合いすぎてるところとかも〇。

 

全部総じてめちゃくちゃ可愛い。可愛いんだけど。

 

……それでもね。

 

「…いつものニィロウかな」

「えっ」

 

俺がそう言うとは思ってなかったみたいで、ぽかんと口を開けるニィロウ。その姿に少し笑ってしまう。

 

「どれも新鮮だったけど、俺はいつものニィロウが一番しっくりくるし、安心するよ」

「い、いつもの私……ほ、ほんと?」

「ほんとほんと。こんなとこで嘘なんてつかないって」

 

正直ツインテールツンデレニィロウはかなり刺さったけど、言わぬが仏。

 

するとニィロウは自分に指を刺して、少し詰め寄ってきた。

 

「わ、私のどこが良いの……?」

「いや全部だけど」

「…えっ!?」

「あっ、えっーと…そうじゃなくて、いや、そうじゃなくもないんだけど」

 

やっべ、口が滑って即答してしまった。顔をボッと発火させて煙を噴き上げるニィロウに熱くなった自分の頬を抑えて手を振る。

 

「き、急に何言ってるの……もぅ」

「いや悪い。……ニィロウのいい所かぁ……?…………やっぱ全部だな」

「真面目に答えてよっ」

 

いやだってさぁ……。この世の善意の集大成みたいな性格じゃんお前。

ちょっと怒りつつも嬉しくなくは無いみたいで俺の肩をぽかぽか叩いてくるのが実にお可愛い。

 

ま、そろそろ真面目に答えるけど。

 

「そうだな、一番は頑張り屋な所かな?今日みたいに全く別の性格を演じられるのもそうだし、踊りもちょっと変えてたろ?」

「よ、よく覚えてるね」

「まぁ、いっつも見てるからな。それに、毎日届いたファンからの手紙とかちゃんと目を通してるし、公演も1日に何回も踊るのに最後までブレ無いし」

「う、ぅ……」

「あとは…料理も上手で家庭的だもんな。この前の掃除めちゃくちゃ助かったし。あ、そういえば買い物の時に思ったけど結構節約家だよな。そういうところもすっげぇ好印しょ…」

「わっ!わかった!もういいからっ!ありがとっ!」

「むぐっ」

 

ついつい喋り過ぎてしまったらしい。さっきよりも真っ赤になって口にタフチーンを突っ込んできた。って、これ食べかけじゃね!?

 

ちょっと歯が入ってしまったのでそのまま仕方なく1口かじる。残りをどうするか考えていたらニィロウに残りをかっさらわれた。そういやこいつら間接とか気にせんタイプだった。

 

俺はタフチーンを食べ切り水筒の水を飲んで落ち着いたニィロウに口を開く。

 

「……だから、いつものニィロウで踊ればいいんじゃないか?素人意見でごめんだけど」

「……クーファはそう思うの?」

「そうだな。少なくとも俺は」

「……そっか。……うんっそうだね。明日からはいつも通りに踊ろうと思うよ」

「おう、その意気だ」

 

話が一纏めにしたところでそろそろいい時間だ。俺はニィロウを家まで送ることにした。そこまでの道を2人で並んで歩く。

 

「ね、クーファ」

「ん?」

「…いつも、ありがとね」

「タフチーンのことか?俺としてはあのカロリーの塊じゃ無いものを食べて欲しいんだけど」

「ち、違うよっ。いや、それもだけど………ってそうじゃなくてっ!……いつも気にかけてくれて、ありがとっ!」

「………」

「く、クーファ?」

 

ポニテを揺らして振り返り、そんなことを言う彼女に少し見惚れてしまった。あ、そうだ、この前の仕返しでもしてやろうかな。ここ数日はちょっと振り回されたしさ。

 

「…ニィロウ」

「…なに?」

 

後に俺は、このイタズラに後悔することになる。

 

 

 

 

「俺やっぱ、いつものニィロウの………好きだわ」

 

 

 

 

「……ぅえっ!?」

 

今日一番の赤面を見せて後ずさるニィロウ。ここでトドメよ。

 

「あ、ニィロウの踊りがな?」

「………」

「………あれ?」

 

ニィロウが固まって動かなくなった。呼びかけても反応がない。ポニテにしたことによって除く耳が真っ赤に染まっていて、大きく見開かれた瞳は俺から離れない。

 

あ、あれ?き、聞こえてます?…おーい?

 

「……く、クーファ……す、すすすすすすすきって、ぇ、ぁ、うぅ」

「ニィロウ?あの、……きみの踊りの話……なんだけど?」

「わ、私も………………え?」

 

やっっっっばい。

 

驚いたニィロウが俺の「踊りがな?」を聴き逃してたみたいで、俺が当然告白したみたいになってる。硬直から回復したニィロウは俯いていて前髪で表情はわからない。明らかに俺が「やらかした」雰囲気に今度は俺が1歩後ずさる。

 

「……………」

「………ニィロウさん?」

「…………………か……」

「え?」

 

ニィロウの口からか細い声が聞こえて聞き返すと、顔を上げた彼女の顔は、別の意味で真っ赤で。そのまま突撃してきた。

 

「ばぁかあああああああああ!!!!」

「ご、ごめ……グァアアア!?」

 

ヴェールの角って刺さるとこんな痛いんすね。

 

 

 

♢♢♢♢♢

 

 

「はぁっ…………はぁっ…………」

 

どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。

 

私をからかったクーファに天誅を下してそのまま部屋に逃げ帰った私は、結んだ髪を解くこともしないまま扉を背にズルズル座り込んだ。両手で発熱する頬に手を当てるけど、全然冷めない。

 

すき。

 

冗談だったとしても、彼に言われた「ニィロウが好きだ」という言葉が頭から離れないよぉ。

 

すき。

 

彼と話す目的で色んなキャラクターを演じたけど、ありのままの私が良いって言ってくれた。頑張ってる私のことをずっと見てくれていた。…………そんな、私を好きって言ってくれた。………踊りの話だったけど。えへへっ!

 

だいすきっ。

 

ふと化粧台の鏡を見てみると、そこには頬がゆるゆるの女の子が1人写ってた。その顔があまりにもだらしなかったので頬を揉み揉みして戻そうとするんだけど、胸からどんどん「好き」って気持ちが溢れてきて全然戻らない。お願い戻って私の顔〜!

 

しばらく奮闘して諦めた私はベッドにダイブして、彼に似ている人形を抱きしめた。

 

 

 

 

「……ま、前より人に見せられない顔になっちゃった…………えへへへへへ♪」





個人的にツインテールニィロウがかなり好き。

どのニィロウが好きですか?

  • ツインテールツンデレニィロウ
  • ロングヘアクーデレニィロウ
  • ポニーテールサバサバ系ニィロウ
  • いつものニィロウ
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