低カロリーなタフチーンの作り方を教えてください   作:猫好きの餅

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こちら、自分のXアカウントです。投稿前に新話のチラ見せを行っています。良ければどうぞ。

あ、しょくねこでもうフォロワーの人はもう一度押してフォロー解消しないように。…ほ、ほんとにお願いね…?


幼なじみの隣に私の知らない子がいるんだけど?

 

 

□□□□□

 

 

「……ん」

 

窓から差し込む太陽の光で、俺は目を覚ました。

 

むくりと起き上がるとんんーっと伸びをする。

 

「…やっぱ寝るなら自宅が1番だな」

 

俺は3日の入院を得て自宅に戻ってきていた。と、言うか入院中は別の意味で気の休まる時が無かったから、余計にひとりの良さが身に染みる。

 

というのもそう、ニィロウだ。あやつ俺が目を覚ました次の日も、そのまた次の日も欠かさず見舞いに来てあれこれ世話を焼いてくれた。掃除洗濯、果てはご飯まで自分で食べさせようとしてくる始末で、看護師さん達からの生暖かい視線がとてもむず痒かった。

 

そんで傷自体もクラクサナリデビ様があらかた治してくれたのでそのまま退院。ちなみにクラクサナリデビ様もお見舞いに来てくれた。なんか意識を他の人間に憑依させれるみたいで冒険者協会のキャサリンの姿で来た時はびっくりしたが。

 

 

 

 

んで、退院してからもう一週間。その中でも色々な出来事があった。

 

まず、諸悪の根源のあの男とその取り巻きは逮捕された後モンドに強制送還。向こうで処置を決めるそうな。料理人ってのは嘘だったけど貴族ではあったようでこっちじゃ裁けないみたい。

 

次に神の目。俺は水の神の目を授かった。これが中々に便利で好きな所に水を出せるわそれを宙に浮かせられるわで水仕事が格段に楽になった。いちいち水を汲みに行かなくていいし、純粋な水なので普通に飲んでも美味い。でもせっかく神の目を持ったんだから戦いで使えるようになりたいじゃん、ってことでディシアさんと色々練習をしてみたところ、少し形になった。まだ使いこなせてないので要練習だけど。ちなみにニィロウに「お揃いだねっ」って神の目同士でコツンとされて俺は死んだ。

 

そして最後にニィロウのことについてだ。

1番の変化はタフチーンばかりねだらなくなった。訳を聞くと俺の色々な料理が食べたいみたいで、最近はピタがお好み。タフチーンも週2くらいに落ち着いたので、こっちとしては大変助かる。

 

だけど、一昨日それで大変な目にあった。

 

タフチーンを欲しがらなくなったニィロウがジュートさんのところで彼のタフチーンを買ってるところに鉢合わせた。「こっ、これはねっ……!」と弁解しようとしているニィロウにからかい半分でこう言ってしまったのが俺の運の尽き。

 

「…は、ははっ、そっか…ニィロウはもう俺のタフチーン……食べたくないんだ……」

 

俺は慌てるニィロウが更に見れるかなってちょっと悲しそうな顔をして言ってみたんだけど、彼女には、違う意味で効果てきめんだった。

 

「えっ、…あっ、ち、違うのっ!……わ、私……ぁ、ご、ごめんなさい……!」

「えっ、あれ?」

「わ、私っ……クーファのタフチーンしかもう食べないからっ!お、お願いっ…そんなこと言わないでぇ……!」

 

などと涙目で言ったニィロウは俺に縋り付いて来たのだ。

 

そんな状態になっている俺たちを見てグランドバザールの人は全員泣き出すニィロウの味方。仕舞いにシェイクズバイルさんの「ウチの踊り子何泣かしとんじゃあ"あ"!?」みたいな殺意の視線も頂いて、俺はニィロウに稲妻発祥の最高の謝罪(土下座)を敢行。ニィロウが泣き止むまで針のむしろっていう事件があった。

 

ちゃんとニィロウに冗談って説明したんだけど、結局俺以外が作ったタフチーンを食べなくなったのがすごい罪悪感だ。後にそれについて謝ったんだけど「クーファのタフチーンが1番私の好みだから、気にしなくても良いよ?」とのこと。

 

そんで2番目の変化は、距離が近くなった。今までもバザールの隅っこに座って一緒に晩飯食べることはあったんだけど、前は30cmは空いていた間隔が今はもう5cmくらいしかない。というか肩に至っては結構当たるし、俺が少し距離を持っても何かの動作と一緒にちょっと詰めてくる。

 

病室でのハグといい、もしかしてニィロウに脈アリなのでは?と逆上(のぼ)せた考えが頭を過ぎるが実際どうなんだろうか。

 

この前、ついにニィロウに俺が料理人になった理由を話してしまった。要約すると「頑張ってるニィロウの為に料理人になった」と言ったようなもので、ほぼ告白だ。泣いている彼女の為とかいろいろ言い訳してるが、本音はこれからもニィロウと関わりたいって意思がそのまま口から出た流れだ。

 

もしかしたら、俺の気持ちは伝わってるのかもしれない。…でも、だとしたらあの場で何か返事をするはず……。

 

でも、前に今は誰ともそういう関係になる気はないって言ってたし……。

 

にしては距離は近い。………っ、あー、そういうことか。

 

 

多分俺、男として見られてないんじゃね?

 

 

男としてっていうか兄とか父親みたいな感じ?それならいろいろと彼女の言動も当てはまる。…なーるほど、そういうことか……道のりは長いなぁ。

 

俺はため息を着くと、普段着に着替える。今日はニィロウの公演は休みだから1日ゆっくり出来る。偶には朝飯も外で食うか。俺は壁に立て掛けられている璃月で手に入れた愛剣「黒岩の斬刀」を背負うと家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

「そこの若者、少し良いか?」

 

通りを歩いていると可愛い声に呼び止められる。……若者?俺をそう呼ぶってことは………ん??

 

振り向いて声の主を探したけど、俺の事を「若者」扱いできるような年齢の人は視界に入らなかった。………気のせいか?

 

俺は首を傾げると前を向き直し、歩きだそうと……。

 

「こ、これっ!無視をするでない。このわしの声が聞こえんのかっ!」

 

えっ?ホントに誰?

 

もう一度振り向いて念入りに年寄りを探してみるが、こっちを向いているのは腰に手を当てたアクアブルーの髪の女の子だけ。

 

「……空耳か?」

「ちっがうわ馬鹿者っ!こっちじゃ!」

「うおっ」

 

俺、もっかい病院戻った方がいいんじゃ?と首を捻っていると、目の前の女の子に突っ込まれた。

 

「…えっ、てことは君が俺を呼び止めたのか?」

「じゃからさっきからそう言っとるじゃろうが!!……まったく、さっきから無視しおって、年寄りに対して失礼じゃろうが」

 

何言ってんだこの子?

 

なんか自分を年寄りとか言ってる女の子に俺は一歩後ずさった。どう見ても16、17歳くらいの見た目で、特殊な種族って訳でもない。よし、ここはあんまり関わらない方がいいな。

 

「それは失礼しました。…では」

「おー……って、待て待て待てっ!?何普通に行こうとしとるのじゃ!?」

 

くっそ。あと少しだったのに。少女に腕を掴まれた俺は渋々振り返った。

 

「えっと、何の用だよ俺に。金目の物はこの剣くらいしかないぞ?」

「カツアゲではないっ!少し、探し物をしておるからそれを尋ねようとしただけじゃ」

「なんだ、そうだったのか。てっきりドッキリか詐欺か呼び込みの類かと」

 

最強に可愛い幼なじみを持っているからな、道端で可愛い女子に話しかけられて動じる俺では無い。不動の精神で迎え撃とうとしたが杞憂だったようだ。この際口調とかにはツッコまないで普通に答えるか。

 

「それで、捜し物ってなんだ?見たところスメールの人ではあるっぽいけど、別の街の人?」

「いや、わしは教令院の知論派の教授をやっておる、ファルザンと………ってどこへ行くっ!?」

 

ファルザンと言うらしい女の子は、教令院の名前が聞こえた瞬間踵を返す俺の腕を掴んで止めてくる。えぇ、教令院の人かよ……。

 

「悪いけど俺教令院嫌いなんだよ。この前ニィロウの公演潰そうとしたし、悪いけど他を当たってくれ」

「待て待て、わしが教令院にもどったのはつい最近じゃ。ニィロウといったあの踊り子の素晴らしい踊りはわしも知っておるぞ!初めて見た時見蕩れてしまった」

「よし話を聞こうか。探し物ってなんですか?」

「お主……それで良いのか?」

 

呆れた目で見てくるファルザン。ニィロウの踊りを好きな人に悪い人はいないからな。…………ごめん…居たわつい最近。

 

「ま、まぁいい、わしが探しているのはある料理でな?デーツナンなのじゃが」

「デーツナン?そんなんどこにでも売ってるけど?」

 

デーツナンはその名の通り、デーツを使った焼き菓子だ。スメールの人気菓子で飲食店なら大抵売ってるものなのだが…?

 

だかファルザンは首を横に振った。

 

「確かにデーツナン自体は見つけたのじゃが、もっと古風な製法のデーツナンが食べたいのじゃ。今の製法だと少し口に合わなくてのう」

「古風……あっ、わかるかも」

「知っとるのかっ!?」

 

確か俺、デーツナンを習った時作り方2つ教わったわ。それかもなと声を上げるとファルザンがすごい勢いで詰め寄ってきた。近ぇよ!

 

ニィロウほどでは無いけどファルザンもかなりの美少女。言動さえおかしくなかったらすげぇモテると思うんだけどな。

 

「確かあれか?今の素朴な味付けの生地にジャム付きじゃなくて、生地を甘くしてミントソースかかってる方の」

「それじゃそれじゃっ!!いやぁ〜なんと運命の巡り合わせじゃ!ここでお前に会えて嬉しいぞ!」

 

だから近ぇっての!!

 

ファルザンは両手を取ってブンブン振ってくる。傍から見たら運命の再会した

みたいで周りの視線を集めている。俺は手を外すと遮られて言えなかったことを彼女に伝えた。

 

「でも、その作り方のデーツナンを売ってる店はもうないぞ?」

「なぁ!?そ、それは本当か?」

「ああ、単純に今の流行りって言うか好みがそっちなんだよ。…つか、ミントソースの方は売ってたのかなり昔だって聞いたけど……家族の誰かが好きだったとか?」

「いや、わしが好きだったからじゃ。100年前はよく食べておった」

「んん?」

 

100年前?

 

俺が理解できずにいると、ファルザンは「あ、言い忘れておった」と自身に指を指した。

 

「わし、こう見えて中身は117歳なんじゃ。遺跡の謎を解いておったら中に閉じ込められてのぉ、出るのに100年かかった」

「はっ、100年っ!?…じ、じゃあその見た目は…」

 

驚いて、改めてファルザンの様相を見るけどやっぱり長命種という感じはしない。

 

「遺跡の中では成長も空腹感などの生理現象も止まってな。じゃから身体は入った当時のままなのじゃ」

「……なるほど……理解はしたよ。えっと、……ファルザンさんって呼んだ方がいいですか?」

「そんな硬っ苦しい敬語は要らん。学院生ではないが……わしのことは先輩と呼ぶのじゃ。……で?昔のデーツナンは売っている店は無いのじゃろう?」

 

ファルザン…先輩?は残念そうに肩を落とす。確かに100年かかって戻ってきたと思ったら食べたいものが売ってないなんて、ちょっと可哀想だ。100年も過ぎたら食べてるものが丸々変わるなって歴史上珍しくないし。

 

俺は自分を指さした。

 

「ファルザン先輩が良かったら、俺が作ろうか?」

「えっ、なんと!?…良いのかっ!」

「俺、こう見えても料理人なんだ。昔のデーツナンは食べたことないけど話を聞いてたら気になってきたし」

 

すると顔を綻ばせたファルザン先輩は笑顔で俺の両手を取ってきた。ほんとにこの人中身100歳なんだよなっ?動作が女子過ぎるだろ。

 

「か、感謝するぞ若者よっ!…あ、そうじゃ、お主の名前を聞かせてくれぬか?」

「クーファだ。…よし、じゃあとりあえずデーツナンの材料を買いに行こう」

「ああ!よろしくお願いするぞクーファ。………うーん、クーファという名前は少しばかり言い難いのう。クーでもよいか?」

「ん?まぁいいけど……」

「よしっ!では行くぞっ!クー」

 

そういや女の子からあだ名というか、略称で呼ばれるの初めてだな。…まぁ、中身100歳の実質おばあちゃんだし、別にいいけどさ。

 

笑顔で歩き出すファルザン先輩に苦笑したは、市場に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢

 

 

「〜〜♪」

 

「どうしたのニィロウ?ごきげんね」

「えっ、そそんなことないよっ?」

 

今日は公演はお休み。でもレッスンはあるからそれを終わらせてシャワーを浴びた私は無意識に出ていた鼻歌を劇団の女友達に笑われて、顔が熱くなった。

 

だって、最近毎日楽しくてしょうがないんだもんっ!

 

この前クーファのお見舞いに行った時、無事に起きてくれたことが嬉しくてすごい暴走しちゃった。そ、それに変な勘違いもしちゃって……うぅぅぅ。へ、変な子って思われたかな…?

 

それでも、クーファが言ってくれたあの言葉が頭から離れない。

 

「毎日毎日、ダンスを頑張ってる踊り子に美味い飯食わせてやりたかったからだよ」

 

それを聞いて、ずっと自分の中でぶつかり合ってたクーファの近くに居たいって気持ちとこんな事に巻き込んじゃった罪悪感。自分を押し潰しそうだったそれらが跡形も無く吹き飛んじゃって、残ったのは前よりも格段に強くなったこの想い。

 

クーファも……私のこと、そうおもってくれてるのかな?

 

そう考え出したらもう私は止まらなかった。今までタフチーンだけだったクーファの料理をいろいろと食べてみたくなったし、彼との距離も近くなるように色々頑張った。

 

で、でも1回こっそりタフチーンを買ってるところに彼と鉢合わせて、クーファが悲しそうな顔をした時、肝が冷えるの実感して私は思わず涙が溢れてしまった。

 

ああ、私、もうクーファが居ないとダメなんだなぁってその時改めて実感したんだ。

 

………私、彼のためならなんでも出来るような気がする。ってダメダメ!その考えはなんか危ないよぉ……!

 

レッスンが終わって帰り道。シアターを出た私は、そういえば家の食材が心もとないことを思い出した。公演の日は毎日クーファに晩御飯を作って貰ってる私だけど、それ以外は家でちゃんと料理するんだよ?……だって、将来は一緒にご飯つくりたいし………。

 

私はその脚で市場に向かった。今日の晩御飯は何にしようかな……?最近クーファがパン系作ってくれてたから、お米にしようかな……?

 

そんなことを考えながら歩いていると。

 

「のぅ、こっちのデーツはどうじゃ?クー(・・)

「どれどれ……お、良いな。さすがファルザン先輩」

「伊達に長生きしとらんからの」

「…殆ど遺跡の中じゃ?」

「う、うるさいわっ」

 

え?

 

向こうのお店から可愛い女の子の声と、………間違えもしない私の大好きな人の声が聞こえて、私は固まった。そのまま恐る恐る振り返る。

 

 

 

 

……んん?

 

内心人違いだと言い聞かせながら振り向いた私の視界には……クーファと、アクアブルーの髪を2つに縛った可愛い女の子が身を寄せあいながら仲つむまじく買い物をしている光景が写ったのでした。

 

 

 

 

 

………クーファ?誰その女の子っ?私っ、詳しく聞きたいなっ?

ニィロウはどっちがいい?

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