C.E60年代後半から強まったプラントと理事国の緊張は70年に入ると益々強くなり、コペルニクスの悲劇を皮切りについには地球連合による宣戦布告に発展した。
C.E70 2/12
俺、ムウ・ラ・フラガの所属するメビウスゼロ部隊も他の艦隊と一緒にプラント侵攻の為にL5宙域を目指していた。
到着を待つ間、ドレイク級マッカーサーの割り当てられた部屋でジンの映像を見ながら考えていた。
( ついにここまできちまったな。コペルニクスでのテロは止められなかったから、血のバレンタインは何としても止めたいが正直打てる手が少なすぎる。後はあいつが上手いことやってくれるのを祈りながら死なないように頑張るとしますかね )
そんな事を考えていると部屋の呼び出しが鳴った。
「フラガ隊長、今お時間よろしいでしょうか?実はジンとの戦闘シミュレーションをしたいと思うのですが隊長も参加していただけませんか?」
そう声を掛けたのは、部下のリザ・マーシャル少尉だ。俺の隊の副隊長みたいなポジションにいる、栗毛のショートボブの美人さんでとてもクールな女性だ。
「了解。ちょうど俺もジンの映像を見てたところだし一緒にやろうか」
そこから二人でシミュレーションルームまで移動し他の二人の部下と合流した。
一人はアウロ・スミス少尉、黒髪の短髪をオールバックにして固めた好青年だ。少しお調子者だが隊の雰囲気を明るくするムードメーカーでもある。もう一人はクリス・トーマス少尉、こちらも黒髪の短髪だが髪は固めずそのままにしている。能力は三人の中でも抜きん出ているが真っ直ぐな性格のためやり込められることも多い。
そんな三人と映像を見ながら会敵した時の作戦を考えていく。
「やはり、ジンの機動性は厄介ですね。動きさえとめればガンバレルで落とせると思うのですが」
敵の映像を見ながらクリス少尉がそう感想を言うとリザ少尉がそれに答える。
「それは敵も分かっているでしょう。戦場でとまってはくれませんよ。こちらが敵をその場に縫い付けるか、動いている敵を狙い撃つしか無いですね」
「おいおい、それは言うは易しってやつだぜ。それが出来るなら前回の大敗は無かったんじゃねぇの?やっぱり、二人一組で囮役と狙撃役に別れるのがベストだと思うんだが」
リザ少尉の答えにアウロ少尉が意見を出す。確かに現状ではそれが一番確率が高いだろうな。
「よし、俺とリザで囮役、クリスとアウロが狙撃役でシミュレーションやるか。全員パイロットスーツに着替えてコックピットに集合しろ」
「了解しました!」
俺の言葉に返事をし皆、更衣室へ向かって行く。ドレイク級は船外にMAがあるから搭乗も一苦労だが、メビウスゼロの量子コンピュータのネットワークを繋げば同じ戦場を共有出来る。まったく量子コンピュータ様々だな。
パイロットスーツに着替えてコックピットに乗り込むと早速ネットワークを繋ぐ。
「では、さっき言ったフォーメーションでやる。リザとアウロはそれぞれサポートにまわれ。その後、色々と組み合わせを変えてやるぞ」
俺の言葉からシミュレーションがスタートした。
モニターに映る映像が戦闘宙域に切り替わり、俺達はエレメントを組んで飛行してする。11時の方向にジンの反応があり俺達はそちらに飛ぶ。こちらに気付いたジンが射撃を開始する。俺とリザ少尉は射線をバレルロールで回避し、前進しながらガンバレルで砲撃していく。俺達の砲撃をジンは横にずれて回避したが、そこを狙撃役の二人の砲撃が襲いジンは爆散した。
「よし!」
「おぉ!今のはキレイに決まったな!」
クリス少尉とアウロ少尉が嬉しそう話しているとこに俺も入り全員を褒める。
「二人とも良い砲撃だったぞ、敵の動きを良く読んでいたな。リザ少尉も良い援護射撃だった、お陰でジンをこちらに釘付けに出来た」
「ありがとうございます」
三人が息を整えたところでシミュレーションを再開する。今度は囮役と狙撃役を交代して行い、ジンの撃破に成功する。その後ジンの数をどんどん増やしたり配役を変えたりした。だが、少数の敵にはこの作戦は有用だったが数が多くなると囮に食いつかず狙撃役の方に行くこともあった。
(やはり、そう上手くいかないか)
「よし、一旦ここまでにして休息をとる。全員シャワーを浴びてシミュレーションルームで反省会をするぞ」
反省会では、先程のシミュレーションの結果から少数の敵を各個撃破していくのが俺達の生存率が一番高いとなったのでそれを基本方針とした。
「もし機体に異常が見つかったり誰かが負傷したりした時は全員で帰投する。これはメビウスゼロのパイロットは数が少ないのと、四人で動くのが一番効率的だと判断したからだ」
俺の言葉に全員が納得したのを確認して反省会を終了した。
部屋に戻るとパソコンにメッセージの到着を知らせる通知がある。中身を確認すると、出撃前に仕事を頼んでいた人物からのものだ。
『フラガの先読みは当たっていたよ。ルーズベルトに積まれた荷物は月に降ろしておいた。この先の戦場でも生き抜いて、その力を僕のビジネスに使ってくれることを切に願う。 ムルタ』
読み終えると自然とガッツポーズしていた。
(流石だアズラエル!これで血のバレンタインは起きない、絶滅戦争は回避された。あとは何処を戦争の落とし所にするかだな)
そんな事を思いながら、俺は部下達と明日を生きる為に思いを巡らせていた。
メビウスゼロとムウ・ラ・フラガが好きで初めて書いてみました。執筆の難しさを知って他の作者様に改めて尊敬の念を抱きました。誰かメビウスゼロやエグザスとムウ・ラフラガの小説書いて下さい。