非常識に生きる者   作:七福えると

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社会人になっちゃいました…これから更に投稿遅れます

2024/09/21追記:挿絵追加しました。pixivに挿絵以外の絵も載せてます


常識から外れた守矢の人々

「お、階段だ」

 

 

木々に囲まれる様に参道が存在し、今はそこの階段を上っている

 

階段は山の中なのに荒れているという訳ではなく、寧ろとても綺麗に整備されたと言っても良いだろう。頻繁に人が山をわざわざ上る事は無いだろうに、この几帳面さが神社に住まう人々の人柄を想像させた

 

 

「確か外の世界の住人だった神様達が信仰が薄まったために幻想郷へ越してきたんだっけか。だけど自分の知っている外の世界から来たのかっていうとそうじゃないんだよな」

 

 

自分は完全に別の外の世界からここに来たのだ。守屋神社に住まう人達の外の世界とは根本的に違うと考えるなら、用心した方が良いだろう

 

もしかしたらここの外の世界の住民は世紀末に住んでいる人達なのかもしれない。もしかしたらサーチ&デストロイしなければ生き残れない世界の人達なのかもしれない

 

とにかく警戒すべきだ。幻想郷にやってきた外来人は妖怪が襲っても良いという暗黙のルールがある様に、外の世界からやって来た人達は全員自分と根本的な所から常識が違うのだと考えておかなければ

 

 

「…あれ。人がいない」

 

 

階段を上り切り、神社の境内に足を踏み入れたが人がいない

 

今は太陽が頭上で光り輝いている時間だ。てっきりここは博麗神社と違って沢山の参拝客がいると聞いていたのだが一人も見当たらない。というか人が踏み入った形跡さえ見当たらない

 

どういうことかと考えていると、神社の奥から巫女服に乳袋がある印象的な格好の緑髪の女性が出てきた

 

その人物はこちらを見るなり、遠目でも分かる程にパッと顔を光らせ、こちらに向かって走って来る

 

 

???「よおこそいっらっしゃいましたぁーー!!!」

 

「うおっ!?」

 

 

大声でこちらに向かって走ってくる女性。その勢いのまま跳躍し、まるでルパンダイブの様に自分に向かって飛び込んでくる

 

思わず回避してしまったがこのままでは彼女が頭から地面に激突してしまう。ギリギリの所で彼女の足を掴み、天地逆転してキャッチした彼女のスカートの中を見ないようにしていると、足をニギニギと触られ、ビックリして思わず離してしまった

 

 

???「あいたぁー!?」

 

「あっ、ごめ」

 

 

彼女の手を引いて体を起き上がらせる。すると彼女の顔が赤く染まっており、妙に息が荒い

 

彼女の頭から湯気が昇っている幻覚のような物が見え、不安に思っておでこに手を当てるとかなりの体温を感じた。体感だが37度以上あるのは確実だ

 

そのまま彼女に肩を貸し、神社の中に向かった。その時に彼女の胸が体に触れて多少気になったが、それよりも耳の傍で呪詛の様にブツブツと何かを話していたので正直恐怖心が少し勝った

 

 

「すいません。お邪魔します」

 

 

人の声は聞こえない。とりあえず和室にまで運び、鞄の中からタオルを出したらザバを唱え、程よく水分を絞り出したタオルを彼女の頭に乗せる

 

鞄を枕替わりにさせ、靴を脱がせて縁側にその靴を置いた所で部屋の奥から足音が聞こえてきた

 

 

???「いらっしゃ…おや、どうしたんだい?」

 

「あ、家主さんですか?突然押し入って申し訳ございません」

 

???「いや、構わないよ。早苗が誰か来たと言って外に出た時から客人か参拝客だとは思っていたからね」

 

 

そういって目玉の付いた帽子を手で押さえながらペコッとこちらにお辞儀をする。それに合わせてこちらもお辞儀して挨拶をした

 

 

「申し遅れました。私は「○○○だろう?新聞で貴方の事は知っていたよ」あ、そうでしたか」

 

???「さて、私も名乗らないとね」

 

???「私の名前は洩矢諏訪子。こんな見た目でも神様をやってるんだ」

 

「よろしく」スッ

 

諏訪子「あっ、よ、よろしく…」

 

 

挨拶しようと手を差し出したら急に顔を赤くしてそっと手を握って来た。その手はまるで緊張しきった子供の様にどこか力なかったが、興味津々だという気持ちだけは伝わって来た

 

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

諏訪子「ふぇっ!?あ、いや!大丈夫だよ!?」

 

「いや、どう見ても大丈夫な様には見えないんですが…」

 

諏訪子「大丈夫だって!だったらそれを証明するためにパンツでも見せようか!?見たいよね!?」

 

「意味が分からないですし取りあえず落ち着いてください。後パンツは挿絵に入れる事出来ないので見たくないです」

 

 

というかパンツを見せるってなんだ。ここの外の世界は一体どんな倫理観してるんだよ

 

神様とはいえ外の世界にいたからだろうなぁ。やっぱり自分の知ってる外の世界とは違うみたいだ

 

 

???「おーい。お客人を困らすんじゃないよ」

 

諏訪子「あ、神奈子…」

 

 

そういって赤い服を来た女性がやってきた。自分より背が高く、少し顔を上げないと目が合わない身長の女性は初めてかも知れない

 

 

神奈子「いくら男が珍しいからって興奮しすぎだよ。なぁ?」

 

「まぁ幻想郷は女性が多いとは聞きますが…この反応見るに男が珍しくて慣れてないというよりかは、そもそも男に慣れてないって感じがするんですが」

 

神奈子「まぁね。私達が元居た外の世界では男女の貞操概念が逆だったんだ。しかも戦争中だったから中々人と出会うことが無くってねぇ」

 

「…戦争してたんだったら寧ろ人が集まるのでは?神に祈る人だって増えるでしょう」

 

神奈子「…人が来なかったんだよ。存在が薄すぎて」

 

「なんかすいません…」

 

 

そうこう話していると襖の向こう側で人が動くような音が聞こえてきた

 

ふすまが開き、再びこちらを向いてパッと明るい顔をする緑髪の女性だが、どうにも目の中に獣が宿っている様な気を感じてビクビクとしてしまう

 

 

???「あ、あの…先程はすいませんでした…」

 

「いや。こっちこそすまなかった」

 

???「よ、良かったぁ~。もし嫌われたらどうしようかと…」

 

「えっと、早苗さん。で良いんですよね?」

 

早苗「え、えっ!?もう私の名前を知ってるんですか!?まだ名乗っていないのに知っているという事は…これはもしかして、相手だけが自分の事を知っているという所謂一目惚れの運命で結ばれた相手と言う事では…!?」

 

「おめえ何言ってるか全然分かんねぇぞ」

 

 

おっと。どこぞの地球育ちのサイヤ人みたいな返し方をしてしまった

 

 

神奈子「はいはい。暴走はそこまでにしとくんだね」

 

諏訪子「ウチの早苗がごめんね。男の耐性が皆無くってさ」

 

「皆って事は、神奈子様と諏訪子様もですか?」

 

諏訪子「あ、うー…そ、そうは言ってないよぉ?」

 

 

誤魔化すのへただなぁ…可愛らしいから良しとするけどさ

 

ただようやく合点がいった。おそらくここに参拝客がいないのは早苗の人柄によるものだろう

 

あの男好きを越えて男に飢えた獣と言っても過言ではないあの押しの強さ。そして何より日常会話の様にセクハラしてくる巫女さんがいるんだ。例え胸がデカくてもアレじゃあ人が寄らないのも無理はない

 

…そうなると外の世界で人が来なかったのって存在が薄いだけじゃなくて早苗の責任でもあったのでは?

 

いや、流石にそれは無いか。神社の境内やここにくる途中までの階段を見ても掃除をしているのは彼女だろうし、男が絡まなければ真面目な性格なのかも知れない

 

 

諏訪子「…で、ここに来たのは参拝に来ただけじゃないでしょ?」

 

「あ、はい。実は…」

 

 

ここに来た理由は聖地巡礼という意味もあったが、重要なのは守矢神社が幻想郷に引っ越してきたという事実だ

 

突如転移したとは聞いたことがある。それから何年経っているか、或いは数か月も経っていないのは不明だが、もしかしたら転移した時の詳しい内容を知る事が出来るかもと考えたからだ

 

紫の依頼でもあった別次元からの転移と何か結びつくことがあれば御の字。確定的な情報を得られれば最高なのだが、流石にそう上手くはいかないだろう

 

上記の内容を諏訪子に話し終わると、少し難しそうな顔をしてこちらに話しかけた

 

 

諏訪子「ごめんね。それに関してなんだけど私達もちょっと良く分からないんだよね。何しろ突然の事だったからさ」

 

「あぁ…ですよねぇ」

 

諏訪子「…聞きたいんだけど、もしそれを聞いてどうするの?」

 

「どう、とは?」

 

諏訪子「紫から依頼されたのは分かるよ?でもさ、博麗の巫女である霊夢もここまで真面目に調べる事はしなかった。もしこうまで調べるとするならばそれは幻想郷の危機な時くらいだよ」

 

諏訪子「まるで何かに焦ってる。自分で気づいているかは分からないけど、仕事だからと割り切っている様に見えて、実際は起こりうるか分からない出来事に焦っている。なんだかそんな感じがするの」

 

「うーん、まぁ薄々は感じてました」

 

諏訪子「感じてたって…」

 

「いやまぁ自分も色々ありまして。何かに集中していないと取り乱しそうで怖いんですよ」

 

諏訪子「なるほどねぇ…良し!ならせっかくだし神様っぽい事でもしてあげようか!」

 

 

そう言って諏訪子に手を引かれて外に連れ出される。ここに立ってと場所を指定されたので言う通りにその場で立ち止まり、諏訪子がブンブンとこちらに手を振って何かを話そうと手でスピーカーを作っていた

 

 

諏訪子「悩んだ時は弾幕ごっこで遊んだら良いよ!体を動かしてたら自然と言い考えだって浮かぶかも知れないんだからね!」

 

「…ははっ。分かりましたよ」

 

神奈子「それじゃ、私達は観客として見ておこうか」

 

早苗「お、応援してます!」

 

 

神様っぽい事って弾幕ごっこかよ。というツッコミは野暮と言うものだろう。多分本人の中では神様だから少し導いてあげよう的な感覚なのだろうが

 

そして諏訪子の事は曲で聞いたことがある。確か東方風神録のエクストラボスじゃなかったっけ?

 

…勝てるのかなぁ?

 

 

諏訪子「それじゃ、いっくよー!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

数分後・・・

 

 

結論、無理ゲーです

 

とりあえず弾幕ごっこという事で弾幕を出そうとしてみたけど無理だった。ならば能力を使用すればとも思ったが、それだと能力に頼りきりになってしまうので何とか自力で頑張った。無理だったけど

 

弾幕ごっこはゲームで言う所の上から見下ろし方のシューティングゲームだ。それが3D化されて主観視点で全て避けきれというのは難易度ルナティックどころかノーホープ(希望は無い)と言っても差し支え無いだろう

 

一応二次創作で東方シューティングゲームやった事はありますよ?結果はノーマルでコンティニューが二桁超えるという実績ですが

 

分かってた事だけど弾幕はやっぱり痛かった。今まで物理的なダメージは受けたことがあったけど、弾幕をまともに喰らったのは今回が初めてではなかろうか。威力を例えるなら幼稚園児が叩いた様な痛みから、週三でジムに通ってそうな男のパンチの威力まで様々でした

 

 

「…いてぇ」ボロッ

 

諏訪子「アハハ。まぁ幻想郷ってこういうものだよ」

 

「…幻想郷の女はやっぱ強いよなぁ」

 

 

首をコキコキと鳴らして軽くストレス発散する。やはり負けるのは気にくわない

 

 

諏訪子「…君、生き残りそうだね」

 

「でしょうね」

 

 

その返答に諏訪子が驚きを浮かべるが、すぐさまフッとした笑みを浮かべる

 

 

諏訪子「さて、それじゃあついでに参拝していってよ。神様から直々に恩恵を受けられるチャンスだよ?」

 

「神に祈る事なんて見守っててほしい位しかないですけどねぇ」

 

 

そう言って賽銭を放る。まぁ守矢だしご縁がある様にって意味で五円で良いか

 

手を合わせて、本坪鈴と呼ばれる神社の鈴を鳴らす。これは神様を招いて祈願するという事を指すのだが、本物の神様がすぐそばにいるのに鳴らすの意味はあるのだろうか

 

 

「良しッと」

 

諏訪子「…ホントに見守っててだけか」

 

「心読まないで下さいよ」

 

諏訪子「これでも神様だよ?覚妖怪ほどじゃないけどね」

 

「フランクに接してくれてるせいで神様って事忘れそうですけどね」

 

神奈子「二人共お疲れ。お前も弾幕が出せると思ったんだが違うんだな」

 

「えぇ。弾幕じゃなくてメラなら出せるんですが」ボウッ

 

早苗「それってドラクエの呪文じゃないですか!?」

 

神奈子「だったらこれを出せば良かったんじゃないかい?」

 

「いや、一応これでも触れれば火傷じゃ済まない威力なんで。流石にごっこ遊びには使えませんよ」

 

神奈子「あのな…流石にそれは甘すぎだと思うが?」

 

「だってこれ使うと疲れるんですもん…」

 

神奈子「それが本音かい。てことは有事の際は使うって事だね」

 

「はい。でないと危ない時がありますから」

 

神奈子「…良し。それじゃホントに出来るかテス『ボワッ』」

 

 

神奈子が何を言わんとしているか察して、ほぼ不意打ちの様な形で顔にメラを出現させたまま顔を掴もうと腕を伸ばす

 

するとそれを片腕で防がれ、それを見てニコッとした笑顔を浮かべられた

 

 

神奈子「良いねぇ…悪く無い不意打ちだったよ」

 

「そりゃどうも」

 

神奈子「でも甘いよ。腕で防ぐと分かった瞬間に消したね?」

 

「そうですね」

 

神奈子「どうしてだい?」

 

「女性を意味も無く傷つけたくないので」

 

 

それを聞いてキョトンとした顔を浮かべられる。そして豪快に笑い飛ばされた

 

 

神奈子「あっはっは!なるほどね!そうかそうか!」

 

 

どうやら神奈子も自分の気持ちが理解出来た様だ。それを理解出来てホッとしたのも束の間。自分の脳の奥深くから何かが反応するようなシグナルを出す

 

 

神奈子「…それはつまり、私の事を舐めてるって事かい?」

 

 

雰囲気がガラリと変わり、先程までおおらかに笑っていた人とは思えぬ程の怒気を感じる。それを見て早苗達が少しアワアワとしている

 

 

「まさか。ただ女は守れってばあちゃんから言われてるんで」

 

神奈子「律儀だねぇ」

 

「ただ…売られた喧嘩は女だろうと買うつもりではいますよ」

 

神奈子「…へぇ?」

 

 

こちらを見る目が更にキリッとしたものになる。それはまるで挑発しているのかと言いたげな目で、それに答える様にこちらもニコリと笑顔で応えた

 

まるで火花が散っている様に見えたのだろう。傍で見ている早苗が更に焦りを醸し出しているが、諏訪子は静観を崩さない

 

 

神奈子「はったりかい?」

 

「心が読めるんじゃないですか?」

 

神奈子「それじゃつまらないだろう?」

 

「僕は言った事を撤回する気はありませんよ」

 

神奈子「……本物の馬鹿だね」

 

「お褒めの言葉ありがとうございます」

 

 

先程まで掴んでいた腕を離し、それを見ていた諏訪子もホッとした様な顔を浮かべていた。平常心だと思っていたが、内心ヒヤヒヤだったのだろう

 

 

「そういえばやけに脈が速かったですけど大丈夫ですか?」

 

神奈子「なっ、何のことだ?」

 

「いや、服の上からとはいえ体触ってると相手の脈が分かるんですけど、手の先にくる感触がやけに早かったなあと思いまして。もしかして体調が悪かったりするんですか?」

 

神奈子「…ふっ。少し滾っただけだから気にするな。私相手にあんなことを言えるのは嘘でも中々いない」

 

 

クルッと後ろを向き、そのまま飯はどうかと聞かれたので頂くことにした。妙に耳が赤く見えたのは滾ったからだろう。やはり神様ともなるとマグマの様に熱くなるのだろうか

 

食事に出てきた料理はお粥だったのだが、病人食とは思えない程に美味かったと言っておこう

 

…ガンギマリな目で三人から見られながら食事をすることになった事を除けば最高だったのになぁ

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