非常識に生きる者   作:七福えると

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流れに身を任せてみた話

「…腹減ったなぁ」

 

 

 

ぐぐぅ〜と鳴る腹を無視しながら自分の汚れた鞄の中を開く。中には地図と水の入っていた空のボトルのみとなっており、食料を入れていた袋の中身はカスすら出てこない

 

食料が尽きたのは昨日だが、その時はまだ水という飲み物も存在した。しかし所詮は水で、飲んでもお腹の足しになるどころか、寧ろ空腹を刺激しただけだった

 

おそらく能力を使えば食料の入手は簡単だ。だがそれでは自分の為にならないし、何より能力に頼っていては堕落しそうで、正直死ぬ寸前でなければ使おうとも思わない

 

 

「金は…一応まだ残っている。だけどこれは身だしなみを整える為に使いたいから…バイトだな」

 

 

バイト。外の世界では誰でも出来ると言われていたコンビニでさえ落ちてしまった自分だが、ここでは人手が足りないのか良く色々な所でバイトを募集しており、そのどれもが短期のものばかりで受かりやすい。流れ者の自分としては正直有難い事であった

 

受かりやすい理由としては幾つかあるが、そのほとんどが人手不足だから。これ以外の理由は無いだろう

 

人里では妖怪が入らない様に入口で門番をする事もある。これは妖怪に襲われる危険性がある為に給金は中々良いのだ。自分に向いている仕事と言えよう

 

他にも畑の仕事、永遠亭の投薬実験、料理店のバイト、里の夜の見回り等、多岐に渡って様々である

 

だが反対に自分がやろうとは思えないバイトもいくつか存在している。それが白玉楼や紅魔館といった場所のバイトであり、これを受ける者は人里の人間でもまず存在しない

 

理由としては、白玉楼で料理人をすれば過労死するという話が人里の中で出回っている。この噂の原因は明らかであるが、実際に里の腕利き料理人と言われた人が一度行った事があるらしく、その人は文字通りの半死半生となって帰って来たからである。一日で

 

紅魔館に関しては文々。新聞が話題に取り上げたことがあるらしく、その時の記事内容が妖怪しか住まない(瀟洒な従者除く)場所と書かれており、それが理由で紅魔館のバイトは人が来ない

 

バイト内容も館内の掃除とだけあるが、正直あのクソ広い場所を掃除なんて咲夜位しか不可能である為、自分では受けようと思わない。というかワンチャン掃除中に戯れでぶっ殺されそうなので絶対嫌だ。その日のディナーになんてなりたくない

 

 

「まずは風呂屋だな。清潔感は第一印象で大事だし」

 

 

誰に言うでもない独り言で目的地に向けて足を運ぶ。その足取りはとても軽やかであった

 

というのも野宿生活中は水浴びしか出来なかったのだ。呪文で水を出して浴びては洗うを繰り返していたのだが、本来は攻撃呪文である為に使うたびに微量のダメージが自身に入るのだ

 

言葉にするなら水の砲丸を浴びながら体を洗っていると言えば分かってもらえるだろうか。小学校の頃にあったプールに入る前のシャワーを何倍にも強めた塊の水が体にヒットして自分をダメージもろとも洗い飛ばす。正直頭がおかしいと思う

 

だがそうしなければ匂うのだ。山の中は涼しいだろうなんて考えは幻想で、険しく蒸し暑い場所では当然汗をかいて当然なのである

 

ここに来る途中も服を脱いでは魔法で洗って乾かして再度着るの繰り返しだ。おかげで服は傷むのが早いしで嫌な事だらけなのだ

 

さっきから愚痴ばかりな気がするが、それだけ今からの風呂が楽しみだと思ってほしい。会社で寝泊まりを行い、三日ぶりに自宅の風呂でゆっくりと浸かれると考えたら楽しくないだろうか?それと同じだ

 

そうこう考えていると人里の入口が見えてきて、門番らしき人とすれ違う。軽く挨拶を交わして門を通ると、少し懐かしく感じる人里がそこにあった

 

人里の風呂屋を探して里を歩き回っていると、久方ぶりに見る唐傘が壁から顔を出していた

 

今回も前の様に驚こうかと傘に近付いて通り過ぎようとしたが、何も飛び出して来なかった

 

疑問に思って後ろを振り返ると傘だけがそこに置かれており、路地裏の方に目をやると少女が一人倒れていた

 

咄嗟に駆け寄り脈や体温等を確認すると、どうにも体が熱い

 

すぐさま何処かで見てもらわなければならない状態であるが、永遠亭では遠すぎるし、今日は薬屋をしている鈴仙も来ていない

 

考えを巡らせていると、一つの場所を思いついた

 

 

「命蓮寺…!あそこなら確か…!」

 

 

人里に近い場所に存在するのが命蓮寺だったと記憶している。だが自分はその場所を知らない為、どうにかして探す出すしか方法はなかった

 

小傘を背中に背負い、本体である唐傘を背負っている腕の間に通して持ち、そのまま人の多そうな場所を目指して走り出す

 

人里から賑わいのある方向を耳で必死に聞き取ろうと集中し、風の流れてきた方向から商いをしているであろう商人らしき人物の声が聞こえたので、そちらの方向へ向かって駆け出した

 

商いをしているのであればそこは必然的に人通りが多いハズである。そこならば一人や二人位命蓮寺の場所を知っている者だっているだろう

 

その場へ向かうと予想通り人の往来があり、すぐ近くに道の隅で遊んでいる子供がいたので尋ねてみた。正直大人で良いだろうと思うのだが、冷静判断出来る程の心は持ち合わせていなかった

 

 

「すみません。命蓮寺って何処にありますか?」

 

小さな子供「み、命蓮寺ならアッチだよ。どうかしたの?」

 

「ちょっと用事が出来てね。教えてくれてありがとう」

 

 

すぐさま教えてもらった方向へと走り出し、小傘を落とさない様にするのと、人にぶつからない様に細心の注意を払いながら足を止めることなく走って向かう

 

門らしき場所が見え、そこへ向かうと銀髪の子供が松明らしきモノが寺へと放り投げて門を越えようとしていたので、それを跳躍して空中で蹴り返し、その勢いのまま門を飛び越えて命蓮寺の中へと押し入った

 

中へ入ると参拝等に来ていた人達が驚いた様子でこちらを見るが、ひとまずそれを無視して寺の奥へと歩を進める

 

すると奥から甲高い笑い声を上げそうな銀髪ネズミの擬人化が現れ、コチラの様子を少し警戒した様子で見つめてやってきた

 

 

ナズーリン「近頃の若者というのは礼儀を知らないのかい?門は飛び越えるモノじゃなくてくぐって通るものだよ」

 

「すまない。ちょっと慌ててたもので」

 

ナズーリン「ふむ…見た所、その理由としては背中に背負っている少女の事かな?」

 

「あぁ。高熱で倒れていたんで急ぎ連れてきた。咄嗟に思いついたのがここだったのでな」

 

ナズーリン「…仕方ない。奥の部屋へ連れてくると良い」

 

「助かる」

 

 

そのまま寺の奥へと案内され、布団が敷かれたのでそこへ小傘をゆっくりと降ろす。傘はすぐそこの入口で立てかけて置いている

 

 

ナズーリン「にしても…何でここに来たんだ?見た所、里じゃ見かけた事が無い人だが」

 

「ここは人妖問わずに信者が集まると何処かで聞いたんです。なので妖怪といえど抵抗が無さそうであるここへ来ました」

 

ナズーリン「ふむ。まぁ考えとしては合っているが、君はその娘を私達が助けた見返りとして何かを渡すべきではないのかな?」

 

「そうしたい所ですが金品は持っていなくて。出来ることでしたら肉体労働くらいですね」

 

ナズーリン「それで十分さ。早速だがお願いしたいんだけど良いかい?」

 

「はい。任されました」

 

ナズーリン「実は薪が足りなくてね。だから魔法の森でいくつか木を切って持ってきて欲しいんだ」

 

「分かりました。早速行ってきます」スクッ

 

 

立ち上がって入ってきた入口に振り返ると、入口にバイクスーツに身を包んだ背の高いお姉さんが入ってきた

 

身長は自分とほぼ同じ。もしかしたら相手の方が少し高いのかも知れないが、何とは言わないが一部がスーツの上から分かるほどにデカい

 

その姿に心当たりがあったのですぐさま煩悩を振り払い、相手がこちらに気付くと遠くから一礼をしてきたので、こちらもすぐ一礼をして魔法の森へと足を運ぼうとした

 

その女性とすれ違う瞬間、そのバイクスーツの下からはとても目の前の女性からは考えられない程の凄まじい力を感じ、だが何処か心が落ち着く様な神聖さも感じえた

 

幻想郷は広い。それをつくづく感じさせながら、目的地に向かって駆け出した

 

 

ナズーリン「お帰り。聖」

 

聖「今の人はどなたでしょうか?」

 

ナズーリン「人の良い人間さ。アレはいずれ人に利用されるだろうね」

 

聖「なるほど。ではそこに寝ているのが助けられた小傘というわけですか」

 

ナズーリン「あぁ。なんと言うか、今どき珍しい奴だとは思うね」

 

聖「そうですね。ただあの人の場合、出来たからするといった雰囲気を感じられました。おそらく小傘を助けたのもそれが理由でしょう」

 

ナズーリン「…それはそうと、またバイクで走ってきたのかい?」

 

聖「えぇ。河童達が試作品として作ったらしいのですが、これが結構速いんです」

 

ナズーリン「やれやれ。河童達の技術力には驚かされるな」

 

聖「ところでナズーリン?私は貴方に貯蔵してある木から、薪をいくつか割って来るように頼んだ筈ですが、まさかまた面倒くさいからって寅丸の様に対価として彼に頼んだんじゃありませんよね?」

 

ナズーリン「まっさか!私はただ彼が助けてもらったお礼に何か手伝いたいと言うから薪を持ってくるよう頼んだだけで、それが偶然私のやる作業と被っていただけじゃないか!」

 

聖「成程。話は変わりますが、河童達に外の世界ではバイクを盗む人がいるらしいと聞き、侵入者(布都)対策としてかんしカメラというものを付けてみたんです。まいくも付いてて声が聞こえたらすぐさま起動する様になっているのですが、それが先程動いていたんですよ。何か知りませんか?」

 

ナズーリン「…あーすまない。ちょうど今ご主人がまた何かを無くした気がして『南無三』」ピチューン

 

聖「まったく。薪を3本(巨木)分割る事位そんなに辛い事でも無いでしょうに」

 

 

それはアナタだけです。とツッコミを入れたかったがグッと堪えた寅丸であった(宝塔を無くしたのでナズーリンを探してた)

 

 

時刻は昼頃、人里に木を二本持ち上げてやってきた

 

どれ程の量を持っていけば良いか分からなかったので、とりあえず二本ほど頂いて持ってきたが、これで良かったのだろうか?

 

魔法の森の木を手刀で切れるか試した所、南斗聖拳とまではいかずとも、中々に綺麗な形で切断が出来たので、そのまま木を丸ごと持って運んでいたが、切る時は本当に大変だった

 

魔法の森に足を踏み入れようとすると、突如幻覚としてキノコの形をした妖怪ではないモンスターが現れた。名前を出すなら某RPGのマヌーサと甘い息を使うモンスターとだけ言っておこう

 

始めは驚いたのだが、ステータスが幻覚を知らせる状態異常となっていたのですぐさま幻覚だと判別は出来たものの、流石にこれには参ってしまった

 

なので入口近くの木だけを何本か切って頂いて来たのだが、魔法の森で木を切って良かったのかは未だに少し悩んでいるのが現状だ

 

通り過ぎる人達には皆驚かれた様子で見られるが、何処からどう見ても人間なので、聖さんの所かと噂されているのが時折耳に入り、あの人の影響力が人里にどれ程のモノなのか実感した

 

今度はしっかりと門を潜って通り、未だ人だかりのいる境内を横に抜けて裏手に回ると、そこに聖がいたので木を下ろして挨拶を交わした

 

 

聖「わざわざご苦労様です。しかし…わざわざ木まで持ってきてくださるとは思いませんでした」

 

「いえ。これくらいでしたら大丈夫ですよ」

 

聖「本来はナズーリンがするべき事なのですが…せっかくなのでこのままお願いしてもよろしいでしょうか?勿論、お礼はさせて頂きます」

 

「えぇ。構いませんよ」

 

聖「ありがとうございます。流石にお客人に全てを任せるわけにいかないので、私もこちらを手伝いますね」

 

 

そう言って自分が運んで来た木に近付く聖。大きさは約5M程の周囲70cmはあるその木を聖は片手で一部持つと、そのままそれを空へと放り投げ、自身も空へと跳躍して拳を一発木に叩き込んだ

 

やがて空から落ちてきた聖が地面に着地すると、未だ空を舞っている木がバラバラと形を壊し始め、やがて一つ一つが薪一本分位になっていくと、ガラガラと音を立てながらピラミッドの様に積み重なっていくのだった

 

 

「…………」

 

聖「…スカートの中でも「見てません!!」」

 

「えっ、えぇ…?僕、必要なんでしょうか…」

 

聖「こういうのは誰かに手伝ってもらうのが嬉しいんですよ。ですからお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わっ、分かりました」

 

 

薪割りをする為の斧を探す前に、小分けにされてもいない木を切ろうとバギを唱える。それを見て少し驚いた様子を見せた聖だが、その目は何処か興味深そうな顔でもあった

 

真空の刃としてバギを生成し、木に沿って飛ばすことで木の枝を全て削ぎ落とす。ついでに木の皮も削ぎ落とす事が出来るかと思ったが、さすがに無理だった様で、所々が汚く皮が残ってしまっている

 

残った箇所はサッとメラを出して炙って水分を奪い、剥がしやすくなった所をチマチマと指で軽く取っておく

 

そこまでしてようやく薪にする準備が整ったので、まずはこの木をうまい棒を割るかの如く垂直に4等分。手刀で切り裂く

 

流石に今の自分のステータスではそこまで綺麗に作ることが出来ないので、能力でとある拳法家の技を利用させてもらう

 

外部から突き入れ全てを破壊する。このイメージで手刀を振りかざし、キャンプで良く使用される薪のサイズに横から切断していく

 

それを何十と繰り返した後、ようやく薪作りが終了し、流れる汗と昇る日差しがそこそこの時間をかけて行っていた事を知らせていた

 

 

聖「お疲れ様でした。それにしても素晴らしい手刀でしたね」

 

「いや、これはズルみたいなモノなんで。僕の力では無いですよ」

 

聖「…自分が身につけたものではないと?」

 

「そうなります。いずれ出来るようになるつもりではありますが、ズルをしないとあそこまでの事は出来ません」

 

 

そう。これはいわば能力を利用した結果であり、その過程を全て能力で補って使用しているに過ぎない

 

誰かが使えるなら自分の力だと言っていい。なんて言うのであれば自分は真っ向からこれを否定するだろう。自分の能力は所詮紛い物。その過程で産まれた経験を全て無視して結果だけを習得したモノだからだ

 

そんなモノを自分の力だと?ふざけるな。そんなもので力を得られるのであれば、自分の人生はここまで苦労はしてこなかった

 

だから恥ずべきであり、そして使うのであれば敬意を払って使うべきだ。自分は借りているモノを使って振りかざしているだけに過ぎないのだから

 

 

聖「…結果をみれば私としては助かりました。でも貴方はその結果に満足…いえ、不満なようですね」

 

「え、えぇまぁ。結果だけでなく過程も大切にしておかなければ優れた人間とは言えないと思います。生きている以上、立派な人として生きていきたいですから」

 

聖「…そうですね」

 

 

笑顔ではあるが、何処か陰を落とした様な顔をして答えた。何か触れてはいけないモノだったのだろうかと思ったが、謝罪しようと思った矢先、風船が割れたかのような音が鳴った

 

目の前でカツを入れるかのようにほっぺを叩き、悩んだモノを一瞬で吹き飛ばしたかのような、何処かスッキリとした顔を浮かべた聖がそこにいた。比喩ではない、ほっぺをとても赤くして

 

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

聖「これくらいなんてことありませんよ。それで、お礼なのですが、命蓮寺のお風呂を体験してみませんか?」

 

「是非!」

 

聖「喜んで頂けたようで何よりです。ではご案内致しますので、どうぞコチラへ」

 

 

そう言って誘導がされたので、先に行く聖に続いて少し小躍りする気持ちを抑えながら歩いてついていく

 

そのまま後をついていくと、博麗神社と比べて一回りほど大きい風呂場に案内された

 

更衣室に案内され、ここで服を脱ぐ様に促される。その時に脱いだ服は洗濯して代わりの服は用意してくれるとの事なので、当然それに甘えさせて貰うことにした

 

タオルを1枚腰に巻き、壁が見えない程の厚い湯気が充満している風呂場へと足を踏み入れる。壁にぶつからないように少しずつ移動し、浴槽の熱いお湯をかけ湯で浴びたら足先からゆっくりと体を沈めて肩まで浸かり、お湯に入浴剤を混ぜた様な匂いにつつまれた所で大きな一息を吐いた

 

 

「あぁ~生き返るゥ~」

 

ナズーリン「お客人。湯加減はどうだい」

 

「良いですねぇ~」フゥー

 

ナズーリン「それは良かった。ゆっくりしていくと良いよ」

 

「…ところで一つ聞きたいのですが」

 

ナズーリン「なんだい?」

 

「何時入って来たんですか?」

 

ナズーリン「それは大きな勘違いだ。私はここに入って来たんじゃない」

 

「というと…」

 

ナズーリン「既に入っていたのさ」

 

「出ます!!」

 

ナズーリン「まぁ待ちたまえ。乙女と一緒に入れるなんてラッキーだろう?」

 

「いや自分ケモナーではないので…」

 

ナズーリン「ケモ…?」

 

「というか良く落ち着いてますね!?自分男ですよ!?」

 

ナズーリン「それがどうしたというんだい。ネズミのオスよりかは自制出来る生き物だろう」

 

「そう言われてましても…」

 

ナズーリン「…ふぅ。私の貧相な体に魅力など無いだろう。胸は聖ほど無い。背丈だって子供と間違われるレベルだし、何より妖怪だ。そんな私で興奮出来る人間なんていな「いやいやいやいや」」

 

「顔は良い。性格も許容出来る。体は改善しようと思えば可能ですから問題無し。妖怪?そんなの好きになったら関係無いでしょう。これの何処が悪いって言うんですか?」

 

ナズーリン「えっ、はっ?」

 

「自分はケモナーではないですが、それでも女性として貴女を見なさいと言われたら余裕でいけます。仮に告白しろと言われたら顔を見て堂々と言ってやります。何より美少女(ここ大事)。この一点だけでも十分見惚れる理由になり得ますよ」

 

ナズーリン「……見ないでくれ

 

「はい?」

 

ナズーリン「わ、私は…そんな風に思われてるとは思わなくて…だから…その…」

 

「あぁ。それなら大丈夫です。さっきから湯気が凄くて何も見えてないので」

 

ナズーリン「そ、そうか。ならゆっくりと浸かってると良い。私は先に上がらせてもらうから」

 

「はい。ゆっくりさせていただきます」

 

 

ペタペタという足音が耳に入り、音の方向を振り向かない様にして天井を見上げた

 

天井に付いた木の模様がとても綺麗で、まるで川の流れを思わせる模様に煩悩を流そうとした

 

 

(あークッソ見てぇ)

 

(見てもいいよな?後から弾幕と鉄拳の制裁が飛んでくるだろうが、それでもここで見ないのは男としてどうなんだ?据え膳食わぬは男の恥と言うじゃないか)

 

(だがそれでも男としての品格を落とすわけにはいかない。というかそれ以前に自分はロリコンではない。ナズーリンはギリギリロリの範囲。霊夢や魔理沙辺りなら少女として見ることは出来る)

 

(あーでも関係ねぇな。こんなラッキー起きるのは次にあるかないかだろ?だったらやっぱり振り返って今から裸を『ガラガラ』チッ!)

 

 

考えてる内にナズーリンが出ていってしまった。心に後悔が産まれて項垂れていると、何か変だと思った

 

何故、扉を開いた音が"一回"しかしていないんだ?

 

扉を閉じるのなら開いて閉じるの計二回鳴るはずだ。なのに聞こえてきた音は一回だけ

 

思わず後ろを振り返りたくなったが、単純にナズーリンが出ていないだけなのかも知れない。そう思ってしばらく天井を眺めていたのだが、扉が開いた音を聞いて以降音がしなかったのだ

 

流石に何かがおかしいと思って振り返る。するとそこには扉に手をかけたまま固まっているナズーリンと、風呂の入り口で仁王立ちしている聖の姿がそこにあった

 

聖から明らかにオーラらしき感情がナズーリン目掛けて指しているのが理解出来た。それは怒りではなく、まるで子供を注意する親の様であった

 

 

聖「ナズーリン?ここは寺であって、男女の交際を行う場ではありませんよ?」

 

ナズーリン「ひ、聖?これは私は悪くないと思うんだ。たまたま私が入っていたのに関わらず、彼が私に気づかずに入浴してだね…」

 

聖「……」

 

ナズーリン「ほ、ほんとなんだ!なぁお客人!アンタも何か言ってやってくれよ!」

 

「……」

 

ナズーリン「お客人!?お客人!!?」

 

「サボって入る風呂は気持ち良かったですか?」

 

ナズーリン「それは今言う事じゃ無いだろう!?気持ち良かったけども!」

 

「遠慮なくやってください。あ、僕は交際するならもうちょっと背の高い人が良いんで」

 

聖「との事ですが」

 

ナズーリン「ちょっとまっ(ピチューン)」

 

 

ナズーリンの残機が残っている事を心で祈りつつ、しばらく風呂を堪能してから出る事になった。正直また入りたい

 

その後は借りた服を着ることになったのだが…

 

 

「………」提督の服

 

村紗「…意外と似合うね」

 

「…外の世界でも行きました?」

 

村紗「いや、香霖堂で売られていたんだよ。何故かは分からないんだが、それを見た途端に目が離せなくなってしまってね」中々に良い値段だったよ

 

「香霖堂が現代入りだったか…」

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