「…ふぅ」
HP:50
KP:33
BP:161
自身のステータスを見るとBPが二倍になっていた
BP25の蛙が二匹。そしてトータル80伸びているのを考えるとBP30あった蛙3が一匹
自分は…生き延びたのだ
レベルアップするとどうやらHPとKPは全快する様だ。HPとKPは約二倍近く伸びており、あの時の状況が如何にマズイ状況か察するには簡単だった
「しかし参ったなぁ…服がボロボロだ」
髪は川で毎日洗っているから匂いはしないだろうと思う。だが正直な話、いい加減に心にゆとりが欲しいと考える
ドレミ―に言われた人里への道を思い出す。正直あの説明で本当に人里に辿り着けるかは分からないが、行くなら今しかないだろう
取りあえず修行しながら行ければと思い、丈夫な蔓を更に多く用意し、自身の腰に巻きつけて河原にあるには場違いである程の
これには流石に重く、一歩踏み出して歩くのにかなりの力を消耗してしまう
だがそれが自分には心地よささえ感じていた。ようやく修行らしい事が出来ているからだ
まだ日は昇っている。人里までの距離は分からないが、今から歩けば日が暮れるまでには着くだろう
「しゃあ!行くか!」
声高らかに人里への一歩を踏み出す。しかしこれが大きな間違いである事を今の自分は知らなかった…
______
「くっ…ふぅっ…!」
あれからどれ程の時間が経っただろう。何度も木に岩が引っ掛かりながら歩みを止めることなく山を下りる
しかし未だに山の終わりが見えない。このままでは人里に着くのは明日の朝になってしまうだろう
だが進んでからかなりの距離を歩いてきた。ならば辿り着くまで歩かなければ今までの努力が無駄になってしまうと感じた
日が暮れて夜がやって来た。このままではいけないと思い、何処か安全そうな場所をキョロキョロと見回して探す
すると運よく木の根っこが洞窟の様に穴を形成しており、丁度人が一人入りそうな程の大きさだ
岩を引きずりながら穴の中に入り、岩を出入口に設置して蓋をする
ようやく安心できると一息ついた瞬間、一日の疲れがドッと襲ってきて睡魔となって自分を眠りへと誘った
ドレミ―「やぁ。お帰り」
「た、ただいま?」
そういうとドレミ―がおかしそうにクスクスと笑い、もう一人の金髪ロングのお姉さんが軽く咳ばらいをした
???「初めまして。外来人さん。幻想郷へようこそ」
「あ、どうもこんにちは…で、良いのかな?」
???「ふふふ、あまり緊張なさらないでください」
???「さて、名乗るのが遅れましたね。私は八雲紫。この幻想郷の管理者と言える立場の者ですわ」
「あ、ご丁寧にどうも。自分は
紫「さて、○○○さん。私がこうしてドレミ―に頼んで夢の世界に来たのは貴方自身に関して話しておかなければならない事があるからです」
「あ、丁度良かった。自分もそれについて聞きたかったんです」
ドレミ―が紫と自分の前にお茶を差し出し、二人揃って目の前に出されたお茶を飲んで気持ちを落ち着かせる。フゥと紫さんが息を吐き、話の続きを話し始めた
紫「では単刀直入に言いましょう。貴方は幻想郷に受け入れられました」
「…すいません。どういうことでしょう?」
紫「その…貴方は幻想郷に住む住民として認識されてしまったのです。つまるところ、貴方は外の世界で忘れ去られた存在になってしまいました」
「外の世界って…確か自分が元居た世界の事ですよね?そこで忘れ去られたという事ですか?」
紫「そうです。本来幻想郷と言うのは忘れ去られた人達が集まる最後の理想郷。あらゆるモノを受け入れる幻想郷ですが、貴方の様にたまたま博麗大結界を抜けてきた人は外の世界で忘れ去られたという事はありません」
紫「あくまで迷い込んでしまった迷子の様なモノ。迷子になった子供がいきなり存在を忘れられるなんてこと有り得ないでしょう?」
「…なるほど。本来はそういった外来人の様に外の世界で忘れ去られることは無く、運が良ければ外の世界へと帰る事が出来る。だが自分は外の世界で忘れ去られてしまったと」
紫「はい…正直、私もどうしてあなたが幻想郷に受け入れられたかは分かりません。まるで誘われるかのように貴方が博麗大結界を修復中に滑り込み、そのまま幻想郷で能力を得てまで受け入れるなんて…」
まるで後悔にも似た顔で話す紫。その顔を見て少し心が痛み始めたが、こんな美人に泣き顔の様な顔はしてほしくない。二次創作では良くBBAと言われているが
「能力っていうと、このステータスが見える能力ですか?」
紫「はい。おそらくですがそうだと思います」
「おそらく?」
紫「私も万能という訳ではありませんの。賢者何て呼ばれたりもしていますが、流石に今回の様な初めての事に関しては色々分からない事が多いんです」
「なるほどなぁ…だけどこの能力で助かった事も事実ですし、正直感謝してますよ」
紫「…そういっていただけると助かります」
「さて、そうなると自分は何をしたらいいんでしょうか?こうして話に来たという事は何かあるんですよね?」
紫「え、えぇ。話が早くて助かりますわ」
紫「貴方に頼みたい事は他でもない。この幻想郷で生きて欲しいのです」
「…え?それだけ?」
紫「あっ、もしかして駄目でしたか?そうなると私が干渉出来る事としては…」
「あぁ、いやいや。そういう事では無くてですね、まさかただ生きるだけで良いと言う訳ではないでしょう?」
紫「え、えぇ。実はあなたがやってきた世界とは別の世界…所謂幻想郷の存在が知られているそちらの世界と、幻想郷の事が知られていない外の世界。この二つの違いとなっている特異点がどうして起こってしまったのか?これを見つけ出す必要があるんです」
紫「貴方にはどうしてこの違った世界同士が触れてしまったのか。その原因の調査をお願いしたいのです」
「調査って…確か貴方の能力は境界を弄る能力だったはずですよね?だったらその能力を利用して幻想郷の各地に赴いて質問すれば良いのでは?」
紫「実は…そういう訳にもいかないんです」
「どうして?」
紫「思った以上に博麗大結界の維持が難しくなってしまっているんです。このままでは幻想郷は外の世界に存在するものとして明確に理解され、常識から外れた私達は外の世界の常識に押しつぶされてしまい、霧と消えてしまうんです」
「…非常識である幻想郷は博麗大結界で守られている。その結界が消えてしまえば、色を塗りつぶすキャンパスの様に幻想郷という小さな色は外の色に塗りつぶされて消えてしまうと。こういう事ですね」
紫「その認識で合っています。私はその結界の管理に力を入れなければならない。だから他の事をしている暇が無いんです」
「分かりました。そういう事でしたらいくらでもお手伝いいたしましょう」
紫「ありがとうございます。そういって頂けて嬉しいですわ」
ドレミ―「話は終わったかしら?ならそろそろ目覚めないとね」
「あ、もうそんな時間ですか」
紫「○○○さん。貴方のその能力の全貌は今の私では全く想像がつきません。もしかしたらとても危険な物かも知れないし、そうでないかも知れない」
紫「全てはその能力を使う人の心次第。どうか自分に負ける事無いようお気を付けて」
「…忠告ありがとうございます」
紫「ふふっ。では、良き幻想郷ライフをお送りください。あ、貴方の倒した妖怪の蛙達に関しては心配しなくて良いですわ。本来外来人は運が悪ければ幻想郷で妖怪に襲われて死んでしまうのが殆どなので」
「…今ちょっと大事な事を「じゃあね~♪」うわあぁぁぁぁ!!」
今までにない速度で景色が遠ざかっていき、目を開くと木の根っこに包まれていた
まだ少し眠い目をこすり、入口を閉じている岩をどかして外へ出る。狭い所で寝ていたせいで体が少し、いや、かなり痛い。多分これはあんな強引な起こされ方をしたせいでもあるだろう。いや、きっとそうに違いない
痛む体を軽く運動して揉みほぐし、再び人里へと足を進めた
しかし夢での紫の発言…襲われた事のある外来人の話をしたということは、つまり自分もそうなっていたかも知れないと暗に警告されたのだ
更に言うなら、これからは同じことがあっても守る事などしないと。これも再び釘を差されてしまった
まぁそうだろう。幻想郷では外来人ならば襲っても良いというルールの穴を突いたモノがあり、それによって幻想郷の住民は生きているんだ
今の自分は幻想郷で最底辺の存在だ。もっともっと強くなり、生き延びなくては…
決意を再び抱き、人里へと向かって歩き出す。山の斜面から平行な地面へと辿り着けたのでようやく山を下りることが出来たのだと実感した
ひたすらに人里への方向に向かって歩く。途中から方向感覚が若干分からなくなったりしたが、多分こっちの方向の筈だ
そう考えながら歩みを続けていると、少し広がった場所へと出てきた
辺りを見回すと妙に綺麗な地面と、草鞋の様な跡が地面に幾つかついていた
ここは人通りのある場所の様だ。つまり人里はすぐ近くのハズ
足跡を頼りにしばらく歩き、そのまま前進していると、突然辺りが暗闇に包まれた
???「ねぇねぇ、貴方は食べて良い人間?」
昔見た動画で聞いた事のある声が耳に響く。完全な暗闇で辺りの光景が分からないが、自分には心当たりがあった
???「ねぇねぇ、聞いてるの?」
「ん、あぁ。僕は食べちゃダメな人類だよ」
???「そうなのかー」
そう答えると辺りの景色がゆっくりと晴れていき、次第にはっきりと見え始めた
目の前には金髪に赤い瞳をした黒い服を纏った可愛らしい女の子が立っている。何処からどう見ても可愛い幼女なのだが、幻想郷では見た目に騙されることなかれ。見た目が可愛い程恐ろしい存在であるのが幻想郷のルールなのだ
???「んー?でもその恰好…貴方って外来人だよね?」
「いやいや。もし外来人なら君の事は知らないと思うよ?」
???「むぅ。確かに…」
???「じゃあ私の名前を答えて欲しいの。もし答えられなかったら貴方を食べるけど良いよね?」
おっと、突然の死刑宣告をされてしまった
だが大丈夫。自分はこの子の名前を知っている。闇を操る程度の能力を持つ言われたあの少女だ
「名前はルーミア。確か宵闇の妖怪とも言われてるんだっけ?」
ルーミア「おー。お兄さん大正解だよ。凄いね~」
「腹減ってるんだったらこれでも食うか?」ッリンゴ
ルーミア「食べるー♪」
手渡されたリンゴを受け取ってそのままムシャムシャと食べるルーミア。実際はバコッとかボリッってリアルな音が聞こえてるのだが気にしない
ルーミア「で、どうしてお兄さんはこんな所にいるの?」
「実は見た事無い虫を見つけてね。それを追いかけてたら何時の間にかこんな所にいたんだ」
ルーミア「クスクス…お兄さんってチルノみたいにおバカだね」
うーん、どうやら嘘にしては割と良いかと思ったが、思わぬダメージを受けた。主に精神的な意味で
ルーミア「うん。なら人里へ案内してあげるよ。さっきリンゴ貰っちゃったしね」
「お、助かるよ」
こっちだよ!と元気いっぱいに案内してくれるルーミア。それに従う様に後をついていき、自分の重りである石がゴリゴリと音を立てながら人里へ向かう事になった
しばらく森を歩いていると、やがて少し開けた場所へと辿り着いた。入り口には門らしきものがあり、そこが幻想郷に住む人達を守る一種の境界線なのだと理解出来た
ルーミア「着いたよ!ここが幻想郷の人里!」
「案内してくれてありがとうね」
そういって思わず頭を撫でてしまった。しかし撫でられているルーミアは悪い顔をしておらず、にへへとにこやかに笑うのだった
ルーミア「…でも、気を付けた方が良いよ。本当は私の姿を見た人間は恐怖で逃げ出しちゃうんだから」
「あらら…分かってたのね」
ルーミア「まぁ私の機嫌が良かったっていうのもあるけどね~。丁度あの時はお腹空いていなかったし~」
サラッと恐ろしい事を言われてしまった。つまりお腹が空いていたら自分は食われていたかもしれないと言う事だ
更に言うなら自分が外来人だという事も分かっていたようだ。だがそれなのにここまで自分を案内してくれたのは何故だろうか?
ルーミア「私は妖怪だけど受けた恩を返さない程人でなしじゃないよ~。これでリンゴのお礼はチャラね」
「なるほど。それなら良かったよ」
ルーミア「あ、外来人ならけーねの所に行くと良いよ。あそこは人妖問わず寺子屋やってるし、自分の境遇を教えてくれたら保護してくれるかも」
「分かった。色々ありがとうね」
ルーミア「それじゃあね。お兄さん」
そういってフワフワと空を飛んで行ってしまった。結局自分がずっと岩を引きずっている事を突っ込まれる事は無かったが、まぁそういう事もあるだろうと言う事で、体に巻き付けている蔓を外して岩も端に追いやっておく
人里の門をくぐり抜け、ようやく人がいる場所へといると思えば安心感が心から湧いて来た
さて、とりあえずはルーミアに言われた通り慧音に会いに行こう。ようやく幻想入りらしくなってきたのを感じ、少しだけ心躍ったのだった