非常識に生きる者   作:七福えると

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癒しの一時

朝、霊夢のエーッという大声で目が覚める

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

布団を蹴飛ばしてすぐさま立ち上がり、部屋から飛び出してすぐに声の下へと向かう

 

すると霊夢が賽銭箱に顔を突っ込んでおり、急いで足を引っ張って霊夢を引き上げた

 

 

「ど、どうした!?何があった!?」

 

霊夢「お、お賽銭が…!お賽銭が…!」

 

 

そういってフルフルと体を揺らして手に握ったお金を見せる霊夢。それは昨日自分が入れた諭吉三枚が握られており、ピシッと綺麗に伸びて霊夢の手に存在していた

 

 

霊夢「ね、ねぇ…これ、ホントに貰って良いのかしら?」

 

「いや…普通に貰って良いと思いますが。神社の賽銭箱に入っていたんですし」

 

霊夢「や、やったぁーー!!!」

 

 

そういってピョンピョンと飛び跳ねる霊夢。年相応な少女の姿に喜ぶ霊夢に思わず笑みがこぼれ、可愛らしいと思って眺めていると、ハッとした様な表情をしてコホンと咳ばらいをした

 

しかしルンルンとした表情は変わらず、やはり可愛らしかった

 

 

霊夢「そ、それじゃあ朝食にしましょうか。朝ごはんは何が良い?」

 

「では米が食べたいです。ここのお米は美味しいので」

 

霊夢「…ふふっ。分かったわ。すぐに準備するわね」

 

 

そういって台所に向かって走っていく霊夢。その背中を見送りながら、自分は先程まで霊夢が掃除していたであろう箒を取って境内の掃除を始めるのだった

 

ザッザッと音を立てて箒を鳴らして境内を掃除していると、遠くから文屋が飛んできた

 

 

文屋「あやや。お早い朝ですね」

 

「そうですか?霊夢の方が先に起きてたので結構遅いと思いますが」

 

文屋「まさか!霊夢さんは結構早起きな方ですよ」

 

「…そういう割には貴女も結構早い起きだと思いますけどね」

 

文屋「アハハ。と、忘れてました。これ新聞です」

 

「あ、これはどうも」

 

 

そう言われて新聞を軽く流し見ると、気になる一文が目に映った

 

 

「…おい。何だこの"博麗の巫女!ついに男性と結婚か!?"って見出しの文は」

 

文屋「嫌だな~。こうしないと読者が見てくれないじゃないですか~」

 

「おっし。そこに直れ。説教してやる」

 

文屋「ちょっ、流石にお説教は勘弁してほしいんですが!?私映姫様の件でお説教苦手なんですよ!」

 

「ならちょっと手伝え。それで説教はチャラにしてやる」

 

文屋「は、はぁ…そんなことで良いんでし…って、ちょっと待ってください。まさかお前を好きにさせろって頼んで一日私を「本気で怒られたいのか?」冗談ですよ~!やだなー!」

 

 

コイツこんなキャラだったか?と疑問に思いつつ、文の肩を組んで逃げられない様に体を寄せる

 

 

「頼みってのは簡単だ。紅魔館に新聞を渡すついでに取材をしてきてほしいんだ」

 

文屋「しゅ、取材ですか?」

 

「あぁ。パチュリー辺りが詳しいだろうからパチュリーを狙って話を聞きにいけ」

 

文屋「そ、それは良いんですけど…やけに詳しいんですね?」

 

「前からお前等の事はある程度知っていたからな。で、どうする?」

 

文屋「わ、分かりましたよ。それで、その内容は?」

 

「内容は……だ」

 

文屋「わ、分かりました。でもそれが購読者増加に繋がるとは思えないんですが…」

 

「そこはお前の腕の見せ所だ。この見出しの文みたいにこれを利用したら云々を適当に書いとけ」

 

文屋「ひぇぇ…こんなことなら新聞作るんじゃなかったかもなぁ」

 

 

そういって風に乗って飛んでいく文。それを見送りながら霊夢が呼びに来るまで箒で境内を掃除するのだった

 

 

霊夢「朝ごはん出来たわよ~」

 

「あ、はーい。今行きます」

 

霊夢「あら、境内の掃除してくれてたの?」

 

「はい。泊めてもらったのに何もしないってのは落ち着かないので」

 

霊夢「ふーん。貴方、結構良い外来人ね。気に入ったわ」

 

「は、はぁ…」

 

 

一体今までやってきた外来人はどれだけ失礼な奴等だったのだろうか。ただ掃除しただけで感謝されるって相当だぞ…?

 

とりあえず朝ご飯を食べに霊夢に案内されてちゃぶ台に乗ったご飯と添えられた沢庵。そして綺麗な焼き目のついた魚がそこにあった。傍には大根おろしが添えられている

 

 

「……こんな豪華な飯、良いんですか?」

 

霊夢「良いのよ!今回はお賽銭がかなり沢山貰ったからね!」

 

 

思わず泣きそうになってしまうが、後でまた賽銭を入れておこうと心に決め、手を合わせていただきますと言い食事を始める

 

まずは魚だ。箸で魚を切り分けようと突き刺すと、パリッと音を立てて魚の皮が破れた

 

 

「凄いな…」

 

 

思わずこぼれた言葉を聞いてにへへと嬉しそうな顔を浮かべる霊夢。正直この笑顔だけで飯が食える

 

魚を口へ運び、良く味わおうとしっかりと噛む。そこに追撃としてご飯を少し入れ、お米の柔らかさとしょっぱさを感じる魚が口の中で合わさってとても美味い

 

夢中になって食事に没頭し、気づけば魚が皿の上から消えていた。お椀に入ったお米も米粒一つ残さずに

 

終わりを告げる緑茶を両手で持ち、口へと運んでズズズと音を立てながら飲む

 

歯に挟まった魚の小骨や米が喉の奥へと流されて行き、お茶をゆっくりと机の上に置いて手を合わせる

 

 

「ごちそうさまでした」

 

霊夢「お粗末様でした」

 

 

料理の腕は完璧。嫁に貰うのならばこんなに旨い飯を作れる人が良いな

 

そう考えていると空からゴオッっという音が聞こえ、何事かと思って外へ出ると白黒の服に身を包んだ金髪ロングの少女が箒から降りて姿を現した

 

 

???「お、おいおい霊夢!今朝の新聞本当か!?」

 

霊夢「ちょっ、落ち着きなさい。お客様の前よ」

 

???「客う?って、あぁ!お前!新聞に載ってた奴!」

 

「どうも」

 

霊夢「新聞って…って、あの烏天狗がまたなんか載せたの?」

 

魔理沙「ほら!これだよこれ!」

 

 

バサッと新聞を広げて霊夢に新聞を見せる魔理沙。ここにいれば巻き込まれそうだと思い、靴を履いて賽銭箱の所まで移動して賽銭(二万)を入れる

 

 

???『気前良いのぉ。どれ、せっかくだから少し手伝ってやろう』

 

「へ?」

 

 

何処かから聞こえた老人の様な声。声が聞こえなくなると同時に体に力が漲り、ステータスを見るとBPが50程増えており、体力やKPも少し増えていた

 

HP:78

KP:66

BP:380

 

ゴブリン共を撃退して230。夢の中でドレミーの出した妖怪を倒してBPが100増えて330。そこからレベルアップして更にHPとKPが成長したにも関わらず、レベルアップ無しでステータスが上がったのは正直かなり嬉しかった

 

博麗神社に住まう神様だろうか。心の中で感謝を唱えていると、はあっ!?という声が聞こえたのでそちらに振り向く

 

ワナワナと震えながら新聞を握りしめ、こちらに振り向いた霊夢がツカツカと鬼の形相で向かってきた

 

 

霊夢「ごめんなさい。○○○さん。ちょっと行くところが出来たからここでお留守番お願いできるかしら?」

 

「え、えぇ。いってらっしゃい」

 

霊夢「ありがとうね。すぐに戻るから」

 

 

そういって霊夢が宙を飛んで何処かへ向かってしまった。それを見送ってボーっとしていると、後ろから声を掛けられた

 

 

???「な、なぁ。お前がこの新聞に載ってる奴で間違いないんだよな?」

 

 

そういって霊夢との結婚を仄めかす部分をバッと見せてきながらこちらに質問してくる

 

 

「えぇ。確かにその人物ですが…それは真っ赤な嘘ですよ?」

 

???「う、嘘だっ!じゃなきゃさっきから匂う火の匂いはありえねえよ!アイツ貧乏だから火を付ける何てよっぽどのことが無いと火をつけて料理なんてしないんだ!」

 

「…賽銭に三万円入ってたからなぁ」

 

???「なっ…!なんだと…!?」

 

「紹介が遅れました。外来人の○○○と申します」

 

???「あ、これはご丁寧にどうも。霧雨魔理沙と申します…じゃなくてだな!」

 

 

大きな黒い帽子を揺らしながら頬を膨らませてプンプンと怒る魔理沙の頭を思わず撫でたくなってしまうが、理性でなんとか食い止め、まぁまぁと落ち着かせようとする

 

 

魔理沙「おっ、お前!ホントに霊夢を幸せに出来んのか!?アイツは私の親友だ。もしアイツを泣かすなんてことをお前がしようもんならなぁ…!」

 

「ストップストップ。まずは落ち着いてください」

 

「大体、その新聞を作ったのは誰ですか?」

 

魔理沙「……あっ」

 

 

その言葉に体を硬直させ、みるみると顔が赤くなっていく魔理沙。どれほどあの文屋の信頼度が低いのか。容易に想像がつくが、これも自分の知っている知識と同じなのだと思うとホッとした

 

 

魔理沙「だ、だよなぁ!霊夢がそんなことないもんなぁ!」

 

「まぁあるとしても人里の権力者だったりするんじゃないですか?少しでも優秀な遺伝子を残そうと人里から男の選別が行われて結婚する。っていうのが割とそれっぽい気がしますけど」

 

魔理沙「なっ…!?」

 

 

やべえ。この女面白いぞ

 

 

「ま、まぁまぁ。もしかしたらの話ですし、それに霊夢だって女性なんですから好きな男性だって出来るでしょう?」

 

魔理沙「そ、そうだけどよ、アイツが結婚か……」

 

「……いっその事、魔理沙さんが結婚しては?」

 

魔理沙「はっ、ハァッ!?何言ってんだお前!?///」

 

「女の子同士の恋愛もアリだと思いますけどね?」

 

魔理沙「うっ、うぅ~~~///」

 

 

やばい。帽子をキュッと握ってしゃがんで丸まっちまった。良い声と反応で悶えるぞこの女

 

 

霊夢「何吹き込んでるのよ。魔理沙が毬藻みたいになっちゃってるじゃない」

 

「いやー。弄ると結構面白くって。つい…」

 

霊夢「ほら、アンタも正気に戻る」

 

 

ゲシッと魔理沙を足蹴りする霊夢。それに何するんだよ!と声を荒げて霊夢の顔を見るが、途端に赤くなってしまい、帽子をギュっと握って前を見ない様に俯くのだった

 

 

「それにしても、随分早いお帰りですね」

 

霊夢「アイツが何処に行ったか見当がつかないって今思ってね…今度であったらとっちめてやるわ」

 

「じゃあ僕は皿洗いしてきます。それが終わったら行くところがあるので行ってきますね」

 

霊夢「何処かに行くの?」

 

「はい。紫さんからの頼まれごとを成しに」

 

霊夢「あー、そういえば紫が言ってたわね。すっかり忘れてたわ」

 

魔理沙「なんだ?異変か?」

 

 

正気に戻った魔理沙がゆっくりと顔を見上げてこちらを向く。少し顔は赤いが、異変と思いスイッチを切り替えたようだ

 

 

霊夢「まだ異変ってものじゃないわ。ただちょっと珍しい事が起きたから調査してるだけよ」

 

魔理沙「なーんだ…」

 

「けど…まいったなぁ。当てがない」

 

魔理沙「お前外来人だろ?なんでお前が調査なんてしてんだ?」

 

「いや、外来人なんだけど幻想郷に受け入れられちゃって…」

 

魔理沙「えっ?幻想郷に移住を決めたとかじゃなくてか?」

 

「紫さんが言うにはそうらしい。だから調査を直々に頼まれた」

 

霊夢「となるとアンタって強いわけ?」

 

「いや、普通に霊夢達より弱い。なんなら幻想郷の下級妖怪相手にギリギリで勝利出来る程度の力しかない」

 

魔理沙「ふむ…そういうことなら手伝ってやろうか?」

 

「それは助かるけど…いいの?」

 

魔理沙「ま、別に暇だったからな。それくらいなら手伝ってやるよ」

 

 

そう言われて是非頼むと喉まで来たところでピタッと自分の動きが止まった

 

自分のやってきたことは弾幕勝負ではない。ただの命のやり取りだ。魔理沙なら弾幕勝負で妖怪たちを蹴散らすのかも知れない。ただピチュらせて終わるだけかもしれない

 

しかし自分は…それだけで終わらそうとしない人間だ

 

それは自分が良く分かっている。それになにより…

 

 

魔理沙「ど、どうした?」

 

「……」

 

 

彼女がいれば自分が成長出来ないかも知れない。今後幻想郷で生きていくことを考えたら彼女は強い。おそらくそのまま彼女にずっと甘えてしまいそうだ

 

なにより、女の子に守ってもらうってのは少し自分のプライドが許せない

 

 

「やっぱり遠慮します。魔理沙さんには本当に困った時にでも頼ろうと思います」

 

魔理沙「そ、そうか…何かあればすぐに言うんだぞ?」

 

「では、これにて失礼します」

 

霊夢「あ、ちょっと待って」

 

「なんでしょう?」

 

 

霊夢がこちらに駆け寄ってきて1枚の神札を渡してきた。そこに博麗という名前が刻まれている

 

 

霊夢「何かあればそれを見せなさい。きっと私のお客様だって理解して大抵の事は済むと思うわ」

 

「…失礼ですが」

 

霊夢「うん?」

 

「どうして外来人である僕にここまでしてくれるんですか?」

 

霊夢「ん〜、なんとなく?」

 

「えぇ…」

 

霊夢「私がやりたくてやってるの。だから貴方は何も心配しなくて良いわ」

 

「…はい。ありがとうございます」

 

 

ニコッと笑顔を浮かべて霊夢にお礼を言う。そのまま博麗神社を後にし、階段を下りて再び森へと足を運ぶ

 

しばらく道なき道を歩いていると、足がもつれてしまって地面に転んでしまう

 

服が汚れ、顔も土にまみれて汚れてしまう。だけどその場から立ち上がる事が出来ないでいた

 

考えを頭の中で巡らせる。霊夢に札を渡されたあの瞬間、自分の中で言いようの無い何かを感じた違和感を探る為に

 

 

どうして自分が他者からあそこまで優しくされているんだ…?

 

 

たかが一日過ごした相手にどうしてそこまで優しく出来る?思えば慧音だってそうだ。どうしてあの人は数日もあそこに置いてくれたんだ?

 

自分はただの外来人。幻想郷にとっては食料でしかなく、ここまでされるいわれはないはずだ

 

誰もが自分にとって優しく、優しすぎるとまで言えてしまう位には周りが気遣ってくれている

 

ただでさえ美少女だらけの幻想郷なのに、どうしてここまで好かれてしまうんだ?こんな事は外の世界では無かったし、陰キャだった自分では想像出来ない程の陽キャが過ごしていそうな世界だ

 

ただでさえ非日常な生活を送っているのに、自分にとっては女性に囲まれてワイワイされるだなんて非常識にも程が……

 

 

「非常識…?」

 

 

少しここに来てからの事を思い返す。蛙に襲われた事。突然ゲームと同じ能力をここに来てから使える様になった事。夢の中で人と明確な意思を持って会話する事。突然やってきた自分をたまたま快く止めてくれる人。薬のバイト…上げたらキリが無い

 

今まで起こってきた事、全部自分が経験しない事だった。自分にとってそれは非常識そのものだった

 

 

「…まさか、非常識が常識になる能力って事か?」

 

 

ガバッっと体を起こし、すぐさまこの能力を使えないか頭の中でイメージする

 

イメージするのは自分の姿が小さくなるイメージ。大体針妙丸と同じ位の体になる様に体が変化すると考える

 

しかしそんなこと出来る訳がない。人間の体は少しずつ成長していき、ある一定までいけば成長は止まる。だからこそ体のサイズが自由に変化するなんて事は絶対にありえない

 

しかしそんな常識とは裏腹に体がゆっくりと縮んでいき、辺りの景色が大きくなっていく。やがて草が腰辺りに当たるまでの大きさになると、その場で体の変化が止まった

 

 

「…まさか、この能力のせいで?」

 

 

もしかしたらこの能力のせいで皆は自分に優しかったのか?こんな能力のせいで皆は自分なんかを甘やかしてくれたのか?

 

 

「…冗談キツイぞ。なぁ?」

 

 

ハァと軽く息を吐き、地面に向かって思い切り拳を振るう

 

 

「…っ!ふざけるなっ!なんでっ!!なんでそんな事をするんだ!?俺をこれ以上甘やかして何がしたいんだ!?」

 

「どうして俺を成長させてくれないんだ!?どうして俺を放っておいてくれないんだ!?」

 

「ダメ人間だからこそ常に頑張ってきた!何をやっても人並み以下しか出来なかったが、それでも真面目に取り組んできた!どれだけ報われない時間があったとしても何時だって先を見て努力をずっと重ねてきた!それが例え周りの人間と比べて明らかに遅れて成長していた事であったとしてもずっと頑張っていた!」

 

「なのに誰かが俺の手伝いをして!何時も何時も俺がやろうとする度に他の奴が手伝ってきて解決しやがる!それに甘えて自分で何もかもを他人に任せてしまっている自分に心底腹が立つ!」

 

「そんな自分を変えたくて何でも一人で頑張って来たのにどうしてこんな能力が付いて来たんだ!?どうして俺をこんなに堕落させようとするんだ!?」

 

「ふざけんな!ふざけんな!!ふざけんな!!!ふっざけんじゃねぇぇぇ!!!」

 

 

何度も地面を殴り、血が拳から出てきても止めずにずっと地面を殴る

 

やがて拳の形に掘られていった地面から小石が飛び出し、その小石を思い切り殴る事で拳が砕ける音が聞こえ、激痛が腕を走った

 

 

「いっ、がああぁぁぁっ!!」

 

「このっ!クソがっ!」

 

 

そういって壊れた拳でもう一度小石を殴る。するとその一撃で小石は砕け、同時に手から骨が飛び出していた

 

息も絶え絶えになりながら潰れた拳を見る。そこにベホイミを唱え、完全に傷が塞がるまでその過程をジッと見つめていた

 

元の体の大きさに戻り、殴っていた時に飛び散った血や服への泥を軽く落とし、立ち上がって当ても無くフラフラと歩き始める

 

そのまま進んでいると、やがて軽い沼地の様になっている場所へ辿り着いた

 

 

蛙「ゲコッ?」

 

「…蛙か」

 

蛙「ゲッ、ゲコッ!ゲコゲコッ!!」

 

 

まるで蛙が危険が迫っていると周りに教えるかのような声を上げる。するとその声に集まってゾロゾロと蛙が集まってきて、すぐさま自分を取り囲んだ。ザッと見ても10は越えていた

 

 

「…俺を襲う気か?」

 

蛙「ゲコッ!ゲコゲコッ!」

 

蛙達「ゲゲーッ!」

 

 

仲間を呼んだ蛙の指示で周りから蛙が一斉に飛び掛かってくる。しかしそれを跳躍で5メートル程飛び、蛙全てが視界に入った瞬間に地面に向かって呪文を唱える

 

 

「イオラ」

 

 

イライラをぶつける様に全体攻撃の爆発呪文を唱え、蛙達のいた場所で巨大な爆発が起こる。その爆発は自分の知っているものより多少大きかった気がした

 

爆風で更に体が宙へと浮かんだが、空中で体を立て直そうと考えたら能力が発動したのか、勝手に体が動いてヒーロー着地を思わせる降り方をした

 

辺りを見回すと蛙達が全員ひっくり返っており、やがてピチューンという音を立てて全員が消えてしまった

 

脳内でファンファーレが鳴り響くが、それを無視して先へと進もうとする

 

しかしその足取りはとても重く、ズキズキと痛む頭に悩まされながら道なき道をかき分けていくのだった

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