All you need is…… 作:ほむほむほむほむほむほむほむ
──十年後。
結論から言うと、彼の『願い』は成就した。ワルプルギスの夜は、彼の手で撃滅された。
見滝原に『スーパーセル』が発生することはなく、災害は未然に防がれたのだ。
……が、
「…………ごめん」
「──ぇ?」
ほむらの前に、まどかが横たわっていた。
「治癒魔法で傷は治したから、身体は綺麗だけど……助けられなかった」
「えっ……ぇ?」
「……ごめん。あたしがもっと……もっと、強ければ……」
「…………うそ……悪い冗談、ですよね……?」
「──いいえ、現実よ。鹿目さんは……ッ、
ほむらは絶句して、さやかを見た。
彼女は唇を噛み締め、拳を固く握っていた。……それが答えだった。
「──どっ、どうしてッ! 『ワルプルギスの夜』は現れなかったじゃないですか!! なのにどうして……ッ!」
『巴マミ』という魔法少女は、一言で評するなら『最優』である。
苦手な間合いを持たず、回復防御の支援が可能で、継戦能力に優れ、シンプルに高い火力を誇る。そして何より、豊富な戦闘経験を持っている。
そんな彼女が遅れを取るような敵は、それこそ『ワルプルギスの夜』くらいのものである──それを知っているからこその、『どうして』という問い。
それに答えたのは、インキュベーターだった。
「確かに『ワルプルギスの夜』は現れなかった。藤宮蓮人の願いによって、かの災厄は滅された。
──でも、
「……? どういう、意味……?」
「『ワルプルギスの夜』は
「それが何だっていうの……?」
「『ワルプルギスの夜』は彼の先制攻撃によって、姿を現す前に爆散し──
「────」
「それによって、一つの巨大な結界が生じた。『ワルプルギスの夜』
藤宮蓮人は、その結界に単身で乗り込み──戦死した。
「放置すればすぐにでも魔女達は人を喰らい、力を取り戻し、再び『ワルプルギスの夜』と化していただろう。
だから藤宮蓮人はキミ達に宣言した通り、一人で戦った。そして力尽きるまでに、敵の九割以上を削った。でも、全てを倒すことはできなかった。
──マミ達が結界の前に着いたのは、その後のことさ」
「…………あの人は、私達の目の前で……ッ、魔女にっっ
それでマミは、冷静さを失った。
さやかとまどかは、呆然としていた。
マミは泣き叫び、銃を乱射しながら突撃し……蓮人が狩り損ねた生き残りの大半を滅した。
……その時の彼女は、防御が疎かになっていた。
途中で反撃を受け、致命的な隙ができ……しかし最も早く冷静さを取り戻したまどかが敵を撃ち、そこを凌いだ。
さやかは、まだ硬直していた。
まどかの武器は弓で、両手が塞がっていた。
──彼女は自分に向かっていた
「……ぅっ」
「────絶望しているかい? 暁美ほむら」
「……ッ! これが『絶望』でなくて、何だって言うの!?」
「なら、
「…………ウソつき。藤宮さんも、巴先輩も、完全には『願い』が叶わなかった。アナタは『なんでも願いを叶えてくれる』ワケじゃない」
「心外だなぁ。ボク達に『嘘』をつく機能はないよ?」
「──なら、叶えてみせて」
────砂時計は反転し、歯車が回転する。
物語はここで終わり、始まりへと回帰する。