All you need is……   作:ほむほむほむほむほむほむほむ

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第一話:追憶

 

『……その制服、見滝原中学の生徒さんか』

 

 最初の印象は、『怖い目をした人』だった。

 

『なら、時間稼ぎだけで充分だね。得意分野だ』

 

 魔女の結界に誘い込まれた中で出会った、不思議な男性。

 鼠色(グレー)外套(ローブ)に、身の丈ほどの大きな杖(スタッフロッド)

 安っぽい魔法使いのコスプレみたいな格好をしたその人は──本物の『魔法』を使う『戦士』だった。

 

 

『──ゲッ、藤宮さん』

 

『〝ゲ〟は酷くない? まぁいいけど。

 引き続き一般人はこっちで守るから、殲滅よろしく』

 

『ハイハイ、()()()()()──ねッ!!』

 

 

 『時間稼ぎが得意』と言った藤宮さんは、()()()()()()()()()()()()

 

 彼が『攻撃』を行ったのは、一度だけ。私に群がってきていた使い魔達に対し、()()として放った一撃のみ。

 後は私と彼自身を守る形で、半透明に光るドーム状の魔力防壁を作って……それから巴先輩と鹿目さんが助けに来てくれるまで、専守防衛を貫いていた。

 

 

『──安心して。防御には自信があるんだ』

 

『……うん、だよね。そう言われても怖いよね』

 

『なら、明るいことを考えようか。たとえば……甘いものとか、好き?』

 

『良かった。美味しいケーキ屋を知ってるんだ。ここを切り抜けたらご馳走するよ。向こうの二人と、キミ。三人でお茶会をするといい』

 

『大丈夫大丈夫! 財布も結界も、この程度はどうってことないから』

 

 

 ……彼は、ただの不器用な人だった。

 巴先輩みたいな華やかさは無かったけれど、本当に強くて、優しい人だということは……話している内に伝わってきた。

 

 そして巴先輩が、あっという間に魔女を倒して。結界が消えて。

 私達は約束通り、ケーキ屋さんに連れられて。

 

 彼は巴先輩に『細かい説明は任せた』と言い、三つのケーキを手渡して……そのまま立ち去った。

 

 

『…………マミさん、あの人……知り合い?』

 

『えぇ。──〝藤宮蓮人〟

 私よりずっと前から魔女と戦い続けている……ただ一人の〝魔法戦士〟よ』

 

 

 巴先輩は彼女の家に場所を移し、『魔女』と『魔法少女』の話をしてくれた。

 ……そして、それが終われば当然……話題は『彼』のことになった。

 

 ただ、巴先輩ですら……『彼のことを深くは知らない』と言っていた。

 

 知っているのは『十年前、当時十歳の時から戦い続けている』こと。

 『〝願い〟の影響で、()()()()()()()()()である』こと。

 明確な弱点を抱えながら『誰とも組む気はない』ということ。……しかし『そう言う割に面倒見が良く、戦場で会うと助けてくれる』らしいということ。

 

 

 ──次に彼と顔を合わせたのは、この一月後。

 『ワルプルギスの夜』が、現れる筈だった日のことになる。

 

 

『大事なことだからね。面と向かって言わなくちゃと思って』

 

『今回ばかりは、絶対に〝戦おう〟なんて考えないで。僕が負けたら、一心不乱に逃げること』

 

 

『──でないと、無駄死にするよ』

 

 

『魔力が感知できるキミ達なら、解ってくれるね?』

 

 

 ……思えば、『この時』の私は……あまりにも無知で、無鉄砲だった。

 

 

 おそらく人生で最も濃密な一月を経験して、『魔法戦士達(彼女ら)』を……()()()()になって。

 

 

「…………そうか。キミが〝その姿〟ということは……失敗したんだね。僕は」

 

 

 『願う』直前、巴先輩と美樹さんが……()()()()()()()()()理由を、聞こうともしなかった。

 

 

「最初に確認しておこう。

 ──キミは、ソウルジェムが濁り切るとどうなるか……知っているかい?」

 

 

 『私の戦い』は、この『絶望に満ちた二周目』から始まる。

 

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