All you need is…… 作:ほむほむほむほむほむほむほむ
どうして私は、いつもこう鈍臭いのか。
「──っ。藤宮さん、それは……!」
「仮に『まだ知らない』のであれば、僕が居る時に教えるのが一番でしょ」
「……そう、だけど」
空気が最悪だ。まだ『初日』*1だというのに、もう
──藤宮さんに未来のことを話して、今度は最初から皆で戦う。
それだけで、『あんな結末』は回避できる筈なのに。
「え、えっと……ソウルジェムが濁り切ると、『魔法を使うことができなくなって』『魔法少女ではなくなる』とお聞きしていたんですけど……もしかしてこれ以外にも、何かあるんですか……?」
「「…………」」
「ま、マミさん……?」
あぁ、鹿目さんだけが清涼剤だ……。
重さを増した空気に、彼女も困惑しているらしい。話についていけてないのが私だけじゃないと分かって、正直少し安心している。
「……場所を移しましょう。皆、ウチに来て。
──藤宮さんも、付き合ってもらうわよ」
「勿論。責任は果たすよ」
あぁ……本当に、どうしていつも『こう』上手くいかないのだろう。
空気も足取りも重い中、私達は巴先輩の部屋があるマンションへと向かった。
*
「──巴さん、
「オーケー」
「「えっ」」
部屋に着いてからの第一声が、コレである。泣きたい。
ベテランの巴先輩に、新人の私達が敵う筈もなく……抵抗らしい抵抗もできずに、私と鹿目さんはリボンでグルグル巻きにされ……ソウルジェムを取り上げられてしまった。
「……ごめんね、二人共」
「では早速、講義を行います。
──
藤宮さんはローブの内ポケットから『何か』を取り出すと、私達に見えるよう、掌の上に乗せた。
「……グリーフシード、ですよね?」
「鹿目まどかさん、正解です!」
──『私の名前、どうして』と呟く彼女を無視して、彼は講義を続けていく。
「では、グリーフシードに『穢れ』が溜まるとどうなるでしょう?」
「……魔女が羽化します」
「暁美ほむらさんも正解です!
──ここまでは皆知ってること。問題は次から」
わざとらしく『講師役』としておどけていた声色が、真面目なものへと変わる。
「魔女がグリーフシードを産み、グリーフシードが魔女を産む。なら、魔法少女が複数のグリーフシードを確保する理由は何だと思う?
グリーフシードからは、元になった魔女が出現するんだ。魔力の回復だけが目的なら、『倒し方を知っている弱い魔女』を一体確保して戦い続ければいい。
──じゃあどうして命をかけて、魔法少女は複数の魔女と戦うんだと思う?」
「……魔女から人を助けるため……じゃあ、ないんですか……?」
「まぁキミとか巴さんみたいに、純粋に人助けが目的で戦う人もいるけどね。
「それは……どうして、ですか?」
「グリーフシードを使い回すには、手順を踏む必要があるんだよ。
──まず、魔女の使い魔を
「は……!?」
「使い魔が一般人を食べて、魔女になるのを待つ」
「なッ、なんでそんなこと……!」
「一度グリーフシードになってから復活した魔女は、強くなるからだよ。だから、何度も何度も同じ魔女を倒すことはできない。
──でも、使い魔を利用すれば養殖は可能だ。『ソウルジェムの穢れを吸った魔女』と違って、『一般人を食べた使い魔由来の魔女』が、元より強くなることはない」
「だからって……! 酷い……!!」
「でもさ、キミ達は成り立てだからまだ知らないだろうけど……ソウルジェムが濁るとね、すっごく苦しいんだよ。
風邪で寝込んでる時に、健康な人の世話を焼こうと思えるかい?
──だからね、巴さんみたいな『街中で見つけた使い魔を狩る魔法少女』は少数派なんだ」
「──まぁ、そんなことを言ってる藤宮さんは『少数派』どころじゃない『
「例外……?」
「僕のソウルジェムから出た『穢れ』を吸って羽化した『グリーフシード由来の魔女』は、
「「えっ!?」」
──ということは……!!
「僕は犠牲者を出さずに、グリーフシードを使い回せる。だから常に魔力が潤沢で、貯蓄をお裾分けする余裕もある。
──だから、安心して絶望してくれていいよ」
「「…………」」
「……ごめんね」
…………どうやら私の第一印象は間違っていなかったらしい。
やっぱりこのヒトこわい。
「さて、最後の問題だ。
グリーフシードが魔女を産み、魔女がグリーフシードを産む。なら、先に産まれたのはどっちだと思う?
「…………ぁ」
「──まさか」
気付いた瞬間、鹿目さんの顔が青ざめた。私自身、寒気がする。
だってそんなの、信じたくない。
でも、これなら説明がついてしまう。
──何故、『穢れを吸った魔女』と『使い魔由来の魔女』で強さが異なるのか。
そもそも、
「気付いたね? そうだよ。
──最初に産まれるのは、魔女だ。
────ソウルジェムが濁り切った時、魔法少女は魔女になる」
二つのソウルジェムに、二つのグリーフシードが当てられた。