All you need is……   作:ほむほむほむほむほむほむほむ

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第二話:講義

 

 どうして私は、いつもこう鈍臭いのか。

 

「──っ。藤宮さん、それは……!」

「仮に『まだ知らない』のであれば、僕が居る時に教えるのが一番でしょ」

「……そう、だけど」

 

 空気が最悪だ。まだ『初日』*1だというのに、もう(つまず)いている。

 

 ──藤宮さんに未来のことを話して、今度は最初から皆で戦う。

 

 それだけで、『あんな結末』は回避できる筈なのに。

 

「え、えっと……ソウルジェムが濁り切ると、『魔法を使うことができなくなって』『魔法少女ではなくなる』とお聞きしていたんですけど……もしかしてこれ以外にも、何かあるんですか……?」

 

「「…………」」

 

「ま、マミさん……?」

 

 あぁ、鹿目さんだけが清涼剤だ……。

 重さを増した空気に、彼女も困惑しているらしい。話についていけてないのが私だけじゃないと分かって、正直少し安心している。

 

 

「……場所を移しましょう。皆、ウチに来て。

 ──藤宮さんも、付き合ってもらうわよ」

「勿論。責任は果たすよ」

 

 

 あぁ……本当に、どうしていつも『こう』上手くいかないのだろう。

 

 空気も足取りも重い中、私達は巴先輩の部屋があるマンションへと向かった。

 

 

 

 *

 

 

 

「──巴さん、()()()()()

「オーケー」

 

「「えっ」」

 

 部屋に着いてからの第一声が、コレである。泣きたい。

 ベテランの巴先輩に、新人の私達が敵う筈もなく……抵抗らしい抵抗もできずに、私と鹿目さんはリボンでグルグル巻きにされ……ソウルジェムを取り上げられてしまった。

 

「……ごめんね、二人共」

「では早速、講義を行います。

 ──()()はなんでしょう?」

 

 藤宮さんはローブの内ポケットから『何か』を取り出すと、私達に見えるよう、掌の上に乗せた。

 

「……グリーフシード、ですよね?」

「鹿目まどかさん、正解です!」

 

 ──『私の名前、どうして』と呟く彼女を無視して、彼は講義を続けていく。

 

「では、グリーフシードに『穢れ』が溜まるとどうなるでしょう?」

「……魔女が羽化します」

「暁美ほむらさんも正解です!

 ──ここまでは皆知ってること。問題は次から」

 

 わざとらしく『講師役』としておどけていた声色が、真面目なものへと変わる。

 

「魔女がグリーフシードを産み、グリーフシードが魔女を産む。なら、魔法少女が複数のグリーフシードを確保する理由は何だと思う?

 グリーフシードからは、元になった魔女が出現するんだ。魔力の回復だけが目的なら、『倒し方を知っている弱い魔女』を一体確保して戦い続ければいい。

 ──じゃあどうして命をかけて、魔法少女は複数の魔女と戦うんだと思う?」

 

「……魔女から人を助けるため……じゃあ、ないんですか……?」

 

「まぁキミとか巴さんみたいに、純粋に人助けが目的で戦う人もいるけどね。()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()んだ」

 

「それは……どうして、ですか?」

 

「グリーフシードを使い回すには、手順を踏む必要があるんだよ。

 ──まず、魔女の使い魔を()()()()()()()

 

「は……!?」

 

「使い魔が一般人を食べて、魔女になるのを待つ」

 

「なッ、なんでそんなこと……!」

 

「一度グリーフシードになってから復活した魔女は、強くなるからだよ。だから、何度も何度も同じ魔女を倒すことはできない。

 ──でも、使い魔を利用すれば養殖は可能だ。『ソウルジェムの穢れを吸った魔女』と違って、『一般人を食べた使い魔由来の魔女』が、元より強くなることはない」

 

「だからって……! 酷い……!!」

 

「でもさ、キミ達は成り立てだからまだ知らないだろうけど……ソウルジェムが濁るとね、すっごく苦しいんだよ。

 風邪で寝込んでる時に、健康な人の世話を焼こうと思えるかい? ()()()()()()()()()()()()()()()けど、イメージとしてはそういうこと。

 ──だからね、巴さんみたいな『街中で見つけた使い魔を狩る魔法少女』は少数派なんだ」

「──まぁ、そんなことを言ってる藤宮さんは『少数派』どころじゃない『()()』なんだけどね」

 

「例外……?」

 

「僕のソウルジェムから出た『穢れ』を吸って羽化した『グリーフシード由来の魔女』は、()()()()()()んだ」

 

「「えっ!?」」

 

 ──ということは……!!

 

「僕は犠牲者を出さずに、グリーフシードを使い回せる。だから常に魔力が潤沢で、貯蓄をお裾分けする余裕もある。

 ──だから、安心して絶望してくれていいよ」

 

「「…………」」

 

「……ごめんね」

 

 …………どうやら私の第一印象は間違っていなかったらしい。

 

 やっぱりこのヒトこわい。

 

 

「さて、最後の問題だ。

 グリーフシードが魔女を産み、魔女がグリーフシードを産む。なら、先に産まれたのはどっちだと思う?

 ()()()()()()()()()()()()()()、考えてみてほしい」

 

「…………ぁ」

「──まさか」

 

 

 気付いた瞬間、鹿目さんの顔が青ざめた。私自身、寒気がする。

 だってそんなの、信じたくない。

 でも、これなら説明がついてしまう。

 

 ──何故、『穢れを吸った魔女』と『使い魔由来の魔女』で強さが異なるのか。

 そもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「気付いたね? そうだよ。

 ──最初に産まれるのは、魔女だ。

 

 ────ソウルジェムが濁り切った時、魔法少女は魔女になる」

 

 

 二つのソウルジェムに、二つのグリーフシードが当てられた。

 

*1
正確に言うと『登校初日』 時間遡行の起点は『退院日』なので、この九日前。

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