All you need is…… 作:ほむほむほむほむほむほむほむ
※:筆者は杏子アンチではないのですが、ファンの方には不快かもしれない表現が含まれております。大変申し訳ないのですが、読み進める場合ご了承ください……。
巴家。深夜。
ショックを受けていたまどかとほむらをそのまま家に帰すのは心配だとして、マミは二人を泊めていた。幸い曜日は金曜だった*1ので、まどかの両親に報告さえしておけば特に問題は発生しなかった。*2
「……二人共、眠れたみたいね。良かった」
「うん。
……悪いね、キミにはいつも苦労をかける」
「別に、構わないわ。……『私のとき』は、もっと酷かったし」
「ハハッ、そうだったね。流石の僕も死ぬかと思ったよ、『あのとき』は」
「…………裏表がなさ過ぎるのも考えものだと思うわよ? 私は」
「そう思ってくれてるなら、今まで頑張ってきた甲斐がある。
──『裏表』が本当に無いなら、どんなに因果が強くたって……キュゥべえに『素質』を
「……そうね。
なら……私の前でくらい、頑張らなくてもいいのよ?」
「中坊が何を言いなさる。酒を飲めるようになってから出直すんだね。
……気持ちはありがたいけどさ」
「…………お酒で自分を変えるなんて、不健全よ。『酔っ払い』なんて、悪いイメージしかないもの」
「違うね。酒を飲んだ程度じゃ、人は変わらない。
酒は人の『裏面』を引き出すだけだ。『表』も『裏』も、その人の本性であることに変わりはない。……無論、これが全ての人に当て嵌まるワケじゃないけれど。
『表』が嘘だらけな人。酒を飲んでも『裏』が出ない人。そもそも『裏』が無い人。千差万別だ。中には『本当に人格が変わってしまう人』もいるんだろうね。
──だからこそ、『酒の席』ってのは人の悪い面を『見て見ぬフリ』する『言い訳』にできる」
「…………やっぱり不健全よ」
「心に闇を溜め込んでおく方が、よほど不健全だと思うけどね……僕は。
──破裂寸前の風船に息を吹き込むほど、悪趣味じゃあないつもりだよ」
「……破裂寸前? 私が?」
「『もっと吐き出し方を覚えろ』ってコトだよ。
いまが安定してても、変化があって崩れたんじゃあ意味がない。そういう時は『耐える』より、悪い変化があった分良い変化を作り出す。バランスが大事なんだ」
「…………そんなに言うなら、ずっと一緒に居てくれたっていいじゃない」
「……悪いね」
「……どうしても、『ワルプルギスの夜』を倒した後じゃないとダメなの?」
「うん。……まぁ今はもう鹿目さんも暁美さんもいるワケだし、これまで通り普段は別行動でいいような気もするけど」
「…………そうね。この鈍感」
*
──弱音なら、もう何度も吐き出している。
魔法少女になってすぐの頃は、彼が守ってくれていた。……彼は昔から
その関係が終わったのは、私に初めての後輩ができた日。
それから彼は、一人で戦うようになった。『
……でも、私と後輩の『彼女』は決別した。
それで、一人でいることが耐えられなかった私は……彼に縋った。
しかし彼は、優しい以上に厳しい人で。
『もう他人のために魔法を使ってやらない』と言った『彼女』を肯定して……その理由として、『魔女の正体』を告げたのだ。
…………それを聞いた私は、錯乱して……彼を殺そうとした。
『ソウルジェムが魔女を産むなら、皆死ぬしかないじゃない』と泣き喚き、本気で彼を……人を、殺そうとした。
でも彼は、一切怒らなかった。簡単に私を許して、それどころか謝罪さえした。
確かに荒療治ではあったけれど、彼は何も悪くなかったのに。
落ち着いて考えれば、私達が死んでも……結局魔女は増えるのだ。
だから彼は、命尽きるその時まで……魔女を狩り続けるという。
──私も、『そうしよう』と思った。
絶望を産みたくないなら、希望を振り撒き続ければいい。やることはこれまでと、何も変わらない。
あぁ、確かに『養殖した魔女を狩って生きる』ことは『魔法少女として正しい在り方』なのだろう。
──正に、『人間と怪物の
でもそんなの、私は御免だ。
私は最期まで、自分を『人間』だと言い張って生きていたい。『人の心』を捨てたくない。
そう思わせてくれた彼を、私は──。