絶対BLになる世界 VS 三匹のヤギのがらがらどん 作:しーらんと
原作:絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男
タグ:クロスオーバー 絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 三匹のヤギのがらがらどん
しかもボーイズラブ絵本の世界だ。
俺は気づいている。俺は絵本の世界の住人だと。
しかも、ただの絵本じゃない。
いわゆる、ボーイズラブ絵本の住人だ。
思えばおかしなことはいくつもあった。
イケメンのヤギの比率が異様に高い世界。その割に造詣があやふなメスたち。
敵意剥き出しで談笑中の白ヤギを連れ去る謎の美形の黒ヤギ。
「俺の手紙に返事もしないで…!」
「違っアイツはただのヤギの仲間で…っ」
(え…誰…?怖…)
ここがBL絵本の世界だとすると今までの不自然な現象に説明がつくのだ。
さて、このBL絵本の世界でも生きている以上は飯を食わねばならない。
兄弟ヤギから山へ草を食みに行こうなどと誘われたとき、このBL絵本の世界でBLになることを避けるにはどうすればよいか。
兄弟でおいしくご飯を食べるだけで成立してしまうBL絵本の世界だが、もちろん断るなんてことはしない。
「おー、いこうぜ」
モブは反対しない。その他大勢の一匹でしかない。孤高を気取るのは狼で十分である。
俺はヤギに徹しよう。
橋。
谷を渡る為に通行することが必要な建築物だが、しかし俺には一つ懸念事項がある。
橋がそれほど大きくなく、一匹ずつしか渡れないは大した問題ではない、
厄介なことに橋の下には大きなトロルが住み着いているのだ。
……で、現在だが。
「誰だ、てめえ。俺の上をまたぎやがって、気に食わねえ」
「あの…えっと…小さいヤギのがらがらどんです」
「ただで通れると思うなよ、通行料を払ってもらう」
先に橋を渡っていた弟が件のトロルに絡まれている。
「少し待てば、お金を持っている兄さんがやってきます。僕よりずっとお金持ちです」
俺を売ったな。あの野郎。
「それなら、さっさと行ってしまえ!」
トロルがキレ散らかして弟は山の方に逃げて行った。
えっ…この後で俺が行くの? いやだなぁ……。
だが、ここで逃げ出したりすれば、オス同士の熱い鬼ごっこの始まりだ。
見ればトロルという名前のくせに、随分と美形である。間違いなくBL絵本の主人公クラスの住人である。
選択を誤れば性的な意味で食われてしまう。
ここで一回のモブキャラクターがとるべき行動は、
”かたん、ことん、かたん、ことん”
何も考えずに橋を渡るのが一番である。
「俺の上をまたいで通りやがって、気に入らねえ。通行料を払え」
弟と同じように絡まれるが、こういう横暴な素振りのクリーチャーは総じて知能が低めであると設定されているのが絵本の常だ。
お金は兄さんが持っています。と、弟と同じように上の兄になすりつけてしまえばいい。
兄は体も大きい。ナヨナヨのモブと、ムキムキのイケヤギ。どちらとフラグが立つかは明白である。
もう台詞のカッコも出ていない。
無事に橋を渡り、俺を売った弟を追いかけている間に、一番上のがらがらどんが橋を渡りだした。
さんざん待たされたトロルがこれまでと同様に、兄に向って絡み始めた。
「がたん、ごとんと一体ぜんたい何者だ。俺の頭の上を通りやがって」
「俺だ」
有無を言わさずに 兄のがらがらどんが トロルに飛び掛かる
。
角で 目玉を 串刺しに
ヒヅメで 肉も 骨も 木っ端微塵にして
トロルを 谷川へと 突き落とした。
それから山へ登ってきて「行くぞ」と言った。
まぁ、絵本って理不尽な展開よくあるよね。
哀れなトロルはバラバラになって突き落とされてしまったが、心配は無用である。
谷川へと落ちたミニサイズとなったトロルは、既に通りすがりのイケメンに発見されていた。
このような状況に遭遇した時、この世界の男の9割は自宅へ連れて行き看病してやるのである。
絵本の世界だから防犯意識もまるでない。
トロルが体力を取り戻したら食われてしまう……訳もなくお互いに恋に落ちる。
この世界のジャンルはBLしかないのだ。
お幸せに。