Fate/stay night Persona Memory   作:鏡蓮

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30日〜1日の話。


#21 過去(Zero)

30日(日)、昼間にセイバーに誘われ、デートしに行く事になった。

 

「セイバー、遊園地に行ってみるか?」

「遊園地ですか?なら、行きましょう!」

 

冬木市の中にある遊園地は、今とは変わらない遊具が多く建っていた。

セイバーはそれに驚きと喜びを持ったのか、俺の手を強く握る。

 

「やはり、来て良かったです!」

「そうか、どこに乗るんだ、セイバー。」

「はい!まずはですね…。」

 

日帰りの為、セイバーはよく考えて選んで遊びに行く。士郎たちを誘えば良かったが、士郎は遠坂さんとの訓練がある為、誘いには行かなかった。

 

「これはなんですか!」

「ああ、ポップコーンって言ってな。」

 

お店に来たセイバーはポップコーンを買ってパクパクと食べていく。それを見ながら、俺はジュースを飲む。今のセイバーはいつものセイバーだ。そう安心して、遊園地を満喫する。

 

「セイバー、最後はあれを乗ってみるか?」

「あれは…、観覧車ですか?」

「ああ、ベタだけど初めてだろ?」

 

夜になりつつある遊園地の最後、ベタだけど、観覧車に乗る事にした。街を全て見える景色に、セイバーは輝いた目を見せていた。

 

「…私、貴方と一緒にいるのが楽しいんです。聖杯戦争でも、日常でも。」

「そうだな、俺も楽しいよ。」

「…ですが、この景色を見る事すら無くなるんですよね。」

 

セイバーは哀しい目をする。そうか、聖杯戦争が終われば、全てはゼロになる。それがセイバーは嫌なのだろう。

 

「私が生きてた時代に、貴方がいたら…貴方に全てを預けれたのに。」

「そうか?セイバーは今も前へ進んでるし、英霊なんだろ?」

「…そうかもしれません。でも、貴方の様に上手くいかなかった。貴方の様に、人を信用すらできなかった。貴方みたいな人に会えたら、私は…捨てれたのに。」

 

セイバーは俺の頬を触る。それは、愛おしいという感情と欲望に満ちた目を見せていた。

…それは自己満足だ。だが、それを否定すらできない。俺の周りは辛いと思ってでも前へ行けた。

 

「セイバー。」

「はい…。」

 

花火が舞い上がる。季節に合わないが、もう終わりの時間だろう。

俺はセイバーの目を見て、話す。

 

「俺は君の側にはいられない。でも、この先なら君の隣に立とう。それが嫌だったら…。」

「十分ですよ。過去を振り返っても変えれません。でも、未来で貴方と共にいるなら…私は。」

 

セイバーは席を移動し、隣に座ってもたれ掛かる。…もう着く。少し、時間のかけすぎだろうか。

 

「私は、貴方と共に…。」

 

…俺の選択肢は間違えたんだろうか。セイバーの想いが強くなり過ぎてる様に感じる。

もう夜になったので、帰ろうとするが、セイバーは立ち止まった。

 

「セイバー?」

「悠理、絶対に勝ちましょう。」

「ああ、そうだな。」

 

聖杯戦争に向けて、意気込んだ後、セイバーの手はさっきより強く握られる。

今日は、コミュを進めれない。


31日、放課後は路地裏に向かった。いつもの通り、冬の城の前に着くが、誰もいない。

 

「鍵が開いてある。」

 

無断だが、今がチャンスかもしれない。俺は大きな扉を開く。そこは豪華なホテルの様な場所であり、人がいない城だった。

 

「貴方は…。」

「イリヤ…?」

 

イリヤが大人になった様な女性が立っていた。その女性は俺の前に駆け寄る。

 

「…やっぱり、切嗣の言った通り、生(・)き(・)て(・)る(・)のね。」

「あの、貴方は?」

「あ、ごめんなさい!私はアイリスフィール・アインツベルン。イリヤがいつも世話になってるわね。」

 

そう明るく言う彼女、アイリス…。イリヤスとも言ってたから、スフィールは除外してるのか?

 

「アイリス…。」

「アイリ、その方が呼びやすいでしょ?」

「あ、ああ。アイリは、どうしてここに?」

「ううん…、秘密。それに、切嗣が居ないときに来るなんて、もしかして泥棒?」

 

泥棒…。怪盗もそうだが、俺は別に泥棒をしたくて入ってきてない。

 

「それに、切嗣って…。」

「ああ、別人よ。貴方の思ってる切嗣とは。」

「…そうなのか。」

 

俺はアイリの言葉に少々疑問を浮かべるが、そうかもしれない。それに、似ているって言ったって。死んだのだ。会えるわけない。

 

「アイリはここで何してるんだ?」

「そうねー。ここでは普通に住んでるってだけで何もない。ほんと、車で暴れたい気分。」

「あ、暴れる?」

 

車で暴れるって何だ?俺はアイリの言ってる事に頭を痛めるが、車好きなんだろうか?

 

「切嗣はしばらく帰ってこないわ。ねぇ、ここに住むこともできるのよ?」

「断るよ。まだ、俺は英霊として闘う義務がある。」

「英霊…ね。」

 

アイリは含みのある言葉を投げるが、無視をする。聖杯戦争が終わり、聖杯を持てば…。

…士郎との対立は避けられないのかもしれない。

 

「ねぇ、名前を教えて?」

「晴宮悠理…だけど。」

「うんうん、やっぱりだよねー。」

「?」

「あ、ごめん。こっちの話。」

 

そう含みのある言葉に困惑を持つが、もう夜になる時間だろう。帰らなければ。

 

「ねぇ。」

「はい?」

「絶対に後悔しない道を選べる?」

「…選べれたら、苦労しないでしょ。」

「ふふっ、そうよね。でも、貴方の可能性で、未来を変えれるって覚えておいて。」

 

そう笑う彼女、俺はその言葉を覚えて、城の扉を開ける。眩い光が灯されたとき、目を開けた先は、いつもの路地裏の先。

…未来を変えれる。俺にそんな可能性など無いはずなのに。

 

我は汝…汝は我…

汝、ここに新たなる契りを得たり

契りは即ち、

生きし英霊の力とならん。

 

我、悪魔のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

勝利へと至る、更なる力とならん…

 

「夜は、教会に行くか。」

 

そう予定を立て、家に帰っていく。

 

夜は教会に入り、サーヴァントに会う。

 

「暫くぶりだな。悠理。」

「…クラスは何だ。」

「ほう、我に命令か?まぁ良い。その方が楽だ。我はア(・)ー(・)チ(・)ャ(・)ー(・)。王とでも呼べ。」

「…アーチャー2。お前の目的は何だ。」

「あ、アーチャー2だと…。貴様、我を愚弄してるのか!」

「…いや、知らないし。」

 

俺はアーチャー2の言葉を否定する。王って言われたら、苦い思い出しかない為、その呼び方にした。

良くはない言い方だが、アーチャー2の方が覚えやすいからだ。

 

「…ふんっ、まぁ良い。我の目的はそう!この聖杯戦争を愉しませる者が現れる事、それだけだ!」

「え、それだけ?」

「そうだ!」

 

どう反応すれば良いのか、俺は難しく感じていた。だが、今の所は俺たちに影響は無いのか?

 

「だが、我の予想外は、お前がいる事だろう。」

「知ってるのか?」

「ふんっ。知ってなければ、王としても面白くない。」

 

俺を知ってる彼。俺は彼を知らない。それに、面白くない。って事は、この戦争をゲームとして思ってるのか?

 

「我の愉しみは、お前がどう未来を切り開くか。それが気になるのだ。」

「…未来を切り開く?」

「ふん、まぁ良い。悠理よ、お前は生きる為に闘ってると言ったな。だが、お前には二つの気持ちがある。」

「それは、友の約束か人間である願いの二つ。それを、貴様は選べれないのだ。」

「そうだが…。」

 

アーチャー2の言葉に反論などできない。そう、士郎の願いを叶えるか、俺の願う物を選ぶかを。

 

「ふんっ、我から言うのは違うが、お前はもう決まってるはずだ。それに気づいてない。そうだろう?」

「何言って…。」

「貴様なら、もう気づく。何故なら、我の愉しみを増やした者なのだからな。」

 

そう言って、アーチャー2は暗闇に消える。…俺の決まってる願いは分からない。だが、聖杯の為に闘ってるのは決まっている。…その道中で気付くんだろう。

そう思いながら、俺は家に帰っていく。


6月1日(火)、昼休み、定期テストの結果が発表された。…学年1位だ!今日は良いことがありそう。

放課後はマウント深山を歩いていた。

 

「久しぶりだな。」

「…言峰さん…。」

 

俺の目の前に言峰さんがいた。その姿は相変わらず神父だが、目は変わらない。

 

「君の事は良く知ってる。だが、これから後悔する事を伝えておこう。」

 

人混みに紛れ、言峰さんは俺の目を見て、嘲笑う。

 

「君は、人を救えない。」

 

その言葉と共に、言峰さんは人に紛れ去っていく。人を救えない、その言葉の重みを知ってる。

心の怪盗団だった頃の自分を。

 

『ジョーカー!無理をするな!』

『なら、何で俺を守るっ!お前も無理をしてるだろ!』

『そんなに言うなら、闘えるんだよな!』

『ふっ…。そうに決まってる!』

 

刈り取りし者の前で倒れそうになる俺とジョーカーは、奇跡的に倒せた。その時に、現れたペルソナは…。

…なんなんだ?

 

「…路地裏に向かうか。」

 

俺は砂になった記憶を思い出せずに、いつもの路地裏に向かい、歩く。

そして、冬の城に着くが、イリヤの方に向かって歩こうとする。その時、突如の大吹雪が俺の前に太刀憚る。

 

「なんで、今…。」

 

大吹雪に立ち向かう俺は、脳内に幾つもの記憶が流れていく。心の怪盗団の思い出、2018年にあった記憶。誰かを守り、ナニカを壊したあの日。

 

「お兄ちゃん?」

「…イリヤ。」

「大丈夫?疲れてる様に見えたけど。」

 

イリヤは俺の顔を覗く。…何を思い出したんだ?何を…してたんだ?

 

「お兄ちゃん、話でもする?」

「そう…だな。」

 

俺は力を入れて立ち、イリヤの横に座る。

 

「お兄ちゃんって、不思議だよね。」

「そうか?」

「うん!お兄ちゃん、いつも人に寄り添ってくれるんだもん!そんな事しても徳なんてないのにさ。」

「毒舌だね。」

 

俺はイリヤの言葉が大人の言葉に聞こえた。だが、徳なんてないか。そうかもしれない、実質そうだ。ただ、自分の力になってくれるコミュなんて無ければ、ただ徳がない存在。

 

「でもね、お兄ちゃんは人の事を良く見てるんだと思うの。お兄ちゃんが…遊んだりしてくれたから、笑顔がいっぱいになるんだと思うの。」

「…そうだといいな。」

 

俺はイリヤの方を向く。その笑顔は眩くて、俺のしてる事を肯定してる様に思えた。

 

「だからね、お兄ちゃん。絶対に幸せでいて。」

「…約束しづらいな。」

「ううん、約束じゃないの、本当になってほしい願いなの。」

 

イリヤはそう願いを言う。…そうだな、幸せになれたら、俺は何もいらないかもしれない。

…それでいいのか?

 

「また会うよ。」

「うん!またね、お兄ちゃん!」

 

イリヤの言葉に元気が出たのか、俺は彼女と離れ、元の場所に戻る。

 

「幸せ…か。」

 

俺はその言葉を噛み締めながら、家に帰って行った。

 

夜は、何も考えずに眠りに落ちた。最近は、本当に行動ばっかして何もしてないのは久しぶりだ。

 

「お休み。」

 

そう1人で言って、眠りに落ちた。




節制4
悪魔3
太陽7

6月に突入しました。漸く、終盤になってきてますが、考えるの疲れたぞ…。(題名を考えるのが疲れました。)
Fate/Zeroの登場人物は少し出しておく事にしています。(アイリとイリヤ+1人)。
謎のサーヴァントは真名が明かされてないのでアーチャー2呼びにします。
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