Fate/stay night Persona Memory   作:鏡蓮

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6月4日の話。

アサシンとの決闘、キャスターの主人。そして、士郎の想い。
彼の影響で、彼らは変わる。だが、彼の支えは誰が居るのだろうか。


#23 暗殺者の遺言、アーチャーの疑念

「悠理、私の前に消えないでください。…敵になろうとも、私を忘れないでください。」


6月4日(木)、今日は満月だ。

 

「春が終わるか…。」

 

この長い聖杯戦争、確かなのは春で終わるのだろう。この忘れられない絆を。

 

「悠理、放課後、俺の家に集合な。」

「ああ、分かったよ。」

 

遠坂さんたちからの連絡なのだろう。キャスターの居場所を特定できたのだろうか。

俺たちは士郎の家に帰ると、既に遠坂さんとアーチャーが待っていた。

 

「昨日、私たちは貴方の言う柳洞寺を視察したの。その時にその寺から膨大な魔力量を感じ取れた。つまり…キャスターはそこにいる。」

「柳洞寺を守っているアサシンは?」

「寝ていたわ。そのことより、柳洞寺の事で相談があるの。」

 

遠坂さんは柳洞寺にアサシンとキャスターの駒を置く。…正面突破か?

 

「その顔…、違うわよ。柳洞寺にある穴に入る。そこは中までいける洞窟よ。」

「危険じゃないか?それじゃ…。」

「罠だって言うの?もう、何ヶ月も経った。此処で素直に正面に突破するのは愚直よ。」

「だが、アサシンはどうする。正面に行かなければ、アサシンが助太刀する事もある。」

「そう、それで話があるの。私と士郎、セイバーは柳洞寺に入るわ。アサシンと闘うのは悠理。貴方よ。」

 

そうか、アサシンとの関係上、セイバーはアサシンに太刀打ちできない可能性が出てくる。だが、俺をアサシンに向かわせる意義なんて…。

 

「…一発の賭けか。」

 

俺が死ぬか、アサシンが死ぬか。その二つが俺に委ねられた。


「やはり、お主と闘うか。」

「そうだ、お前を…座に還らせる。」

 

ナイフをアサシンに向ける。そのナイフを見るアサシンの目は哀しく見えていた。

…だが、そのナイフに応え、彼は刀を向ける。

 

「さぁ、しよう。この…記憶に残らない最初で最後の闘いだ。」

 

その言葉で、俺とアサシンは足を踏み入れた。


「これが、お前のスキルか…。」

 

悠理のスキルにより、ターン制バトルが作動する。だが、アサシンは…余裕の笑みを持っていた。

 

「某の闘いは、単調なバトルを望んでないっ…!」

 

その時、アサシンは悠理に向け、刀を斜めに振る。

この闘いは、悠理のスキルを通用しない。いや、悠理が望んだのだ。()()()()()を。

 

「ハッ──!」

「くっ──。」

 

悠理の頬が、アサシンの刀に斬り裂かれる。だが、その血は英霊と人間の血ではない。

その血の色は…青く、涙の様になっていた。

 

「……まさか、お前は生きてるのか?」

 

アサシンは彼の頬を見る。アサシンの知識は、英霊も人間と同様、血が出る。赤く、濃い赤が流れる。

だが、彼は青い。蒼く、空の様に見えるソレは今も生きている証。

 

「ハァッ──!」

「チッ──!」

 

アサシンが油断し、悠理に斬られる。だが、軽傷で済んでいる。アサシンの思考は止まらない。いや、止まっていれなかった。目の前にいる英霊は、今も英雄なのだと。

 

「だが──、俺に勝てなければ意味はない!」

「秘剣・燕返し──!!」

 

アサシンの身体は瞬間的に三人となり、斬撃の軌跡を残す。それは、予測できない宝具に似た物。

アサシンが死ぬ間際に習得出来た唯一の…証。

 

アルセーヌッ──!

 

アサシンの瞬間的な斬撃、ソレを塞ごうと彼はペルソナを出す。だが、斬撃はアルセーヌより速かった。

その速度は、1秒未満だろう。

 

「死ぬ訳には…。」

 

悠理は諦める訳には行かなかった。士郎と共に聖杯を獲る為に。だが、打開策はない。

 

「良き友だったぞ──。悠理。」

 

その言葉と共に。彼の視界は紫の斬撃に包まれた。


「士郎、行きましょう。」

「あ、ああ。」

「どうしたのよ、そんなに周りを見て。」

「いや、悠理が無事なのかなって。」

「なら、私が見に行きましょう。」

 

セイバーはそう言って、悠理の方に向かおうとする。主力のセイバーが居なくなれば、死ぬのだろうか。

だが、悠理が死ぬかもしれない。…どうしたら。

 

「…悠理の方に向かってくれ、セイバー。」

「ちょっ…。」

「ありがとうございます、すぐに戻れる様、令呪を使用してください。」

 

遠坂に制止されそうになったが、だが、親友を失う訳には行かない。アイツは、俺たちの光なんだ。

 

「はぁ──。アーチャー、お願いね。」

「分かってる、凛。」

 

アーチャーは俺の隣に立つ。…焦げた肌に、赤に包まれた服。その胸元は筋肉に包まれていた。

…どんな特訓をしていたのだろうか。

 

「小僧、お前はセイバーを送った。何故だ。」

「アイツを失ったら、俺は…ナニか壊れそうなんだ。心に穴が空くようで。」

「…そうか、だが、いつかは切り捨てろ。その気持ちを持てば、聖杯戦争を生きれない。」

 

その重い言葉、俺は分かってる。悠理は敵だ。だが、切り捨てれずにいた。…あの4月から始まった関係、その2ヶ月に及ぶ物。

 

「凛、何処まで行けばいい。」

「あの階段に上れば着くわ。」

 

…悠理、無事でいてくれ。俺は、お前と…生きたい。


「悠理ッ──!」

「セイバーッ──。」

 

身体を押される。…その押した者・セイバーは俺を押し倒していた。

傷が、紅い血が流れてる。

 

「…悠理、無事で良かった。」

「…ああ、ありがとう。」

 

セイバーに感謝を述べ、アサシンを、佐々木小次郎と前に立つ。

 

「アサシン、いや佐々木小次郎。お前に教えてやる。こっちの戦い方をな。」

 

スキルを発動し、俺とセイバーは剣をアサシンに向ける。

…終わりはまだ先だ。だが、生きれたのは、士郎とセイバーのお陰だ。

 

「悠理、勝ちましょう。」

「ああ、了解だ。」


アサシンの身体は糸のように固定される。だが、自然に思える様に感じるのは何故だろうと思っていた。

 

「ハァッ──!」

 

悠理の攻撃に防御をしようとするが動かせず、アサシンは攻撃を受ける。

…そうか、悠理はこの戦い方をしていたのだったな。お前が生きた闘いは、何て()()じゃないのだろう。

セイバーの剣も受け、アサシンの刀が落ちる。…戦意喪失。そう判断した悠理は彼に貰った刀を向け、寸止めに留まる。

 

「アサシン、俺も貴方に出会えて良かった。貴方のお陰で、俺は聖杯戦争の生きる目的を持てた。…だから、今言う。ありがとう。」

 

その言葉と共に、アサシンの胸が刺される。

…ああ、これが痛みか。寿命とは違うのだな。痛みも、寒さも感じる。

アサシンは、悠理の方に身体を預ける。

 

「悠理よ、お前は生きて人の道を支えろ。…お前なら、この戦争すら変えれるんだろうな。…最後の闘い、不本意な闘いだった。だが、お前に俺の刀を刺すか。…なんて、皮肉なのだろうな。」

「アサシン…。」

 

光の粉が身体から溢れる。その口には赤い血がゆっくりと流れていく。

 

「…ありがとう、悠理。」

 

アサシンはそう言葉を残して、1人の英霊は消え去った。

 

「…セイバー、刀を残していいか?」

「いいですけど…どうしてですか?」

「アサシンが生きた証、ここに残すんだ。」

 

佐々木小次郎と名を偽った1人の農民、だが、彼の証は刀となって残される。

 

「士郎に呼ばれた様です。」

「そうか、すぐ向かう。」

「…ええ。」

 

セイバーは士郎に呼ばれ、瞬間移動する。そこに残った悠理は、アサシンの刀が刺さった地面を見る。

 

「…いつか会えるといいな。」

 

その言葉を残して、悠理は士郎の方へ向かっていく。

柳洞寺の結界が薄れてるのか、ど真ん中に入れる。

 

「待て──。」

「アンタは…。」

 

扉を開けようとしたその時、後ろから声がかかる。そこにいたのは、生徒会顧問、葛木宗一郎。

 

「…貴方が、マスターか。」

「ああ、一つだけ忠告しよう。…対人戦は私は得意だ。ナイフすらもな。」

「…そうか、なら…令呪を剥奪するまで!」

 

悠理は宗一郎に向けてナイフを刺す。だが、宗一郎はナイフを弾き飛ばし、悠理の腹に肘を当てる。

 

「ぐっ──!」

 

…この人、戦闘に慣れてる!!悠理の中には驚愕とその力に恐れ、笑った。

…並の英霊すらも凌駕しようとしている。彼。

 

「…仕方ない。殴るのは得意じゃないが。」

 

悠理は英霊の姿を解除し、元の制服に戻る。

 

「死んでも影響は無い。ただ、不慮の事故で終わる。ソレを覚悟しろ。」

「なら、俺は…貴方を止める。」

 

拳を向け、悠理と宗一郎はお互いの目を見る。

その目は殺意と集中。お互いの言った目的の為に戦う一つの闘いが始まる。


「そういえば、遠坂はどうしてキャスターがここにいるって分かったんだ?」

「ああ、それ。それはねぇ…。」

 

それより前、階段を上る間、キャスターを見つけた過程の話を聞く士郎たちがいた。

 

「冬木大橋の川、あるでしょ?」

「あ、ああ。あるな。」

「そこで、膨大な魔力の残量があったの。それも10年前の魔力と新しい魔力が混ぜあってね。」

 

川の水道トンネル、そこに膨大な魔力があると踏んだアーチャーと遠坂凛は、その経路を魔力で検知していった。

その経路で伝ったのが柳洞寺であった。

 

「…10年前の魔力?」

「ええ、多分聖杯戦争の時に残ってたんでしょう。」

 

そう言う遠坂の言葉に少々疑問を持っていた士郎。だが、もう戦闘は始まる頃だった。

 

「さぁ、行くわよ。衛宮くん。」

「ああ、遠坂、闘うよ。」

 

そう意気込み、扉を開ける。…だが、そこに居るのは物だけだった。

 

「…キャスターは、何処?」

「ここに居るのは確かだ…。だが、なんだ、この違和感は。」

 

凛、アーチャー、士郎は背中合わせで周りを見る。何一つもない建物。だが、そこに違和感がくる。

 

「ッ──!衛宮くん!」

「えっ──。うわっ──!?」

 

引き摺り込まれる士郎の手を凛は手を伸ばす、…だが、掴めれず、士郎は床の下に入っていく。

 

「…アーチャー、衛宮くんを探して。」

「…分かった。」

 

アーチャーは何かを言おうとしたが、凛の目を見てその言葉を言わずにいた。

その凛の目は、悔しさと辛さが来ていたのだ。

 

「…私は、何故、嫉妬してるのだろうか。何故…、私は小僧を妬む。」

 

アーチャーの独り言は凛には聞こえず、その答えを出す友人はもう居ない。




アサシンとの闘いは短めですが、よろしかったんでしょうか。
次回も1日にしますので、楽しみにしてくださると嬉しいです。
それと、だいぶ時間を賭けて書いてますので、安心してください。

次回は、キャスターとセイバー、葛木宗一郎と晴宮悠理のキャスター陣営の戦闘です。
アンケートは終了して、新しいアンケをだします。(全部出して欲しいらしいので、頑張っていこう。出来るだけ、満足出来るように。)

柳堂一成を柳洞一成、柳堂寺を柳洞寺に変更しました。一成さんを一成に変更しました。
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