Fate/stay night Persona Memory 作:鏡蓮
ペルソナシリーズ恒例のコミュの会話です。
細かい所まで書いたせいか、密度が濃いですが、よろしくお願いします。
6月6日〜9日。
「アサシン…。」
俺は柳洞寺に刺さった刀を見る。引き抜けないのか、そのまま放置されたままだ。
ただ、一つ書いてあるのは「佐々木小次郎」と書かれた刀だけ。
今日のニュース「佐々木小次郎は存在していた!」という話題を呼んでいた。
「果たされたのかな、この闘い。」
最後の一刺しで、アサシンは英霊の座に還った。もし、この場にセイバーがいたらどうなってたのだろうか。
……変わる可能性はあるかもな。
柳洞寺は今は殺人で、警察が囲んでいる。殺されたのは葛木宗一郎のみ。傷害はあり、死亡と判断されたらしい。
何故知ってるかは、一目でわかる。あのバーサーカーにより、殺されたのだ。
「…イリヤ。」
何が目的かは明白だ。俺を城に置いておきたいのだろう。だが、あの断りを入れた事で生きれた。
もし、断りが無ければ…。そのままイリヤに飼い慣らされたんだろうか。
「…考えたくないな。」
春までには終わると推測してる聖杯戦争。ただ、謎は残るままだ。どうして、葛木は令呪を持ってないのか、キャスターは何が目的だったのか、把握できていない。
「…次があれば聞いてみるか。」
いつかは分からない願いを言って、俺は家に帰る。
「…おーい?話聞いてるー?」
「綾子さん…。」
「久しぶりだな。最近、学校で会わないし、部活に来ないから心配してたぞ。」
6月7日、美綴綾子さんと俺は学校で会話をしていた。…部活、最近行ってないな。
そういえば、慎二はあの後どうなったんだ…?
「やはり、ここにいたか。」
「一成。」
「あ、生徒会長。今はアタシと話してるんだ。割り込みは禁止だぜ。」
「…だが、俺も彼に用がある。」
一成とも行動しないといけなくなった。…今日は帰れるのだろうか。
「一成、そういえば用事って?」
「ああ、今度の行事の変更があってな。それを手伝って欲しいんだ。」
「手伝えたら手伝うよ。時間があったらだけどさ。」
「そうか、準備は10月だ。覚えておいてくれ。」
そう言って一成は去っていく。柳洞寺の事があるのに、何時もより淡々としている。
…何かいい事でもあったのか?
「はぁ…、なぁ、今日って用事あるか?」
「ないですけど…。」
「なら、ヴェルデに行って、デートな。」
「え?」
俺が綾子さんの方を見た時には、もう離れていた。
…約束は守った方がいいだろう。
「それで、ヴェルデに来たのって?」
「ん?気まぐれな。ただ、一つ聞きたいんだ。」
「は、はい。」
…何か重苦しい空気が流れる。…まさか、彼氏ができたとか?
…いや、それだったら彼女の目は暗くならない。
「あの黄色髪とは彼女なのか?」
「え、は、はぁ。」
「…そうか、クソっ…。」
嫉妬だ…。あまり女性がやらないいらつき方をしている。慰めるべきか?
…しないでおこう。逆撫でしてしまう。
「なぁ、私と会ってない時に、彼女できたって?」
「そうなります…ね。」
「何で付き合ったんだ?」
「…え、それ聞きます?」
「真面目に聞いてるんだ。…本当の事じゃなかったら何か買わせる。」
「例えば…?」
「指輪のペアルックだ。」
…終わった。今のセイバーが見たら、殺される。俺が。…本当のことを話しておこう。
「はぁ?無理矢理の付き合い?」
「はい。まぁ、事情が事情なので、仕方ないんですけど。」
「…なら、入れ替えれるだろ?」
綾子さんが俺の顎を撫でる。…その目は肉食獣だ。断るべきだな。
「…そうか、だが、もし心が入れ替われば、私の所へ来い。いいな。」
そう言われ、俺と綾子さんは別れる事になった。…精神的にキツい物がきた感じがする。
疲れたので、寝る事にしよう。
6月8日、今日は部活に来たが、やはり慎二がいない。
…誘われたので、弓道の練習をした。8月くらいには大会を控えてるので、誘われた。
答えは空いてたら行くと応えた。
夜は教会に入る事にした。…今日は珍しく人がいない。
「これって…。」
俺は血の跡が付いた床の方に歩く。…そこに居たのは、刺し殺された慎二。
…脈がない…すでに死んでいる。
「…嘘だろ?」
無惨な刺し傷。…アーチャーがやったのか?
「…助けれなくてごめん。慎二。」
すぐ行けば良かったのに、俺は助けずにいた。…自責の念が心の中を掬っていく。
精神的に疲れたのか、すぐ寝てしまった。
9日、何も考えれず、熱を出してしまった。…しばらく安静にしておこう。
6月13日〜16日(水)
6月13日(日)、熱は冷めた。…今日はクーフーリンが居そうな場所にいこう。
「…よく分かったな。」
「そりゃあ、初めて会った場所はここだろ?」
出まかせである。…だが、空気を読んでおく。…ここは、穂群原学園の玄関前。
初めてクーフーリンと戦ったあの場所。
「…俺たちはもしかしたら、仲間だった可能性があった。」
「そうか?まぁ、お前が言うならそうなんだろうがよ。」
「…クーフーリンは、動かないのか?この現状に。」
「動く事はできる。けどな、俺たちは従者だ。…主人の命令を聞けない従者は必要ない。だろ?」
クーフーリンは後ろ向きだ。…クーフーリンの事をよく知らないのか、俺は返す言葉がなかった。
「一つ忠告しておくぜ、晴宮。俺とお前は仲間じゃねぇ。けど、いつの日か分かち合える時は来るってもんだ。」
剛毅のアルカナは0になった。
…共に戦える日は来るだろうか。
そう思いを馳せながら、俺とクーフーリンは違う道を歩いた。
夜は桜さんと出逢った場所に向かった。…それらしき人はいない。
帰るとしよう。
『悠理さんの事は忘れません。』
──ッ。桜さんの声だ。…けれど、周りを見てもいない。
…空耳だったんだろうか。
14日、士郎と共に学校の高跳びをしに行った。…鍛錬をしているのか引き締まった身体になっている。
「悠理、ここで俺たちは高跳びをして…仲良くなっていった。」
「ああ、それで、お前の事を知った。正義の味方になりたい士郎を。」
切嗣の夢を引き継いだ衛宮士郎。だが、今の彼は変わっていた。
今は、身近な人の助けになる為、ボランティアを続けてるらしい。
「悠理、聖杯戦争が終わったら、俺たちは本当に別れるのか?」
「ああ、俺がここにいれば何かの抑止力が生まれるに違いない。それに、お前とは敵同士だ。いつか戦うっていつも言ってるだろ?」
「…そうだな。なぁ、悠理。お前は何を願ってるんだ?」
「願いか?そうだな。俺はこれからの人生を生きたいと思ってる。」
その言葉は嘘偽りのない言葉。これからの人生、何が起こるか分からない。けど、英霊となった俺は、何か、忘れてはならない物を忘れてる様に感じていた。
「…そうなんだな。なぁ、悠理、俺はお前を友達だと思ってる。お前はどうなんだ?」
「親友だ。お前と出会わなければ、俺も死んでたし、色々な人とも出会わなかったさ。」
そう感謝の言葉を述べ、俺たちは帰る事にした。結局、高跳びはせずに終わってしまったが。
15日、セイバーと共に冬木中央公園に散歩することにした。
「悠理、私はやはり、聖杯を勝ち取り…貴方と共に生きたいのです。」
「…無理って言ったら?」
「無理とは言わせません。私は、貴方の隣で闘っていて徐々に分かったんです。私は貴方と居る。それだけでいいんだって。」
…依存しきっている。だが、一つだけ聞きたい。英霊になった時の願いを。」
「英霊になる時、セイバーは何を願ってたんだ?」
「…私はブリテンを永遠の国にしたい。そう願ってたのです。私が死ぬ時、ブリテンは滅んでしまうと、そう感じてたんです。なのに…私は、貴方と生きたいと感じている。」
セイバーは俺の腕に掴む。…ブリテンって確か、アーサー王の…。
「聖杯戦争が終われば、私たちは別れてしまう。だから、お願いしたいんです。私と共に、アヴァロンに…。」
アヴァロン…。理想郷だったよな。…つまり、セイバーはアーサー王。
…男から女に変わるのって、有り得るのか?
「…悠理?」
「あ、すまない。その、セイバー。俺は生きたいんだ。」
「生きたい?」
「ああ、俺は英霊になった。だけど、生きたいんだ。どうしてか、そう願ってるんだ。」
そう伝えると、セイバーの目は少し暗くなっていた。
「生きていても後悔する事は多いです。なのに、貴方はこれからを生きたいんですか!大切な物すらも失う世界より、永遠に生きる彼処なら──。」
「…俺は彼処に絆を置いてしまった。…セイバーたちとの絆も大事ではある。でも、それは偽りだ。」
「そんな事…。」
「だから、セイバー、諦めてくれ。聖杯戦争が終われば、俺たちは会えない。」
そう伝え、俺はセイバーの方を見る、泣いてしまった。
…冷たいのだろう。だが、英霊は偽物だ。この愛すらも消える。
「私は、絶対に覚えます。貴方との記憶を──。だから、貴方も。」
「覚えるよ。…必ずとは言えない。でも、セイバーが覚えてるなら、俺も覚えてるしな。」
俺は彼女の手を繋げる。後悔する事は多いかもしれない。
けれど、それを背負ってでも前へ歩かなきゃいけない。
…それが、俺の思ってる人生の筈。
17日(木)、大河さんと食事をする事になった。
「久しぶりに二人っきりか〜。」
「そうですね。」
ラーメン屋だが、大河さんは俺に話をしてくる。
「悠理さ、進路って決まってる?」
「いや、まだです。」
「…そうかー。ねぇ、悠理は私や士郎と関わっでどうだった?」
「いい人たちですよ。…個性が強いのもあるけど、俺の支えです。」
ラーメンが届き、俺は食べていく。…対して、大河さんは手が止まっている様だ。
「悠理が来た4月にね、悠理の事心配だったんだ。貴方みたいに転入生が来たら馴染めないんじゃないかって。」
「でも、貴方がいる事で、士郎や私も変われた。ずっと過去に縛られた鎖が取れた様にね。」
「ねぇ、悠理は、本当に私たちの事を頼りにしてる?」
「……。」
頼り…か。してない様に感じる。でも、それを言ったとしても、頼ろうとする自分はいるんだろうか?
「悠理。本当に居なくならないでね。前、私、何処かに行っても安心って言ってたでしょ?…本当はここに居て欲しいくらいなの。」
「預かりっていう名目だけど、段々と思ってくるの。貴方はここに居て私たちの心の拠り所になって欲しいって。」
「…我儘だけどね。」
大河さんは先生らしくない言葉を言う。…俺は黙って聴くことにしたが、一つだけ言える。
「大丈夫ですよ。俺は何処にも行かないですから。」
聖杯戦争が終われば居なくなる。と俺は伝えない。…居なくなったら大河さんは苦しくなるだろう。
…でも会える様な気がする。そう思ってしまう。
セイバーにあんな事を言ってしまった。けれど、絆は消えない。…絶対に。
明日は、そろそろ作戦の実行だ。バーサーカー退治と行こう。