Fate/stay night Persona Memory   作:鏡蓮

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7月2日(金)の話。


#28 変わり始める道筋

「悠理…、生きてたのか?」

「え、ああ。奇跡的にな…。」

 

俺は刺された後の事は覚えてなかった。けれど、俺の中のペルソナが何か変わったのだ。

…アルセーヌではないナニかに。

 

「…なぁ、俺っていつから来てたんだ?」

「え?ああー、4()()からだけど…。」

 

4月?そこからなら聖杯戦争は始まっている筈。何も音沙汰なく進んだのか━━?

だが、その矛盾は少し残る。覚えておくべきだろう。

 

「今日はどうするんだ?いつも藤ねえといるけど。」

「今日は…、士郎の家に泊まりに行くよ。少し分からない所があってさ。」

「そうか!なら、食事も取らないとな。」

 

その言葉を聞いて、何だか明るくなっている。…昨日の事をまだ引きずっているんだろうか。

 

「なんか、変わったよな。悠理。」

「そうか?」

「ああ、7月になってから、藤ねえの所行って、手伝いばっかやってたしな。」

「…手伝い?」

「ああ、あまり夜は見かけなかったな。」

 

「なんで、知ってるんだ?」

「え、いやだって……?分かんないな。でも、悠理が言ってた覚えがある。」

「そうか…。」

 

やはり、矛盾してる。あの春の聖杯戦争で、俺は過去に戻ろうとして未来へ来た。

じゃあ、あの士郎たちはどうなって…。

 

その時、深い痛みが来る。幾つもの記憶、ifの世界を。

士郎を裏切る世界、セイバーに殺され、頭だけを大事に抱擁するセイバーの世界。世界が俺の脳内に刻む様に情報を流す。

…そして、一つだけ違っていた。それは、俺が存在しない聖杯戦争。

…衛宮士郎が聖杯戦争に巻き込まれる世界を。

 

「…悠理?」

「あ、ごめん。昨日の後遺症だろうな。」

 

なんだ、あの記憶。…聖杯から流されたとは言え難いし、何のヒントになるんだ?

 

一つの失敗で、君は世界を残酷にさせる━━。

 

その言葉が後ろに聞こえ、後方を見る。だが、誰もいない。

…何だ?何がこの世界に起こってるんだ?

 

「そういえば、夜はどうするんだ?藤ねえの手伝いか?」

「ああ、いや、今日は…。」

 

今日は…泊まりにいこうかな。…何故かそう思ってしまった。

今日は満月ではない。ただ、知っておきたい事を知るべきだとそう思っていた。

 

「珍しいな。まぁ、いいけどさ。」

「…そうだな。」

 

珍しくないと言いそうだが、珍しいだろう。士郎からすればの話だが…。

夜、俺は士郎の家に訪問した。やはり、和風というべきだろう。綺麗にしてるが、相変わらず少し寂しさを感じる。

 

「これは…。」

 

切嗣の写真?確か、彼はあまり写真を好まなかった様な気がする。…何故かは分からないが、聞いておくとしよう。

 

「士郎、この写真は?」

「ああ、これは…、俺の爺さん。唯一残ってた写真だよ。不自然ではあるけどな。」

 

確かに。誰かに切り取られた写真だ。それも、何かに視線を向けている。…元々の写真は何処にあるんだ?

…切嗣の写真を元の仏壇に立てる。何年かは書いてないが、士郎よりは歳を取っていた様だ。

 

「そういえば、最近、誰か誘っていたか?」

「ああ、そうだな。藤ねえ以外だと…桜だな。」

「桜?」

「ああ、俺の弓道部の後輩。大人しいけど、俺の手伝いをしてくれるんだ。」

「そうなのか…。」

 

桜さんがいるという事は、交流はあるのだろう。…何故だか、食べたくなってきた。久しぶりに桜さんの事を思い出したからだろうか。

 

「士郎、明日の宿題したか?」

「あ、やべっ…。してねぇや。」

「なら、食べたら勉強な。」

 

2人だけのご飯。遠坂さんやアーチャー、アルトリアも居ないが、最初はこういう感じだった。段々と賑やかになっていったんだ。

…だが、そこから変わったんだ。…明日の夜…満月に輝く煌びやかに輝く青の騎士の再会が待っていたなんて。

 

「士郎、ここはそうするんだ。」

「あ、そういうことか…。」

 

士郎とは勉強会をする。だが、俺も間違えたりしてるので、人の事を言えない。

…そういえば慎二はどうなったんだ?

 

「なぁ、士郎。慎二って何処にいるんだ?」

「え?…慎二なら、最近休んでるぞ?」

「…は?」

 

その言葉と共に部品は外れていく。少しずつ変わっていく日常は、違う方向へと歩いていった。


『全ての日常は等しい。しかし、ある日から変わる。ターニングポイントで。』

 

第四の聖杯。それを求めて、俺は闘った。だが、あの小さな聖杯を持ったあの男は…。それを飲んだのだ。

その力は絶大で、俺と彼だけは呑まれずに済んだ。

だが、その聖杯を呑み込んだ彼は…その力に溺れ、散った。もし、その聖杯を上手く扱えれば、この聖杯戦争は変わる。誰も彼に太刀打ちできない。

 

『奇跡すら叶う。そのアルカナを持った者は、自らを犠牲にして散ったのだ。』

『ある高校生の命を守るメリットと引き換えに。』

 

「………。」

「理…。」

 

2人の男女は居た。1人は青髪で片目を隠した髪型をした男性、もう1人は茶髪の今時の女子高生。

だが、その男は生気を無くして、前を向いていた。

 

「どうして、逝ったのよ…。悠理さん…。」

「……悠理。」

 

僕はその言葉を言うしかない。…その日は2018年2月の冬だった。




幾つもの文章を増やしたり、改良しました。
この夏の聖杯戦争は長続きする予定です。

久しぶりの投稿です。人気は落ちてはいるけど、頑張って書いているところです。…あまり、ネタを思いつかないという状況に苦しんでますがね。
最後の文章は付け足しではありますが、あまり彼らの事を話してないと思い、書く事にしました。
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