Fate/stay night Persona Memory 作:鏡蓮
7月3日(土)、放課後、弓道部に参加した。士郎の言っている通り、慎二は居ないようだ。
「弓を弾く…。…木の葉を弾く様に、射て。」
そう言葉にだし、弦を弾く。蝉の音が、その音を抑える様にするが、矢の的の音は抑えれず、負けてしまった。
「桜さん?どうした?」
「あ、いえ。…ただ、晴宮さんの様に上手くなれるか考えてて。」
「ああ…、そうか。8月くらいに大会だもんな。」
桜さんは大会に向けて思い悩んでる様だ。…アドバイスするとしても、俺は…。
「そうだな…。誰かを射抜くと考えてみたらどうだ?」
「射抜く…。」
「ああ、ほら何かを倒したい物を射殺す…のは言い過ぎだけど、俺はそうしてるよ。」
「でも、それを決めるのは桜さん次第だけどな。」
そう言い放ち、俺は弓を片付けに行く。そういえば、慎二の事を聞いてなかったな。戻ったら聞いてみるか?
そう思い、俺は弓を片付けるが、桜さんは練習を続けてる様だ。
…ジュースでも置いて、帰るとするか。
「またな、桜さん。」
「……。」
俺は弓道場のドアを開き、別れる。桜さんと帰るのが先決だろう。だが、あまり関係は親密ではない。やめておくことにしよう。
「晴宮さん…。」
私はバックの横にあるジュースを手に取る。彼の言う通りに、私のトラウマになった物を想像すると、段々と的の真ん中を狙えて射抜いた。
だが、それでも私の力にはならなかった。…兄さんが何処かに行ってしまって早数ヶ月、最近の私はどうしたらいいのか、分からなくなってきた。
「晴宮さん…、助けて。」
私は先輩ではなく、彼に助けを求める。それは、深い意味はない。けれど、想いは募るばかりか、彼の事を想うと、ズキズキと、心を蝕む。
そんな私は、バックを持ち帰っていく。今日も、調教でしょうか。
「満月…。」
俺はその月を掴もうとする。だが、やはり届かない。そんな事を思ってると、景色が番組の入れ替えの様に変わる。
その光景は、大きく、全ての街を黄色に染める満月が怪しく光り、周りが棺桶となった景色。
「悠理?」
「……。あ、ごめん。ちょっと疲れてるみたいだ。」
俺は隣で歩いている士郎に呼び止められる。そうだ、今はあの時間なんてない。なのに、心の中で俺は何かを悩んでいる。別れる事を恐れてるのだろうか。いや、違う。
「また泊まるか?」
「そうするよ。」
この日常に戻りたい。そう感じてるんだろう。
「どうしたんだよ、最近。悠理、何か悩んでるのか?」
「いや、大丈夫だよ。少し、疲れてるだけさ。」
士郎にそう嘘をつく。あの光景を話しても、信じてはくれない。多分、精神異常者だと思われても仕方ない。
「俺は少し庭掃除してくるよ。」
「分かった。」
俺は庭にある椅子に腰を掛ける。昨日、何かを見た。懐かしい友の姿を。ただ名前は覚えていない。
「…いつか、別れる。士郎とも、この日常も。」
英霊として現れ、士郎と共に非日常を送っていた。大切な人も、その知り合いとも儚い別れを繰り返した。
「俺だけが覚えてるか…。」
あの時と同じだ。あの一月、俺は蓮と共にあの理想郷を壊した。それは、己の正義と違う正義との闘い。それは正しいとも言えるし、正しくないとも言える。
だけど、俺たちは前に進むしかない。この冬木という名の街の別れも、受け入れるしかないんだろう。
「やっと見つけたぜ‥。。」
青髪の男が赤い槍をグルリッと回す。その目に映るのは、衛宮士郎と晴宮悠理がいる衛宮邸。
目的は、聖杯戦争を知った為の排除。
「ワリぃが、死んでもらうぜ!」
その襖が開かれ、青髪の男は士郎を殺そうと槍を向ける。その時、男の前に短剣が飛ばされる。
その短剣は男に当たらず、壁に突き刺さる。
「コイツは‥。」
「‥お、お前は!?」
士郎はその音で目を覚まし、男を見る。その男はあの時出会った悠理を殺した‥元凶。
士郎は、憎悪で壁に刺さった剣を手に取り、男を一刺しで殺そうとした。
「無駄なんだよ!お前たちはもう、詰んでんだ!」
剣を引っ剥がされ、男は士郎に向けて剣を振るう。その時、悠理は士郎を担いだ。そのスピードは常人ではない。‥英霊に等しかった。
「お前さん、まさか‥。」
「蔵まで行くぞ、士郎。」
「く、蔵!?あそこ、何もないぞ!?」
彼は士郎の手を掴み、走っていく。だが、男は逃さない。殺す為の目的を持つ
その0.1秒の時、悠理は黄金の鞘を手に取り、士郎に手渡す。
「死ぬなよ、俺…。」
悠理はその言葉を投げ、士郎を庇う。その時、一つの青い線が彼の目に映った。。
俺は、一つ覚えてる記憶がある。それは、悠理と誰かが隣で、俺たちを庇っていた事。
俺の為に戦う悠理に憧れていた。だが、逆に、俺は彼を欲した。
…それは、依存心に過ぎた心。俺はその想い一つで、この鞘を地面に置いた。
「思い出せ…。俺が、正義の味方になるその理由を…。」
その言葉と共に、地面に描かれた魔法陣が青の線を引いていく。
「…悠理、また会えましたね。」
「セイ…バー…?」
その言葉を投げたのは、見知らぬ女性。だが、俺は覚えてる。この人は、俺の心に巣食う依存心を持ち合わせた…従者だと。
「マスター…いや、士郎。行きましょう。」
「あ、ああ…。頼んだぞ、セイバー。」
言葉に出す無意識の声。だが、そこに違和感は無い。いつ何時でも、俺は彼女をそう呼んだ。
そう思える程、親しみ深かった。
「悠理、戦えますか?」
「…すまない。俺は戦えれない。」
「そうですか…。今回は私1人で闘いましょう。」
その言葉と共に、青髪の男とセイバーは立ち会った。
「ハァッ──!!」
「7人目のマスターか…。ちっ、予想外だったな…。」
ランサーはセイバーの剣を槍で応戦する。その武器の鉄音は周りに響くほど、重い。
「ランサー、今度は殺す。」
「…へっ、女が言う言葉かよ。それはよっ!!」
ランサーは赤い槍をセイバーの身体に突き刺そうとする。だが、その一瞬を予知してたのか、セイバーは横に避け、切り裂こうとする。
「終わりだッ!!」
セイバーの言葉と共に、ランサーは身体を半分にされそうになった。だが、赤の閃光が光り、ランサーは忽然と消えてしまった。
その空気を切り裂き、セイバーは歯をキリキリと小さい音を鳴らす。
「セイバー、大丈夫か?」
「…悠理、良かった。…生きてたんですね。」
心配そうに悠理はセイバーに近づく。その時、セイバーは彼にハグをする。
それは懐かしくも、悲しみを紛らわしてる少女の様だった。
「士郎、彼女を泊めてくれないか。」
「え、泊めるって…。」
「ああ、説明は後な。」
悠理が離れていく。だが、私は少し覚えてる。彼以外にも仲間がいると、そして…私の中にある心は彼に奪われてるのだと認識している。
「…士郎、説明は明日行います。なので…。」
「わ、わかった。…なんで、俺、セイバーを覚えてるんだ?」
その疑問を持つマスターの答えは今は出さない。もし、出すとしたら…この聖杯戦争が終わってからだろう。
「アーチャー?それ、銃みたいだけど、何処で拾ったの?」
「いや、これは…忘れ物さ。ただ、見当はついてるが、渡せなくてね。」
「そう?なら、預けるのもありだけど?」
「良いことだが、断っておくよ。」
S.E.E.Sと書かれたピストル。それを持つのは、あの時助けてもらった者たち。会うとしたら、少し日は経つだろう。
だが、私は理解してる。彼は、あの男とは違い、自分の正義を持ってる男だと。
決して、仲間を売らない男だという事を。そして、敵ですらも交流を持つ不思議な男である事を。
5000pv突破してました。お気に入りもいつの間にか少し増えててビビってました。以上。
慎二の行方は後々で明かします。一応言いますが、1章とは違う理由なので、ご了承を。
この話を書く時は、セイバーは覚えてない。ペルソナを出す。という展開でしたが、ちょっと変更してます。
士郎の依存が強いのは少しだけ、引き継がれてると思ってください。