表紙
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※完全に妄想
※私の脳内に居る夏油の父母
※最後、物語を上手く終わらせるために私が創作している"五条兄妹"シリーズの夢主がほんの少し出ます(五条妹)
問題ない方はそのまま是非ご覧ください※※
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――2007年 9月
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見慣れた景色。懐かしい景色。
閑静な住宅街が立ち並ぶこの場所。
ふらりと立ち止まった玄関先。丁寧に手入れされているであろう花壇が目に入る。淡い色のコスモスが風に煽られゆらゆらと揺れ、温い秋の風が同じように髪の毛を揺らしていた。
"夏油"と書かれた表札。手入れが行き届いた玄関。この家が建って十年以上は経っているだろうに漆黒の扉は傷一つなく綺麗だった。きっと自身も此処に住んでいたら、同じように花壇も玄関先も綺麗に保っていただろう。
――人差し指でインターホンのボタンを押し込む。
懐かしい音に何故か緊張する自分。
"悟られるな、いつも通り…普段通り―――"
「――あら!傑じゃないの!」
インターホンを鳴らしてほんの数秒。バタバタと足音を響かせながら扉が開き、中から女が現れた。
相変わらず着古したエプロンを身につけ、服に無頓着なのがよく分かる。化粧っ気は無いが矯正された綺麗な顔。漆黒の長い髪の毛は団子に結われており、切れ長の瞳の中に優しい色がハッキリと浮かび上がっていた。
自分が歳を重ねる度に思う。
――"私はやはり、この母の子だと"
「…ただいま"母さん"。」
「うわっ!」
私は穏やかに微笑んだ。
素っ頓狂な様子でこちらを見上げる母を優しく抱きしめる。久しぶりに抱擁する母。なんだかとても小さく見えてしまう。背中に手を回すと、同じように母の小さな手が私の背中を優しく擦る。とても小さくて柔らかい。昔は私の方が小さかったのに。今ではすっぽりと隠せてしまうほどに。
ふわりと漂う母の匂い。不思議と心身が落ち着くような、甘くて柔い…まるで絹のような繊細さが漂う香りだった。
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「んも〜〜!前もって帰ってくるって言ってくれてたらご馳走作って待ってたのに!」
「ごめんね。ちょっと時間が出来たから寄ってみたんだ。」
「本当に…相変わらずね?」
実家に帰ってくるのはいつぶりだろうか。正直あまり覚えていない。去年の夏の"アレ"以降、実家になかなか帰れずに居た。何となく帰る気が起きなくて、何となく足が進まない。父と母の顔を見ると"どうしようもなく"なってしまうと思っていたからだ。
「ね。父さんは?」
「今日残業って言ってたけど"傑が帰ってきてる"って言ったら飛んで帰ってくると思うわよ?」
「………」
「……?」
どこか落ち着かない様子の傑。母はその微細な妙な様子を感じ取るとゆっくりと傑の手に手を伸ばした。
「ね、傑。一緒に夕飯食べましょう?寧ろ泊まっていくでしょ?明日はお休み?」
「………」
「…傑?」
ヒヤリと冷たい傑の手。声をかけても心做しかぼんやりと何かを思い詰めているような様子。気が抜けているような…窶れているような。どこか遠くを見据えているような瞳の奥底。それはまるで底なしの闇にも見える。
傑の母は敏感に察していた。
「…ん。そうだね。」
「ん。なら、傑の大好きなお蕎麦にしようね。」
「………」
「天ぷら粉もあるしお野菜もあるから…天麩羅も用意しないとね?」
"傑はゆっくりしてなさい"と背を押され、母の言う通り居間のソファに腰掛けた。
母は嬉しそうに鼻歌を零しながら台所出夕飯の準備を進める。どうやら既に他のものを作っていた様子だ。しかし"傑の好物を"と意気込む母はそんなことどうでもいいらしい。大好きな息子が帰ってきた。息子のためなら何でもしてあげよう――と。昔から変わらない優しさに傑は無意識に微かに頬を緩ませるのだった。
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「傑〜〜!!!!」
小一時間後。スーツを纏い、片手には小箱を握った父が呑気な声を上げながら居間に飛び込んできた。背丈がほぼ同じということもあり、飛び込んでくるとなかなかの迫力を感じる。
「わっ…父さん…」
そんな父親からの熱い抱擁。ガッシリと思いっきり体全身を包まれると母親の抱擁とは全く違う暑苦しささえ感じる。…しかし、こういう時くらいはあまり嫌がらず受け止めるのが良いだろう。
「母さんから連絡が来て、速攻仕事切り上げて帰ってきたんだよ!――あ!母さん!ケーキ冷蔵庫にしまっておいて!」
「大袈裟だよ……ちょ……」
「ほらほら!ここのケーキ好きだろう?お店の店員さんにも"久しぶりに息子が帰ってきてるんだ〜"って言ったら焼き菓子サービスしてくれて…。それと通りのスーパーで――」
止まらない父のお喋り。よく見るともう片方の手には仕事の鞄とは別にスーパーの袋も握られていた。息子の突然の帰還に居てもたってもいられなかったのだろう。好物の酒やツマミ、中には傑の好きな食べ物まで収められていたのだった。
「母さん!今日はビール二本!いいや!オマケにもう一本!」
「あなたねー、傑が帰ってきたからって調子乗らないの。」
「いいじゃないか!…で?で!?今日は泊まっていくだろ?」
「……うん。」
「そーかそーか!なら今夜は夜な夜な三人で久しぶりに語り尽くそう!!」
全ての語尾に"!"マークが付いているような父の様子は滑稽だった。昔から変わらない、自分とは全く正反対なのも明白だ。調子が良くて、いつも母に怒られてばかり。だがそれ以上に家族を沢山愛しているのがハッキリとわかる。そして真面目だ。そこは唯一、自分と似ているところかもしれない。
「((………非術師……猿……))」
ふと瞼を閉じ、父と母の広い背中を脳裏に浮かべる。
「((…父さんと、母さん……))」
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――時は遡り
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「うっ…うぅ……ひっく……」
まだ自分が幼かったあの頃。確か小学校に上がった頃のことだった。
この頃からよく怪我をするようになった。その度に保健室に運ばれ、場合によっては病院に搬送されるほどになる事も。その度に父と母は血相を変えて駆け付けてくれた。
「ッ傑!!!」
「大丈夫か!?」
家からほど近い病院。病室に現れた両親。もうここに運ばれるのは何度目のことだろうか。いつもの医師と看護師に囲まれ、泣き腫らした顔を向けながら全身の痛みに耐えていた。
「あの…先生!息子は…」
母は優しく体を抱きとめ、父はこの状況を説明してくれと言わんばかりに医師に近づく。しかし医師も戸惑った様子を見せた。"話を聞いても訳が分からない事を口にする男の子"。喧嘩なのか、事故なのか、全く訳が分からない。医師も戸惑って当然だろう。
「傑君は大丈夫ですよ。"今回も"打撲と擦り傷が目立ちますが骨などに異常は――」
傑はポロポロと涙を流すだけ。決して何があったかは口にしなくなった。一昔前は事細かに状況を口にしていたのだが――"誰も信じてくれなかった。"
父と母を除いて――
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空は美しい橙色に染まっていた。あちらこちらから帰宅途中の子供たちの声が聞こえ、家の横を通れば夕飯らしいいい香りが鼻を掠る。
幸せそうな様々な音や匂いが今はとても不快だった。だけど父におぶられているこの時はとても幸せだった。隣では心配そうに傑の背を撫で、時たま傷跡を包むように母の暖かい手が触れる。
「……傑。」
「………」
「帰りにケーキ買って帰ろうな?」
「……ほしくない、…いらない……」
「「………」」
あの時の自分はまだまだ生意気だった。素直になれず、過保護な両親を時たま嫌うような言葉も発していた。だけどそれでも父と母はどんな時も優しかった。世間から"気味悪がられる"自分を本当に愛してくれていた。
「どうせ……お母さんもお父さんも…僕のこと変だって思ってるんでしょ!」
また思ってもないことを口にしてしまう。
ただ安心したかった。"そうじゃないよ"と言って欲しかったんだと思う。
「何を言ってるの?傑。」
「父さんと母さんは傑の事を変だなんて思ってないよ?」
「だって!みんな僕のこと"変"だって言うんだ!!」
傑の言葉に微かに眉を顰める二人。苦しそうな辛そうな声を上げる息子に対し、両親はただただ彼の言葉に耳を傾ける。
「僕だって分からないよ……変なものが"見える"って……変なやつが"僕にいじわる"してきたり…」
「…今日の怪我はお友達と喧嘩じゃないのね?」
「木登りして落ちたとか…そういうのじゃないのかい?」
「違うよ!!変なやつらが僕を叩いてきたんだ!!」
父の背中に顔を埋め再び涙を流す。例えようのないもどかしさに苦しくて仕方ない。"変なやつ"が何かも分からない。ただ見た目は不気味で、時たま人の言葉を話す
まるで怪物だった。近づいたり、無闇矢鱈に手を出さなければヤツらは何もしてこない。だが中には今日のようにちょっかいを出してくる奴も現れた。たまに眠っている時もヤツらの声が聞こえた。布団を被って必死に堪える日もあった。怖くなって両親の寝室に駆け込んだこともあった。
そんな奇妙な息子。父と母は否定もすることなく肯定もすることなく、ただただ優しく抱きしめてくれた。
それしかできない。当然だった。だって父と母は対処法が全く分からなかったのだから。
「…傑、大丈夫よ。」
「何があっても父さんと母さんは傑の味方だからな?」
「怖いものが見えたら直ぐに言いなさい。」
「父さんと母さんが傑を守るよ。」
父と母は必死だった。何か特殊な病気じゃないのか?と寝る間も惜しんで調べてくれた。"変なものが見える"という言葉に全く答えが見つからない。"夏油さんのお家は奇妙よね"、"傑君、他の子と違って様子が変だもの。"なんて近所から言われることもあった。それでも信じ続けてくれた。ずっとずっと、なにか対処法が無いかと調べ続けてくれた。
そこで数年かけて漸く"呪術高専"というものに行き着いた。
両親は言っていた。息子を救って欲しいと。
息子が幸せに、楽しく過ごせる人生を歩んで欲しい―――と。
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「傑。学校はどうだ?楽しいか?」
「うん。楽しいよ。」
「友達は?…あー、ほら!あの悟君!彼も元気にやってるかい?」
「うん。元気だよ。」
「そうかそうか!…そういえば父さん気になってたんだけど彼女とか出来たのかい?傑は父さんに似てなかなかイケメンだし、絶対モテ…」
刹那、母が父の言葉を遮るように缶ビールを置く。
「ちょっと!お父さん!さっきから傑に質問攻めし過ぎよ?箸が進まないじゃない。せっかく傑の好きなお蕎麦にしたんだから。」
「いや〜、久しぶりで話したいことばかりでつい…」
「傑。お蕎麦と天麩羅、おかわりあるからね?しっかり食べなさい?」
「…ん。ありがとう。」
父と母は幸せそうに笑っていた。あの頃が嘘のようだった。単純に息子が帰ってきたことを心の底から喜び、息子の幸せな日常を嬉しそうな様子で聞いていた。
「………」
好物だからと用意してくれた蕎麦を口に運ぶ。同時に対面席に座る両親に目をやってみる。昔から変わらない仲のいい父と母。髪の毛、目元や口元、話し方、仕草。全てが自分と似ていて、やはり二人の子供なのだと思い知らされる。
「((………父さん、母さん。))」
「((…"非術師"……"猿"………))」
傑は脳裏で何度も葛藤する。
去年の夏の、あの時の、アイツらの拍手の音が徐々に鼓膜を襲い始める。
吐き気がしそうだ。思い出したくないあの時のこと。制服を纏った少女の頭がぶち抜かれたあの景色も、美しい水族館の景色も、海も。
親友が屍を抱き、あの青い瞳で自分を見据えたあの景色も――――――
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「傑。ご飯、ちゃんと食べてる?」
「……え?急にどうしたの?母さん…」
食事を終え父は風呂へ。
母は手早く夕食の片付けを終えると、ソファに腰かけぼんやりとテレビを観ていた息子の横へと腰を下ろす。そして心配そうに、父といた時には見せなかった不安そうな表情を浮かべ、そっと息子に問いかけた。
「…酷く痩せてるわよ。よく見たら顔色も悪いし。この前来た時はこんなに痩せてなかったでしょう?」
「……そう、かな。」
「髪の毛も伸ばしっぱなしじゃない?少しは切り揃えなさいよ〜?いい男が台無し。」
ニッ口角を上げて"いい男が台無し"と弄る母。そんな無邪気で可愛らしささえ伺える母に対し、傑も自然と僅かに笑みがこぼれた。
しかし"やはり変"だった。笑っているのに妙なのだ。心の底から笑っていない偽りの顔。何かを隠している時の顔。誰にも言えない、喉の奥でつっかえているような―――そんな息子の表情の本心。母が見間違える訳がなかった。
「ね、傑。何かあったの?」
「……別に…何も無いよ。」
「さっきもお父さんと話してる時…何だか傑の様子が変だって……母さん心配してたのよ。」
「………」
「お父さんもきっと気づいてるわ。」
傑の否定の言葉に一切怯まない母。何も無いと言う言葉は嘘だと直ぐに気づく。それはきっと先程まて過ごしていた父も同じだろう。
「……傑………お母さん…」
「傑ーー!風呂空いたぞー!」
母の手に力が籠ったその瞬間、リビングと廊下を繋ぐ扉が開かれると上機嫌の父がTシャツ短パン姿で現れた。その時、母は手を引っ込め、不穏な空気を悟られまいと笑顔を取り繕う。
「…あっ、あら!いつも長風呂のお父さんが今日は早いのね?」
「そりゃあそうだろう!少しでも長く傑と話したいんだ。」
ドカッと傑の左隣に腰掛ける父。ソファが大きく歪むと右隣に腰掛けていた母は再び自然な笑顔を取り戻す。
「ほら傑。お風呂入ってきなさい?着替えも用意してるから。」
「風呂から出たらケーキ食べような?」
「…ん。ありがとう。」
のらりと立ち上がる傑。その時の傑の表情は見えず、ただただ浴室に向かう大きな背をどこか心配そうに見据える両親。そしてパタンと扉が閉まると同時に父と母は互いに目を見合わせるのであった。
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―――ああ、大きくなった。
中学を卒業し、自宅からかなり離れた高専へと向かう息子の背中。
あっという間に背も越えられてしまった。昔はあんなにも子供っぽくワガママだったのに、変に大人びて……家族の誰よりも落ち着きがあって"父さん、母さん。少しは落ち着きなよ"なんて実の息子に言われる始末。
―――愛しい…我が子。
"父さん、母さん。"
"私は色んな人を助けたいんだ。"
"弱きを助け強きを挫く"
"それが…私の役目なんだ。"
真新しい制服を纏った息子。
彼はそんな決意を胸に、去り際に笑みを浮かべていた。
"父さんと母さんが僕を守ってくれた分。…今度は僕が 私が二人を守るよ。"
笑顔の最奥にある決死の覚悟を決めた様な面持ち。
何か希望を持ちだしたように顔の表情まで生々していた。
愛しい、…可愛い私の息子。
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「……父さん、母さん。」
ヒタヒタとフローリングに張り付くような足音。
「傑。ゆっくり浸かれた?」
「髪の毛乾かさないと風邪ひくぞ?傑〜」
大きな影が迫る。
表情は不思議と見えない。
「「"すぐる"」」
…"やめてくれ、呼ばないでくれ。"
「「"スグル"」」
"呼ぶな……その声で、その顔で……"
「「"傑"」」
やめてくれ、…やめてくれ!
呼ぶな…呼ばないでくれ。
父さん
母さん…
父さん、母さん
父さん母さん
父さん、…父さん…
母さん、母さん、母さん
「―――"猿"め…」
闇に覆われる二人。父と母。そんな両親の腕が僅かにこちらに伸びた時、二人の体は真っ赤に染まる。恐怖に怯えるような、突然の自体に混乱するような様子はなかった。ただただ愛しい息子を目の前に"昔と同じような"心配の色を目いっぱい滲ませた瞳がこちらに向けられていた。
「ッ……は……っ…はぁ…」
悲鳴さえ何も聞こえないまま両親は命を落とした。せめて楽に殺してやろうと―――それが息子である傑の唯一の想いだった。
刹那、呪霊に取り込まれていく両親の屍が再び動き出す。意地でも、何がなんでもと言わんばかりの様子で蠢く。
「……だい、じょうぶ……」
「……すぐ……のことは……まもる……」
ミシミシと鳴り響く骨の音。
「あ………ぁ……っ…」
「…すぐ……ぅ…」
血に濡れた両親の手が傑の足首に絡みつく。ぬるりと生暖かい血の感触がいつにも増して心地悪かった。
傑は目を合わせず、必死に正面だけを見据える。足元で微かに蠢く両親に。死んでもなお聞こえる声に。夢か現実か―――その境界をも混乱させるような奇妙な気分だった。
夏油傑は両親を自身の手で殺害したのだった。
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――その二日後
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「―――間違いないです。夏油先輩のものです。」
血に濡れた室内に現れるは制服姿の白髪の少女。
少女は足元に転がる二つの屍の傍にしゃがみこみ、顔にかけられたシートを捲ると険しそうに眉をひそめた。
微かに感じる彼の残穢。
寄り添うように重なった屍。
「((…なんて穏やかな顔……))」
その表情は"酷く穏やかに見えた"。
傍らの戸棚に置かれた家族写真らしきもの。
三人は額縁の中で幸せそうに微笑んでいた。
永遠に、その中で―――