体育祭編をやってやろうと思って色々と見返したら、忍者部のみんな出てないよな…………!!!?って思ったので、先にあのイベントをやろうと思ったのですが……色々考えて忍者部単体の小話を入れさせてもらいます……イブキちゃんの小話もあります。それぞれ二話と一話を予定しております。
「―――ふぁっ……あ……アレ……知らない天井だ」
「ん、おはよう先生」
「あっ、シロコちゃんおはよう。………シロコちゃん?」
「お久しぶり」
マッシュは溜まってしまっていた書類を片付け、オフィス内のソファで睡眠をとっていた…はずだった。しかし、一度目が覚めるとそこはオフィスではなく、全く知らない部屋に場所が移っていた。以前にも似たようなことがあったという既視感を感じながらも、マッシュは体を起こて周囲を見回す。
そこにいたのは、マッシュのメインヒロイン(諸説あり)な砂狼シロコ。
「うんお久しぶり……なんだけど。えっ、何処ここ」
「私の家」
「あらそうなの、質問を変えるね?なんで僕はここで目を覚ましたの?」
「んっ」
「シャーレで眠ってた先生を誘拐して来たの」
「何とんでもないことやってくれちゃってるの?」
「安心して、シャーレの皆には了承をとって来たから」
「僕の自由意思is何処?」
「先生の妻を名乗る不審者とは一悶着あったけど大丈夫、隙を狙って逃げて来た。ミサキって子には嫌な顔された」
「その顔と腕の絆創膏はその時のなのね……」
むしろワカモと戦ってなんで無事なんだとマッシュは一瞬言いかけたが、よくよく考えればあの小鳥遊ホシノの後輩、数人しかいないアビドス高校を最前線で守って来た生徒なので……相応に修羅場を潜り抜けた経験はあるものか、と納得するだけの材料はある。最も、培った経験の使い道が致命的に間違っているように思えるが。
「何か理由があったとは言え、寝てる人を攫おうとするのはダメだよ?今回は僕だったからよかったものの」
「先生なら逆にいいの…?」
「だって僕が攫われても自力で脱出できるし」
「それもそうだね……ん、安心して。私が攫うのは先生かホシノ先輩くらい」
「ホシノさんは無理でしょ――一旦話を変えまして、なんで僕を攫ったの?」
「今日はシャーレの当番
「そうだね…………えっそれだけ?」
「ん、待てなかった」
「そんな入学式を待てない子供みたいな…」
「これまで先生、他の生徒やアリウスの皆にばっかり構ってて…やっと私の番になった、だから他に邪魔されないようにしたの……今日だけは、絶対に私だけの先生にする」
「当番ってそういう意味だっけ…?何か致命的な間違いが含まれてる気がするんだけど」
ひとまず、マッシュは食事を摂るためシロコの元へと向かう。ズボンのポケットに入れた端末にはワカモから無数のメールが送信されており、モモトークの未読メール受信数は既に"999+"。『OH…』と呟いたマッシュは、後々の処理を含めて相当な苦難を強いられるらしいことを覚悟し、ともかくシロコとともにダイニングへ向かった。
「いつかまた来てくれるって言ったのに全然来てくれないから、自分から向かった」
「それはホントごめん、色々あってさ」
「だから今日は、今日だけは『
「独占欲強いね」
「嫌とか言われたら駄々こねるから」
「そこまではしなくていいよ……今日なんか暴走気味だね」
「他の狩人に獲物を渡さないようにするのは狼の習性」
「獲物なんだ僕」
パンとスクランブルエッグを食べ終えてシュークリームを口にしながら、暴走気味なシロコを見るマッシュ。久しぶりに会えて嬉しいのだろうか、当番で時間を作れるのが嬉しいのだろうか……わからないが、シロコはとにかく嬉しそうだった。
「それで、これからどうするの?」
「ん、デートに行く」
「デート……まあそれくらいなら全然いいよ」
「銀行強盗デートがサイクリングデート、どっちがいい?」
「圧倒的に後者」
「やった、じゃあ先生は真っ黒な奴に乗ってね」
「もう買ってある……だと?」
サイクリングデート……単に自転車を漕いで走り回るだけでも、シロコからしてみればそれが一番のデートなのだろう。時間を作ってあげられなかった自分にも非があると考えたマッシュは、躊躇いもなくそれに付き合うことにした。
「じゃあ『ピロピロピロピロピロッ!!!』……先にこっち返信しないと」
「…………」
「えーと、僕は大丈夫、今からシロコちゃんとおでかけ」
「んっ」パシッ
「ちょ、何するの」
「………これでよし」
「待ってシロコちゃん今何したの?」
「『今からシロコちゃんとデートしてくるね』って打っておいた」
「WAON……」
「先生、邪魔されないうちに早く行こ?」
「…………うん」
端末をひったくって勝手に返信するシロコの強引さに、マッシュはシロコが余程寂しがっていたらしいことを感じさせられた。今後の後始末は未来の自分に任せて、今は眼の前の生徒のために二人だけの時間を楽しむことにした。
「ついでに、何処かのショッピングモールも行こ」
「いいね……あっ財布」
「あるよ」
「手際がいい――早速行こっか」
「――ん♪」
二人は用意した自転車を転がしながらシロコの家を出発、サイクリングデートへと繰り出したのだった。
メギャッ!!!!
「――――――ん、先生のパワー考えてなかった」
「―――走るよ……あと弁償するね」
少しアクシデントがあったが、気にせず行こう。
「――先生の体力を舐めてた」
「思ってた数倍走ったね」
サイクリング(片方は徒歩)を楽しんだ二人は、近くのショッピングモールへたどり着き、構内でショッピングを行っていた。しかし買うものが決まっているわけではなく、単に行き着いたから入ってみた、というだけであり、店を見て回るだけでも二人には楽しいようだ。
「何か欲しいものとかない?」
「先生」
「それ以外ね」
「それなら……装飾品かな」
「装飾品なら……あっ,あそこだ」
二人は、マッシュが見つけたジュエリーショップへと入店し、ショーケースを眺めて回る。しかしペンダントやアクセサリーは高額であり、借金を抱えたアビドスの現状ではとても手が届かず、シャーレの月収でもそう簡単に買えるような値段ではなかった。
「シュークリーム何個買えるんだろうこれ……シロコちゃん、何か……ん?」
「…………」
「それ、欲しいの?」
「……んっ、いや、そうじゃない。別にいい。高いし」
「そのための僕、買ってあげるよ」
「それは、流石に悪い……だから何割か出す」
「いいのいいの。これは僕からのお詫びとプレゼントの意味も込めて、ってことで。あ、ペンダントとかピアスとか、いろんな形が選べるんだ…どれがいい?」
「んっ…じゃあ、ペンダント」
「オッケー」
マッシュは、シロコが物欲しそうに見ていた『シトリン』のペンダントを購入、プレゼントした。太陽のような輝きを発するシトリンが、シロコの首元でキラキラと輝いている。
「どうしてそれを選んだの?」
「えっと…………この色が」
「色」
「先生の目の色と……似てたから」
「あー、そゆことね――ならばこちらも」
「ん?」
「すみませーん、こっちのスカイブルートパーズってやつくださーい」
「んっっ!?」
「これ、シロコちゃんの目の色と似てるでしょ?ほら、これでお揃い」
お互いの目の色の宝石のペンダントを、交換するように着けるマッシュ。
「………先生の天然タラシ」
「いきなりなぜ?」
「これ……ありがとう。ずっと大事にする」
「それは嬉しいな」
「………例え、先生がいなくなっても……絶対に無くさない。何があっても」
「僕はしばらくここにいるよ、どこにも行かない」
「……でもいつかは帰っちゃうんでしょ?」
「うん、やらないとダメな事があるからね。じいちゃんのこともあるし」
「…………ん、先生正直に言うね――私は先生に帰ってほしくない……これから話すの…全部…忘れて」
プレゼントしてもらったペンダントを大切そうに首にかけ、そう告げるシロコ。その声色は今までにないほどに寂しそうだった……それをマッシュは感じ取っていた。
「先生に手が届かなくなるのは…ヤダ」
「僕もできればここを離れたくない……けどさ、ほっとくとこの世界も大変なことなる事案が僕の世界にはあるんだ。それは絶対に解決しなきゃいけない」
「……本当はこの時間だってずっと続いててほしい、ずっと側にいて欲しい。離れ離れになるのはイヤ」
「僕も,それはイヤだ……でも」
「マッシュ……お願い、行かないで」
シロコはマッシュを軽く抱きしめそう告げた、突然のことでマッシュはフリーズしたが……マッシュは何も言わず少しだけ抱き寄せた。
「置いていかないで……置いていかれるのはイヤ」
「…………」
「ワガママなのはわかってる、無理なことはわかってる………でも辛い。大事な人がどこかに行くのは耐えられない……セリカが連れ去られた時も、ホシノ先輩がいなくなりそうになった時も……苦しかった――もうあんな思いはしたくない……」
「…………」
何も言えなかった。自分は何がなんでも帰らなければならない、帰って元の世界にいるあのバカ親父を力一杯ぶん殴らないといけない……自分の祖父のためにも。しかしマッシュもエデン条約事件の夜を経て、大事な人がどこかへ行ってしまう苦しみを知っていたために、余計に何も言えなかった。
「――シロコちゃん」
「んっ……ごめん……わがまま言って……次何処に」
「明日さ、実は暇なんだ。だから……明日もデートしない?」
「いいの…?」
「別れは辛い物だけど、それまではとことん楽しんで、とことん幸せを感じればいいと思うんだ。……それに、シロコちゃんは僕にとって色々と特別だし」
「……特別?」
「うん――初めて、自分と気が合った友達なんだ」
「!」
「初めてできた、仲間じゃなくて友達……もちろんみんな平等だけど、出会いを考えればシロコちゃんは特別」
「……………んんっ」
「だから、大事にしたいんだ。この時間を」
マッシュは抱き寄せた手を離すと、彼女の手を握る。硬く、強く、そして暖かく、人を安心させる不思議な力を持った手が、シロコの手を包んだ。心に固まった冷たい寂しさが、まるで魔法のように溶かされていく。
「――行こっか」
「―――んっ!」
この日…この日だけは──あの時と同じように、絶対に忘れない日だ、とシロコは確信した。
――忘れない、忘れたりなんてしないよ……マッシュ。………どんなに姿形が変わっても……絶対に……
イブキちゃんに忍者部……なんか和むんですよね,あの空間。
このペンダントが死ぬほど大事になってくるので、覚えておいてくださいまし
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