イブキちゃん可愛いね……とりあえずイブキちゃんをいやらしい目で見た人はマッシュ君からウッ!!となるグーパンをお見舞いされるのでご注意を
マッシュ・バーンデッドと小さな天使
「───マコトさんがシャーレに?それはまた珍しい」
「久しぶりに会って話したことがあるそうなの、ついでに会わせたい子もいるって……誰かは教えてくれなかったけど」
「それは楽しみ」
「何かあったら止めるから安心してね」
「その格好と体制でそのセリフ吐かれても、全然頼れないんだけど。ナチュラルに先生の背中に乗ってるし……先生は先生で何してるの」
「片手腕立て伏せ、最近やってなくて」
「それ片手じゃなくて親指だけじゃん」
某日、シャーレにて。百鬼夜行から戻ったマッシュは、非番のヒナを迎え入れてトレーニングに励んでいた。
「空崎ヒナ、飴ちゃん食べるか」
「……ありがと」
「ゥギギギギギギゥッッ」
「あの、ミサキさん……ワカモさんがものすごい顔でヒナさんのこと睨んでるんですけど」
「いつものことだから気にしないでいいよニーナ」
「異常者扱いしないでいただけませんか?」
「一種の病気みたいなもんでしょ」
「ミサキちゃんがツッコミスキルを研ぎ澄ましすぎて辛辣になっちゃった、言葉がめちゃくちゃ鋭利」
「誰のせいだと思ってるの?――……まぁ、色々な相手に言ってるからね」
他愛のない日常に見えるが、身体的・心理的問わず、誰もが確かに疲労を背負っていたのは事実だった。百鬼夜行と百花繚乱に絡んだ問題に加え、新たに出現した敵───それにとどまらず、不知火カヤとカイザーグループの間に疑われる関係性、未だSRTに戻っていないという消息不明の部隊の謎、いつ再来するとも分からないアケミの存在など、この数ヶ月で発生した事件はシャーレにとっても重大なものばかりだった。
「……急に不安になってきたな。今からでも胃薬の準備をしておいた方がいいか?」
「マコトは……そこまでの胃痛要素じゃ無いわ」
「他の生徒は胃が痛くなるのか」
「ゲヘナの生徒よ?」
「否定できんな」
「まあまあ、どんな人でも大歓迎なのがシャーレだし―――僕の兄弟を名乗る誰かと父親を名乗る不審者は別だけど」
「先生、目が暗いぞ」
そんな会話の最中、オフィスの扉が開く。時間通りに到着したのは、この場にいる誰もが見たことのある生徒、万魔殿議長の羽沼マコトだった。
「キッヒヒ、邪魔するぞ!!」
「邪魔するなら帰って〜」
「はいよー!―――って帰らんわぁ!!」
「そのネタ通じるの一部の人だけだからね」
「久しぶりだな、先生………と、空崎ヒナ…?……何をしてるんだ貴様ら」
「休憩中」
「オフの時はとことんまで脱力するのだな」
手に菓子折りを持ってきたワカモは少し前に出ると、元気よく挨拶をして、空いている手を後ろに回していた、
「それはそれとして、だ……改めておはよう、シャーレの諸君!今回はある話をしにきてな、そのついで、というべきか──先生、どうしてもお前に会いたいという生徒がいてな」
「僕に会いたい子ですか?」
「ああ……さぁイブキ、挨拶だ。しっかりできるか?――キッヒヒ、いい子だ」
マコトはしゃがみ、後ろにいる生徒の手を引き前に優しく出す。現れたのは、この場にいる誰よりも幼い容姿を持ち、黄色い髪を持つ女の子。
「紹介しよう先生。我が万魔伝所属、一年生の
「はじめまして、せんせー!丹花イブキだよ!よろしくお願いしまーす!」
「イブキ……そう、貴女だったのね」
「わぁ〜…本物の先生だー!」
「どうも、マッシュ・バーンデッドだよ。よろしくね」
肩肘をつき右手を出すマッシュ、小さな両手でその手を掴み上下に振るいながらイブキは喜んでいた。なんと言うかその場がホッコリとしていたが、マッシュだけは震えていた。
「どうしようみんな、僕の手に小さな尊い命が」
「力を制御できないタイプのモンスターみたいなこと言ってる……」
「わぁぁ…!すごいすごーい!本当にお手々硬くて、おっきいー!」
(『おてて……』)
「ねえねえ!腕に、ぶらーんってしていーい?」
「いいよ」
「わーい!」
無邪気に、マッシュの腕にぶら下がりプランプランとしているイブキを微笑ましく見ている一同。あのワカモですら『……まぁ、子供ですし…ですし』と言って引き下がるほどの、無邪気さ。
「イブキ、先生に何か言うべきとこがあったんじゃなかったか?」
「あっ!そうだった、忘れちゃってた…えへへ」
(天使か?)
(悪魔だけど天使だ)
「何かな?(兄反応発令)」
「えっと…ねー……えっと――あのね!」
イブキは両手を広げながら元気溌剌ないい笑顔で、可愛く告げた。
「イブキと、付き合ってください!」
「――――ゑ?」「「「「は?」」」」
「イブキィィィ────ッッ!!?」
「遊びに付き合ってってことね、びっくりした……」
「ごめんなさい……イブキ、皆のこと困らせちゃった?」
「大丈夫大丈夫。とりあえずイブキちゃん、後ろは振り向かずそのままでいてね」
「?どうしてー?あと、なんでお耳も塞いでるの?」
「まあ聞かなくてもいいことってのはあるんだよ」
「?」
イブキの付き合って、というのは『遊びに付き合って』と言う意味の言葉だった。マッシュはイブキのその小さな体をソファの上に乗った自分の膝の上に乗せ、とりあえず耳を手で塞ぎ前を向かせていた。
「説明して、マコト」
「待て!空崎ヒナ、話を聞け!!私だって訳が分からんぞ…!?イブキ、何処であんな異性に対して、不埒な言葉を…!!?」
「不埒の判定出すレベルが低すぎるでしょ……」
「わ、ワカモさんが暴れるかもと思いましたが……大丈夫でしたね」
「相手は幼子ですよ?幼子の言葉に激昂するほど、このワカモは落ちぶれておりません――それにワカモは正妻ですので♡」
「恋に堕ちてからしばらく出番がなくて、120話で出番がやっと出たくせに」
「よく鳴く蝙蝠ですね。その羽、強風で折れた傘よろしく骨を折って差し上げましょうか」
「やめないか二人共、あんなに小さな少女の前でみっともないぞ」
「たまごボーロとガラガラを持っている貴女に言われたくありませんが?」
「イブキは幼稚園児じゃないわ」
とにかく、イブキの前では大人しく年上のお姉ちゃん(お兄ちゃん)として振る舞うことを決めた一同。マッシュとイブキの周りに座り、彼女らは話をしていく。
「シャーレ所属の錠前サオリだ、先生直属の特殊部隊・シャーレスクワッドのリーダーでもある。横にいるのが妹達だ、よろしく頼む」
「よろしくね、お姉ちゃん!」
「お姉ちゃ……!!───フッ……いいぞ、思う存分そう呼ぶといい」
(最近お姉ちゃん呼びされてないからウッキウキだ…)
「先生の妻、狐坂ワカモです……よろしくおねがいしますね?素敵な小悪魔さん」
「よろしくお願いしまーす!先生のお嫁さんなの?」
「はい♡」
「違うよ」
「だったら〜……えーと、コレ、あげる!」
「コレは……お菓子?」
「えっとね、イブキのお小遣いは先輩達からいいよって言われないと使えないから、ご祝儀は渡せないの。だから、その代わりに!イブキのおやつをあげる!」
「―――あら……あらあらあら♡、なんと可愛いお子さんなのでしょう……このお菓子は貴女がお食べなさい」
「わーい!」
(めちゃくちゃ上機嫌…!!)
その後もイブキとマッシュ達との会話は続く、途中でお絵描きなどを披露してもらったが、マッシュ達の気分は完全に娘の参観に来ている親の気分。
ゲヘナの生徒とは思えない天真爛漫かつ、素直でいい子すぎる女の子、それがイブキ……そこで一つアツコが言った。
「この子本当にゲヘナの生徒?」
「当たり前だァ!!!何を疑ってるんだ貴様ァ!!!」
「にしてはいい子すぎるって言うか……他がおかしいだけで、この子が普通なのか?」
「まぁ…ゲヘナの生徒とって、爆破常習犯と、違法工作犯と、アウトロー()と、変態……って、だいぶ癖の強い人達ばっかですもんね」
「全く否定できないわね……悲しくなってきた」
「お疲れ様ですヒナさん」
「本当にあの混沌の坩堝を生きる生徒の一人なのか」と思える程に優しく、健気で、いい子……そう言えば、キヴォトスの先生にして、素直で健気でいい子は他にいたような……。
「先生の本当の家族はイブキちゃんじゃ?」
「違うッ!!!イブキはゲヘナの宝だ!!!先生やレグロ氏が相手でも渡さんぞ!!!」
「実際イブキがいなくなれば、100%万魔殿が潰れるわね」
「必要不可欠ってことですね………ところでイブキちゃん、一緒に遊んでって言うのはいいけど、何をして遊ぶの?」
「この前ミレニアムの会長さんがね、万魔殿にプレゼントをくれたんだけど……それを、先生やお姉ちゃん達とと遊びたいんだ〜!!」
「…………待って、待ってイブキ…それって」
イブキは懐から四角い箱のような物取り出し、それを机の上に乗せボタンを押す――するとそれは広がり……大きな大きな地図のようなものが完成した。しかもマス目のある物―――そう、コレは……このゲームは……放っている。一度マッシュ・マコト・ワカモ・サオリを含む多くの生徒達を悪夢に突き落とした、あの時と同じ闇に染まった瘴気を。
「人生ゲーム…?って言うのが、面白そうだから持ってきたの!だから、一緒に遊ぼう!」
「マコトォッッ!!!!!」
「仕方ないだろ!!?イブキが遊びたいと言ったんだ!!!」
イブキ……彼女は今知らずのうちに――地獄の門を開いてしまったのであった。
百花繚乱二章………よすぎたよ、久しぶりに帰ってきましたねシナリオのブルアカが。前々からそうでしたけど。
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