「なにやってんだ、キリシマ」
「……えへへ人生で1度は言ってみたいセリフ3位なり」
「峰打ちすんな。殺せよ。…アホか」
「弔くん!ノリ悪い!」
コツ
コツ
コツ
コンクリートにローファーの音を響かせながら血濡れた70センチほどの日本刀を少女は携えて歩いていた。
赤く妖しく澱んだ双眸。
腰まで伸びた癖のない真っ直ぐな赤髪。
中学の制服を纏っているのにも関わらず顔以外の見える部分は銃創や裂傷の跡がありどこかちぐはぐだ。
(ーーーなんだよ!俺が何したってんだ!)
男はチンピラだった。
地元の先輩からお前小遣い稼ぎしないか?
と誘われた。
先輩の所属している組と敵対するヤクザの幹部が1人でいる所を拉致そして個性を使って少しばかり遊んでやった。
今となってはヤクザは監視網が敷かれ表立って報復できないから大丈夫だ。いつまでもデカい顔させとくのも癪だろ?
そう言われたからこの話に噛ませてもらった。
それがどうだ。
端金で自分の命の蝋燭が消えかかっている。
男は両足共膝から下がない。
更に言うと右手首はないし片耳も切断されている。
血が止まらず、遠からず失血死すると分かっていても激痛を我慢し這ってでもここから逃げる以外の選択肢はない。
「おじさん、ごめんね。痛いよねぇ」
「趣味じゃないしぃ、可哀想じゃん。でもさ、仕事なんだよねぇ。出来るだけ惨めったらしく殺してくれって言われてるの」
必死に前進していたはずが、少女はいつの間にか自分の目の前で両膝を曲げ屈託なく笑っていた。
「だってさ、治崎さんマジオコだったよ!ウケるよね」
少女はケラケラ笑いながら手に持つ日本刀を振り上げた。
(クソっ…死穢八斎會だったなんて聞いてねぇよ…)
暗い路地とは不釣り合いの刃の輝きを最後に男の意識は反転した。
〇〇〇
「ただいまぁ!弔くん!黒霧さん!」
場末の様なバーの扉を開けると2人の男が少女に向かって顔を向ける。
「おかえりなさい。キリシマさん」
「おい。今回で最後だよな?キリシマぁ」
ーー今回で最後。
少女は訓練と称してAFOや弔と本気で毎回斬り合うため傷が絶えない。
弔は個性故、確実に(少女が)死んでしまうので銃やナイフにしてもらっているのだがそれは置いといて。
少女は愛ゆえに少年と再会するまでは顔だけは綺麗なままでいたいという願いから死穢八斎會の治崎に治療を頼んでいた。その治療費の代わりに彼の使いっ走りをやっていた。
AFOは自己再生は持っていたが他者再生を持っておらず、義蘭に相談したところ、治崎を紹介してもらった。
そうした使いっ走りは今回で最後だった。
なぜなら
「USJ襲撃の準備は整った。お前もそろそろ会いたいだろ?
愛しのおにーさまに」
にまにまと自分より楽しそうな弔を見てやっぱ性格わるぅと少女は思った。