レイちゃんとマスターの対決

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自分を使ってもらいたいレイちゃんと閃刀姫が扱えない決闘者

「マスター!どうして私を使わないんですか!?」

 

「だってお前のデッキ、トリッキーで俺には難し過ぎて無理なんだよ」

 

閃刀姫自体のコンセプトが単騎による無双なのだ。

数を並べて制圧する。

それが彼にとって性に合っていると言ってもいい。

だがそんなマスターに対し、レイちゃんは頬を膨らませて講義する。

 

「マスターが使っているジャンクの方が私より難しいじゃないですか!!しかも前は暗黒界!その前は鉄獣戦線!その次の次はクシャトリラに焔聖騎士にシャドール、相剣、ブラックフェザー!私がいるのに他のデッキに浮気するだなんて・・・そんなに私のこと嫌いですか!?マスターのご友人は私を使ってくれているんですよ!!」

 

言い方。その言い方は止めろ。

 

「浮気ゆーな。つか、そんなに使って欲しいなら前から言っているがアイツのトコ行けよ。それなら本望だろ」

 

「わ、た、し、は!!マ、ス、ター、じゃ、な、い、と、だ、め、な、ん、で、す!!」

 

なんだホントこの設定上十三歳。すっげえ面倒くせぇ。

 

「なんで俺なんだよ?アイツでも良いじゃん・・・」

 

「嫌です!」

 

即答かよ。

 

「なんでさ?」

 

「そ、それは・・・その・・・」

 

急にモジモジし始めたレイちゃん。いやだからさぁ、毎度毎度そこで焦らされると困るんだけど?

 

「何度言われても閃刀姫は俺に合わねえの。そりゃ回すことくらいは出来るよ?でも勝てって言われたら俺のアドリブ力じゃ無理無理」

 

そう言って手を振る彼に、とうとう彼女の沸点が超えた。

 

「なら、私とデュエルしましょう!」

 

「は!?」

 

唐突なレイのデュエル宣言に彼は目を丸くする。

 

「マスターにはもうウンザリです!そこまで言うなら私が強いということを証明してみせます!」

 

「・・・・・」

 

余計に面倒なことになった。

彼女は一度こうと決めると絶対に折れ曲がらない頑固ものだ。こうなってしまった以上、デュエルをするしかないだろう。

 

「わーったよ。・・・で?お前は俺に勝てんの?勝てた試しないけど」

 

「そんなの分かんないじゃないですか!!」

 

舐めないでください!と言う彼女に、彼は頭をかいて近くの椅子に座った。

 

「わかった、わかった。それじゃあ・・・ヤろうか」

 

「・・・・・ッ」

 

突然スイッチが切り替わる彼にレイは一歩後ろへと仰け反る。───が、ここで引くわけにはいかない。

今日こそマスターに私を使ってもらうのだ。だって始めて一緒に戦った時のあの感情。この人となら何処までも高く空へ飛びたてるようなあの楽しさを───

 

「デュエル!」

 

「デュエル」

 

 

「私が先行をもらいます!」

 

「私は魔法カード閃刀起動ーエンゲージを発動して、デッキから私を手札に加えます!」

 

「それにチェーンしてうらら。そっちのチェーンは?」

 

「・・・っ、手札から速攻魔法、墓穴の指名者を発動です!対象は灰流うらら!その効果を無効化して除外します!」

 

「チッ。通ったか」

 

「そして手札から私を召喚!そして私を使って閃刀姫-カガリをリンク召喚!閃刀姫-カガリの効果を発動して、墓地の閃刀起動ーエンゲージを手札に加えます!」

 

その言葉と同時───レイの身体が赤い装甲に包まれ、閃刀姫-カガリの姿となる。

だが、レイは止まらない。

 

「手札の「閃刀起動ーエンゲージ」を再度発動し、デッキから「閃刀機関-マルチロール」を手札に加えます!そして閃刀姫-カガリを使って、閃刀姫-シズクをリンク召喚!」

 

今度は燃え盛るような赤から深い海のような青へ。

 

「手札から閃刀機関-マルチロールを発動!そしてエンドフェイズ!閃刀姫-シズクの効果を発動し、デッキから閃刀機-ウィドウアンカーを手札に加えます!そして手札から閃刀機-ウィドウアンカーを発動して、閃刀姫-シズクの効果をエンドフェイズまで無効にします!そして閃刀機関-マルチロールの効果を発動!墓地の閃刀機-ウィドウアンカーをフィールドにセットしてターンエンドです!」

 

お手本どおりの閃刀姫の動き方。

まあ、それがどうしたという話だが。

 

「俺のターン。ドロー」

 

さてやらせてもらうとしよう。

 

「俺は手札からハーピィの羽箒を発動。魔法、罠を全て破壊する」

 

「なっ!?」

 

いきなりの羽箒に驚愕するレイ。そりゃそうだ。使われた時点でキツイからな。閃刀姫は───

 

「俺は増殖するGを発動。そしてジャンク・シンクロンを通常召喚。効果発動し、増殖するGを蘇生させる」

 

さて妨害もないし、やらせてもらおうか。

 

「そしてシンクロ召喚。ジャンク・スピーダー。ジャンク・スピーダーの効果を発動。シンクロンチューナーを可能な限り特殊召喚する。制約でエクストラデッキからシンクロ召喚しか出来ないが問題ないのは知っているだろ」

 

「・・・・ッ」

 

息を詰まらせるレイに彼は続けていく。

レベル1ジェット・シンクロン、レベル2アサルト・シンクロン、レベル3ジャンク・シンクロン、レベル4スターダスト・シンクロン、レベル5ホイール・シンクロンを特殊召喚し、召喚、特殊召喚されたスターダスト・シンクロンの効果を発動。デッキからスターダスト・ドラゴンの名が記された魔法、罠を手札に加える。俺は光来する奇跡を手札に加える」

 

「そしてアサルト・シンクロンとジャンク・スピーダーでシンクロ召喚。現れろ───パワー・ツール・ドラゴン。パワー・ツール・ドラゴンの効果を発動。装備魔法を三枚見せる」

 

そう言って見せてくるのは三枚のリビング・フォッシル。

 

「ほら、選べ」

 

選べもクソもない選択だ。なんせ、彼のこのデッキは徹底的に無駄を切り捨てたデッキなのだから。

そしてレイは確定されたリビング・フォッシルを選び、残りはデッキに戻される。

だが、まだ終わらない。

 

「俺は光来する奇跡を発動。デッキトップを想い集いし竜を置く。そしてジェット・シンクロンとパワー・ツール・ドラゴンでシンクロ召喚。レベル8クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン。そして光来する奇跡の効果を発動。シンクロモンスターが特殊召喚されたので1ドロー。そしてドローされた想い集いし竜の効果を発動。このカードを相手に見せてこのカードを手札から特殊召喚する。そして自分フィールドにレベル8以上のドラゴン族シンクロモンスターが存在する場合、さらにデッキからドラゴン族・レベル1モンスター1体を特殊召喚できる」

 

彼の場にはレベル8のクリアウィング・シンクロ・ドラゴンがいる。つまりアレがくる。

 

「俺はレベル1妖醒龍ラルバウールを選択し、特殊召喚。ラルバウール特殊召喚成功時の効果。フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。俺はジャンク・シンクロンを選択。手札を1枚選んで捨て、対象のモンスターと同じ種族・属性でカード名が異なるモンスター1体をデッキから手札に加えることができる。ジャンク・シンクロンは戦士族・闇属性。同じ種族、属性のドッペル・ウォーリアーをサーチする」

 

ドッペル・ウォーリアーのサーチ。これらを止める手段がないレイにはただ見ているだけしか出来ない。

 

「そして俺はジャンク・シンクロンとホイール・シンクロンでシンクロ召喚」

 

ホイール・シンクロンはチューナーだが、自分フィールドのこのカードをS素材とする場合、このカードをチューナー以外のモンスターとして扱う事ができる。これのせいでにアレが作りやすくなったとマスターが言っていた。

 

「現れろ。アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン。アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴンの効果を発動。このカードシンクロ召喚された場合、自分の墓地からレベル2以下のチューナー1体を特殊召喚する。俺は墓地からジェット・シンクロンを蘇生。そして蘇生されたことにより手札のドッペル・ウォーリアーを特殊召喚することが出来る。よってドッペル・ウォーリアーを特殊召喚」

 

さあくるぞ。一体目のエースが。

 

「俺は想い集いし竜とドッペル・ウォーリアー、そしてクリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンをチューニング。シンクロ召喚」

 

レベル11───そしてそれは彼の最初のエース。

 

「シューティング・セイヴァースター・ドラゴン」

 

それは流れ星のように綺麗な竜だった。

だが、それだけではない。彼の真のエースは他にいる。

 

「シンクロ素材に使われたドッペル・ウォーリアーの効果。レベル1のドッペル・トークンを二体特殊召喚する。そしてドッペル・トークンとジェット・シンクロンでシンクロ召喚。レベル2フォーミュラ・シンクロン。フォーミュラ・シンクロンのシンクロ召喚時の効果。デッキから一枚ドロー。そしてスターダスト・シンクロンともう一体のドッペル・トークンでシンクロ召喚。レベル5ガーデン・ローズ・メイデン」

 

今度は薔薇の女王。だが、それがアレを出すのに必要不可欠な存在だ。なんせかの竜は──

 

「ガーデン・ローズ・メイデンのシンクロ召喚成功時の効果。デッキから、ブラック・ガーデンを手札に加える。そして墓地のホイール・シンクロンの効果を発動。このカードを除外し、アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴンのレベルを3つ下げ、レベルを5に」

 

フォーミュラ・シンクロン、ガーデン・ローズ・メイデン、そしてレベル5になったスターダスト。

それから現れるのは12シンクロ──

 

「俺はフィールド魔法、ブラック・ガーデンを発動。そしてそのままフォーミュラ・シンクロンとガーデン・ローズ・メイデン、アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴンでシンクロ召喚」

 

「コズミック・ブレイザー・ドラゴン」

 

彼の守りに特化したエース。

だが、この竜ではない。彼のエースは──

 

「ブラック・ガーデンの効果発動。ブラック・ガーデンはこのカードの効果以外でモンスターが表側表示で召喚・特殊召喚される度に発動する。そのモンスターの攻撃力を半分にする。その後、そのコントローラーは、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚する。そして二つ目の効果を発動。フィールドの全ての植物族モンスターの攻撃力の合計と同じ攻撃力を持つ、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。このカード及びフィールドの植物族モンスターを全て破壊し、全て破壊した場合、対象のモンスターを特殊召喚する。俺が選ぶのはドッペル・ウォーリアーを特殊召喚する」

 

だが、マスターのターンはまだ終わらない。

 

「手札から装備魔法リビング・フォッシルを発動。自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象にそのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。ここで召喚するのはジャンク・シンクロン」

 

再び現れるジャンク・シンクロン。そしてそのジャンク・シンクロンとドッペル・ウォーリアーを彼はシンクロさせた。

 

「俺はジャンク・シンクロンとドッペル・ウォーリアーをチューニング。シンクロ召喚。現れろA BF-五月雨のソハヤ」

 

現れるソハヤ。だが、まだ続く。

 

「ドッペル・ウォーリアーの効果でドッペル・トークン二体を特殊召喚。そして墓地のジェット・シンクロンの効果。手札のジャンク・コンバーターを捨て、ジェット・シンクロンを墓地から特殊召喚する」

 

「そして更にシンクロ召喚。天輪の双星道士」

 

召喚時効果、チューナー以外のレベル2モンスターを墓地から特殊召喚する。俺は墓地からジャンク・コンバーターを蘇生。そしてそのまま天輪の双星道士とジャンク・コンバーター、ドッペル・トークンをチューニング。レベル5 A BF-五月雨のソハヤ」

 

二体目のソハヤ。だが、ここからだ。ジャンク・コンバーターの効果発動。墓地からチューナー一体を特殊召喚する。現れろフォーミュラ・シンクロン。

 

そろった。そろってしまった。

 

フィールドにはシューティング・セイヴァースター・ドラゴンにコズミック・ブレイザー・ドラゴン。そして二体のA BF-五月雨のソハヤにフォーミュラ・シンクロン。

三体目の竜が出る。

 

「俺は二体のA BF-五月雨のソハヤにフォーミュラ・シンクロンをチューニング。シンクロ召喚。現れろ──」

 

「コズミック・クェーサー・ドラゴン!」

 

「えっ────」

 

シューティング・クェーサーじゃ、ない?

 

「コズミック・クェーサー・ドラゴンの効果。1ターンに1度、このカードのS素材としたモンスターの数+1枚までフィールドの表側表示カードを対象として発動できる。そのカードの効果を無効にする。俺はお前の場のシズクを選択し、無効。そして墓地のガーデン・ローズ・メイデンの第二効果。墓地のこのカードを除外し、自分の墓地からドラゴン族シンクロモンスターを特殊召喚する。現れろ、クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」

 

出し切ったと言わんばかりに彼はレイに宣言する。

 

「バトルフェイズ。俺はコズミック・クェーサー・ドラゴンでシズクを攻撃」

 

そして無残に破壊される私──

 

「この瞬間コズミック・クェーサー・ドラゴンの第二の効果を発動。自分・相手ターンに、S召喚したこのカードを除外し、チューナー以外のSモンスターを2体以上素材とするドラゴン族Sモンスター1体をS召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する」

 

ああ、そうか──

 

「来い──シューティング・クェーサー・ドラゴン!」

 

現れる最後の流れ星。真っ白な──

 

「コズミック・クェーサー・ドラゴンが除外された瞬間、墓地のアサルト・シンクロンの効果を発動。自分フィールドの表側表示のドラゴン族Sモンスターが、リリースされた場合または除外された場合、墓地のこのカードを除外し、そのモンスター1体を対象とし、そのモンスターを特殊召喚する。二たび現れろ──コズミック・クェーサー!」

 

エクストラゾーンを含め、現れた五体竜。それに私は何度も目を奪われて──

 

「俺のバトルフェイズは終わっていない。コズミック・クェーサー・ドラゴンでレイにダイレクトアタック。そしてこれでトドメだレイ。シューティング・クェーサー・ドラゴンで攻撃」

 

どうしてもマスターには勝てないなぁ。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「不貞腐れるなよ、レイ。最初に羽箒使わなかったら俺は負けてた。今回は運だ。OK?」

 

「でも、負けは負けです」

 

不貞腐れる彼女に彼は面倒くせぇ奴だなぁと思う。

だが、そんな彼女に彼は言った。

 

「レイ」

 

「なんです?」

 

「閃刀姫デッキの回し方。教えてくれよ」

 

「────」

 

彼の言葉にレイは呆然とした顔を作る。そんな彼女に彼は言った。

 

「ほら、お前は自分のデッキについてよく知っているだろ?なら、詳しいところは教えてくれや。俺は苦手だからよ。そう言う難しいのはさ」

 

そんな彼の言葉にレイの目尻に涙が浮かんだ。

 

「泣くことかよ」

 

「ない、てなんて、ないです」

 

「嘘つけ」

 

そう言う彼にレイは答える。

 

「だって、嬉しくて・・・また、一緒にやれることが、本当に、嬉しくて──」

 

目を擦る彼女に彼は言う。

 

「じゃあ俺にもう一回、教えてくれるか?お姫様」

 

その問いに私は──

 

「はい!」

 

笑顔で答えた。これ以上にない満面の笑みで。

 

「レイだけずるい」

 

「ロ、ロゼ!?」

 

「い、いつそこに!?」

 

「最初から。私もマスターとやる」

 

「はははははははッ!いいね!じゃあ一緒にやろうか!」

 

「うん」

 

「・・・・もうっ」

 

プクーと膨れるロゼに彼は口を開けて大きく笑う。

そしてそんな彼等に釣られてレイも笑う。

今度は二人ではなく三人で一緒に────


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