自分を使ってもらいたいレイちゃんと閃刀姫が扱えない決闘者 作:鉄血
「マスターさん。倉庫のカードボックスの在庫チェック終わりました!」
「ん?ああ・・・ご苦労さま。小夜丸」
私の名前は小夜丸。ここの個人ホビーショップの店員にして店長さんが持つカードの精霊です。
ここ現世には一年ほど前にやって・・・もとい迷い込んできたのを店長さんに拾われて今は従業員をしています。
私には三人の先輩がいます。店長の学生時代からの付き合いであり、副店長である閃刀姫二人のマスターさんとレイさんとロゼさんです。
「そう言えば・・・レイさん達を見ませんね?今は何処にいるんですか?」
「あの三人なら休憩中だ。朝からずっと店番や倉庫整理をしてくれてたおかげで在庫チェックが早く済んだ」
「あ、だからあんなに綺麗だったんですね」
「今、さりげなく前の倉庫は汚いと言ったな?」
ぐるん、と首だけを此方に回してマスターとの目が合った。
「自覚があるなら直してください。店長」
「まあ、暇があったらな」
「・・・もう。それ、絶対にやらない人の言い分ですよ」
そう言いながら小夜丸は溜め息をつく。
まさか、私のマスターさんはこんなにもだらしない人だったとは・・・私も見る目がありませんでした。
でも・・・なんだかんだ面倒を見てしまうんですよねと、私は近くの椅子に座る。
「そう言えば・・・聞きたい事があるんですが良いですか?」
「・・・なんだ?」
振り向かずにパソコンと数字と睨めっこするマスターに私は言った。
「マスターさんはレイさん達が副店長さんと一緒にいる理由をご存知なのでしょうか?」
「理由?」
手を止めないマスターさんに私は頷いた。
「はい。私達はカードの精霊とはいえ、自身のマスターは自分で決めています。私で言うと・・・店長さんはS-Force やリトルナイトとしての私を使ってくれているからこそ、私はマスターさんを選びました。でも、あのお二人は違います。
「・・・三人には聞いたのか?」
「その・・・何時もはぐらかせれてしまいまして・・・」
特に副店長さんにはのらりくらりとあしらわれ、二人はそもそも話そうとしてくれない。
暫しの沈黙の後、マスターは口を開いた。
「あの二人は・・・元々、うちにの店の近くのゴミ捨て場で
「え・・・?」
マスターの口から出た言葉に私はそう答えることしか出来なかった。
「それをアイツが拾っただけだ」
「拾ったって・・・閃刀姫はそもそも人気があるテーマですよね?それを捨てたって、どう言う・・・」
「アートコレクション。絵違いで高く売れるソレを目当てに買った転売ヤーに捨てられただけだ。今でも偶に見る」
性能は同じ。でも絵違いだから高く売れる。そう言った奴等に買われ、捨てられた。
「アイツが拾ったカード群は既存イラストのものだった。その中に二人がいたそうだ。もっとも、俺やアイツはあの二人が出てくるまでそんな事、知りもしなかったが」
そう言ってマスターは休憩室と書かれた扉に目を向ける。
「俺達にとってはカードを拾ったのは偶然だとしても、拾われたあの二人にとっては絶対に忘れられない思い出だ」
だからこそ、あの二人は自分が使われなくてもアイツといる。
良く言えば純愛。悪く言えば執着。
人とは違う精霊といっても、形容しがたい胸のナニカは変わりはしないのだ。
「この事は二人には話すなよ。目をつけられたくなかったらな」