たぬきの子   作:ーー

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東さんと二宮さん推しの人、申し訳ありませんでした



7 師弟

「あっ、お疲れ様ですー東さん、と二宮さん」

 

「おお深緑、おつかれさん」

「……ああ」

 

 二宮さん元気ないな。顔が暗い……。まあしょうがないな今は。鳩原さんの密航からあんまり時間経ってないし。

 

 ──そうだ

 

「すみません東さん、ヨツコブツノゼミの学名ってなんでしたっけ」

 

「ボッキディウム・チンチンナブリフェルムだな」

 

「ぶっ……!? っぐふ──」

 

「あーそうでしたそうでした! 有難うございます! 失礼します!」

 

 さっすが大学院生の東さん。こんなことも知ってるんだね。

 考える素振りもなく、表情を変えずに長い名前をサラリと言ってくれた東さんに、二宮さんも思わず顔を綻ばせて感服の声を上げて……

 

「ぐ、おっ……オフっ──ゴホッゴホッ──」

 

 ……いや堪えようとしてめっちゃ咳き込んでるな。なんかごめん。

 二宮さんを下ネタで笑わせようとした僕が間違ってました。

 

 

 

 

 

 ▽加古隊 訓練室

 

 

 

「韋駄天!」

 

「シールド」

 

 発光する双葉の手元を狙って遠隔シールドを張る。

 

 ガッ! 

 

「きゃっ!」

 

 シールドによって弧月を手から滑らせ、姿勢を崩した双葉が高速で向かってくる。避けたら派手にすっ転ぶだろうな。

 

「よっ……っと」

 

 左目で軌道を既に視ている。その終端に変形させた盾モードのレイガストを構えて同じ方向に跳ぶことで、双葉の体をソフトに受け止めた。

 

「双葉。弧月はもっとしっかり握ってなくちゃダメだよ。始端から終端まで軌道上のもの全部斬るつもりでやれば、さっきのシールドくらい斬れるんだから」

 

「はい……あの、み……師匠」

 

「ん?」

 

「降ろしてください……」

 

「あー、ごめん」

 

 レイガストを消して双葉を地面に降ろしてやる。よいしょっと。

 

「もっかいやろっか」

 

「はいっ!」

 

 いい返事だ。

 

 

 

「韋駄天!」

「浅いぞ」

 

 

「韋駄天!」

「近すぎ」

 

 

「韋駄天!」

「ぬ……!」

 

 斬撃が背中に深く入った。これは死ぬやつだ。

 

 

「今のイイね。もう一回同じ軌道で来て」

「はっ、はい……!」

 

 

 …………

 

 

「ぁ〜〜」

 

 換装を解いた双葉が並べた2つの椅子に、だらーんと仰向けに倒れ込んだ。くたくたになって、無防備な姿を晒している。

 いっぱい頑張ったもんな。

 

「双葉、食堂行くか。奢るぞ」

 

「いきます……」

 

 すっ

 

 弱々しい返事を返して、両腕を上げる双葉。

 起き上がろうとせず、僕をじっと見つめている。

 

「ん……」

 

 ん? なに? 食べてOKのサインか? さすがに違うか。

 

「……こう?」

 

 背中と膝裏に腕を回して持ち上げる。いわゆる、お姫様抱っこ。

 

「えっ──ち、違います! 起こしてくれるだけでいいんです! 降ろしてください!」

 

「あー、ごめん」

 

 しかしちょっと軽いかも、生身の双葉。適正体重とか知らんけど。もりもり食わせてやろうかな。

 

 という訳で食堂へ。

 

 

「何食べる?」

「A級定食にします」

 

 A級定食。海鮮丼と麻婆豆腐という謎の定食だ。嵐山隊がよく食べてそう。

 僕はA級セットにしようかな。

 

 

「いただきます」

 

 ズルルルル〜! 

 

 力うどん、うまい! 

 次はコロッケを──

 

 ひょい、ぱく

 

「……あ?」

「んぐ……ぐふっ。うん、うまいな」

 

 僕のコロッケが、とられた。この黒コートの髭野郎……

 

「太刀川さん……人のモン勝手にとって食うなんて、どんな頭してんスか? 叩き割ってやろうか?」

 

「おー、大歓迎だ。お前、ずっと忙しい忙しいって全然戦ってくれなかったろ。最後にやったの3ヶ月くらい前か? 確か」

 

「ウソだ、そんな前だっけ? ……いやでも本当に忙しかったんだよ」

 

 親父と仕事したり、玲さんと遊んだり、C級に混ざって個人ランク戦したり……一人の時間なんて全然取れないくらい忙しかったね。全部楽しかったからいいけど。

 

「今日は時間ありそうだな。C級の女子と一緒にランチタイムなんてしてるくらいだし」

 

 女子とランチしてるの見て「時間ありそう」って思うんだ、太刀川さん。

 

「もう昇格してるよ。初の戦闘訓練で10秒を記録した今期イチの大型新人さ。なあ双葉」

 

「それは……そうですけど……」

 

「ん? 今期イチが10秒? 2秒の奴がいたって聞いたが」

 

「あー……」

 

 木虎に見せつけるためについやっちゃったけど……よくなかったよなーやっぱ。

 

「そいつは……まぐれだったんだよ。まだB級上がれてないから。この子のが上」

 

 上がる予定もない。春日梨子はもう主に茶野隊の経験値になるくらいの役割しかない。

 

「……」

 

 ジト目の双葉。呆れてますって視線だ。カゲさんの感情受信体質なくてもひしひしと伝わってくる。

 

 はい。C級に混ざってやる必要のない訓練で好成績を出して、イキってすみませんでした。いやでも、お手本示したってことで許されないかな。僕の後にやった双葉、10秒ジャストだったし。

 

「ふーん。で、やってくれるよな?」

 

「人のコロッケ食っといて、図々しいな……。あっそうだ。双葉の練習相手になってくれるなら、いいよ」

 

「ほう?」

 

「今日は朝から新しい試作トリガーの使い方を叩き込んでたんだよね。多分初見なら太刀川さんでも殺れるよ」

 

「ほほーぅ」

 

 ゴリラかな? 

 

「双葉もいいよね」

 

「はい。やります」

 

「よっしゃ、早く行こうぜ」

 

「先行っててー」

 

 メシくらいゆっくり食わせてよ。

 

「デザート食べるか、双葉」

「食べます」

 

 

 

 ▽

 

 

 

「旋空弧月」

 

「くっ……」

 

 韋駄天のタイミングを完全に読まれ、グラスホッパーによる回避からの旋空弧月で双葉は首を斬られ、敗北した。

 

 1-9か……まあこれでも上出来だ。個人総合1位から1本取れたのは誇っていい。例え相手にとって初見のトリガーを使ってたとしてもだ。

 

「深緑さん……」

 

「太刀川さんから1本取れたのは偉いぞ。教えた通りにできてたし」

 

 韋駄天は奇襲に使えばかなり強いはず。それにまだ試作品で、改良の余地がある。いいデータがとれたな。

 頭をぽふぽふして褒めてやる。

 

「さて、約束通り相手してくれるよな、深緑」

 

「うん」

 

 

 メインは、

 レイガスト スラスター シールド スコーピオン

 サブは、

 スコーピオン 韋駄天(試作) シールド バッグワーム

 

 

「よし」

 

 10本勝負開始。

 レイガストを生成。ブレードはまだ出さない、オフ状態。

 

「なんだ、今日はそれか」

 

「ガッカリした?」

 

「……いいや、お前なら楽しませてくれるだろ?」

 

 太刀川さんが弧月を抜く。

 

「男にそういうこと言われても、な」

 

 ブレードを出して──消す

 

「おっ!?」

 

 レイガストを見せてからのマンティスで不意を突いた。左手首を貰った。

 

「マジか!?」

「スラスターON」

 

 レイガスト投げ、からの

 

「もいっちょ」

 

 スコーピオン投げ。

 

「う、おっ」

 

 グラスホッパーで跳んだ。やっぱり防御より回避を選んだ。

 しかし、それは自分の攻撃に繋げる動きだ。この距離だと旋空──視えた。これは()った。

 

「韋駄天」

「旋空弧月」

 

 1度の発動で2回振るわれる旋空を掻い潜り、スコーピオンキック。腹をぶち抜いた。

 

「1本目」

「ははっ、やっぱりな」

 

 ピシリと、ひび割れが広がっていく顔で楽しげに笑う太刀川さん。

 ご期待に応えられたようで何よりだよ。

 

 

 

 

 

 ▼黒江双葉▼

 

 

 

「すごい……」

 

 双葉は驚きを隠せない。深緑の強さ、技の多彩さに。

 

 レイガストとシールドを重ねて旋空を防いだり、

 レイガストにスコーピオンを重ねたスラスター斬りでガードの上から叩き斬ったり、

 韋駄天発動後に足から出したスコーピオンを地面に突き刺して強引に減速したり、

 韋駄天発動後にスラスターを使い、旋空を跳び越えて斬りつけたり──

 

「楽しそう……」

 

 しかしこれは、出し惜しみしなさすぎじゃないだろうか。手の内を、韋駄天を見せすぎなんじゃないだろうか。これから自分もチームランク戦に参戦するというのに……。

 

「あっ」

 

 グラスホッパーを韋駄天の軌道上に置かれて崩され、旋空で斬られた。

 5連勝の後の、2連敗。

 

「ほら、対応されちゃってるし……」

 

 ──やっぱり、深緑さんにもどこか抜けてるところがある。

 

 しかしそんな彼の足元にも及ばないのが今の自分だ。

 

「あたしも、あんなふうに……」

 

 今はまだ、師匠と肩を並べて戦うには実力が全然足りてない。でも早く、もっと強くなりたい。頼りにされるくらいに。

 

「あ──やった!」

 

 深緑さんが勝った! 

 

 結果は6勝2敗2分。

 双葉は個人総合1位の男に勝利した師を見て、得意げに笑った。

 

 

 

 ▽

 

 

 

「今日のお前、ズルすぎないか?」

 

「そう思うなら全部勝たせてほしかったね」

 

 やっぱ単位を犠牲に強さを得る男は違うな。今日初めて見せた韋駄天とか新技にあそこまで対応するとは。口だけ韋駄天フェイントとかあんま意味なかったし。

 

 まあ、1対1に集中できる状況で口先に惑わされるやつは1位になれないわな。小南でも戦闘になれば騙せなかったな、そういえば。

 

「もう1回だ」

 

「いやでーす」

 

「この野郎」

 

 

 勝ち逃げしまーす。

 コロッケ泥棒の恨みはこれでチャラにしてやる。

 

 

「行くぞ双葉」

 

 次は旋空の練習にするか。ちょうど太刀川さんの剣を見せられたとこだしな。

 

「はい、深緑さん!」

 

 なんか機嫌いいな? さっきまで負けて悔しそうにしてたのに。

 

「?」

 

 顔をじっと見すぎたからか、双葉は困惑の色を浮かべた。

 

「あの……あたしの顔になにか……?」

 

「いや、可愛い目と鼻と口しかついてないよ」

 

「かっ……!?」

 

 

 

 

 

 ◆那須玲◆

 

 

 

 

「お願いします」

 

「……しょうがないな。いいよ。合成弾を教えてあげる。その代わり実験に付き合ってもらうよ」

 

「ありがとう」

 

 深緑は右目を抑えて渋々といった様子で、玲の要求を受け入れた。

 

 B級に降格した二宮隊、影浦隊と対戦する事もあるだろうし、エース兼隊長として、もっと強くなっておきたい。深緑にはそう説明したが、それだけが合成弾を習いたい理由ではなかった。

 

 不純な動機もあることは自覚している。

 でも深緑なら、いくら忙しくたって、真剣にお願いすれば断らないだろうなと思った。

 

 ──彼は私……というより、女の子には甘いから。

 

 深緑が加古隊に入ったのも、新入りの指導をしているのも、そういうことだからに違いない。

 

 

「実験って、どんなことをやるのかしら」

 

「トリガー臨時接続で、2人で出した弾を合成できるかっていう実験なんだけど……まあまず先に、玲さんがやり方覚えなくちゃだな」

 

 

 …………

 

 

「初めてで30秒以内、僕より速いな。玲さんなら慣れれば弾道決めて撃つところまで含めて10秒以内にできるようになるよ」

 

「……出水くんって、これをあんなに速くやってたのね」

 

 玲は深緑対出水の記録も見ていた。思い返すと、出水は変化炸裂弾(トマホーク)の場合でもキューブを出してから撃ち出すまで5秒程度しか掛かっていなかったはずだ。

 

 合成にかかる時間があまりにも短い。それ以外の工程だったら、自分も負けていないが。

 

 ──速さ、といえば。

 

「これを弓場さんみたいに拳銃で連射出来たらとても強そうね」

 

「……あ、ああそうだね」

 

 

 

 ▽

 

 

 

「もしかして、出来るの?」

 

 目を輝かせて訊いてくる玲さん。かわいいんだけどさ……教えてほしがってる内容は全く可愛くないんですが。

 

「できなくは……ないな」

 

 ああ。言っちまったよどうしよう。右目滅茶苦茶痛い。修が「……勝った」する未来ぼやけまくってるんだが。

 

 ランク戦壊れちゃうって。玲さんの相手皆蜂の巣になっちゃうよって。教えるって言って失敗したわこれ。

 

「合成弾を設定した銃は、それしか撃てなくなるし、連射性能がガタ落ちするんだ」

 

 …………まあ、いいや。最終的に玉狛第2が2位以内になってりゃいいんだ。

 

「けど、弓場さんの銃みたいに弾数制限とリロードに時間がかかるようにするなら、代わりに高速連射が可能になる」

 

 ──過程や手段なんてどうでもいいか。

 

「バイパーとバイパーの合成弾、千変万化弾(トライデント)を玲さんがリボルバーで撃つなら、かなり凶悪な性能になるだろうね」

 

 ──もうどうにでもなーれ。

 

 

 





ロリに化けるバカたぬき みのり

ロリのフリして黒江に近づき、弟子にした。指導中は師匠と呼ばれている。
今回元から強かった那須さんを第2の弾バカにして第2のリボルバー使い、トライデント玲に進化させた。戦犯。
あと加古隊に入ったせいでなぜか那須さんはハウンドも使いだした。

進化那須さんの変態トリガーセットはこんな感じ

メイン
バイパー バイパー(拳銃型) バイパー(拳銃型) シールド
サブ
メテオラ ハウンド バッグワーム シールド

本作では銃の合成弾は片側2枠でできる設定とします。

この那須さんはトマホークに加え、バイパーとハウンドの合成弾も使います。追尾性能0の部分に弾道を設定できる弾です。
建物避けたらあとはハウンドの動きとか、ハウンドと思わせて戻ってくる設定にするとかできます。
この誘導変化弾の読み方……レイヴンってのはどうでしょう?

ワートリって妄想は無限に膨らむんですが、それに比べて書きたい意欲は有限すぎますね。割と0にまでなるときってある。誰か代わってください。

最後まで読んでくれてありがとうございました。
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