迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
ちょい長くなるので分けていきます。
「やっぱり私も行きたい!!」
いざ、出立という間際になるとやはり我慢できなかった姫様がそう駄々を捏ねて入口に立ちはだかった。
まあ、こうなるなと半ば予想していたのでさもありなんという感じだが。
「姫様…」
今日のために仕立てたのか初めて見る帽子に軽装のドレスと日傘まで用意した完全武装(?)で我儘を捏ねる姫様はヒステリーを起こして寝転がってジタバタ暴れる幼女を彷彿とさせた。
「どうしようコレ?」
「大丈夫です。お任せを」
いまだ癇癪を起こし続ける姫様に対し颯爽と現れたアリアスがそう言うと、『騎士』の来訪を告げる城の鐘がガランガランと鳴り響いた。
「こうなると思い『騎士』に招待状を送り来るよう手配しておきました」
いや、呼べるのかよ。
「こんな時にぃぃ〜!!」
『騎士』が来たとあっては姫様も我儘よりプライドの方が優先だったようで、噴飯を撒き散らすようにアリアスに指示を飛ばす。
「アリアス!! 『騎士』にこの前祝砲用に買ったグスタフをぶちかましてきなさい!!」
「畏まりました姫様」
一礼を残し去っていくアリアス。
「執事!!
今回は諦めるけど次はこうはいかないからね!!」
負け惜しみっぽい台詞と共に『おもてなし』のためにと走り去る姫様に、俺は思わず呟いてしまった。
「もしかしてコレ、毎回やる羽目になるのか?」
だとしたら次の休暇は城で大人しくしていようと思った。(小並感)
〜〜〜〜
そうして俺は初めての外出へと繰り出した。
と言っても、アリアスが買い出しに使う移動用魔法陣を使っているので数分で着いてしまったから出かけた感はあまりない。
ちなみに姫様は使えないよう細工が当然施されているため脱走の心配もない。
余談だが『騎士』が帰る際にも件の魔法陣は使われていたりする。
「なんというか、ファンタジーだな」
煉瓦造の町並みにそう感想を漏らす。
交易都市の一つらしく、街中には様々な種族が闊歩しているため余計にそう思う。
戦士族や魔法使い族っぽい人間に獣戦士族や獣族だけでなく、手のひら大の妖精や昆虫族らしき人型の虫など種族も様々。
中にはスライムらしき蠢く水を入れた魚人なんてのも見かけている。
良く言えば多種多様な賑やかさ、悪く言えば纏まりの無い雑多さに包まれた街中をお上りさん気分でフラフラ歩いていたのが悪かったらしい。
「随分羽振りが良さそうだなオッサン」
「俺達少しばかり困窮していてな?
痛い目に遭いたくなきゃ分かるよな?」
フッ、と気付いた瞬間路地裏に引きずり込まれてチンピラにカツアゲを食らう羽目になってしまった。
流石遊戯王というか高橋ワールド。
水面下の治安の悪さが世紀末だぜ!
「コイツはまいったな…」
アリアスからは現金以外にも魔法的な力で姫様の承認を受けた者以外には使えないクレジットカードを貰っているから現金を差し出してお引き取り願ってもらえれば穏便に片付くんだが…
「とりあえずデッキのカード全部提供してもらおうか」
「安心しろよ。どんな屑カードだろうが俺達がきちんと有効活用してやるからさ! ギャハハハ!!」
ですよね~。
カードの価値が金より高い世界なんだから当然そっちを狙うよな。
ちなみにMDのレアリティと精霊界での評価価値は結構違う。
アーゼウスやアークリベリオンは洒落にならない価格が付くらしいが、MDでの必須カードであるURの増Gの価格はゴミどころか引取金を請求されたりする。
スリに盗まれないし威嚇にもなるからとディスクを着けたままにするよう言われていたが、見た目が弱そうだからってデュエル(物理)に持ち込もうとする相手には逆効果になるよね。
「流石にそれは困るんで、現金だけで済ませてもらえないか?」
「勿論そっちも身包み提供して貰うに決まってんだろうが!!」
なるべく穏便にと提案してみたが、なんでか激昂してナイフを取り出してきた。
何をそんなに…あぁ、そういう事か。
普段から姫様達と『騎士』との
それが余裕そうに見えて気に入らないのだろう。
これは結構まずい。
胆力が付いたのは有り難いがイコール俺が喧嘩慣れしたという図式ではないし、チンピラが怖くなくても殴り合いになったら間違いなくサンドバッグ以外にならないのは変わらない。
金もデッキも身包みひん剥かれて路地裏に転がる未来は選ぶつもりはない。
(やるしかないか)
荒事になった際の自衛手段として袖の中に縫い付けられた【和睦の使者】と【威嚇する咆哮】のどちらを切るべきかと思案し、【威嚇する咆哮】にしようと発動するために動こうとした瞬間、
「そこまでだ!!」
と、昔聞いた声が路地裏に響き渡りチンピラが白い戦士にふっ飛ばされた。
「お前は『ネオス』…!?」
その正体に気付き驚く俺に先程の声が俺に言葉を投げかけた。
「大丈夫かオッサン。
ヤバそうだから助けたけど、余計な真似だったりしたかな?」
そう俺に問い掛ける声にまさかと思いながらもそちらを見ると、そこには海月のように大きく膨らみのある髪型の少年が立っていた。
「君は、『遊城十代』なのか?」
俺の知っている遊戯王の歴代主人公の一人が、記憶の姿そのままでそこに立っていた。
なんで遊城十代だったか?
主人公の問題解決に協力出来そうかつ精霊界にいてもおかしくないキャラをと考えたら十代が適任だったからです。
因みに十代はアニメ版です。
ただしデッキは…