迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
後書きでレギュレーション纏めたの載せときます。
『バトルシティ』
それは漫画版遊戯王の章タイトルであり、同時に比喩や誇張でもなく世界に変革をもたらした歴史のターニングポイントである。
詳しい経緯などは省くがこの章の掲載によりカードゲーム遊戯王は真に産声を上げ、世界三大TCGの一角として登り詰める歩みが始まったのだ。
そんな某運命な特異点になりうる場所に参加者として乗り込んだ事に対し、俺は興奮ではなく恐怖で胸が張り裂けそうになっていた。
何故ならそれは…
(【千年ロッド】で洗脳エンドも【千年錠】で人格書き換えエンドも【オレイカルコス】生贄エンドも絶対に御免被る!!)
バトルシティは遊戯王の中でも厄という厄がコレでもかと煮詰められた地獄の釜の底であったからだ。
比較的軽い漫画版でも7つある【千年アイテム】が実は全て集まっていたという恐ろしい裏話が潜んでおり、更にヤヴァいアニメ版ならオリジナルストーリーと劇場版という追加要素によりバトルシティ章内で世界の危機が三度も襲ってきたのだ。
バトルシティ前後になると多少マシになるが作品初期のコンセプトのせいで町自体の治安もよろしくなく、そんなロア◯プラや米◯町にも劣らない近寄りたくない町筆頭候補に放り込まれて無邪気に喜べるはずもない。
「とにかく、まずは準備だ…」
しかし対策が無いわけじゃない。
それら世界の危機に万が一目を付けられてもデュエルを介するため負けなければ助かるのだ。
千年アイテムの闇の力は対抗策が思いつかんが、オレイカルコスの神こと【蛇神ゲー】はリアル召喚されたらエクストラデッキを解禁し格上殺しが可能なアークリベリオンかアストラムを【召喚】して殴り殺させればどうにかなろう。
異世界の召喚法を持ち込むリスクについては、まあ、未来の俺がそうならないことを祈る。
そう考えエクストラデッキにカードを挿そうとサイドデッキに手を伸ばしたところで威勢よく声が放たれた。
「おいっ! そこのスカした格好のオッサン!!」
「?」
顔を上げ周囲を見回すとヤンチャな感じを受けさせる若者がデュエルディスクを展開して俺を見ていた。
「…もしや、今のは私のことですか?」
「他に誰が居るんだよ?
こんな町中で燕尾服なんて着るスカした野郎はな!」
……うむ。強く否定できない。
アリアスに言われて出来るだけビシッとした格好で居るよう指導されていたのでこの恰好なのだが、町中でこの格好は浮いているわな。
「一応お伺いしますが、ご要件はデュエルのお誘いという事で宜しいですか?」
「当然だ!!」
先にデッキ調節をしたいから遠慮するべきなんだろうが、一回当たって手応えを確かめてからのほうがいいかもしれない。
「わかりました。
しかし私は今手元に『パズルカード』が無いのでレアカードしかアンティ出来ませんがかまいませんか?」
『パズルカード』とはバトルシティ内で決勝に進むために必要となるアイテムであり、デュエルにはパズルカードとレアカードを賭ける必要がある。
「いいぜ。
ただし、レアカードは2枚賭けてもらうぞ」
「いいでしょう」
強欲と言いたいが、代わりと言うなら納得するしかない。
「では、【妖精伝奇カグヤ】と【妖精伝奇シラユキ】の2枚を賭けます」
選んだ理由は両方複数枚持っているから万が一が起きてもリカバリー可能だからである。
イベントの趣旨的に最高レアを提示するのが礼儀だろうが、そうなると姫様を提示せねばならなくなるので絶対に否である。
賭けろと言われたら?…殺す。
「見た事ないな?
コレクターアイテムか?」
「どちらも強いカードですよ。
強さはまあ、自身で確かめてください」
「ハッ! だったら俺は【パーフェクト機械王】とパズルカードを賭けるぜ!」
意気揚々そう宣う若者だが、ぶっちゃけいらない。
と、そこで俺は思いつく。
「一つ確認なんですが、カードを【強欲な壺】か【天使の施し】に変えられますか?」
「あ? 出来るがこっちのほうがレア度は高いぞ?」
「ええ。ですが、私にはそちらの方が欲しいので変えてもらえると嬉しいですね」
「変な野郎だな。
いいぜ。折角だから両方賭けてやるよ!」
訝しみながらも若者はその提案に了解を得る。
っしゃあ! 最強ドロソゲッツ!!
「では、始めましょうか」
内心狂喜乱舞しつつデュエルディスクを展開する。
「「デュエル!!」」
表示されたのは俺の先攻。
「私のターン。スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
そう口にすると何故か周りがドッと笑い出した。
「?」
何か可笑しいことが?
「おいオッサン素人かよ!?
ドローフェイズすっ飛ばしてんだろうが」
「あ!」
すっかり忘れていた。
この頃はまだ先攻にもドローフェイズがあったんだった。
あからさまなプレイミスにゲラゲラ笑う若者に懐かしいなと思いつつ謝罪する。
「すみません。身内のレギュレーションで先攻ドローを禁止していたので抜けていました」
「はぁ? まあいい、さっさとドローしろよ」
「ありがとうございます。
では改めてドローフェイズ、ドロー」
引いたのは【太陽の魔術師エダ】。
初動に欲しい1枚だ。
「スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
そして手札を改める。
【隣の芝刈り】
【太陽の魔術師エダ】
【ビッグウェルカム・ラビュリンス】
【憑依解放】
【憑依連携】
【おろかな副葬】
先攻ドロー無かったら事故だったのかよ。
いや、事故って言っても現代遊戯王基準の事故だからバトルシティの前後なら大分強いほうか?
ともあれ無いはずだが一応誘発確認だな。
「メインフェイズ。
私は手札から【おろかな副葬】を発動しますが」
【おろかな副葬】
通常魔法(準制限カード)※MDでは制限
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。
その瞬間、周りから再び笑い声が上がる。
「ギャハハハ!!
自分でカードを墓地に捨ててやがる!」
「……」
まあ、初期の頃は墓地活用なんて一部の例にしか無いのだからこの反応もさもありなんか。
現代遊戯王なら警戒心が一気にマックスになるんだから時代の変遷というのは一周回って面白くさえみえる。
「私はデッキから【憑依覚醒】を墓地に送ります。
チェーンはありますか?」
「は? フィールドにカードが無い後攻が何か出来るわけ無いだろ?」
「わかりました。
ではその後に手札から【太陽の魔術師エダ】を召喚します」
【太陽の魔術師エダ】
効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1500/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・リバースした場合に発動できる。
手札・デッキから「太陽の魔術師エダ」以外の
守備力1500の魔法使い族モンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚する。
(2):相手メインフェイズに発動できる。
自分フィールドの裏側表示の魔法使い族モンスター1体を選んで表側攻撃表示または表側守備表示にする。
フィールドに赤い髪を後ろで纏めた白いスーツの女魔術師が場に降り立つ。
「エダの召喚時効果発動。
デッキから防御力1500の魔法使い族を裏守備表示でセットします」
妖怪少女達やGを全く警戒しないでプレイングが展開出来るのは正直気楽すぎて気持ちいい。
それはそれとして、さて、どうするか。
アンティに機械王を提示したからおそらく機械族メインだろうが、この頃の機械族って確か闇か地が多かったよな?
となるとしてダルクかアウスになるんだが…
「【地霊使いアウス】をセット」
アウスなら当てが外れても【憑依開放】で戦闘破壊されない地属性が確実に場に残るから次のドローでもモンスターが引けなくても【憑依開放】で適当に呼び込んでやれば【デーモン・リーパー】への展開へと繋げられるのでこちらを選ぶ。
これで芝刈りが撃てる準備が出来たんだが、また馬鹿にされるのもナンだし必要性があるか判断出来るまで止めとこう。
「カードを2枚セット」
【憑依開放】を差し込み【憑依連携】も差し込もうとしたらディスクがエラー表示した。
「あれ?」
「あんた本当にレベル5以上なのか?
セットは魔法罠それぞれ1ターンに1枚づつだぞ?」
「……そうでしたね」
なんて遅延なルールだよ。
いや、確かにこの時代のカードプールでガン伏せなんてほぼありえんから極端におかしくはないんだけどさぁ。
「色々不慣れで申し訳ありません。
ターンエンドです」
【憑依開放】はセット出来たのでワンキルの懸念はそう無いだろう。
【サイクロン】&【サンダーボルト】?
いやもうそれ交通事故だから。
「俺のターン!ドロー!」
ターンが回り若者が元気よくデッキトップを引き込む。
「俺は【王室前のガーディアン】を攻撃表示で召喚だ!」
【王室前のガーディアン】
通常モンスター
星4/光属性/機械族/攻1650/守1600
王室をガードする衛兵ロボ。
当たるまで追い続けるミサイルを撃つ。
なっっつ!!
しかも地でも闇でもなく光属性かよ!?
「更に【機械改造工場】を発動する!」
【機械改造工場】(アニメオリジナル版)
通常魔法
フィールドの機械族の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。
……うわぁ。
「行くぜ!!
王室前のガーディアンで太陽の魔術師エダを攻撃だ!
守備表示にしなかったことを後悔しやがれ!!」
調子こいてそう笑う若者だが、俺はその言葉でこの世界では表側守備で召喚出来たのだと今更思い出していた。
「殺れガーディアン!ミサイルシャワーだ!」
「あ、失礼。バトル開始時にチェーンして伏せカードを発動します。永続罠【憑依解放】を発動」4000→3550
降り注ぐ多くのミサイルにエダが爆炎に包まれ破壊されるのを横目に俺は次への布石を淡々と打つ。
「ハハハ!見たか…って?」
粉塵が晴れるとフィールドにはセットカードが1枚増えていた。
「憑依解放の効果でモンスター破壊時にデッキから守備力1500の魔法使い族モンスターを特殊召喚しました。
バトルフェイズは続けますか?」
「ちぃっ!?
ターンエンドだ!!」
ちゃんとチェーン処理をした上で何をセットしたかまで言っていたのだが、若者は聞いていなかったらしい。
「では私のターン。
ドローフェイズ、ドロー。スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
引いてきたのは姫様であったが、呼ばずともリーサル取れるので今回はお休み頂く事にする。
「先ずはフィールドの2体を反転召喚します。
【地霊使いアウス】【光霊使いライナ】。」
【地霊使いアウス】
リバース・効果モンスター
星3/地属性/魔法使い族/攻 500/守1500
(1):このカードがリバースした場合、
相手フィールドの地属性モンスター1体を対象として発動する。
このモンスターが表側表示で存在する間、そのモンスターのコントロールを得る。
【光霊使いライナ】
リバース・効果モンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻 500/守1500
(1):このカードがリバースした場合、
相手フィールドの光属性モンスター1体を対象として発動する。
このモンスターが表側表示で存在する間、そのモンスターのコントロールを得る。
フィールドに現れた二人の少女に可愛いと声が上がる。
「ハッ! 攻撃力1000にも届かない雑魚モンスターが並んだところで俺のモンスターに勝てるかよ!」
嘲る若者の言葉に二人がムッと頬をふくらませる。
「力が弱いからと侮るのはどうでしょう?
それに二人はどちらも特殊能力を持った効果モンスターですよ」
「ハッ、だとしても俺のモンスターは超えられねえ!」
「そうですね。
なので貴方のモンスターを頂きます」
「は?」
「リバース効果発動!
【霊使い】モンスターは反転召喚時に相手フィールドの同属性モンスターのコントロールを得る!
ライナは光属性なので王室前のガーディアンのコントロールはこちらが貰う!」
ライナが力強く杖の石突で地面を突くと魔法陣が展開し王室前のガーディアンがこちらのフィールドに移動し若者へと対峙した。
「テメェ!俺のモンスターを返せ!」
「わかりました。ただし、フィールドには残しませんが。
ライナと王室前のガーディアンを墓地に送り、デッキからモンスターを特殊召喚します」
「デッキから直接召喚するだと!?」
「来なさい。【憑依装着-ライナ】!!」
【憑依装着-ライナ】
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1850/守1500
(1):このカードは自分フィールドの表側表示の、「光霊使いライナ」1体と光属性モンスター1体を墓地へ送り、
手札・デッキから特殊召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「憑依装着-ライナ」以外の守備力1500の魔法使い族モンスター1体を手札に加える。
(3):このカードの(1)の方法で特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
ライナとガーディアンが閃光を放ち、光が収まるとハイティーン頃にまで成長した姿で光輝を纏ったライナがそこに立っていた。
「攻撃力1850だと!?」
「ライナを墓地に送り特殊召喚に成功したので効果でデッキからライナ以外の守備力1500の魔法使い族モンスターを手札に加えます。
私はデッキから【憑依装着-ウィン】を手札に加えそのまま召喚」
【憑依装着-ウィン】
効果モンスター
星4/風属性/魔法使い族/攻1850/守1500
(1):このカードは自分フィールドの表側表示の、
「風霊使いウィン」1体と風属性モンスター1体を墓地へ送り、
手札・デッキから特殊召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
ライナやアウスとおそろいのローブを羽織る新たな少女の登場に周囲からは歓声が広がる。
「バトルフェイズに移行します」
「ぐっ、素人だと思ったがとんでもねえ。
テメエ何者だ!?」
敗北が眼前に迫りつつも若者は泣き言や恨み言を吐くことなく俺の名を問いかけた。
態度は悪いがその潔さに俺は好感を抱き、その問いに応えてやることにした。
「故あって本名は明かせませんので、通り名である【迷宮の案内人】とそう名乗らせていただきます。
ライナ!ウィン!アウス!3人でダイレクトアタック!
折角なので原作よろしくな感じで合体攻撃を命じてみると三人は顔を見合わせ本当に魔力を合体させて若者へと放射した。
「【迷宮の案内人】…確かに覚えたぞ!」4000→0
三人の攻撃で若者のライフは消し飛びデュエル終了と共に歓声が湧き上がる。
「手応えは十分だが、ドロソまで使うのは少し過剰かな?」
パズルカードとアンティカードを受け取り先程のデュエルを反芻する。
「次は俺とデュエルだ!」
と、またかと相手を見て、俺は固まった。
そこに居たのはちょいワルな感じの金髪の青年であった。
その青年を俺はよく識っていた。
「じょ、【城之内克也】…」
初戦が終わったらまさかの原作主役キャラかよ!?
マズイ!?
時間的におそらく城之内はまだ羽賀とさえやっていないはず。
万が一此処で俺が勝ち城之内敗退となったら…
決勝に城之内不在→原作崩壊→世界崩壊
「失礼!!」
俺は慌てた様子で懐を探り携帯電話っぽい折りたたみ電卓を開くと耳に当てて会話しているフリを始めた。
「はいっ!?
いいえそのような事は…え? 今すぐ!?
わかりました急ぎます!!
すみませんが急用ができたのでデュエルはお預けでお願いします!!」
「あ、おいっ!?」
そう言い捨て呼び止める城之内の無視して全力で走り逃げる。
城之内とのデュエルは楽しそうで大歓迎だが、原作崩壊の危険がなくなってからで頼む!!
バトルシティレギュレーション。
ライフ4000
モンスター召喚はマスタールールに準拠。
先攻ドローあり。
アドバンス召喚は決勝戦に倣い使用モンスターに制限はなし。
融合召喚は手札も選択可能。
エクストラデッキからの召喚は召喚酔いが発生し召喚ターンは攻撃不可
魔法罠カードのセットは1ターンに各種1枚ずつ。(アリアーヌ等の効果は含まず)
一部カードはアニメ効果に変更。
神のカードはルールを優先とする。
とりあえずこんな感じでやっていきます。
なんか足りないのは無いはず。
次回も原作キャラと関わります