迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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今回のフェスに一言。

雀カスとくっ殺イ以外の対戦相手が来ないんだけどどうにかならん?

因みに私は雀カスからヒータでntr狙いの【エダ霊使い】でフルボッコされとります。

今回も独自解釈とオリジナル効果があります


原作未踏、やってみるか。

 グールズを追い河川敷へと到着した【武藤遊戯】は執事とマリクが操る『人形』との対決の様子を河川敷の上からじっと見つめていた。

 

『凄いね。もう一人の僕』

「ああ」

 

 最初から見ていた訳では無いが、劣勢にありながらカードの効果を最大限活かし目先のライフポイントに囚われず常に最悪を想定してアドバンテージを残し続ける姿は彼らの目にも卓越した技術と豊富な経験を伺わせた。

 

「俺のターン。ドローフェイズ。ドロー。

 スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 …さて、どうしようか?」

 

 【オベリスクの巨神兵】を象る【神・スライム】を前にしかし自動販売機の前で迷うような気軽さを見せる執事にマリクが苛立ちを伺わせながら嘯く。

 

「今のお前に何が出来ると言うんだ?

 さっさとターンを渡してくれよ」

「いや。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

『何をふざけたことを言っている!?』

 

 突然の勝利宣言にマリクが激昂し、二人の遊戯もまた驚愕をあらわにしていた。

 

「フィールドには破壊出来ないモンスターが二体も居るのにどうやって!?」

『待って!もう一人の僕!

 あの人の言う通り彼は既に勝利の盤面が完成している!』

 

 驚愕しながらも表遊戯が先に答えを得ていた。

 

「確かに神・スライムは強力だ。

 自身以外を選ばせない対象制限効果に加えて攻撃防御とも基本最高値の3000はそう簡単に崩せる壁じゃない」

『それが解っていてよくもほざいてくれるな?』

「だが、()()()()()()()()()()()()()()

 神・スライムには自身に対する対象指定耐性と効果破壊耐性は備わっていないから【地砕き】一枚でもあれば処理は可能だ」

『っ!?』

 

 耐性の穴を突けばどれほど強力なモンスターも恐るるに足りないと言い切る執事にマリクはぎりりと歯を軋ませる。

 

「そうじゃなくとも世の中には対象を取らないで相手を指定する効果もあるから対象制限だって絶対じゃない。

 例えば…」

 

 執事はそう前置き、ディスクを変形させて相手フィールドを展開し手札をそこに置いた。

 

「神の供物を横取りしてしまえガメシエル」

 

 直接、マリクの神・スライムが弾け、その内から飛び出すように巨大な亀の怪物がマリクのフィールドに姿を現した。

 

『【壊獣】だと!!??』

「コイツを防ぐにはリリース耐性を持たせるか特殊召喚そのものを封じるしか方法は無い。

 ところでなんだがマリク。お前が後生大事に崇め奉る【神のカード】にはリリース耐性はあるのか?」

『っ!!??』

 

 出してしまえば自分の勝利は確定する。

 そう信じていたマリクへのその質問は神は絶対であるという価値観そのものにさえ疑念を植え付ける『銀の弾丸』となってマリクに襲いかかった。

 

「ふぅん?

 確かにいかなる効果に耐性があろうと生贄に選ぶ事がルールである限り神であろうと対処はできないだろうな」

「海馬!?」

 

 いつの間にか遊戯から少し離れた所に立っていた海馬の声に遊戯はそちらを振り向き尋ねる。

 

「どうしてここに?」

「知れたことよ!」

 

 ギッと拳を震わせながら【海馬瀬人】は荒ぶる感情を抑え込んだ声で嘯いた。

 

「俺と貴様の決着の場とすべく用意したバトルシティに這い回る蛆虫共をこの俺自ら叩き潰すためだ! 

 しかし今はそれより優先すべきことが起きた!」

 

 マリクの神・スライムを簡単に排してのけた執事へとその指先が伸びる。

 

「我が海馬コーポレーションが技術の粋を集めて開発したデュエルディスクの紛い物を振りかざすあの愚か者を誅し背後に潜む一切を引きずり出す!!

 商標登録を無視した違法コピー品などこの俺の目が黒い内はネジ一本たりとも存在を許してなるものか!!

 そしてその報いとして貴様達が開発した全ての機能は海馬コーポレーションへの賠償として接収してくれる!!

 俺が求めたデュエルディスクの最終形態を俺より先に完成させたその技術を俺は俺の物とし、海馬コーポレーションはさらなる飛躍を得るのだ!!ハーハハハハハハハッ!!」

 

 デュエリストの誇りは(モクバを除く)何より大事だが、同時にデュエリストの誇りを一旦預けてでも経営者として技術者として決して見過ごしてはならない戦いがそこに迫っていた。

 

「海馬…」

 

 そんなある意味で自分よりずっと先に進んでいるものの感情が混線しすぎておかしなテンションを晒しているライバルの姿にどう声をかけるのが正しいのか分からない遊戯は沈黙は金と黙ることしかできなかった。

 そんな明後日の方向に全力前進DA☆しかけている瀬人を他所に執事はデュエルを()()()ことを選んだ。

 

「俺は手札から【地霊使いアウス】を召喚しデーモン・リーパーと共に墓地に送りデッキから【憑依装着−アウス】を特殊召喚したことで【憑依覚醒】の効果で一枚ドロー。

 更に墓地に送ったデーモン・リーパーの効果でデッキから【憑依連携】を手札に加えバトルフェイズに移る。

 アウスでリバイバルスライムを攻撃!

 『ステイン・スターロング』!」

 

 アウスが掲げた杖の先端に黄銅の輝きが灯り、アウスが杖を振り下ろすと大地が隆起しリバイバルスライムをズタズタに切り裂いた。

 

「デッキから特殊召喚された【憑依装着】モンスターは貫通効果を得る。

 更に【憑依解放】の効果により【憑依装着】モンスターは攻撃時に800ポイント攻撃力を上昇。

 【憑依覚醒】の効果も加算し合計攻撃力は3250。

 よって、リバイバルスライムの防御力500を差し引いた2750ポイントの貫通ダメージだ」

『ぐぅっ!?』4000→1250

 

 切りに刻まれたリバイバルスライムが再生するのを尻目にライフアドを一気に喪わせる強烈な攻撃にマリクが苦悶の声を漏らし、海馬もまた驚きを感じずにはいられなかった。

 

「下級モンスターがブルーアイズを超えるだと!?」

 

 オベリスクの巨神兵という絶対の力を手に入れた今も最強ではなくともブルーアイズこそ至高であると疑わない海馬にとって、雑魚モンスターがブルーアイズを超えていった事実は容易に受け入れられるものではない。

 

「マリク。俺がお前を()()()()事は解っているだろう?」

『……』

「俺はこのターン墓地のシラユキを呼び出せばエリアを裏守備表示に戻しガメシエルをこちらに引き込んで貫通攻撃が可能な【憑依装着−エリア】をデッキから呼び出す事が出来た。

 そうすればお前はこのターンにライフポイントを全て失い敗北していた。

 何でそうしなかったと思う?」

『黙れ!!

 お前が何を考えているかなんて知るか!!

 神さえ召喚すればお前に勝ち目なんて無いんだ!!

 僕のターン!!』

 

 ターン進行の宣言さえ待たず自分のターンを始めたマリクに執事は静かに『白樺の杭』を突き立てた。

 

「お前はお前の自由を殺した神が憎いんだな」

『……は?』

 

 決して大きくはない声は、その場にいた全ての者に不思議なほどはっきり聞こえた。

 

「お前が神のカードの強さを盲信しているのはその強さを畏れてじゃない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ファラオが、神のカードが無価値な存在であったならそれを守る為に人生を無理矢理捧げられた僕は何のために生まれてきたんだ。

 マリクが破壊衝動を切り分けてまで目を背けていた問題を執事は容赦なく突き立て傷口に爪を抉り込む。 

 執事はマリクが父親から背に墓守の秘密が記された碑文を刻まれた経緯をリアルタイムで読んできた世代だ。

 それ故に当時の幼い感性ではマリクが何故自らの手で顔にヒエログリフを刻み込んだリシドの献身にあんな反応をしたのか分からないままだった。

 だが、実際に戦う内に神への執着と憎悪を体感し、その感情が神への依存ではなく自らの存在理由が無価値であるかもしれないことへの恐怖であると執事は感じた。

 

『黙れ!!』

 

(もしかしたらマリクがオベリスクを盗まなかったのは()()()()()()()()()()からかもしれないな。

 無限に攻撃力を伸ばせるオシリスとラーはマリクの自由への渇望故の選択だとすれば…いや。今はそんな考察は必要無い)

 

『黙れ!!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!

【悪夢の鉄檻】発動!!』

 

【悪夢の鉄檻】※原作効果

通常魔法

このカードは発動後、フィールドに残り続け、

相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは相手フィールドのカードを効果の対象に出来ず効果を相手フィールドのカードに適用出来ず、モンスターは攻撃出来ない。

 

 狂ったように黙れと連呼しながらマリクは執事を黒い檻に閉じ込める。

 

『貴様の御託は十分だ!!

 そんなに僕を馬鹿にしたいならその檻の中で何も出来ずもがき苦しみながら死んでいけ!!』

 

 喚き散らしながらターンを終えるマリクに執事は憐れみを抱きながらもただ静かにターンを回す。

 

「ドローフェイズ。ドロー。スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 カードをセットしターンエンド」

『僕のターン!ドロー!

 魔法発動!!【天よりの宝札】!!』

 

【天よりの宝札】※原作効果

通常魔法

互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードを引く

 

 執事の手札を潤わすリスクに思考を及ばせることさえ出来ずマリクは手札を充足させる。

 

『僕はモンスターをセット!!

 ターンエンド!!』

「ドローフェイズ。ドロー。スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 アウスを守備表示に変更してカードを2枚伏せてターンエンド」

 

 荒々しいマリクに反し執事は凪いだように静かに、それでいて確実にフィールドを盤石に整えていく。

 そして、その時は来た。

 

『僕のターン!!ドロー!!

 見ろ!!これが絶対の力!!

 無限の可能性を示す神の威光だ!!

 三体のモンスターを生贄に神よ!その力を以て奴を引き裂け!!

 【オシリスの天空竜】召喚!!』

 

 無敵の壁となるはずのリバイバルスライムがむしろ自分を殺す鏑矢に成り果てたと生贄に用いマリクはデッキの中核である【神のカード】をこの場に降臨させた。

 

【オシリスの天空竜】※原作効果

効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時にお互いはカードの効果を発動できない。

(3):このカードの攻撃力・守備力は、自分の手札の数×1000アップする。

(4):相手フィールドにモンスターが攻撃又は守備表示で召喚・特殊召喚される度に発動する。

そのモンスターの攻撃力又は守備力は2000ダウンする。

0になった場合そのモンスターを破壊する。

(5):このカードが特殊召喚されている場合、エンドフェイズに発動する。

このカードを墓地へ送る。

(6)このカードは相手の効果を受けず効果で破壊・除外されず、モンスターの召喚・効果の生贄に使用できない。

 

 晴れていたはずの天に暗雲が広がり、その中を赤い巨躯がうねるように泳ぎながら【オシリスの天空竜】は威容を放ちフィールドを睥睨した。

 

「これが【オシリスの天空竜】!!??」

 

 直接相対していない二人でさえ受ける威圧感は凄まじく気を抜けば膝をついてしまいそうな恐怖に苛まれる。

 

『オシリスの攻撃力は手札の数×1000ポイント!!

 今の僕の手札は五枚!

 つまり攻撃力5000だ!!

 更にお前が言った全てに対する完全耐性を持つ究極の存在なんだよ!!』

 

 汎ゆる効果を寄せ付けない無敵の存在だとそう高らかに謳うマリクに対し遊戯達はその効果に戦慄を覚えた。

 

 しかし、

 

「成程。勝機は正面突破だけと。

 ならばまだどうにかなりそうだ」

 

 神の威光を前に、執事は穏やかに口にし、好戦的な笑みを浮かべた。




リアタイ時にはリシドの姿に絶望したマリクの気持ちが全く分からなかったんですが、今になると墓守の一族でないリシドに対し、自由になる希望を見出していたマリクがリシドが一族への服従を示したことで自分は一生墓守の使命から逃れられないのだと絶望したのだと思っとります。
次回は神退治。

割とあっさり殺っていいよね?
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