迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「エンドフェイズにトラップ発動!
【ビッグウェルカム・ラビュリンス】!!
デッキから【白銀の城のラビュリンス】を攻撃表示で召喚!!」
発動と同時に何故かフィールドではなく背後の河川敷の高い所に陣取りジョジ◯立ちっぽく背中から振り向くポーズを決めて登場する姫様にアウスとエリアはまたコイツはと言いたげに溜息を吐いた。
「アレは世界に一組しか無い伝説の【ラビュリンス】のカード!?」
『でも何であんな所に現れたんだろう?』
レアカードの登場に素直に驚く闇遊戯に対し、至極当然の疑問を浮かべる表遊戯。
「ぐぬぬ!
一体何処のどいつが存在するかさえ怪しいカードにあんな無駄なエフェクトを用意した!!??」
その横で瀬人は巫山戯た遊びを仕込んだであろうプログラマーに激怒していた。
(二人共いつの間に来てたんだ?)
そんな疑問を抱きつつ、俺は満足してフィールドに降りてきた姫様を前に【ビッグウェルカム・ラビュリンス】の処理を進める。
定位置につくために鉄檻を普通に開けて入ってきた気がしないでもないが、気にしたら負けなのはいつものことだからスルーする。
「モンスター召喚後、フィールドのモンスターを1体選択して手札に戻す。
その後罠カードの効果でモンスターがフィールドから離れたため姫様の効果でフィールドのカードか手札をランダムに一枚破壊する。
悪夢の鉄檻の効果でフィールドは選択不可能なため手札を破壊。
選ぶのは真ん中を。『ストライク・ラブリュス』!」
いつものように斧を投げようとして檻に阻まれると気づいた姫様が慌てて胸元に手を突っ込みトランプを抜き出すとその一枚をマリクに投げつけた。
『ぐあっ!?』
リアルダメージを受けたように苦悶の声を上げるマリクの手から溢れたのは【大嵐】であった。
危ない危ない。
今のまま大嵐を使われてたら普通に負けていた。
「コレでオシリスの攻撃は4000。
対して姫様は悪夢の鉄檻の効果でオシリスの効果を受けていないから憑依覚醒と合わせて3500。
もう少しでオシリスに手が届くな?」
『グッ、グググっ…』
「ドローフェイズ。ドロー。スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
手札は六枚。
【闇霊使いダルク】
【月鏡の盾】
【憑依装着─ウィン】
【ドロール&ロックバード】
【手札断殺】
【憑依連携】
そして伏せの魔法と罠一枚ずつ。
現時点のままだと【手札抹殺】と【ハリケーン】辺りは致命的過ぎるな。
この先は俺の運命力に委ねるしかないと判断し、俺は最後の仕込みを開始する。
「速攻魔法【手札断殺】を発動。
手札を二枚墓地に送り二枚引く。
俺は【闇霊使いダルク】と【憑依連携】を墓地に送る」
『【ディフェンド・スライム】と【生還の宝札】を墓地に送る』
やはり手札誘発という存在は大きいなと思いつつ交換した二枚は、【灰流うらら】と【憑依装着─ダルク】。
(出してやりたいが、今はウィンのほうが状況を作れるな)
「【憑依装着─ウィン】を守備表示で召喚。
召喚時に憑依覚醒の効果で一枚ドロー」
一番に望むカードと共に絶妙なタイミングで登場した相棒に謝罪しつつ俺はウィンを守備表示で召喚しさらに手札を増やす。
引いたのは【デーモン・イーター】。
これも仕込みに欲しかった一枚だ。
「更に魔法使い族が居るため手札から【デーモン・イーター】を守備表示で特殊召喚。
これでフィールドに四種類の属性が揃い憑依覚醒の効果で上がる攻撃力は合計1200ポイント。
姫様の総攻撃力は4100だ!」
「オシリスを超えた!?」
『ッ!!??』
『人形』の向こうでマリクがどんな顔芸を披露しているのかと埒外な事を考えつつ俺は最期の仕込みを行う。
「更に手札から【月鏡の盾】を姫様に装備してターンエンド」
細工は流流…というには後一枚手札に入れておきたかったカードが引けていないという懸念も僅かにあるが、現状やれることはやり尽くした。
後は仕込みが上手く作動するかどうか俺の手腕に掛かっている。
手にした月鏡の盾が審美眼に適ったらしく満足そうな姫様を前に鉄檻が崩壊しオシリスの威圧感が更に増したように感じるが、恐怖は俺でなくマリクに与えられるべきものだとその感情を振り切る。
『僕のターン!!
フフフ…お前は万全を期そうとしたみたいだが、それが敗因となるんだ!
二枚目の【強欲な壺】発動!!
二枚ドロー!!
これでオシリスの攻撃力は6000だ!!』
「効果発動後に【ドロール&ロックバード】を手札から捨て効果発動!!
このターンにお互いにデッキからカードを加えられなくなる!」
『【墓穴の指名者】で除外して無効にする!!』
まだドローソースを抱えていたらしいマリクが手札を切り崩して強引に活路を開こうとする。
『まだ終わらない!!
僕は手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!
デッキの上から十枚を除外して二枚ドロー!!』
「【灰流うらら】を墓地に送り効果を止める」
『くそっ!?
だったら【暗黒界の取引】!!
一枚引き一枚墓地に捨てる!!
僕が捨てるのは手札のマキュラだ!!』
「こちらはダルクを捨てる」
『マキュラが墓地に墜ちたことで手札から【無謀な欲張り】を2枚発動!!』
目まぐるしく繰り返されるドローソースの乱打にこちらの対抗リソースが底を見せ始める。
現在のオシリスは攻撃力5000。
デッキ枚数的にもうリソースは使い切ったはずだが…。
『手札から罠カード【貪欲な瓶】を発動!!
強欲で貪欲な壺、強欲な壺、大嵐、天使の施し、暗黒界の取引をデッキに戻し一枚ドロー!!
まだだ!!今度は【貪欲な壺】を発動!!
二体のマキュラ、神・スライム、リバイバル・スライム、ヒューマノイド・スライムをデッキに戻し二枚ドロー!!
来たっ!!【大嵐】発動だ!!』
クソがっ!!??
圧縮しまくった上であれだけドローすれば引ける可能性は無くもないが、だからって本当に引いてくんじゃねえよ!?
「タダじゃやらん!!
【ビッグウェルカム・ラビュリンス】発動!!
墓地のアリアンナを守備表示で召喚しデーモン・イーターを手札に戻す!!」
鍵束の着いた鞭をデーモン・イーターに巻き付け鞭を伝って墓地に続くらしい穴から飛び出して来たアリアンナが手土産とカードを投げ渡す。
『召喚時にオシリスの効果発動!!
『召雷弾』!!』
暴風が荒れ狂い霊使いの加護が引き剥がされる中同時に伏せていた【手札断殺】が砕け散るのを尻目に見ながらオシリスの上の口が開き守りの態勢をとるアリアンナに雷撃を放つのを見る。
「アリアンナは守備力2100だから残り100で生き残る!
そして破壊された月鏡の盾の強制効果によりライフポイント500を払いデッキの一番下に戻す
その後罠カードの効果でモンスターが場から離れた事で姫様とアリアンナの効果発動!!
デッキから一枚ドローして手札を破壊する!!」
『まだ足掻くか!!
だが貴様に次のターンは来ないんだよ!!
強欲な壺をもう一度発動!!
これで僕の手札は五枚だ!!
オシリスでラビュリンスを攻撃!!』
墓地の憑依連携を除外して再び憑依覚醒を貼っても姫様の攻撃力は3800でライフを残すのにあと一息足りない。
故に選択は一つだけ!!
「チェーンして墓地の【妖精伝記シラユキ】の効果を発動!!
墓地から四枚を、そしてフィールドの姫様と手札二枚を除外して特殊召喚!!
チェーンして墓地の憑依連携を除外して憑依覚醒を再び配置する!!」
せめて一太刀と覚悟を決めた姫様が突然開いた穴へと構えた姿で落下して消え、代わりに白雪姫の衣装を着たリスの獣人がちょこんとその場に立っていた。
『アハハハハハハ!!
態々攻撃力を下げてまで大事なカードを守りたいなんて滑稽だな!!
オシリス!!その雑魚を焼き払ってしまえ!!』
再び放たれた雷撃に苦しそうにしながらも霊使い達の加護を受けて耐えるシラユキ。
「憑依覚醒の効果で一枚ドロー!!」
『今更手札が増えたところで何も変わらないんだよ!!
オシリスの攻撃!『超電導波サンダーフォース』!!』
オシリスの下にある巨大な口が開き、苦悶に顔を歪めるシラユキ目掛け神の怒りが解き放たれようとする。
「……漸く、届いた!」
『…何だと?』
「俺の勝機は三つ。
一つはターンが回り月鏡の盾を装備している姫様が残る事。
二つ目は伏せカードを破壊されずに攻撃されること。
そして、
シラユキを攻撃表示で召喚したのは手札を増やすためじゃない!
お前にシラユキを狙わせるためだ!
俺はダメージステップ開始時に手札から【オネスト】を発動!!」
【オネスト】
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
(1):自分メインフェイズに発動できる。
フィールドの表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。
(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、
このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。
アリアンナが引き寄せてくれたオネストは、デッキ調整の際にスカイ・マジシャン・ガールの採用により光属性が多めになっていたことに気付いた十代がユベルの新たなカードをくれた礼にと譲ってくれたものだ。
オネストがその輝きでシラユキを守り神の雷を取り込み力を与える。
「このカードは手札から墓地に送ることで光属性のモンスターの攻撃力をターン終了時まで戦闘する相手の攻撃力分上昇させる!!
この効果は攻撃力を参照するため神の耐性は関係ない!!」
『馬鹿な!!??』
「よって、シラユキのダメージ計算時の攻撃力はオシリスの5000を加えた『6050』!!
迎え撃てシラユキ!!」
手にしたリンゴに全ての力を束ね、神の雷さえ飲み込む極光を解き放つ。
『馬鹿な……神が…下級モンスターに敗北するなんて…』
忘我に見舞われ膝をつくマリクの前でオシリスの巨体が光の粒子に分解されていく。
「……俺のターン。ドロー。
シラユキ、終わらせてくれ」
マリクが戦意を失ったことで俺へとターンが回り、最早抗う気力も尽きたマリクに対し静かに戦いの幕を下ろした。
唐突なオネストだけど、十代が貰いっぱなしで引き下がるとは思えないなって考えて十代が使った中で執事が仕えるカードがなんかあるかって考えたらオネストが挙がったので実はデッキ枚数の下りから仕込んでいました。
因みにユベルもプレゼントくれてます。
余談だけどマリクのデッキ枚数は貪欲使わなければ後二三枚程度しか残っていないため、ちょっと頑張れば原作再現も可能だったりします。