迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
※裁定を間違えたため展開を一部変更しました。
「ボクのターン。ドロー!」
盤面は今のところこちらが有利だ。
しかしその有利は然しもの武藤遊戯を相手にしては砂上の楼閣と言わざるを得ない。
「魔法カードを発動します!【強欲で金満な壺】!
融合デッキを六枚墓地に送り二枚ドロー。
マシュマロンを生贄に捧げ手札からモンスターを召喚する!
来て!【ブラック・マジシャン・ガール】!!」
あざと可愛いバンクを挟み数多の少年の性癖をおかしくした元祖アイドルカードがビシッとポージングを決めてフィールドに現れる。
エダでダルクの効果を使える今のタイミングでブラマジガールを召喚した?
「伏せカードオープン!装備魔法【幻惑の巻物】を発動!
ブラック・マジシャン・ガールの属性を炎属性に変更してからバトルフェイズに移行します!」
巻物を読み身に纏う魔力を赤く燃やすブラマジガールに、今更エダの効果を使ってもダルクのリバース効果は間に合わないと内心歯噛みする。
「くっ! フェイズ移行前にやることはありません!」
「ブラック・マジシャン・ガールでリバースモンスターを攻撃!
『
ブラマジガールから放たれた燃える魔弾がダルクを吹き飛ばす。
「リバース効果発動…ですがフィールドに闇属性はいないのでコントロールは奪えずそのまま破壊です。
他にチェーンはありません」
使われないからとヒータを外した炎属性をピンポイントに選ぶ辺りの嗅覚は流石主人。
しかも手札はまだあるし何かしてくるよな。
そんな考えは至極当然のように一枚のカードによって現実に齎された。
「メインフェイズ2に移行します。
永続魔法発動!【地盤沈下】!」
【地盤沈下】
永続魔法
使用していないメインモンスターゾーンを2ヵ所指定してこのカードを発動できる。
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、指定したゾーンは使用できない。
「ボクは貴方のフィールドの空いている2箇所を指定して使用を禁止する!」
「嘘だろおい」
使い方を選ぶ難しいカード一枚でこのデッキの弱点である『モンスターゾーンが空いていない』という状況を強引に造りやがったぞ。
さり気なくトリッキーのコストに【超電磁タートル】落としてくれてるから伏せはなくともキマイラでカウンターキルも狙えないと中々に布陣は硬い。
「ボクはターンエンドです。」
残りの手札の不明札は一枚で片方はうらら。
ああ、本当にデュエルは楽しいな。
思い通りに行かない状況に俺は愉悦を感じずにはいられなかった。
純粋なマゾヒズムとは少し違う。
俺が愉しんでいるのは
何が出ても新しいカードが手に入る新弾のカードパックの最初の一個を剥いているような、そんなワクワク感で少年心を滾らせながら俺はターンを進行させる。
「ドローフェイズ。ドロー。
スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
来たのは【ビッグウェルカム・ラビュリンス】。
ただ使うだけでは流石に遊戯君もうららを刺して止めてくるだろうが、こちらには前のターンに引いたアリアスが居る。
「キマイラを生贄に【白銀の城の執事アリアス】を召喚します」
キマイラが光に解け、解けた光がアリアスを形成する。
「チェーン確認です」
「ありません」
「ではアリアスの効果発動。
自身を墓地に送り手札から【ラビュリンス】モンスターを特殊召喚するか通常罠カードを発動可能な状態でセットします」
「……っ!」
どうやら遊戯君は此方の意図を読み解いたらしい。
「私は手札から【ビッグウェルカム・ラビュリンス】をセット。
そしてそのまま発動します」
「チェーンして【灰流うらら】を手札から捨てて効果を発動!
その効果を止めます!」
「その効果にチェーンして墓地のアリアスの効果を発動。
【ラビュリンス】カードの効果及び通常罠カードの効果に相手がチェーンした際アリアスは墓地から特殊召喚出来ます。
チェーン確認」
「っ、ありません」
「では逆順処理を開始します。
墓地からアリアスを攻撃表示で特殊召喚した後ビッグウェルカム・ラビュリンスが灰流うららで無効になります。
何もなければバトルフェイズに移行します」
「どうぞ」
「アリアスでブラック・マジシャン・ガールに攻撃します」
憑依覚醒の効果で攻撃力が逆転したアリアスが手にした茶器を大鎌に持ち替えてブラック・マジシャン・ガールに強襲を掛けるが、磁力の嵐が巻き起こりその攻撃を阻んだ。
「攻撃宣言にチェーンして墓地の超電磁タートルを除外しバトルフェイズを強制終了させるよ!」
「チェーンはありません。
メインフェイズ2にエダを守備表示に変更しターンエンド」
特段が無ければキマイラの効果で姫様を蘇生。
墓地のビッグウェルカムを除外してアリアスかブラマジガールをバウンスして破壊効果を使いそのままリーサルとなるが、武藤遊戯相手にそんな楽な展開が来る筈もない。
「ボクのターン!ドロー!
ボクは【強欲な壺】を発動!」
ほらね?
「ではチェーンして墓地のキマイラの効果を発動します」
「やっぱり生贄にしたのには意味があったんですね?」
「当然です。
相手ターンにキマイラを除外し、墓地から悪魔族・獣族・幻想魔族のいずれかの一体を特殊召喚します。
お出でませ我が姫君!【白銀の城のラビュリンス】を特殊召喚!」
地面に穴が開き下から梯子が掛けられそれを登り姫様がフィールドに現れる。
かなりダッサイ登場をしてくれやがった姫様には後で物申そうかなと思いつつ、演出にどう反応したかと微妙な顔をする遊戯君へ告げる。
「気にしたら負けですから構わずどうぞ」
「あ、はい。
じゃあ、【白銀の城のラビュリンス】を生贄に捧げて手札から【粘糸壊獣クモグス】をそちらのフィールドに特殊召喚します」
【粘糸壊獣クモグス】
効果モンスター
星7/地属性/昆虫族/攻2400/守2500
(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、
手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる。
(2):相手フィールドに「壊獣」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
(3):「壊獣」モンスターは自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(4):相手がモンスターを召喚・特殊召喚した時、
自分・相手フィールドの壊獣カウンターを2つ取り除いて発動できる。
次のターンの終了時まで、そのモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。
不意に頭上に影が差し、上を見上げた姫様が驚愕と同時に落下してきたクモグスに踏み潰されてペラペラになって這い出た穴へと戻っていく。
「あの…」
「気にしないでください!」
なんで一々ギャグになるんですか貴方は!!??
しかし参った。
思いもよらぬ手段でこちらの思惑を的確に潰していく様は本当に楽し過ぎて怒りも沸かない。
というか…クモグスにワンダー・ワンド?
「あの、遊戯君。
一つお尋ねしますがクモグスは何時入手されました?」
「え? お昼過ぎにショップで見かけてワンダー・ワンドと一緒に買いましたが?」
やっぱり俺が売っぱらった二枚かよ!!??
「ああ、いえ。
ちょっと心当たりがあっただけなので気にしないでください」
「そうですか…?
それじゃあカードを1枚セットしてターンエンドします」
ともあれ状況はかなり悪い。
手札は羽根箒一枚で【地盤沈下】の効果でフィールドはギチギチ。
羽根箒を使うべきなんだろうが、どう考えてもこの盤面は
「ドローフェイズ。ドロー。
スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
引いたのアリアーヌ。
罠がないので喚ぶなら羽根箒を使うしかない。
気になるのはセットカードなんだが…ん?
偶然か?
クモグスとセットカードと憑依覚醒が
「っ!?
手札から【ハーピィの羽根箒】を発動!!」
完全に後手を踏んだと焦りながら伏せカードを破壊しに掛かるが、しかし間に合わなかった。
「リバースカードオープン!!
永続罠カード【赤酢の踏切】発動!!」
【赤酢の踏切】
永続罠
(1):「赤酢の踏切」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):セットされたこのカードと同じ縦列に相手のカードが存在する場合にこのカードを発動できる。
このカードと同じ縦列の、このカード以外のカードを全て持ち主の手札に戻す。
(3):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
このカードと同じ縦列の使用していないゾーンは使用できない。
し、知らねぇ〜!!??
え? 何? 条件付きバウンス&モンスターゾーンロックの永続罠カード!?
「ち、チェーンは無いです…」
「逆順処理により赤酢の踏切のライン上のカードを全て持ち主の手札に戻してから使用を禁止にするけど、羽根箒の効果で破壊されるためすぐに解除される」
手札に帰ってきた憑依覚醒から一旦外し俺は顔が引きつるのを我慢できなくなっていた。
【夢幻泡影】じゃなかっただけなんぼかマシではあったが、しかしこれで下手に大型モンスターを召喚してもクモグスのリリース除去が再び飛んでくることが確定してしまったから、改めて考えても本当にマシなのか怪しい。
「私は再び憑依覚醒を配置しバトルフェイズに移行します」
「どうぞ」
とにかく今はブラマジガールを排しライフアドを取り返そう。
もう一枚の不明札が怖ぎるためアリアーヌは温存したまま
バトルフェイズを開始する。
「アリアスでブラック・マジシャン・ガールを攻撃!」
「チェーンはありません!」
「ブラック・マジシャン・ガールを撃破!」
一度は防がれた大鎌の軌跡がブラック・マジシャン・ガールを捕らえその命を刈り取る。
「ブラック・マジシャン・ガール破壊時に手札から【マジクリボー】の効果を発動!」4000→3900
【マジクリボー】
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):戦闘または相手の効果で自分がダメージを受けたターンのメインフェイズ及びバトルフェイズに、
このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
自分のデッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」または「ブラック・マジシャン・ガール」1体を選んで特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):自分フィールドの表側表示の魔法使い族モンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。
墓地のこのカードを手札に加える。
「ボクはデッキから【ブラック・マジシャン】を特殊召喚する!
来て!【ブラック・マジシャン】!!」
流石原作主人公だけあってドローに無駄が無い。
いや本当にエンジョイ勢からでさえ紙束とまで言われた闇鍋デッキなのか?
運命に愛された者の嫉妬すら霞む引きの強さを体感しつつ弟子を討たれて若干機嫌が悪そうなブラック・マジシャンが立ちはだかる現実に頭を抱える。
「バトルフェイズを終了しメインフェイズ2に移行します。
アリアーヌを守備表示で召喚し墓地から【ビッグウェルカム・ラビュリンス】を除外してアリアスを手札に戻します」
外れを引いてもアリアスを守備表示で特殊召喚すれば…駄目だ。クモグスに喰われてブラマジに狩られるだけだ。
アルファはこちらの合計攻撃力の方が高いから出せるのは更地にされた後。
カグヤはパンドラマジシャンが入っていた場合一回防がれるし、時間稼ぎにはなろうが他のリソースですり潰される未来が見える見える。
打開手段が無いわけじゃないが、遊戯君の運命力的に持ってあと一か二ターンでこちらは挽回不可能になるだろう。
敗色濃厚な状況に若干弱気を覚えつつターンを続ける。
「罠カードの効果でフィールドからモンスターが離れたためアリアーヌの効果発動。
一枚ドローします」
そうして引いてきたのは…【暗黒界の取引】であった。
「私は引いてきた【暗黒界の取引】を発動します。
一枚ドローし、アリアスを墓地へ」
「ボクはクモグスを墓地に送ります」
どうやら向こうも良いカードを引いたらしい。
「ターンエンド」
おそらく後三ターン以内に決着が着く。
引いてきたカードに、俺はそう確信した。
デッキパワーを知恵と勇気と運命力で覆す遊戯に執事は果たして勝てるのか?
勝利の鍵は見えるけど見えないものです。